いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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787:大砲

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銃のお披露目、第二弾だ。
屋台をやった反対側。
これは屋台形式を準備する間に、
マトグラーサとルカリアが準備してたみたい。
マントも1枚1000リングで譲ったそうだ。
わたしとマティスの分。
硬質ゴムは抜いた。編み込んだ鉄と銅で防いだからだ。

実際はゴムだけで防げる。
それをここで披露することもない。
防御の力は見せるべきではない。
極秘に開発だ。



一種の鎖帷子だ。
中をみてなんだ、やっぱりと思ったことだろう。


ドーガーが銃を買った時に
一緒にマントを持った男がいたという。
そいつからあの重さは鉄だと聞いたのだろう。

新型銃はそれを貫通するぐらいの威力を持ってきているはず。

しかしね、眠いのよ。


「愛しい人?寝に帰るか?」
「いや、あともうちょっとでしょ?がんばる。」

あー、テール君は?
あ、起きてるな。偉いな。

フラフラしているのはわたしだけのようだ。
悪いが目をつぶる。面布付けているから誰も気付かないだろう。

布団に入り、そのままウトウトしてしまう。
テレビはつけっぱなし。
その時の、ニュースやドキュメンタリーの音声が耳に入る。

状況を想像で補完。
実際のものより近未来的になってしまう。
翌朝同じニュースを見たら、ちゃっちいな!と思ってしまうのは毎度のことだ。
なんで、同じニュースを何回もするのかな?
母さんはそれをフルースって呼んでた。

スポーツニュースもだ。結果は知ってるのに。
それを梯子して見ると言っていた上司。
ご贔屓の球団が負けていても。

もしかして、次は勝ってるかもしれんやろ?


いや、それはない。
勝っていれば、当然見るという。

当たり前や!もう一点入っとるかもしれんやろ?

ちゃんと見てないのか?
ファン心理なのだろうか?
わからん。



パン パン パン

パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン

目が覚めた。
広げたマントに撃っているようだ。


散弾、連射と全て防いでいる。
当然だろう。

2人がかりで広げていたマント。


「これを軽量化したものがこれです。服の下に着れます。
チョッキです。」

・・・・。
さすがだ。
が、その名前は使ってほしくなかった!
「あーあ。」

「姉さん?」

別に誰が開発してもいい。
こっちが先に考え、かなりの人数が見ている。
隠匿は掛けられない。

セサミンが声を掛けたのはわたしが落胆したからだ。

「名前。」
「ああ。いい感じですよ?」
「そう?ならいいか。」

(ゴムの方は?)
(貫通はしないでしょう。伸びて体を傷つけることはない。
ですが、跳ね返ると廻りが傷つくのでは?と。ドーガーの跳弾のように)
(ああ!ゴムは跳ね返してるだけか。2次的作用という考えになるのね)
(弾性を抑える、硬質なものを研究中です。姉さんがあれに仕込んだものを)
(うん。お願いすればそうなってくれるけど、
それが作れないと意味がない。がんばって)
(ええ)

チョッキを着て、かなりの至近距離から撃つようだ。
離れて撃てばいいのに。
それをしないのは命中率が低いから。

両手を広げ胸を前に出している。
余裕の顔だな。実験済みということか。

「それさ、俺が撃っていい?」


ニックさーーーん!


「ん?大丈夫、大丈夫!撃てるよ?
旧式も使ったことあるし。これ?よそに売ってる分ね?」
「・・・ええ。」
「で、これ撃って大丈夫だったら、こっちはそれを銃と同じに買うと。
これを着とけば大丈夫ってことだよな?
頭狙ったら?それは剣でも、槍でも同じってこと?」
「・・・ええ。」

どこぞの中継会議のように答えられないことを攻めるのではなく、
答えをこちらから先に出し、それを認めさせている。
いいね、その方法。時短だ。

「それでさ、こんな近くだと、槍の間合いだわな。
ほれ。」

今、背から抜いたの?
見えなかった。
その男の顎先に槍があった。


外だからみな武器を携えていた。
マティスは三日月を。
わたしは如意棒、それのコンパクトタイプ。



「だからもっと離れるな。銃の意味ないから。
これくらい?」

的の男は、マトグラーサ領主に助けを求めているが、
無視だろうな。

「ニック!ニック隊長!
あなたの腕ではここにある全弾使っても当たらない。
これは、先に売った銃では、チョッキ?それを着れば体を貫通しないということ。
そしてそれを貫通するほどの威力がある銃を見るためのものですよ。」
「なんか、その言い方酷くない?
別に俺が撃ってもいいだろ?
俺の腕で当たらないんだったら、それはそれだし、
当たって、そのチョッキで防げるんだったら、それも良し。
新しい銃で実験は出来んからな。
これ、15発?全弾あるの?じゃ、距離はこのままで。
じゃ、やってみようか!
一応、そっち方面開けといてね?」


ガイライが一応止める風を装ったが、そんな気はない。
念押しだ。

パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン


すべて明後日の方向に。
うまい。

最後一発。

パン

胸元に命中だ。

目をこれでもかとつぶっていた男は、
その衝撃で、目を明け、長い息を吐いた。

「お?当たった?で?大丈夫?」
「も、もちろんです!」


大歓声だ。

これで皆が重い鉄帷子のチョッキを着こむ。
鎧だと思えばいいのか?

(戦場で鎧って来てた?)
(いいや。騎乗戦、一騎打ち以外は着ない)
(そうなんだ)

軽くなったようだけど、皆さん鍛錬しないとね。


新作の銃が出てきた。
長く、大きく。
バランス悪いね。
どうやって構えるんだろ?いっしょ?

お遊び射的場で使った銃に加工はしていない。
最初の砂漠石が無くなった後は交換出来るようにはした。
性能はルカリア銃そのままだ。
それをするとキリがないからだ。
が、銃身を長くするなら銃床を付け、
肩、頬で支えないとダメなんじゃないの?
反動で動く、連射できるのに意味がない。

弾は?15弾サイズか。
命中率より飛距離を重視したの?なにがしたいの?

・・・・ダメだ。



で、大砲。
車が付いている。そう考えるよね。

旧式の大きいものを移動式にしました!ってところか。
それができるのはやはり製鉄技術の向上。
弾は?
鉛玉?鉄玉?
さすがにそのサイズを蜘蛛ちゃんに作ってもらうのは、
労働組合がゆるさないだろう。なくてもだ。

中に何が入ってるんだろ?
飛ばしているだけ?
火薬はまだできていない?
できたとしても、ここではまだ出さないか。

砂漠石を入れて衝撃があれば、はじけるようにすれば、
炸裂弾ができるな。


・・・・ダメだ。
悪の組織のマッドサイエンティストになってしまう。

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