いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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「この酒は隠匿申請しましたよ?資産院経由で。
個人でなく下町としてですがね。
いつでも下町で飲めます。
が、少し違いますね。まだまだ改良の余地ありですね。」
「モウ様の故郷では酔わないお酒というものが有るそうですよ?」
「?それは酒ではないのでは?」
「なんでも、酒精は入っていなくて、味だけ?」
「?誰が飲むんです?」
「お酒が飲めない人が雰囲気を味わいたいときとかって。」
「わかりませんね。」
「少しわかりますよ?だって、ワイプ様たちとお酒を呑んでいたら酔いつぶれますもん。
そういう時ですね。」
「今は?」
「はは!わかりますか?全く入っていないわけじゃなくて、
軽いものだそうです。飲みます?」
「これ?・・・・・。味はそうかな?しかし、んー、何かが違いますね。」
「おいしいですよ。」
「ええ、それはね。あなた方は?」
「「こっち!!」」
「・・・・出来上がってますね。
石問題もまだなのに。

・・・・・

カップ?館に戻りなさい。」
「2人は?」
「捨て置きなさい。」
「このまま。友達なので。」
「では2人を。わたしが相手をしましょう。」


ずっとこちらを見張っていた気配が2つ。
それが消えた。
なにが来る?
回復しておいてよかった。
でないと、守り切れない。


「ん?」
「え?また?え?単独?」

あれだった。

「あ!食べてる!わたしのは?」
「・・・・。カップ?悪いんですが、こちらの方に、適当に。」
「え?」

あの時のかつらと服だが、カップは知らない。

「ああ、ここの土地の管理者なんだ。
だから、ここにあるものは自由にしてもいいとモウに言われていたんだが、
扉が開かない。毎日頑張ってたんだけどな。
開けれたのだな?お前が開けたのか?すごいな!」
「管理者!やっぱりそんな方がいらしたんですね!
わたしは、カップと言います。
開けてくれたのは、この2人です。
天文院のフーサカとマトグラーサ領執行部のラートです。
わたしの友人なんです。」
「そうか!いいな、友人と言うのは。」
「そうだ。カップは俺の友人なんだよ。
で、この問題を解いたのは俺だ。
文字の規則性に気付けばいい。」
「この問題はわたしですよ?
無心に唱えればいい。音として認識すればいいんです。」
「ほう!なるほどな!素晴らしいな!」

3人とも嬉しそうだ。

「じゃ、おすすめのピザを作りましょう!
釜はまだ熱いから。すぐですよ!
フーサカもラートも一緒に作ろう?」
「「おう!!」」

子供のように自慢しあっていた。
聞いてほしいということか。
しかし、単独で?動けるのか?

「ああ、心配するな?部屋にいると思い込んでいる。
そうやって外に出ていることも把握している。
向こうの2人はあまりよろしくないかなら、寝てもらった。」
「・・・・。モウは?気付く?」
「いや?来ていることを気付かせるなと言われている。
気付けば無視することもできないからと。
試すなら黙って来いと言われた。
すこし酷いと思うのだが?」
「・・・・。当然だと。」
「なるほど!さすが師匠だな。」
「・・・・。」
「ん?なんだ?」
「・・・・。
あなたとこのように話すのは、2度目で間違いはないですか?」
「?そうだが?マティスに頼んでもっと話す機会を作ろうか?」
「止めて!」
「お!その顔!またポイントをもらえるな!
100コになれば褒美があるんだ。楽しみだ。」
「ほんと、勘弁してください。」
「そうか?死ね死ね団員だからな。活動はしないと。
なぜそのようなことを聞く?」

話すか?
話したとしてどうにもならない?
いや、それならそれでいい。王あってのニバーセルなのだから。

「少し、わたしの話を聞いてください。」
「どうぞ?」

空気を壁と考え砂漠石で防音を掛ける。
カップたちに聞かす話でもない。

モウから指摘されたこと、予算のこと、不正。
おそらくわたしが帳消しにしていたこと、それは、

「出来ましたよ!
肉とエビ、カニも!ビール出しますね。
甘味はアイスで。」
「うまそうだな!続きはあとでいいな?」
「はい。」


また皆で食べ始める。
ピザの食べ方や、その他のもの。
食い物のことを彼に話して聞かせている。
あれだと気付いていないから?
話を聞いてほしい、自分を知ってほしいということか?

カップはコットワッツのこと、
フーサカは天文のこと、
ラートはマトグラーサのことではなく、
製鉄のことを。

「なるほどな!興味深い話だ。」
「あんたは?ここの管理者って言ってるけど、それが仕事?」

3人の中で一番年長者なのだろう、フーサカが聞いている。
答えれるのか?

「そうだ。こうやって、ときどき見て回っている。
ここはな、モウ、知ってるだろ?
あれが、使うぞと。」
「え?タダで?」
「そう!買うか、借りるかしろって言ったんだが、
いろいろ問題があるとか?」
「どんな?」
「それを詳しく聞こうにも、そういうことは、あれだから、難しいよね。
だから、そういうことで?とな?」
「あははは!それ、モウ様?似てますよ!
あれよねー、とか、よく言ってます。時々、どれ?って思うんですけどね、
あとで、ああ、このことかって納得は出来ます。」
「そう!そうなんだ。こちらの理解不足が原因かも知れないと思えば、
あまり、強くも言えぬからな。
しかし、勝手に使うというのはそれこそ問題がある。
それで、お互いが、ここにあるものを好きなように使ってもいいということにした。
うまいものを保管しておくというからな、承諾したんだが、
後で来てみれば、設問があって解かねば扉は開かない。
ちょっと酷いと思うんだが?師匠としてどうだ?」
「・・・・。当然だと。」
「あははははは!モウ様は、ああ、モウ様の言葉を借りれば、
ちょっとあれですよね。」

あははははははは!!

