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799:演技指導
しおりを挟む「やっと出て来たぞ!!」
(待ってたの?面倒だな)
(面倒なら始末するか?これぐらいなら問題ないぞ?)
(待って!それはない!顔を覚えろって言われただろ?)
(そうか?)
(とにかく敷地外には出ない。あれ?そうすると匂いもしないな。
仕方がない。客の相手を先に済まそう。お前は子供の振りだな?
わたしの後ろに隠れ気味で)
(わかった)
「何用でしょうか?」
「ここはコットワッツ領国の滞在館だな?」
「ええ、そうです。それで?どちら様で、何用ですか?」
「お前は?」
「どちら様で、何用ですか?」
「‥‥。」
名乗れよ!
「・・・・。オーロラ?向こうの砂の様子を見に行こう。
2人で元に戻してみようか?」
「うん!うまくできるかな?」
オーロラは首をかしげ、人差し指を顎にあてると、
少しうれしそうに笑った。
(お前!子供のようだぞ!!)
(ふふ。これは監督の演技指導だ。褒めてもらってるぞ?)
(演技指導?)
(そうだ。俺たち3人はあくたあ?なんだと)
(3人ってアバサ殿たち?あくたあってなに?)
(わからん)
「おい!聞こえてるのか!!礼儀がなってないぞ!」
「?これはおかしい。何用かと聞いているのはこちらで、
それに答えないのはそちらだ。
だから聞こえていないのかと。
だったら、こちらには用事がないので、
別に聞きただすことはないとおもっただけ。
名乗りもしない方に礼儀もなにもない。」
「はは!本当にコットワッツは常識知らずの恥知らず、
そして人手不足だな。
お前たちの上官になるものだ。
2人傍付き見習いが辞めたんだろ?
羽振りもいいのに辞めたのは上官が緑目だからだとか?
そういうのは外に掘り出せばいいんだよ。
それができないのは人手がないってことだ。
だから、来てやったんだよ。
中に入れろ!」
(俺な、こんな間抜けに雇われてたんだな)
(気付かなかったのか?)
(まったく。疑問すらなかった)
(その中にいればなにも疑問に思わないもんなんだよ)
(・・・・・)
(それと、やっぱりなにか契約があったんだろな。
それがなくなったんだ。良くなるように頑張ればいい)
(そうだな)
これは自分にも言えること。
良くなるように、セサミナ様の為、家族の為、
そして自分のために頑張るんだ。
それがモウ様の為にもなる。
「おい!!聞こえないのか!」
「ドーガーさん?」
「え?さん付け!いいな!」
(演技だ!)
(わかってるよ!)
ちょっと怖い目で睨まれた。
「なに?」
「いいの?この人たちのことは?」
「いいんだよ?入ってこれないんだから。」
「どういうこと?」
「こちらで対処できれば入ってこれるが、
できなければ入ってこれない、って。」
「?対処できないから入ってこれないってこと?」
「そうだ。」
「?」
「どうした?」
「だったら、こいつら、あ!この人たちは、
対処できない、それほど強いってこと?」
「あれ?そうなるの?」
「そうだ!俺たちが入れないのはそう言うことだ!
お前たちより強いんだよ!」
「そうなんですね。じゃ、オーロラ、いこうか?」
「「え?」」
オーロラも敷地外の男も驚いている。
「ど、ドーガーさん?
え?ドーガさんよりこっちが強いってこと?
え?入ってこれたのは弱いから?え?」
(俺はこいつらより強いぞ!ドーガよりもだ!!)
(だろうな)
(だったらなんで入ってこれないいんだよ!!
俺は?弱いから?入ってこれたのは弱いから?)
オーロラは納得いかないようだ。
なるほど。
子供だな。
これは声を出して説明しておこうか。
「あのな、オーロラ?
誰それよりも強いとか、仕事ができるとかな、
そういうものは自分でいうものではないんだよ。
誰かと比べる評価は自分には必要ないんだ。
わたしたちは主に仕える身だ。
主、セサミナ様が評価すればいいことだ。
もちろん、自分で思うことも大事だよ?
自分はこれだけのことができると、示すことも大事だ。
でも、今は?」
「今?」
「今だ。ここに入れないのがここにいるものより
強いからだとしよう。
だったら、どうして名乗らない?
どうして、我々に威圧的な態度、尚且つ下見るんだ?
そんな奴はここに入れる入れない以前にいらないだろ?
しかもわたしたちの上官になるんだって!
