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「やあ、久しぶりだね。こんなところで、何をしているんだい?」
前からやってきたエルウッド様に話しかけられ、私はどう答えるべきか迷っていた。
彼とは、何度もパーティで会ったことがある。
少し変わった人物で、パーティ会場で問題を起こした彼を、何度か助けたこともあった。
少し変わっているというだけで、別に悪い人物ではない。
どちらかといえば、私は面白い人物だと思っていた。
ここで、私の事情を正直に話すべきだろうか……。
彼なら、何とかしてくれるかもしれない。
でも、正直に話すのは、なんとなく気が引けた。
あまり気分のいい話ではないし、私自身も、あまり人に話したい内容ではなかった。
「お久しぶりです、エルウッド様。ただ、散歩をしているだけですよ。エルウッド様は、何をしていらっしゃるのですか?」
私は事情を隠すことにした。
正直に話せば、彼なら助けてくれるかもしれない。
いや、きっと助けてくれる。
でもそれだと、彼のやさしさに付け込むような気がしてしまう。
まあ、行く当てがなくて手段を選んでいる場合ではないというのが、正直なところだけれど……。
それでもやはり、彼には事情を話さず、ほかに何か手はないか考えようと思った。
「私もただ、散歩しているだけだよ。もう少しで日が暮れるから、もう屋敷に帰るところだけれどね。……ところで、君は何か、私に隠し事をしているね?」
「……え?」
私は鼓動が速くなっていた。
まさか、見抜かれている?
「この懐中時計を見てくれ」
エルウッド様はそう言って、懐中時計を取り出した。
「この時計は、隠し事をしている人に反応するんだ。この時計の持ち主に隠し事をしていたら針が止まるという、いわくつきの代物なんだよ」
そう言いながら彼が見せてきた懐中時計は、確かに針が止まっていた。
それを見て、私は観念した。
正直に、事情を話してみよう。
「実は……、屋敷を追放されて、行く当てがないのです」
私は事情を説明し始めた。
ほんの三分ほどで終わる話だったけれど、エルウッド様はその間、真剣な顔をして聞いてくれた。
「酷い話だな……」
私の話を聞き終わったエルウッド様は、静かに呟いた。
「情けないので、人に話すことをためらっていたのです。隠し事をして、申し訳ありませんでした」
私はエルウッド様に、頭を下げた。
「……いや、謝る必要はない。嘘をついたのは、お互い様だからね」
「え……」
私は頭を上げて、エルウッド様の顔を見た。
すると彼は、申し訳なさそうな顔をしていいた。
「この懐中時計が、持ち主に隠し事をすれば針が止まるいわくつきのものだというのは、実は嘘だ」
「……はい?」
驚いて、思わず間抜けな声が出てしまった。
「君は何か、深刻な事情を抱えていそうな顔をしていたからね。少し鎌をかけてみた。優しい君のことだから、私に気を遣っているのだと思ってね」
「そうだったのですか……」
「この懐中時計は、ただ壊れているだけだよ。デザインが気に入っているから、壊れても持ち歩いているんだ」
よく考えれば、いわくつきの時計だという話を真に受けるなんて、どうかしていた。
少しは疑ってもよさそうなのに、彼が真顔で話すので、思わず信じてしまった。
普段なら気付きそうなものなのに、それほど私も、気を回す余裕がなかったということか……。
でも、彼が私のことを思って、あえてそうしたのだと分かって、少しうれしかった。
少し変わり者だけれど、やはりエルウッド様は、優しい方だ。
誰かに事情を話すことで、少しは心の中のもやもやが消えた気がした。