みなで笑ってしまった。

「あ!これは?最後の問題なんですよ。知ってます?」

「これ?いや、初めて見る。
奥の扉に?
ふむ。
石がゆらゆらと水に沈んだり潜ったりするのはなぜか?
?石だからだろ?」
「あはははは!
だから、なんで石なのに沈んだり潜ったりするのかってことですよ!」

「いや、石は沈むな?」
「ええ。」
「で、石は潜る?潜るというか下に行くな?」
「ええ。」
「沈むも潜るも同じことだろ?だから答えは石だからだ。」
「「「「!!!!」」」」

「天才だ!」
「そうか!あんた!すごいな!!」
「扉は?開いてる!!やった!絶対チョコだ!」
「なに!本当か!!」
「ちょこ?うまいの?」
「リンゴの酒漬けより?」
「これの為に忠誠を誓っても許されるくらい!
実際にわたしの兄上、ドーガーさんはこれに忠誠を誓ってます!!」
「「すごい!!」」
「あ、手紙だ。
読みますね。

ひとり1箱
なかにいろいろ入ってます
熱で溶けるから温めた乳にいれてもいいよ
とっておきに保存してもいいけれど、
その場合は冷蔵庫に

これの販売は新年以降です
それより前に売ってほしいというのは無しです
もし、強引に話を持ってくるなら
石になっても食べることはできないと思ってください


わたしのお遊びに付き合ってくれてありがとう
このお遊びは一度だけ
2度とはないので、その時に立ち会えた偶然に感謝
日々すべてのことに感謝
あなたにも感謝します



そしてそんなあなたに朗報です
人気爆発の冷蔵庫
いまなら小型タイプが先行販売で
なななんと、1台10リングでお手元に
もちろん1年保証付き
実質販売は12リングの予定です

寝室の枕元にそっとおいても邪魔にはならない
今なら、
着せ替えプレート付きであなたのお好みに合わせることができます
もちろん鍵付き
さぁ!あなただけ!今だけ!

お求めはお近くのコットワッツ従者にお問い合わせを

販売促進部長 モウ



みなさまのお役に立つものをご提案
いつものくらしにおいしいなにかを

提供はコットワッツでした





「「「買った!!!」」」
「いや、その前に、箱の中は?ほんとにチョコ?」


開いた扉の中に
人数分、5つの箱。

「あんたが開けたんだ、代表してそれも開けてくれよ。」
「うむ、そうだな。開けるぞ?」

みなで覗き込む。
わたしもだ。


うおおおおおおおおお!!!!

これは、あれと、わたしとカップ。

「「え?」」

チョコをしらないものには茶色い何か。

「フーサカ!ラート!大丈夫だって!
あれに見えるけど、もちろん違うから!
あ。これ、この小さいのがいいよ。これが一番最初に食べたやつ!
自分の箱のものを食べろよ?
これは友達でも譲らない!兄弟にはもちろん内緒だ!」
「え?これ?」
「甘い匂いはする。」
「飲み物はコーヒーがいいぞ?唾液迄もがうまいからな。」
「ああ!わかります!入れますね!」


恐る恐る食べる2人
それを嬉しそうにみる2人

「「!!!!!」」

頷く2人
それをみて、食べた2人も頷いた。

これ、我慢できるのでしょうか?
せめて新年まで持たせたい。
鍵付きの冷蔵庫か、買わねば。



「はー!素晴らしいひと時だった。
やはりお前は良き集まりを作るな。」

止めて!死ぬ!

「あはははは!名は呼ばぬよ?
さ、戻らないとな。
お前たちも楽しかったぞ?それぞれの道を極めてほしい。
それと、モウのあれにはお互い注意しような。」
「「「あはははははは!はい!」」」
「あの2人は?どうする?連れて帰るか?」
「いえ、そのままで。我らも戻ります。」
「わかった。話の続きは?今の時点でどうにもできないぞ?」
「また、改めて。」
「小型冷蔵庫?それは?」
「たぶんこの箱じゃないかな?あ、そうだ。お買い上げで?」
「もちろん。10リングだな?最近は持ち歩いているんだよ。」

自慢げに言われても。

「この袋に入れるのかな?
あ、袋に入るだけここのものを持って帰ってもいいみたい!どうぞ?」


「カップ!俺も買うぞ!」
「わたしもだ!」
「ワイプ様は?」
「買いますよ。あなたの分も入れて20リングね。」
「やった!」

5人で袋に詰めていけば、乾きものの食材は何もかもが無くなった。
気付けば彼の気配もない。

移動ができると考えるほうがいいのか。

名乗らないのにそれに疑問も持たない。
ここの管理者ということは、それは我らが王だ。

王が望めば、その通りに事が運ぶということ。

そうか、だから妖精の世話役と言い切ったか。
ただ、時々で、話を聞き、進めているのか?



まさしく、我らが唯一の王。








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