いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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783:裏帳簿

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「これらはどういうことなのか?ご説明願いましょうか?」
「これだけ長丁場になるんだ。
食事ぐらいできるようにしないと。
それも、ナソニールの尋問で時間を取ったからな。
仕方がないと言えば、仕方がない。
が、その後は?皆腹を空かすだろ?
用意をしておかないと!
王族の方々にも失礼だ。
そこで、メディングがした屋台式?それを少し大規模に。
許可はいらないのでしょ?
今回だけだし。
ああ、向こうの囲いの中で王族も食べていただける。
下町で隠匿したビールもな。
うまいものは誰が食べてもうまい。
各領国もいろいろ持って来たようだ。
それをこちらが買い取って販売。
生産院主催ですね。」
「それだと税が入ってこない!!」
「ああ、そうなりますか?残念ですね。」

オート院長と生産院ラッシング院長だ。
そうか、院主催だと税金は関係ないんだ。


「モウ!!!聞いてるんですか!!!」
「はいはい。聞いてますよ?」
「これ、あなたが提案したんですよね?」
「いや、おなかすくなーって。
カレーうどんは食べたから他のが食べたいなーって。」
「・・・・。」
「向こうで刺繍布売ってましたよ?
やっぱり素敵ですよね。金額が現地の100倍以上だけど。」
「ザスはまだ入ってないですよね?よかった。
でも、貴族に売り込みしてます。先に買った分ですよね?
あとで、手に入れられます?成分は確認しておきたい。」
「・・・・わかりました。」
「メジャートも器、いいですね。
あ!便座もか!鉛筆好評だったから追加で皆かってる。
ふふ。ローブも人気だ。実際に着ているところ見てもらえてよかった。
いい宣伝になったみたい。
フレシアの長靴下見ました?絹で透けてる。
あれね、足の産毛が気になるんですよ。剃刀売れますよ?」
「・・・・。」
「ん?ああ!師匠の誘導尋問、かっこよかったですよ?さすがです!」
「違う!!」
「そうだ、あれはオートが良かったのでは?
しかし、税金か。愛しい人?帳簿付け頑張ろうな。」
「だよね。不正は強制労働だって!故郷より怖いよ!」

「・・・・。」

師匠が怒ってる。なんで?


「いいですか?
これから、商売に関することは必ず、先に相談してください。」
「それはおかしい!姉上たちがする商売に関しては、
このコットワッツ領主、セサミナが許可しています!!」
「いいぞ!セサミナ!!」
「ほぉ?そう来ますか?」


今度はセサミンも混じって3人で、
いや、マティスはセサミンを称えているだけだ。



「モウ様!」
「ツイミ副院長殿!どうぞ、呼び捨ててください。」
「!モウ殿。あなたはコットワッツ領主の護衛なので。」
「うふふふ。そうなの?
お疲れさまだったね。ちょっと、休憩しよう。
チュラル君たちは忙しいか?カップ君もだね。
よかった。先に母様のところにいけて。
落ち着いてたもの。」

お土産はチーズとリンゴの実のリンゴ酒漬け!
最高だ!

「テオブロマ。ぼちぼち入ってくるよね?」
「ええ。蜜が取れるということがわかって、若干高いですね。」
「それでもいいから。」
「必要なのは中身ですよね?それだけ回収しましょうか?
捨てる前に。」
「いや、そこまでしなくていい。
捨てるものを回収してるってばれると、なんかあるってなる。
それで、保存してくれるんならいいよ?衛生的に。
捨て場から拾ってこられると困る。
それは新年以降だ。」
「ああ!そうですね。
やはり、モウ様は商売人だ。」
「うふふふふ。そうなの。」
「モウ様?」
「うん。あれでいい。よくやった。」
「ああ、モウ様。はい、モウ様。」
「ん。」



スホームは、死ぬまで、期待するんだ。
ツイミが助けてくれると。
だけど、今日も連絡はない。
どうして?
明日?期待して、期待して、そして何もない。
諦めることはできない。
あの笑顔を見たからだ。
それはとてつもない拷問だ。



「それにしてもさ?」
「はい。」
「裏帳簿がばれたらさ、泣いて、反省して土下座すればいいのかな?
そう思うと楽勝だよね?」
「・・・・・。」
「え?違う?」
「・・・・・。それをする前に、先にわたしに個人的に相談を。」
「そう?ん、そうする。」
「一般的に裏帳簿?裏?証拠を残すのは下策です。」
「そうだよね!わたしも最近そうしたよ!燃やしたの!」
「ええ。それが正しい。」
「やったー!!」
「ツイミ!!何言ってんですか!!
あー、ツイミ副院長?次の議題の準備を。」
「そうですね。では、モウ殿失礼します。」
「モウ?あとで!本当に後で話があります!」
「はーい!」

次の準備で2人は戻っていった。
わたしは、気配を消し、会場を眺めている。
活気があるよね。
戦争があるなんて嘘みたいだ。

王族、貴族の人たちも屋台を見ているな。
?何で頭に布を巻いてるんだろ?
流行りなのかな?
帽子も売れるかも!
準備しとけばよかったな。


セサミンとマティスが戻ってきた。
一通りまわって来たようだ。
護衛だからね一緒にいないと。
食事休憩もそろそろ終わりだろう。
短期間でよくやったと思うよ。
お茶飲んだら、一緒に戻ろう。

「お疲れ様です。みんな食べられたのかな?」
「そうだと思いますよ?うちもなかなかの売り上げです。
テール殿は甘口カレーですか?それを食べて寝てました。」
「あはははは!」
「銃の方はこの後、最後にお披露目です。」
「そっか。なにが向上したんだろうね。」
「あのマントを貸してほしいそうです。」
「いいんじゃない?」
「それで、コットワッツも銃を購入します。」
「当然だ。
あのおっさんをけしかけたのはマトグラーサなのかな?」
「わかりません。」
「だいたい、あの場でツイミさんが宣言するとでも思ったんだろうか?」
「思い込んでた?」
「そうだよね。お茶飲んで?
お茶飴食べて、まじないを。」
「わかりました。」
「ちなみにさ?領国領主と軍隊長ってどっちが偉い?」
「同じです。」
「領国領主と王族は?」
「領国です。が付き合い上の上下関係はあります。
融資をしているか、してもらっているか。
コットワッツはしていないし、してもらっていない。
が、それがなくても地方領国は下手には出ます。
面倒なので。」
「なるほど。軍隊長と領主護衛は?」
「上下関係はありません。」
「だよね。」
「コットワッツ領民としては、わたしが守りますから。」
「頼んます。」


わたしが、屋台を回らず、ここでじっと、
気配をほぼなくして座っていたのは、面倒だからだ。
マティスもだ。気を上げる必要はない。
ニックさんの話だと、リーズナ先生がわたしにちょっかいを掛けないように
話を持っていっている。
かけてくるのはお間抜けだということだが、念の為だった。


セサミンの横に誰かがいる。それぐらいの認識。
もう戻ろうかと、護衛の気を2人してあげた。


「ここにいたのか!」
「探したぞ!!」


実はこの2人仲良しなんじゃないかなって思ってる。
そして2人とも間抜けだ。
お揃いだね。

タレンテ家のトウキンと
スダウト家のクラビットだ。

スダウト家ってルチルちゃんちだよね?
お父さんはエボルタ?違うの?クラビットも?

名札付けてほしいよ。
競馬新聞みたいに血統も。





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