いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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832:指先

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(わたしがセサミナ、主だといえ!
女の姿になっていることは念のためで、
姉上は寝ただけだと!心配はいらないと!)
(え?全部?)
(いいから、早く!!)


かなり焦っている?
あ!防音を掛ければいいのでは?


「セサミナ様?防音掛けました。この範囲です。声は漏れません。
モウ様仕込みですから。」
「そうか!
リガーナ殿、ご無沙汰しております。セサミナです。
この姿は念の為です。声も、こんな感じで!
石で変えております。耳障りですがお許しください。
それで、モウは、わたしの姉ですが、眠たくて寝ただけ!
ご心配はいりません。」
「あら!やっぱり!コットワッツ領主殿が動いていなんですもの、
そうだと思いました。そして、うふふふふふ。
よく見れば、そうね、セサミナ殿ね?
なんだか、とっても楽しそう!
女性に見えるし、声も女性ね?
とっても素敵だわ!
あなたも座って?よそからはおかしく見えるわ。」
「はい。」

そうしてセサミナ様は座った。

「ああ、手は隠していたほうがいいわね。
もしくは手袋を。」
「あ!あります!そうか、指先でばれるからか!!」

変装袋の中にあったが、付けていなかったのだ。
すごいな、変装袋!!

「うちの主人が、モウさんの話を聞いて大騒ぎで。
会合が終わってすぐかしら?
下町にまで聞こえてきましたよ?
いえ、おそらく下町からでは?話が広がったのは?
ふふふ。それぐらいはね。
それで、主人に大丈夫だと言ってもきかないですから。
下町のものがここまで入ることはできないんですが、
ちょっと強引に来てしまいましたよ。
ふふふ。手はいろいろとあるんですよ?
これお見舞いです。焼き菓子です。
ハニカと2人で作ったの。
よろしければ。」
「ありがとうございます。いえ。それよりも!
ご挨拶遅れて申し訳ありません!
我が主から、此度のこと聞いていたのに!」
「主?」
「はい。我が兄、マティスの伴侶、赤い塊のモウと呼ばれる方は、
わたしの姉であり、腕を捧げた主となります。」
「まぁ!そうなのね。そう。よかった。
あなたにとってもモウさんにとっても。
ああ、それしても、ご立派になられましたね。」
「ありがとうございます。
後日、落ち着きましたら必ずご挨拶に伺わせてください。」
「聞いているなら、領主が乗合馬車の妻に挨拶に来るのっておかしいですよ?」
「いいえ。
その時はわたしの妻達と娘たちも連れていきます。白馬車に乗りに。
客としてなら問題ないでしょう?」
「ええ、もちろんです。」
「モウ、主のことは何も問題はありません。
ただ、今回のこと、ええ、会合でのことで。
だれがどのような意図なのかこちらで調べますが、
下町から?そうですか。
こちらの話の裏付けができました。
ありがとうございます。
この件、関わり合いはしないと。
それが主の判断です。
関わり合いというのはおそらく一切合切です。
ええ、全てでしょう。」
「そうね、モウさんならそうするでしょう。
それでも絡んでくるでしょうね。」
「そうなれば我らで処理できます。
リガーナ殿はそれだけをご注意ください。
外に出れば、いろいろ聞かれます。
姉上は治療のためにルポイドに行くと聞いたと言ってもらえますか?
話してもらって構いません。
実際に行きますから。
どうして入れたかは、白馬車の関係者だと。
白馬車の持ち主はコットワッツ領主となっているからと。」
「ええ。そうしますよ。では、失礼しますね。
長居はできないですから。
安心しました。
あなたにも会えてよかった。
モウさんによろしくお伝えください。」
「わかりました。
わざわざ、ありがとうございます。ドーガー、手土産を。」
「はい。」

かなり世話になっていた方なのか?
いつも手渡している手土産の袋を渡した。
菓子と小さなタオルが入っているもの。
大量に作ってもらっている焼き菓子。
あとは、本当に小さな豆ソース。


また、深々と頭を下げて見送った。


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