ごめんだね!
だから、応対しないだけの話だ。
わかる?」
「・・・・なんとなく。」
「そうか。ゆっくり覚えていこう。それが強さだよ?」
「・・・・。」
「と、ルグさんに教えてもらっている。」
「ああ!なるほど!」
「なんで、そこで納得するんだよ!」
「いや、はははは!ドーガー、ドーガさんだから?」
「おかしい!いつも言われるんだよ、それ。」
「へー、誰に?」
「うん、こっちで知り合った子供に。」
「へー。」
そんな話をしながら砂地、カレサンスイに向かった。
男たちは文句をいっているが、そんなのは知らない。
名乗らないものに用事はない。
(見たことのない奴って、一番後ろにいた2人?)
(そうだ。かなり気を出しているな。
それにこっちが気付かないと思われているのか?)
(いや、試してたんだと思う。お前は気をだしてなかっただろ?)
(子供の時はな。警戒されないようにと)
(ああ、なるほど。わたしたちもなんだ。普段は出してない)
(ルグもだな?なんで?)
(お傍付きだからだよ?護衛じゃないんだから)
(舐められるぞ?)
(悪いけど、舐めてかかられるんなら、そいつより強いよ?わたしは?)
(ああ!)
(お前、オーロラにはかなわなかったけどな。お前も舐めたただろ?)
(あはははは!)
(それは、わたしの実力を見抜いてだ。強い奴は何をしたって見抜く)
(なるほどな)
(あれらはダメだろ?わかってない。
後ろの2人はこっちがどうでるか試してたんだよ)
(そういうことか!)
カレサンスイの向こう、野外の鍛錬広場で荷重の鍛錬をしよう。
あいつらの様子もわかるしな。
「さ、匂いの遮断ができてるかどうかはわからんけど、できてるとしようか。」
「じゃ、重くなる奴?」
「そうだ。その膜がこう、下に下がってくる、押されてるって考えてろ。」
「?」
「だれかがおぶさってる感じ?」
「?」
「ちょっとじっとしとけよ?よ!」
オーロラの背中に乗る。
なるほど、体、骨が細い。
「え?」
「重い?」
「そこまでは。」
「じゃ、これは?」
「あ!重い!」
「膜が押さえている感じ。これは膜を薄くすればするほどいい。」
「あ!あ!重い!え?なんで薄く?」
「それはこんな大きな荷物を背負って動くより、薄いほうが動きやすいだろ?」
「それはそうだけど。」
「で、服のように体に密着させる。
鍛錬の時に着た服合っただろ?それを自分の気でするんだ。
よいしょっと。」
「ん?下に?押さえつける?」
「全体にな。偏らないように。
重い服を着ている感じ。」
「あー、こう?ん。重いな。どうだ?」
「だから、外からはわかんないんだって!
背中に乗って?」
「おお!なるほど!よ!」
「お!重い!重い!!」
「できてる?」
向こうから見れば、2人で背中に乗り合っているように見えるな。
「ああ!できてる!できてる!!
鍛錬の時にいう、荷重2倍とか、3番とかは、自分の重さの2倍、3倍って考えればいい。」
「2ばい、3ばい?」
「何もない状態が1な。で、2倍って言われれば、自分の重さが2倍、
つまり2人分。3倍なら、3つ。」
「7ばいは7人?」
「そうだよ。でも、鍛練中は、特にマティス様の時は、
自分の7倍だから、さらに重い。
常に鍛錬しているつもりで2倍から3倍。慣れれば、5倍で。
重ければ、その分攻撃も重くなる。
が、動きも遅くなる。
で、いざって時になくす。するとかなり素早く動ける。
が、切替をならしておかないと軸がぶれる。
そして、それに神経が行くと、反応が遅れる。
常に自然に。2倍の荷重で飛んでみればわかるよ。」
え?
「これだけか!」
「いやちょっとまって?何もなしで飛んで?」
「こうか?」
え?かなり高く飛ぶな!
「すごいな!どうやて飛んでる?なにかやり方がある?
筋肉じゃないだろ?」
「え?どうっていわれても。」
「説明は難しい?あー、誰かの指示で鍛錬してたんだよな?
そのひとはなんか教えてくれた?飛び方?」
「?そんなのはない。」
「じゃ、何を教えてもらってたんだ?」
「・・・・人の殺し方。」
「あー、そっちか。
んー、先にちょっと話をしようか?」
「?」
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