心なしか、少しは気分がすっきりとしている。
「では、うちの屋敷に来るといい」
「……え?」
私は、エルウッド様の提案に驚いた。
「いえ、私、そういうつもりで事情を話したわけではなく……」
「いやいや、気にすることはない。私は今までに何度も君に助けられた。これは恩返しができる絶好の機会だ。どうか、その機会を私から奪わないでくれ」
その言い方はずるい。
そう言われてしまうと、私は彼の提案を断ることができなかった。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて、お世話になります」
ということで、私はエルウッド様の屋敷でお世話になることになった。
私は屋敷に招かれ、エルウッド様と共に、彼のお父様に挨拶をした。
事情を話すと、彼は私のことを受け入れてくれた。
私はお礼を言って、部屋から出た。
それから、部屋に案内された。
既に事情を把握している使用人が、いろいろと用意してくれていた。
本当に、ありがたいことだ。
それから、夕食を頂いた。
誰かと食事をするなんて、久しぶりのことだった。
あの屋敷では、私はいつも除け者のように扱われていた。
この屋敷とは、天と地ほどの差がある。
私はずっとあの屋敷にいたから感覚が麻痺していたけれど、やはりあそこの環境はおかしかった。
それが、少し離れてみるとよくわかった。
そして改めて、私に声を掛けてくれたエルウッド様と、この屋敷の人たちに感謝した。
いきなり婚約破棄を言い渡され、暴力を振るわれ、屋敷を追い出された時は、さすがに絶望していた。
少しは強がっていたけれど、実際のところはかなり傷ついていたのだ。
でも、エルウッド様が助けてくれた。
もしあのまま一人だったら、私はどうなっていたかわからない。
絶望の淵から救ってくれた彼には、いくら感謝してもしきれない。
私の新たな人生は、今までよりももっと楽しくなる予感がしていた。
*
(※ジェイソン視点)
私はシルビアと共に、レストランを訪れていた。
彼女が婚約者となったので、これで堂々と外でも二人きりで会える。
とはいえ、まだ公の場で発表したわけではないので、知り合いに会わないような、町から少し離れたレストランにした。
しかしそこで、知り合いに会ってしまった。
子爵令息のオリバーである。
彼は女癖が悪く、いろいろな女性と関係を持っているという噂もある。
今も彼の隣には女性がいるが、以前会った時に隣にいた女性とは、違う人物だった。
「よお、ジェイソン、久しぶりだな。せっかく会ったんだ。一緒に食べよう」
オリバーに声を掛けられ、私たちは四人でテーブルを囲むことになった。
せっかく知り合いがいなさそうな場所を選んだのに……。
「ここは高級な店だが、あまり貴族が来ないからよく来るんだ」
オリバーはそう言った。
確かに彼にとっても、ここは何かと都合のいい店みたいだ。
私たちは四人で話しながら、食事をした。
そして、会計を済ませた。
「なあ、ジェイソン」
彼が、声を潜めるように話しかけてきた。
女性陣二人は、既に店の外にいる。
私たちも外に向かう途中だったが、彼に話しかけられたので足を止めた。
「お前、婚約者が変わったのか?」
オリバーが、そう尋ねてきた。
シルビアが婚約指輪をつけているので、気付いたのだろう。
「ああ、まだ公には発表していないけれど、彼女が私の婚約者だ」
私は正直に答えた。
いずれ発表することだから、隠すようなこともない。
「あんな女で、いいのか?」
オリバーは、眉をひそめながらそう言った。
いったい、どういう意味だ?
