いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
上 下
764 / 863

764:ムキムキ

しおりを挟む
「・・・長い。」
「あはははは!ルグ?一緒に宣言を。」
「オーロラ?わたしの後に一緒に言えばいい。」
「なんで、オーロラって呼ぶんだ?」
「いやか?」
「・・・・。いやじゃない。」
「シクロストって自分の名前?」
「そうだ。この契約書をくれたやつが付けた。」
「そうか。それも契約になるんよ。
その前はなんて呼ばれてた?」
「?おい?」
「あああ、モウ様!!」
『ルーグ!冷静に!』
「・・・はい。」
「赤い塊一族も名前はない。
そういう一族かもしれない。
そうそう!ここの衛生部で働くお馬さんたちにも名前はないんだって!
きっと何者にもとらわれないためだね。かっこいいね!」
「?名前があることはいいことなのか?悪いことなのか?」
「時によりけりだ。いいも悪いもそれを決めるのは自分。
シクロストって名前は契約の名前っぽいからね。
いい?オーロラで?んー、これもどうなの?
オーロラって呼ばれるのいや?」
「・・・・。」
「よく考えてね。今でなくていいから。」
「・・・わかった。」
「じゃ、宣言を。それをいったら、文字が分かるようにしてあげるね。」
「モウ様!あの、ここから飛び出していかれたら困ります。」
「んー、そうか。
ごめん、後だしだけど、臨時会合が終わるまで一緒にいてくれる?」
「契約ではなく?」
「契約は後ね。」
「報酬は?」
「食事?あなたが食べたいものできるだけ作るよ?
肉、魚、甘いもの?」
「サイだ!サイの肉だ!」
「うん!そうしよう。じゃ、いい?」
「いいぞ。」
「ルグ、最後に、傍にいることをいえばいい。
それはルグとオーロラの宣言だ。」
「オーロラ?いいな?
宣言だ。文字が読めるようになっても会合が終わるまで、
わたしの傍にいるんだぞ?」
「わかった。サイの肉だぞ?それは?」
「もちろん。ああ、先におトイレ、便所か、それと、
軽く汗を流しておいで?
ルグも一緒に。使い方わからないかもしれないから、
一緒にね。きれいにしてから契約しよう。」

「「?」」

(体の成長具合と、傷の有無の確認といつついたものか聞いて)
(!わかりました)

「いこう、こっちだ。大丈夫だ。わたしも汗を流したから。」
「モウ!逃げるなよ!」
「うん、ここにいるから。」

8歳か。
だよね。
しかし、この契約内容、ほんと虫唾が走る。


セサミンに今の状況を軽く説明しておくか。

(わかりました。わたしはその場にいないほうがいいでしょう。
ルグに任せます)
(そうだね、そのほうがいいかな。おわったらいうね。
その間、さっきの奴、もう一回見ててもいいよ?)
(ど、どうやって?)
(画面に向かって、題名いって、見せてって。
止めたければ、止まれ!続きを!っていえばいい。
説明書そこにあるから)
(あ!これ?わかりました!!)

マティスもセサミンもルグに任せろという。
そうなんだ、最後までオーロラを守れるのは
わたしではない。

ルグとオロちゃんは、すぐにあがってきた。
さっぱり小奇麗になってる。


服も着替えを置いてある奴だな。
胸元には皮袋。

(どうだった?)
(痩せ気味でした。傷はすべて説明できるものでした)
(いつの間にかあったんだっていう類は?)
(ありません。皮袋に入っているものが全財産のようです)
(それに入るくらいなのね)

知らぬ間に何かされているってことはないと考えていいかな?

