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779:助け舟
しおりを挟む「冗談がすぎるぞ?ニック?」
「どこが、冗談なんだ?俺は冗談はいわない。
軍予算の調達をしてるんだよ!」
「そうだろうとも。が、お前はすぐに金金という!
第3軍の予算がないのは仕方がないだろう?」
「うるさいな!お前も不敬罪って言われたいのか?」
「ははは!それこそ不敬罪だ!わたしはお前のなんだ?
言ってみろ?」
「・・・・・。」
「死ぬか?」
「上官だ。失礼しましたぁ!!!
ちくしょう!!ガイライ!!何とかしろよ!!」
「いや、無理だろ?わたしたちの上官だぞ?
それに度が過ぎる。軍規云々も出してきて。
廻りはもちろん気付いているが、
軍隊長と言えど、新人だろ?
そんな駆け引き自体わかっていない。これからだろ?かわいそうに。
顔色が悪い。」
「ふん。」
「ははは!拗ねるな!ニック!
予算がないのに、大事な軍予算をそんな賭け事でやり取りするのが
許せなかっただけだろ?
すまんな、予算は何とかするから。上官としてな。」
「ああ!そうしてくれ!」
「り、リーズナ殿が上官?」
「ああ、総括部と兼務だろ?この2人は。
だから、わたしは上官になるんですよ。
予算も含めてね。」
「ああ!」
「軽い冗談だ。すこし質が悪かったですがね。
あなた方2人も、笑い飛ばしてください。
が、新人2人にはきつかったですな。
これから頑張ってください。期待していますよ?」
「「はい!」」
「ランサー殿も。申し訳なかった。」
「いえ。こちらとしてはどうにもできなかったので。
リーズナ殿、たすかりました。」
「いやいや。
では、いままで、軍が貯めていた予算、
全額返却していただきたい。」
シーンとなった。
「はぁ?なにをいってるんだ?」
「リーズナ殿もおかしいのか?」
「失礼な。ニック?これでいいな?」
「承知。」
「では、第三軍の方に。
資産院経由で結構ですから。」
「ありがとうございます!」
これは資産院。えげつないな。
「ど、どういうことだ!!」
「え?まだ、把握していなんですか?
ニックの冗談だと言ったが、半分以上は本気だ。
9割かな?
あのままだと、あなたがた2人の命と資産全部で手打ちだったんだ。
それを今までの軍が貯めていた予算の返却で
許すと言ってるんだ。
もともと、自分たちのものではなかったんだから、安いものだ。
それとも、己の命を差し出すほうがいいというのなら、
かまいませんよ。御子息、ご令嬢が率いる軍は安泰だ。
さすが、親御さんだと感服します。」
「ど、どうしてそうなるんだ!!」
「大切な予算。先の会議で、事務方2人が勝ち取ったものを、
賭け事に使うからですよ。
それを寄こせと言っているわけではない。
いままで軍が残していた分だ。
即答を。わたしはニックほど悠長ではない!
命か金か!」
さすがだ。ますます尊敬するよ。
(イヤミンなんてまだまだ子供だね)
(精進しますよ!!)
(うん!頑張って!!)
「・・・金で。」
「・・・こちらも。」
「はい。この話はこれで終わりです。
軍から2両家に振り分けた予算をすぐに第3軍に移動を。
不足分は2人の資産から補充を。
資産院の方々、よろしくお願いいたします。」
「承知。ワイプ、すぐに手続きを。」
「わかりました。では。」
師匠が出ていった。
どれくらいなんだろうか?
2割は資産院に行くからうれしそうだ。
「では、続けます。
えーと、移動ができるできないという話でしたね。
軍の予算を賭けに使うことはできませんが、どうぞ?」
「!できるはずがないと侮辱したのはスダウト家だ!
軍予算の50万リング払ってもらおう!」
「こちらもだ!できなければ、50万リング!
そして、軍部を解散しろ!」
「同じ条件だ!」
「おいおい!いい加減にしろよ?