「おれが連れている女は愛人だからまだいいが、お前が連れているのは婚約者だろう? いずれ、貴族が集まるようなパーティにも参加することになる。それなのに、なんだ、あの女は? まるで常識がない。世界は自分を中心に回っているとでも思っているかのようだ。あんな女が社交界に出たら、絶対にお前は恥をかく。悪いことは言わないから、婚約者は前の奴にしておいた方がいい。あの女は、愛人で充分だろう」
彼はそう言うと、歩き始めた。
私も歩いて、店を出た。
そして、そこでオリバーたちとは別れた。
私はシルビアと二人で、並んで歩き始めた。
「あのお店、味は良かったわね。ただ、料理が出てくるまでに時間がかかりすぎだわ」
「ああ、そうだね……」
私は上の空で返事をしていた。
頭では、先ほどオリバーが言っていたことを考えていた。
今まで、そんなことを考えたことなど、一度もなかった。
ただ、愛するシルビアと婚約できて、そして、いずれは彼女と結婚できることに、浮かれていた。
シルビアも同伴でパーティに出た時のことなんて、想像すらしていなかった。
確かに、オリバーが言っていたことは、一理ある。
というか、実際彼の話を聞いて、私は急に不安な気持ちになっていた。
そうだ……、あのシルビアが公の場に出て、何も問題が起きないなんてことが、あるだろうか……。
姉の婚約者を奪うような、常識のないことだってする。
いや……、その件に関しては、私も人のことを言えた義理ではないが……。
ただ、あのシルビアと共に公の場に出るのは、想像するだけで身震いがする。
常識や気品のある女性ばかりがいる中にシルビアが入ったら、恥をかくことになるのは明らかだ。
そう考えると、ソフィアは良かった。
両親が雇った厳しい家庭教師のおかげで、常識や公の場での振る舞い方を身に着けていた。
それは、シルビアにはないものだった。
やはり、オリバーの言う通り、シルビアは愛人のままの方がよかったのか?
婚約者は、ソフィアの方がよかったのではないか?
そんなことを、考えてしまった……。
しかし、そもそもシルビアが愛人のままでは嫌だからと言うから、ソフィアと婚約破棄をして、シルビアと新たに婚約したのだ。
今更彼女に愛人に戻れなんて、言えるだろうか……。
シルビアのことは、心から愛している。
しかし、彼女と一緒に公の場に出ることは避けたかった。
ここはやはり、なんとかして、シルビアを説得するしかない。
彼女には愛人に戻ってもらい、ソフィアと再び婚約する。
それが、最善の策だと思えた。
しかしそれは、大きな間違いだった。
そのことを、私は身をもって知ることになるのだった……。
前からやってきたエルウッド様に話しかけられ、私はどう答えるべきか迷っていた。
彼とは、何度もパーティで会ったことがある。
少し変わった人物で、パーティ会場で問題を起こした彼を、何度か助けたこともあった。
少し変わっているというだけで、別に悪い人物ではない。
どちらかといえば、私は面白い人物だと思っていた。
ここで、私の事情を正直に話すべきだろうか……。
彼なら、何とかしてくれるかもしれない。
でも、正直に話すのは、なんとなく気が引けた。
あまり気分のいい話ではないし、私自身も、あまり人に話したい内容ではなかった。
「お久しぶりです、エルウッド様。ただ、散歩をしているだけですよ。エルウッド様は、何をしていらっしゃるのですか?」
私は事情を隠すことにした。
正直に話せば、彼なら助けてくれるかもしれない。
いや、きっと助けてくれる。
でもそれだと、彼のやさしさに付け込むような気がしてしまう。
まあ、行く当てがなくて手段を選んでいる場合ではないというのが、正直なところだけれど……。
それでもやはり、彼には事情を話さず、ほかに何か手はないか考えようと思った。
「私もただ、散歩しているだけだよ。もう少しで日が暮れるから、もう屋敷に帰るところだけれどね。……ところで、君は何か、私に隠し事をしているね?」
「……え?」
私は鼓動が速くなっていた。
まさか、見抜かれている?
