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【第76話】 主人公2人をアルファザードに召喚する段取りについて

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◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 
ここ惑星アルファザードの空中神殿の食堂では、オレ(盗賊装備の春埼隆人=創造主)、炎の女神のファイナ、剣と氷の女神のアイネ、治癒の女神のヒーリス、ドラゴン(雷竜)のサンダリオン(美少女形態)、スライムのスラ吉の5人と一匹が大きな円卓を囲っている。
ちなみに、スラ吉はアイネの膝の上に抱っこされている。 ( 厳密には、太ももの上に抱っこされ、スラ吉の頭上にはアイネの爆乳が のっかっているような状態だ。 )

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「 じゃあ、これから段取りを話すから、みんな聞いてくれ。 」
と、オレはファイナ達に告げた。

「 了解っス♪ 」 「 うん・・・ 」(ボソッ・・・) 「 はい♪ 」 「 わかったのじゃ♪ モグモグモグ・・・ 」(クッキーを食べながら・・・) 「 了解でヤンス♪ 」

「 さて・・・まず、オレとファイナは、あらかじめ『リムルネールの街』の近くに降りておく。 で、オレが主人公役の二人・・・六堂王輝(りくどうおうき)と静原美羽(しずはらみう)をココ(空中神殿)に召喚する。 そしたら、ヒーリスとサンダリオンは『主人公の二人を召喚した女神』の役を演じて、主人公二人をナビゲートしてやってくれ。 」 ( ・・・まぁ、女神役ってゆーか、ヒーリスは実際、この世界(アルファザード)の女神なんだけどな・・・ )

「 わかったのじゃ! 完全に理解したのじゃ! 」
サンダリオンは返事だけは威勢がいい・・・。

サンダリオンの威勢のいい返事の後、ヒーリスが少し考えながら言葉を紡いだ・・・
「 え~と・・・ナビゲートする内容・・・主人公お二人に説明する内容としましては・・・
①ここはアルファザードという世界の空中神殿です。あなた達からすると異世界にあたります。
②私はこの世界の癒しの女神でヒーリス、こちらは雷(いかづち)の女神でサンダリオンと申します。
③私たちがあなた方を召喚しました。
④ちなみに、あなた方には召喚の際に【翻訳】という特殊能力(スキル)をかけてありますので、言葉は普通に交わせます。
⑤今、この世界は魔王グランデール率いる魔王軍の攻勢により危機にさらされています。もし、魔王軍がここアルファザードを支配した場合、魔王軍は異世界にも侵略の魔の手を伸ばすと公言しており、いずれはあなた方の世界・・・地球にも魔の手が伸びることになるでしょう。
⑥そこで、魔王軍と戦う為、あなた方のお力をお借りしたいのです。
⑦先ほども言いましたが、ここアルファザードが侵略されたら、いずれは地球も狙われることになります。もしかしたら、次のターゲットが地球になる可能性もあります。
⑧あなた方にはチート能力が備わっています。が、魔王軍の雑兵はともかく、魔王グランデール本人と戦うには戦闘経験が足りません。なので、魔王城から遥か遠くの『リムルネールの街』からスタートして、戦闘経験を積んで強くなってください。
⑨王輝さんには戦士タイプの黒いコートと剣を、美羽さんには魔法剣士タイプの白いコートと剣を、それぞれお渡しします。
⑩それと、この世界には、先ほど言った特殊能力(スキル)の他にも、ステータスやレベルや魔法やオーラというものが存在します。なので、それらについての基礎知識を説明します。
⑪尚、無事に魔王軍を倒してこの世界を救って頂いた後は、あなた方を地球に・・・召喚される直前の時と場所にお送りいたします。
・・・で、一通り説明し終えたら、主人公のお二人をここ(空中神殿)から地上のリムルネールの街に転移させてあげればよろいいでしょうか・・・?
その後は、盗賊(シーフ)役の創造主様と神官役のファイナさんが、うまいこと偶然をよそおって主人公のお二人とパーティーを組む・・・という感じで・・・ 」"

「 さすがヒーリス。 ほぼ完璧だ。 特に、⑦の『次のターゲットが地球になる可能性も』と言うことで、暗に『オマエたち地球人にとっても他人事じゃないんだぞ?だから手伝えよ?』と匂わせてるところもいい。 」

「 ま・・・まぁ・・・ちょっと『脅し文句』みたいになってしまいますので、言おうかどうしようか迷いますが・・・ 」
ヒーリスは苦笑いと冷や汗をかきながら答えた。

「 んむ! さすがはヒーリスなのじゃ! 」
なぜかサンダリオンがドヤ顔している。

まぁ、サンダリオンのドヤ顔は置いといて・・・
「 そうだなぁ・・・少しだけ補足や修正しとこうか・・・。 まず、主人公二人を召喚する時点で、スキル【翻訳】と【不老】をかけておこうと思う。 」 ( 主人公たちはアルファザードで冒険する間そのままだと当然歳をとるので、地球に戻った時に周囲の人間に比べて主人公たちだけ少し老けることになってしまう。 その為、主人公たちは冒険中も「さっさと魔王倒して地球に帰らなきゃ・・・!」という焦りが生じてしまう。 JKの静原美羽は特にそういう焦りが出るだろう。 そういう焦りが生じないように、アルファザードにいる間は【不老】で歳をとらないようにし、その旨を主人公たちにも伝えておこう・・・という考えだ。 )