軍は3部隊制に決まったんだ。
軍の年予算を使わなければ別にいいよ。
その金は必要なんだよ?
賭けにはあんた達の資産から賄えばいい。
で、軍な。これ、冗談でも何でもないからな。
ニバーセル国で3軍。で、各軍の下で、大隊、中隊、小隊と編成するんだ。
もうすでに、各軍の割り当ては決まってる。
1軍、そうだな、最低500人はいる。
それを勝手になくすことは既にできないんだよ。
で、その負担を残りの2軍が負担することもない。
俺たち3軍は国民から兵を募る。
もちろん、鍛錬はするよ。でないと無駄死になるから。
そっちは?確か貴族子息で賄うんだよな?
いいと思うよ?500人集まるか?ギリギリ?
その賭けで、どちらかが、軍を解散して、
どちらかがそのまま抱え込むのならいい。
1000人の貴族の子息を集めてくれ。
その言葉の重みわかってるんだよな?
ほら、俺の同士よ?いい加減、オヤジたちを黙らせた方がいいぞ?
今度は助けないから。
で、軍隊長殿が、その500人の行動の責任を全て負うんだ。
どこかで、失言やへまをやらかしたら、
そいつらを再教育する。首にするのもいい。
だけど、最悪は己の命を差し出さないといけない。
すべてを、誰かのせいにするのもいいぞ?
いった本人のな。
でもさ、かばってくれない上官に誰が付いていく?
よく考えるんだ。
幸い、ここには我らが王がいる。
俺たちの上官だ。なにごとも、上官に相談よ?」
最後の助け舟か。
「あはははは!ああ、失礼!
ニック殿はやはり戦術は古いようですね!」
「マトグラーサ領主殿か?
というと?」
「今や、銃が軍装備となっているのですよ。
ルカリア銃がね。鍛練なぞ必要ないんですよ!
指示さえ有ればいい!
這いつくばることもなく、銃を撃てば目の前の敵は全て全滅するんです!
銃さえあればいいんです!!」
「そうか!やっぱり、20年という時間は取り戻せないもんだな!
では、いらぬことを言ったんだな?
すまない!!いまここで、マトグラーサ領主殿が
2軍のことを保証してくれたんだ。
ああ、我らの3軍はいらないから!
良かった!良かった!
安心したよ!
我ら第三軍は今後一切、2軍のことに口出ししないでおこう!
で、ついでだ。
その銃な。ニバーセル以外には売ってないだろうな?
だって、もし、他国と戦争があれば、その素晴らしい銃が
敵国になったら問題だろ?そこらへんはどうなんだ?」
「・・・・。」
「すでに、ルポイドに売ってるって話は聞いている。
クジラ討伐に使うとか?
次回の遠征、マトグラーサと、ルカリアも領国軍として参加するんだな?
で、銃を広めると?
ルポイドが敵国にならないという保証は?
もし、敵国が銃を使っていたらマトグラーサよ?それ、どうするんだ?」
「あはははは!!
さすが、ニック殿。そこを突かれると弱いんですよ。
今の銃はすでに大陸全土に販売させててもらってますよ?
商売ですから。
が、ご安心ください。
それは、ルカリアの旧式です。
より、威力が上のものは、ニバーセルだけに販売ですね。」
「へー。だったら、先に買ったものは損をしたな。
ああ、交換してくれるのか!さすがだな!!」
「・・・・そうなりますね。が、もともとの金額が違いますから、
交換の上に上乗せしていただかないと。」
「ふーん。それはま商売だ、交渉すればいいんでないの?
で?その威力が上ってのは?
ここで見せてもらえるの?」
「ええ。後程。」
「そっか!ああ!また邪魔したな。
が、いい加減、移動ができるできないで争うのはやめてくれねえか?」
「いいえ!対価なんぞいりません!
ルパラ?見せてやりなさい!!」
あーあ。
かわいそうに。
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