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(※ジェイソン視点)
私はシルビアと共に、店に到着した。
半個室とオープン席があるが、店員に後者の方に案内された。
私たちは席に着き、メニューを眺め始めた。
とりあえず、シルビアがこの店に行こうという私の誘いを断らなくてよかった。
最近彼女とは、お互いを無視するか、怒鳴り合いの喧嘩という日々だったので、断られたらどうしようと思っていた。
しかし彼女は私の誘いに乗ってくれた。
新しい店の珍しい食材を使った料理に興味があったのか、それともそろそろ仲直りしようと思っているのか、それはわからない。
とりあえずは、この店に来てくれただけで、充分である。
あとはただ、計画通りに事を進めるだけだ……。
シルビアは、愛人に戻ってほしいという私の提案を断り続けた。
彼女が愛人に戻って、ソフィアが婚約者になってくれさえすれば、すべてうまくいく。
最初からずっと、私たちはあの関係でよかったのだ。
しかし、シルビアの頼みで、婚約を破棄してしまった。
その時は気付かなかったけれど、シルビアを婚約者にするのには、リスクが大きすぎる。
わがままで自分勝手な彼女を、社交界で貴族たちの前に晒すわけにはいかない。
問題を起こせば、私が恥をかくことになるからだ。
しかし、そのことをシルビアに直接伝えるわけにはいかなかった。
そんなことをしたら、私たちの関係に亀裂が入ってしまうからだ。
だからそれらしい理由をつけて愛人に戻ってほしいと頼んだが、結局は断られた。
それどころか、怒鳴り合いの喧嘩をしたりと、以前よりも私たちの関係が悪化してしまった。
しかし、喧嘩の日々はもう終わりにする。
あんなことをいつまでも続けていたら、気がおかしくなりそうだ。
そして、喧嘩の日々に終止符を打つ準備は、既にしてある。
事前に彼にあれを頼んでおいたので、抜かりはない……。
*
(※シルビア視点)
私は席に着いて、メニューを眺めていた。
よくわからない料理名がたくさん書かれている。
値段は書かれていないけれど、とりあえず、ジェイソンに勧められたメニューをいくつか注文した。
料理が来るまでの間は、沈黙が流れていた。
今の私たちの関係は、完全に冷え切っている。
それは、ジェイソンのせいだ。
彼が、私に愛人に戻れなんて言うから……。
お姉さまと婚約し直すなんて言うから……。
ジェイソンはお姉さまと、よりを戻したがっている。
そのことを隠して、それらしい理由をつけて私を丸め込もうとしているようだけれど、私は騙されない。
私を馬鹿だと思って、うまく騙せているとでも思っているんでしょう?
甘いわね……。
私は知っているのよ、あなたが、お姉さまとこっそり会っていたということを……。
しかもジェイソンはお姉さまと会っていた時、屋敷に迎え入れると言っていた。
屋敷から追放されたお姉さまを、私に隠れて助けようとするなんて、よりを戻そうとしている以外に、理由なんてない。
それは、私に対する明確な裏切りだった。
絶対に、許せない。
私はあなたのことを愛しているのに。
いえ、愛していたのに……。
彼を愛していたのは、もう過去のことだ。
現在彼に対する感情は、憎しみや怒りしかない。
すでに、愛など存在しないのだ。
こんなお店に連れて来て、まだ私と仲直りできるとでも思っているのかしら……。
本当に甘い考えね。
あなたがお姉さまとこっそり会ってよりを戻そうとしていたことを、私が知らないと思っているから、あなたはまだ、私と仲直りができると思っているのね……。
残念だけど、私は知っているのよ。
だから、あなたがいくら私のことを愛していると言っても、その言葉は私の心には響かなかった。
薄っぺらい、その場しのぎの言い訳の言葉にしか聞こえなかった。
そして、平然とそんなことをする彼に対する怒りは、ますます増幅していった。
だから私は、彼に罰を与えることにした。
そして、私を裏切ったことを、後悔させることにした。
もちろん、後悔して、反省して謝ってきても、許すつもりなんてないけれど……。
そして、罰を与える準備は、既にしている。
あとは、実行に移すだけだ。
ジェイソンを地獄に叩き落すのが待ち遠しくて、思わず頬が緩みそうだった。
あなたを地獄に叩き落すために私は、彼にあれを頼んでおいたのよ……。
*
私はエルウッド様と共に、料理を楽しんでいた。
シルビアとジェイソンが店に現れた時は驚いたけれど、幸いこちらには気付いていないので、よかった。
もしこちらに気付いていたら、絶対に面倒ごとになっていただろう。
お店を出る時に、私たちの方に気付いて面倒になる可能性があるので、彼らが店を出たあとに、私たちも店を出ようと決めた。
それにしても、この店の料理は本当に美味しい。
次々と運ばれてくる料理もだけれど、グラスに入っているこの飲み物を格別だった。
私とエルウッド様は、もう一杯頼もうと思ったけれど、人気のために、先ほどちょうど品切れになったらしい。
残念だけれど、こればかりは仕方がない。