「 スキル【不老】でヤンスか・・・? あぁ・・・そういうことでヤンスね・・・ 」
とスラ吉が独り言ちるように言った。

続いて、ヒーリスやファイナやアイネも(主人公たちにスキル【不老】をかける意味を)理解したようで、「あぁ・・・」とか「なるほど・・・」というように独り言ちた。

そして、みんなより数秒遅れてサンダリオンも、
「 な・・・なる程なのじゃ・・・完全に理解したのじゃ・・・ 」(ボソッ・・・)
と、アイネ並みに小さな声で呟いた。

・・・あからさまに怪しい・・・
ちょっと意地悪かもとも思ったが、オレはサンダリオンに、
「 じゃあ、サンダリオンに説明してもらおうかな? なぜオレは、主人公たちにスキル【不老】をかけようと思ったのかを。 」
と言ってみた。

「 ・・・っっ!!? 」(カアァァ・・・)
サンダリオンは絶句した。
まるで、学校の授業で先生が『この問題わかる人?』と聞いた時に周りがみんな手を挙げてるから(本当はわからないのに)ついつい手を挙げたら運悪く指されてしまった生徒のように・・・。

次の瞬間、サンダリオンはテーブルに突っ伏して、
「 わ・・・わからないのじゃ・・・本当はわからないのじゃ・・・儂はドラゴンじゃから・・・みんなより頭悪いのじゃ・・・ 」(グスッ・・・)
と、ちょっと涙ぐんだ声で言った。

ヤバ・・・悪いことしちゃったかな・・・(汗)

ヒーリスがサンダリオンに駆け寄り、
「 大丈夫ですよ? サンダリオンちゃん? 全然気にすることないですよ? 」
と、一生懸命になだめたりあやしたりしている。

そして、(非常に珍しいことに)眉を吊り上げた怖い顔でオレの方に顔を向け、
「 創造主様っっ!! なんでそんな意地悪するんですかっっ!! サンダリオンちゃんに謝ってくださいっっ!! 」
と、オレに向かって怒った。

138億歳の宇宙の創造主なのに怒られてしまった・・・
ファイナ達も戦々恐々としている。

まぁ、たしかに今のはオレも意地が悪かった。 ( まぁ、知ったかぶりしたサンダリオンサイドにも若干問題あると思うが、それを言うとヒーリスが更に怒りそうなのでやめとこう・・・ )

「 その・・・悪かったなサンダリオン。 じゃあ、どういうことか説明するから、よく聞いてくれよ? 」

「 ん・・・わかったのじゃ・・・ 」

「 じゃあ、説明するぞ? 主人公たちはアルファザードで冒険する間、そのままだと当然歳をとる。 なので、地球に戻った時に周囲の人間に比べて主人公たちだけ少し老けることになってしまう。 その為、主人公たちは冒険中も「さっさと魔王倒して地球に帰らなきゃ、自分達だけ周りに比べて老けてしまう・・・!」という焦りが生じてしまう。 JKの・・・若い女の子の静原美羽なんかは特にそういう焦りが出るだろう。 冒険中にそういう焦りが生じないように、アルファザードにいる間は【不老】で歳をとらないようにしてあげて、その旨を主人公たちにもあらかじめ伝えてあげようってわけだ。 ・・・つっても、魔王倒すまでそんな何年もかからないだろうけどな。 せいぜい、数週間とか数ヶ月くらいだとは思うが・・・。 」

「 なるほどのぅ・・・今度こそ完全に理解したのじゃ♪ 」

「 いい子ですねぇ~サンダリオンちゃんは♪ はい♪ ご褒美のクッキーですよ♪ 」

「 ん・・・モグモグモグ・・・おいしいのじゃ♪ 」

サンダリオンがドンドン幼児退行し、ヒーリスがドンドン オカン化していく・・・
まぁ、それは置いといて・・・

「 あとは・・・ここに召喚する時点で防具と武器は装備した状態で召喚するか・・・。 それと、少々甘いかもしれないが、初期の所持金として一人あたり20万ゴルドほど渡してやるかな・・・ 」 ( ちな、ゴルドとは、ここアルファザードの通貨単位で、1ゴルド≒1円くらいである。 )

「 そうですね・・・たしかに、異世界で一文無しの状態からでは不安もあるでしょうし・・・ 」
と、ヒーリスも同意した。

これで、一応の段取りはできたかな・・・。

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