いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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828:小さきもの

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「これ、この話、他の人には話さないの?」
「ん?」
「アバサとルー、ローチにも話さないの?」
「はは!まず気配消しができるかどうかだ。
アバサとルーは鍛錬次第かな?
だけど必要ないでしょ?
ローチもこの仕事に就くなら、やっぱり鍛錬だ。
わたしはこれ以上話さないよ?オーロラが最後だ。
必要とするならできるようになるよ?
考え方だもの。」
「俺は、こんなことができるなんて知らなかった。
ただ知らなかっただけだろ?
で、練習すればできた。
俺は知らないことが多いだけだったんじゃないか?
気付けばできるだろ?」
「たぶんね。わたしが話してくれたからできるっていうのは、
おそらく思い込みだ。
わたしが話さなくてもできる人はできる。
実際に出来る人はいた。
石使いもできた。 
大きな石を消費してたけど、
たぶん小さな石でもできるようになるだろうね。
切っ掛けがあればできるんじゃないかな?
それが?」
「・・・・怖いな。」
「ん?わたしが?」
「え?違うよ?考え方ひとつでこんなことができるってことが。」
「そうだね。怖いね。何でも考え方だ。
お願いだ、オーロラ?ルグたちが悲しむようなことはしないで?
オーロラが悲しくなるようなことがあるならわたしに相談して?
必ず守るから。ね?」
「・・・・わかった。」



これから先、わたしたちの移動や呼び寄せを見て、
できるかもって思うものが出てくるだろう。
実際に、石使いは大きな石を使ってできるようになった。



それはオーロラが言うように怖い話だ。
マティスやセサミナが絶望したように。

その類が今までなかった。それはどうして?
先人がきちんとルールを作ったからだ。

・・・・ああ、そうか。

決めてしまおう。








全身全霊、わたしの思いを。




このすばらしき世界を旅する生きとし生けるもの
それは小さきもの
世界が守りしものの恩恵を受ける生きとし生けるもの
それは小さきもの
その恩恵に感謝するのは
異なる倫理よりうまれしが受け入れられた我
我もまた小さきもの

小さきゆえに手の届く世界にとどめおくもの
小さきゆえにさまよい漂うことがないようつなぎとめるもの
小さき我は感謝を捧げよう!

感謝することを許してほしい!


そして感謝をもって我が乞う!
我が守りし小さきものたちの解放を!
大いなる恩恵に感謝できしものたちだから!
我が守りしものたちだから!


小さき我らが求めるものは小さき我らの手に
小さき我らが求めるものは求めた先に
小さき我らが求める地に己が立つ
それは感謝の気持ちと共に!


宣言!
以上の文言の理解をもって
移動、呼び寄せの理とする!!





小さき我ら限定だ。
それは感謝できるということ。
それができないようなら、この恩恵はなくなるだろう。
再び大地につなぎとめられるだけだ。

そうわたしが願い、決めたから。
小さきわたしの願いだ。
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