エルウッド様が、今度来た時にまた頼もうと言ってくれて、そのことが嬉しかった。
ドリンクがまた飲めるということももちろん嬉しいけれど、またエルウッド様と共にこの店に来られること自体が嬉しかった。
「きゃっ!」
突然、悲鳴と共に、何かが割れる音が聞こえてきた。
私は身を乗り出して、そちらの方を見ると、その騒ぎはシルビアたちのようだった。
どうやら、彼女が飲み物の入っているグラスを落としてしまったらしい。
店員がやって来て、すぐに床を拭いていた。
「同じものを、もう一杯もらえるかな?」
彼女の向かい側に座っていたジェイソンが注文をした。
しかし……。
「申し訳ございません。そちらを大変人気でして、現在品切れの状態となっております」
店員が申し訳なさそうにそう言った。
どうやら、私たちと同じものを飲んでいたらしい。
私たちと同じように、シルビアもあきらめるのかと思っていたけれど……。
「嫌だわ! 私、またさっきのが飲みたいの。店に在庫がないなら、すぐに仕入れてきなさい」
シルビアは、持ち前のわがままを発揮していた。
店員や周りの人たちは、彼女のそんな態度を見て、困惑の表情を浮かべていた。
そして、彼女の連れであるジェイソンは、慌てている様子だ。
こんな公の場で、騒ぎを大きくしたくないのだろう。
「シルビア、同じものだから、私の分をあげるよ。一口飲んでしまったけれど、どうかこれで我慢してくれ」
懇願するように、ジェイソンがシルビアに言った。
彼女はしばらく考えこんだ表情をしていたが……。
「しかたないわね……。これで我慢するわ」
そう言って、ジェイソンからグラスを受け取った。
シルビアが納得してくれたので、ジェイソンは安堵の表情を浮かべていた。
公共の場でもこの騒ぎようである。
彼女が社交場でどんな振る舞いをするのか、考えるまでもなかった。
そして、そのような事態になってしまった場合は、ジェイソンも恥をかくことになる。
先が思いやられるけれど、私には関係のないことだ。
私は席に着き、再び食事を再開した。
しかしすぐに、また物音がした。
私はそちらを確認すると、またシルビアだった。
しかし今度は、グラスを落としたわけではなかった。
グラスは、テーブルの上に置いてある。
さっきの物音は、シルビアが床に倒れたせいだった。
「いったい、どういうことなの……」
私は驚いていた。
シルビアは、床に倒れたまま動かない。
周りの人達は悲鳴を上げ、店内は騒然としていた。
いったい、何が起きたというの……。
私はシルビアと共に、店に到着した。
半個室とオープン席があるが、店員に後者の方に案内された。
私たちは席に着き、メニューを眺め始めた。
とりあえず、シルビアがこの店に行こうという私の誘いを断らなくてよかった。
最近彼女とは、お互いを無視するか、怒鳴り合いの喧嘩という日々だったので、断られたらどうしようと思っていた。
しかし彼女は私の誘いに乗ってくれた。
新しい店の珍しい食材を使った料理に興味があったのか、それともそろそろ仲直りしようと思っているのか、それはわからない。
とりあえずは、この店に来てくれただけで、充分である。
あとはただ、計画通りに事を進めるだけだ……。
シルビアは、愛人に戻ってほしいという私の提案を断り続けた。
彼女が愛人に戻って、ソフィアが婚約者になってくれさえすれば、すべてうまくいく。
最初からずっと、私たちはあの関係でよかったのだ。
しかし、シルビアの頼みで、婚約を破棄してしまった。
その時は気付かなかったけれど、シルビアを婚約者にするのには、リスクが大きすぎる。
わがままで自分勝手な彼女を、社交界で貴族たちの前に晒すわけにはいかない。
問題を起こせば、私が恥をかくことになるからだ。
しかし、そのことをシルビアに直接伝えるわけにはいかなかった。
そんなことをしたら、私たちの関係に亀裂が入ってしまうからだ。
だからそれらしい理由をつけて愛人に戻ってほしいと頼んだが、結局は断られた。
それどころか、怒鳴り合いの喧嘩をしたりと、以前よりも私たちの関係が悪化してしまった。
しかし、喧嘩の日々はもう終わりにする。
あんなことをいつまでも続けていたら、気がおかしくなりそうだ。
そして、喧嘩の日々に終止符を打つ準備は、既にしてある。
事前に彼にあれを頼んでおいたので、抜かりはない……。
*
(※シルビア視点)
私は席に着いて、メニューを眺めていた。
よくわからない料理名がたくさん書かれている。
値段は書かれていないけれど、とりあえず、ジェイソンに勧められたメニューをいくつか注文した。
料理が来るまでの間は、沈黙が流れていた。
今の私たちの関係は、完全に冷え切っている。
それは、ジェイソンのせいだ。
彼が、私に愛人に戻れなんて言うから……。
お姉さまと婚約し直すなんて言うから……。
ジェイソンはお姉さまと、よりを戻したがっている。
そのことを隠して、それらしい理由をつけて私を丸め込もうとしているようだけれど、私は騙されない。
私を馬鹿だと思って、うまく騙せているとでも思っているんでしょう?