「この懐中時計を見てくれ」
エルウッド様はそう言って、懐中時計を取り出した。
「この時計は、隠し事をしている人に反応するんだ。この時計の持ち主に隠し事をしていたら針が止まるという、いわくつきの代物なんだよ」
そう言いながら彼が見せてきた懐中時計は、確かに針が止まっていた。
それを見て、私は観念した。
正直に、事情を話してみよう。
「実は……、屋敷を追放されて、行く当てがないのです」
私は事情を説明し始めた。
ほんの三分ほどで終わる話だったけれど、エルウッド様はその間、真剣な顔をして聞いてくれた。
「酷い話だな……」
私の話を聞き終わったエルウッド様は、静かに呟いた。
「情けないので、人に話すことをためらっていたのです。隠し事をして、申し訳ありませんでした」
私はエルウッド様に、頭を下げた。
「……いや、謝る必要はない。嘘をついたのは、お互い様だからね」
「え……」
私は頭を上げて、エルウッド様の顔を見た。
すると彼は、申し訳なさそうな顔をしていいた。
「この懐中時計が、持ち主に隠し事をすれば針が止まるいわくつきのものだというのは、実は嘘だ」
「……はい?」
驚いて、思わず間抜けな声が出てしまった。
「君は何か、深刻な事情を抱えていそうな顔をしていたからね。少し鎌をかけてみた。優しい君のことだから、私に気を遣っているのだと思ってね」
「そうだったのですか……」
「この懐中時計は、ただ壊れているだけだよ。デザインが気に入っているから、壊れても持ち歩いているんだ」
よく考えれば、いわくつきの時計だという話を真に受けるなんて、どうかしていた。
少しは疑ってもよさそうなのに、彼が真顔で話すので、思わず信じてしまった。
普段なら気付きそうなものなのに、それほど私も、気を回す余裕がなかったということか……。
でも、彼が私のことを思って、あえてそうしたのだと分かって、少しうれしかった。
少し変わり者だけれど、やはりエルウッド様は、優しい方だ。
誰かに事情を話すことで、少しは心の中のもやもやが消えた気がした。
心なしか、少しは気分がすっきりとしている。
「では、うちの屋敷に来るといい」
「……え?」
私は、エルウッド様の提案に驚いた。
「いえ、私、そういうつもりで事情を話したわけではなく……」
「いやいや、気にすることはない。私は今までに何度も君に助けられた。これは恩返しができる絶好の機会だ。どうか、その機会を私から奪わないでくれ」
その言い方はずるい。
そう言われてしまうと、私は彼の提案を断ることができなかった。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて、お世話になります」
ということで、私はエルウッド様の屋敷でお世話になることになった。
私は屋敷に招かれ、エルウッド様と共に、彼のお父様に挨拶をした。
事情を話すと、彼は私のことを受け入れてくれた。
私はお礼を言って、部屋から出た。
それから、部屋に案内された。
既に事情を把握している使用人が、いろいろと用意してくれていた。
本当に、ありがたいことだ。
それから、夕食を頂いた。
誰かと食事をするなんて、久しぶりのことだった。
あの屋敷では、私はいつも除け者のように扱われていた。
この屋敷とは、天と地ほどの差がある。
私はずっとあの屋敷にいたから感覚が麻痺していたけれど、やはりあそこの環境はおかしかった。
それが、少し離れてみるとよくわかった。
そして改めて、私に声を掛けてくれたエルウッド様と、この屋敷の人たちに感謝した。
いきなり婚約破棄を言い渡され、暴力を振るわれ、屋敷を追い出された時は、さすがに絶望していた。
少しは強がっていたけれど、実際のところはかなり傷ついていたのだ。
でも、エルウッド様が助けてくれた。
もしあのまま一人だったら、私はどうなっていたかわからない。
絶望の淵から救ってくれた彼には、いくら感謝してもしきれない。
私の新たな人生は、今までよりももっと楽しくなる予感がしていた。
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(※ジェイソン視点)
私はシルビアと共に、レストランを訪れていた。
彼女が婚約者となったので、これで堂々と外でも二人きりで会える。