「モウ!」

ちょっと興奮気味だ。

「ん。さっぱりしてるね。どうした?」
「こいつのからだを見たことあるか?凄いんだぞ?
肉が分厚い!」
「おお!それはエデトと同じ感じだな。
分厚い?ああ!ムキムキという表現がいいな。」
「むきむき?ムキムキ!」
「筋肉だね。わたしもおなかと背中はきれいについてるよ?」
「見たい!!」
「今度ね?」
「モウ様!!」
「それでな、でかいんだ!!!」
「オーロラ!!そういうことは言わなくていい!!
女性にいってはいけない!!」
「?なんだ?コットワッツはいろいろうるさいんだな。」
「違う!世間一般にだ!」
「はははは!!わたしはないけど、マティスもでかいよ?」
「!!モウ様も返答しなくていい!!」
「あらら、わたしも叱られたよ。ごめんよ。
うふふふふ。お互い気を付けようね?」
「あははははは!こいつの方が上なんだな!!」
「そりゃそうだ。わたしの廻りにいる人で、
いちばんの常識人だ。この常識を身に着けるというのは、
なかなかに難しい。」
「へー。」
「モウ様、そのあたりは追々に。」
「そうだね。じゃ、ルグが言う後に、同じように言ってね?
ルグ?」

「いいな?わたしの後に、同じように言ってくれ。」
「わかった。」


「自分を縛るものは何もない」
「自分を縛るものは何もない」
「これから先、全ての意思決定は自分で決める」
「これから先、全ての意思決定は自分で決める」
「己を理不尽に利用することはできない」
「己を理不尽に利用することはできない」

『臨時会合が終わるまで、ルグの傍を離れない』
「臨時会合が終わるまで、ルグの傍を離れない」


『宣言!
今の文言を持って、この者の縛りは全てなくなった!
砂漠石の契約!その他の呪い!
この者に対する理不尽な契約、呪いは一切ない!
ただ、誰もが願う、願いのみ。
生をつとめよ!
この者は己の意志のみで未来にはばたく!
何人もそれを妨げることはない!!
それを邪魔していたものよ、口から外に出ろ!!』




ゲボ!!!!!



「モウ様!!!!」
「落ち着け!吐くだけだ!
全て出させろ!桶だ!早く!!!」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

排泄時に幼児退行しちゃう系便秘彼氏

mm
ファンタジー
便秘の彼氏(瞬)をもつ私(紗歩)が彼氏の排泄を手伝う話。 排泄表現多数あり R15

アレク・プランタン

かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった と‥‥転生となった 剣と魔法が織りなす世界へ チートも特典も何もないまま ただ前世の記憶だけを頼りに 俺は精一杯やってみる 毎日更新中!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~

ゆるり
ファンタジー
☆第17回ファンタジー小説大賞で【癒し系ほっこり賞】を受賞しました!☆ ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。 最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。 この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう! ……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは? *** ゲーム生活をのんびり楽しむ話。 バトルもありますが、基本はスローライフ。 主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。 カクヨム様にて先行公開しております。

騎士団長の欲望に今日も犯される

シェルビビ
恋愛
 ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。  就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。  ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。  しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。  無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。  文章を付け足しています。すいません

不登校が久しぶりに登校したらクラス転移に巻き込まれました。

ちょす氏
ファンタジー
あ~めんどくせぇ〜⋯⋯⋯⋯。 不登校生徒である神門創一17歳。高校生である彼だが、ずっと学校へ行くことは決してなかった。 しかし今日、彼は鞄を肩に引っ掛けて今──長い廊下の一つの扉である教室の扉の前に立っている。 「はぁ⋯⋯ん?」 溜息を吐きながら扉を開けたその先は、何やら黄金色に輝いていた。 「どういう事なんだ?」 すると気付けば真っ白な謎の空間へと移動していた。 「神門創一さん──私は神様のアルテミスと申します」 'え?神様?マジで?' 「本来呼ばれるはずでは無かったですが、貴方は教室の半分近く体を入れていて巻き込まれてしまいました」 ⋯⋯え? つまり──てことは俺、そんなくだらない事で死んだのか?流石にキツくないか? 「そんな貴方に──私の星であるレイアースに転移させますね!」 ⋯⋯まじかよ。 これは巻き込まれてしまった高校17歳の男がのんびり(嘘)と過ごす話です。 語彙力や文章力が足りていない人が書いている作品の為優しい目で読んでいただけると有り難いです。 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...