上 下
10 / 25

10.

しおりを挟む
 (※ミランダ視点)

 やった、やったわ!
 彼女は生きているのかしら、それとも死んだのかしら。
 まあ、そんなことはどっちでもいいわ。

 別に生きていても、問題ない。
 彼女に恐怖を与えることには成功したのだから。
 だからべつに、レンガが当たらなくても問題なかった。
 恐怖を与えるという目的は達せられるのだから。
 まあ、死んだら死んだで、それはそれで面白い結末だけど……。

 とりあえず、ここを離れないといけないわね。

 私は屋上から下の階に降りた。
 そこで、一つのアクシデントがあったことを思い出した。
 そうだ、ガラスの置物を床に落として割ってしまったのだった。
 これを見られたら、誰かがこの建物に入ったとバレてしまう。
 しかも、カギを持っているのはオーナーである私と店長だけ。
 この状況は不味い。
 しかし、私にはある考えがあった。

 ガラスの置物を割ったのは、窃盗犯の仕業に見せかければいいのだ。

 私は、小物を何品か盗んだ。
 そして裏口にあるドアを手前に引き開け、店からを出た。
 それから、ドアを閉めた。
 裏口のドアには、窓がついている。
 私は、その窓を割った。
 大丈夫、雨が降っているから、窓を割った音は周りに聞こえていないはず。

 そして私は、割った窓から中に手を伸ばし、内側からドアのカギを開けた。
 これですべて、外部から侵入した窃盗犯の仕業に見せかけることができる。
 完璧だわ。

 私は、雨が降る夜道を歩き始めた。

 さて、彼女はどうなっているのかしら。
 まあ、確かめたい気持ちはあるけれど、どうなっているのか確かめているところを、誰かに見られたらまずい。
 だから私は、そのまま家に帰った。

 まあ、もし生きていても、それなりの傷を負っているだろうし、恐怖を与えることもできた。
 今はそれで充分だわ。
 シェリル……、どうして自分はこんな目に遭っているのかとでもあなたは思っているのでしょうね。
 
 私のアイザックを牢獄送りにしたのだから、これはあなたの自業自得よ。
 もちろん、まだ終わりじゃない。
 もしあなたが生きていれば、まだまだ恐怖を与えてあげるわ。

 震えながら待ってなさい……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

家に代々伝わる髪色を受け継いでいないからとずっと虐げられてきていたのですが……。

四季
恋愛
メリア・オフトレスは三姉妹の真ん中。 しかしオフトレス家に代々伝わる緑髪を受け継がず生まれたために母や姉妹らから虐げられていた。 だがある時、トレットという青年が現れて……?

もううんざりですので、実家に帰らせていただきます

ルイス
恋愛
「あなたの浮気には耐えられなくなりましたので、婚約中の身ですが実家の屋敷に帰らせていただきます」 伯爵令嬢のシルファ・ウォークライは耐えられなくなって、リーガス・ドルアット侯爵令息の元から姿を消した。リーガスは反省し二度と浮気をしないとばかりに彼女を追いかけて行くが……。

殿下は、幼馴染で許嫁の没落令嬢と婚約破棄したいようです。

和泉鷹央
恋愛
 ナーブリー王国の第三王位継承者である王子ラスティンは、幼馴染で親同士が決めた許嫁である、男爵令嬢フェイとの婚約を破棄したくて仕方がなかった。  フェイは王国が建国するより前からの家柄、たいして王家はたかだか四百年程度の家柄。  国王と臣下という立場の違いはあるけど、フェイのグラブル男爵家は王国内では名家として知られていたのだ。   ……例え、先祖が事業に失敗してしまい、元部下の子爵家の農家を改築した一軒家に住んでいるとしてもだ。  こんな見栄えも体裁も悪いフェイを王子ラスティンはなんとかして縁を切ろうと画策する。  理由は「貧乏くさいからっ!」  そんなある日、フェイは国王陛下のお招きにより、別件で王宮へと上がることになる。  たまたま見かけたラスティンを追いかけて彼の後を探すと、王子は別の淑女と甘いキスを交わしていて……。  他の投稿サイトでも掲載しています。

【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」 今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。 ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。 「リリアーナ、だからごめんってば」 「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!

しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。

とある令嬢の婚約破棄

あみにあ
恋愛
とある街で、王子と令嬢が出会いある約束を交わしました。 彼女と王子は仲睦まじく過ごしていましたが・・・ 学園に通う事になると、王子は彼女をほって他の女にかかりきりになってしまいました。 その女はなんと彼女の妹でした。 これはそんな彼女が婚約破棄から幸せになるお話です。

好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?

【完結】婚約破棄!! 

❄️冬は つとめて
恋愛
国王主催の卒業生の祝賀会で、この国の王太子が婚約破棄の暴挙に出た。会場内で繰り広げられる婚約破棄の場に、王と王妃が現れようとしていた。

処理中です...