とはいえ、まだ公の場で発表したわけではないので、知り合いに会わないような、町から少し離れたレストランにした。
しかしそこで、知り合いに会ってしまった。
子爵令息のオリバーである。
彼は女癖が悪く、いろいろな女性と関係を持っているという噂もある。
今も彼の隣には女性がいるが、以前会った時に隣にいた女性とは、違う人物だった。
「よお、ジェイソン、久しぶりだな。せっかく会ったんだ。一緒に食べよう」
オリバーに声を掛けられ、私たちは四人でテーブルを囲むことになった。
せっかく知り合いがいなさそうな場所を選んだのに……。
「ここは高級な店だが、あまり貴族が来ないからよく来るんだ」
オリバーはそう言った。
確かに彼にとっても、ここは何かと都合のいい店みたいだ。
私たちは四人で話しながら、食事をした。
そして、会計を済ませた。
「なあ、ジェイソン」
彼が、声を潜めるように話しかけてきた。
女性陣二人は、既に店の外にいる。
私たちも外に向かう途中だったが、彼に話しかけられたので足を止めた。
「お前、婚約者が変わったのか?」
オリバーが、そう尋ねてきた。
シルビアが婚約指輪をつけているので、気付いたのだろう。
「ああ、まだ公には発表していないけれど、彼女が私の婚約者だ」
私は正直に答えた。
いずれ発表することだから、隠すようなこともない。
「あんな女で、いいのか?」
オリバーは、眉をひそめながらそう言った。
いったい、どういう意味だ?
「おれが連れている女は愛人だからまだいいが、お前が連れているのは婚約者だろう? いずれ、貴族が集まるようなパーティにも参加することになる。それなのに、なんだ、あの女は? まるで常識がない。世界は自分を中心に回っているとでも思っているかのようだ。あんな女が社交界に出たら、絶対にお前は恥をかく。悪いことは言わないから、婚約者は前の奴にしておいた方がいい。あの女は、愛人で充分だろう」
彼はそう言うと、歩き始めた。
私も歩いて、店を出た。
そして、そこでオリバーたちとは別れた。
私はシルビアと二人で、並んで歩き始めた。
「あのお店、味は良かったわね。ただ、料理が出てくるまでに時間がかかりすぎだわ」
「ああ、そうだね……」
私は上の空で返事をしていた。
頭では、先ほどオリバーが言っていたことを考えていた。
今まで、そんなことを考えたことなど、一度もなかった。
ただ、愛するシルビアと婚約できて、そして、いずれは彼女と結婚できることに、浮かれていた。
シルビアも同伴でパーティに出た時のことなんて、想像すらしていなかった。
確かに、オリバーが言っていたことは、一理ある。
というか、実際彼の話を聞いて、私は急に不安な気持ちになっていた。
そうだ……、あのシルビアが公の場に出て、何も問題が起きないなんてことが、あるだろうか……。
姉の婚約者を奪うような、常識のないことだってする。
いや……、その件に関しては、私も人のことを言えた義理ではないが……。
ただ、あのシルビアと共に公の場に出るのは、想像するだけで身震いがする。
常識や気品のある女性ばかりがいる中にシルビアが入ったら、恥をかくことになるのは明らかだ。
そう考えると、ソフィアは良かった。
両親が雇った厳しい家庭教師のおかげで、常識や公の場での振る舞い方を身に着けていた。
それは、シルビアにはないものだった。
やはり、オリバーの言う通り、シルビアは愛人のままの方がよかったのか?
婚約者は、ソフィアの方がよかったのではないか?
そんなことを、考えてしまった……。
しかし、そもそもシルビアが愛人のままでは嫌だからと言うから、ソフィアと婚約破棄をして、シルビアと新たに婚約したのだ。
今更彼女に愛人に戻れなんて、言えるだろうか……。
シルビアのことは、心から愛している。
しかし、彼女と一緒に公の場に出ることは避けたかった。
ここはやはり、なんとかして、シルビアを説得するしかない。
彼女には愛人に戻ってもらい、ソフィアと再び婚約する。
それが、最善の策だと思えた。
しかしそれは、大きな間違いだった。
そのことを、私は身をもって知ることになるのだった……。
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