甘いわね……。
私は知っているのよ、あなたが、お姉さまとこっそり会っていたということを……。
しかもジェイソンはお姉さまと会っていた時、屋敷に迎え入れると言っていた。
屋敷から追放されたお姉さまを、私に隠れて助けようとするなんて、よりを戻そうとしている以外に、理由なんてない。
それは、私に対する明確な裏切りだった。
絶対に、許せない。
私はあなたのことを愛しているのに。
いえ、愛していたのに……。
彼を愛していたのは、もう過去のことだ。
現在彼に対する感情は、憎しみや怒りしかない。
すでに、愛など存在しないのだ。
こんなお店に連れて来て、まだ私と仲直りできるとでも思っているのかしら……。
本当に甘い考えね。
あなたがお姉さまとこっそり会ってよりを戻そうとしていたことを、私が知らないと思っているから、あなたはまだ、私と仲直りができると思っているのね……。
残念だけど、私は知っているのよ。
だから、あなたがいくら私のことを愛していると言っても、その言葉は私の心には響かなかった。
薄っぺらい、その場しのぎの言い訳の言葉にしか聞こえなかった。
そして、平然とそんなことをする彼に対する怒りは、ますます増幅していった。
だから私は、彼に罰を与えることにした。
そして、私を裏切ったことを、後悔させることにした。
もちろん、後悔して、反省して謝ってきても、許すつもりなんてないけれど……。
そして、罰を与える準備は、既にしている。
あとは、実行に移すだけだ。
ジェイソンを地獄に叩き落すのが待ち遠しくて、思わず頬が緩みそうだった。
あなたを地獄に叩き落すために私は、彼にあれを頼んでおいたのよ……。
*
私はエルウッド様と共に、料理を楽しんでいた。
シルビアとジェイソンが店に現れた時は驚いたけれど、幸いこちらには気付いていないので、よかった。
もしこちらに気付いていたら、絶対に面倒ごとになっていただろう。
お店を出る時に、私たちの方に気付いて面倒になる可能性があるので、彼らが店を出たあとに、私たちも店を出ようと決めた。
それにしても、この店の料理は本当に美味しい。
次々と運ばれてくる料理もだけれど、グラスに入っているこの飲み物を格別だった。
私とエルウッド様は、もう一杯頼もうと思ったけれど、人気のために、先ほどちょうど品切れになったらしい。
残念だけれど、こればかりは仕方がない。
エルウッド様が、今度来た時にまた頼もうと言ってくれて、そのことが嬉しかった。
ドリンクがまた飲めるということももちろん嬉しいけれど、またエルウッド様と共にこの店に来られること自体が嬉しかった。
「きゃっ!」
突然、悲鳴と共に、何かが割れる音が聞こえてきた。
私は身を乗り出して、そちらの方を見ると、その騒ぎはシルビアたちのようだった。
どうやら、彼女が飲み物の入っているグラスを落としてしまったらしい。
店員がやって来て、すぐに床を拭いていた。
「同じものを、もう一杯もらえるかな?」
彼女の向かい側に座っていたジェイソンが注文をした。
しかし……。
「申し訳ございません。そちらを大変人気でして、現在品切れの状態となっております」
店員が申し訳なさそうにそう言った。
どうやら、私たちと同じものを飲んでいたらしい。
私たちと同じように、シルビアもあきらめるのかと思っていたけれど……。
「嫌だわ! 私、またさっきのが飲みたいの。店に在庫がないなら、すぐに仕入れてきなさい」
シルビアは、持ち前のわがままを発揮していた。
店員や周りの人たちは、彼女のそんな態度を見て、困惑の表情を浮かべていた。
そして、彼女の連れであるジェイソンは、慌てている様子だ。
こんな公の場で、騒ぎを大きくしたくないのだろう。
「シルビア、同じものだから、私の分をあげるよ。一口飲んでしまったけれど、どうかこれで我慢してくれ」
懇願するように、ジェイソンがシルビアに言った。
彼女はしばらく考えこんだ表情をしていたが……。
「しかたないわね……。これで我慢するわ」
そう言って、ジェイソンからグラスを受け取った。
シルビアが納得してくれたので、ジェイソンは安堵の表情を浮かべていた。
公共の場でもこの騒ぎようである。
彼女が社交場でどんな振る舞いをするのか、考えるまでもなかった。
そして、そのような事態になってしまった場合は、ジェイソンも恥をかくことになる。
先が思いやられるけれど、私には関係のないことだ。
私は席に着き、再び食事を再開した。
しかしすぐに、また物音がした。
私はそちらを確認すると、またシルビアだった。
しかし今度は、グラスを落としたわけではなかった。
グラスは、テーブルの上に置いてある。
さっきの物音は、シルビアが床に倒れたせいだった。
「いったい、どういうことなの……」
私は驚いていた。
シルビアは、床に倒れたまま動かない。
周りの人達は悲鳴を上げ、店内は騒然としていた。
いったい、何が起きたというの……。
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