いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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730:自慢気

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なんとか納得したニックとガイライは、
することがあると戻っていった。

余計な動きをしないようにあて身をもらった2人はそのまま寝ている。

いまは、セサミナ、ドーガー、カップとこれからのことを相談。
私はその横で、愛しい人が喜びそうな料理を作っている。
ここは私専用の厨房だ。

彼女が言うおーぷんきっちん?
料理をしながら話ができるのだ。


「カップ?そろそろだろ?
どこだ会うんだ?天文院とマトグラーサの者たちと?」
「ここを離れられないので、館の裏口に来てくれと言ったんですが、
頑なに拒否されました。
この敷地内に入れないそうです。」
 「だろうな。姉上は悪意があれば入れないと言っていたし、
姉上の守りもあるだろう。」
「ええ。それで、とりあえず、正門前で。
そこから、裏に廻ってもらいます。」
「裏?」
「はい。モウ様に相談したら、裏に資材置場を作ってあると。
そこは、こういう輩と話をするのにいい場所になるはずと、
ものすごく、その、なんというか、嬉しそうに教えてくれました。」
「ああ、姉上の悪だくみの顔だな?」
「!いえ、わたしの方からはなんとも。」
「金儲けの顔ではないのか?」

3人に乳で、コーヒーを入れたものを出す。
クリームも浮いて甘いものだ。
そしてクッキー。アルウスを入れている。
アイスに入れているものと同じだ。
甘い香りがする。

皆が白いひげを付けながら話を続ける。

「どうやって儲けることができるんです?」
「なにかを売りつける?プニカとリンゴが入った焼き菓子は、
王都での手土産にするのだろ?かなりの数を作ってある。」
「ありがたいですね。
しかし、手土産にするなら売ることもできないですよ?
ラーメンとか?アイスとか?」
「店を出すのか?」
「違うな。なんだろう?姉上はなんと?」
「モウ様から、座る位置、座らせる位置の指示はもらっています。
あとは話を聞くだけ聞いて、疑問点は素直に聞けと。
興味があるようにと。」
「わからんな。お前だけのほうがいいのだろう?
向こうもさすがに気配読みに優れているものが来るだろう。
ガイライ、ニック並みに私も気配は消せないしな。
私はセサミナの傍にいるとして、
ドーガーは普通にか隠れて付くのだろう?」
「ええ。見抜かれるでしょうね。」
「だろうな。大会に出ていない私兵は数多くいる。
当然実力者だ。
お前をも引き抜くか、糸を使うか、排除するか。
無理だと思ったら、敷地内に入れ。それでだけでいい。」
「はい。」
「入ってこれたら、後は私が相手をする。」
「兄上が?」
「そうだ。引き抜きだな。」
「ああ。敷地に入れるんですものね。
食につられない配下が欲しいな。」
「セサミナ様!」
「あははははは!」



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


セサミナ様とマティス様は3階に。
その気配は読める。
わざと出しているからだ。

ドーガーさんはなんとか読める程度で木の陰に隠れた。
やはり、次席。
油断すれば見失ってしまうな。


ドーガさんより少し遅れていかにも抜け出して来た風にキョロキョロしながら正門に。
かなり前からいたようだ。

「あれ?いない?
なんだ、からかわれたのか?」

小さな声で呟いた。


左から出てくる。
天文院だ。


「カップ殿?」
「ひえっ!」
「静かに!」
「え?ああ!天文院の方!!」
「静かに!!」
「そ、そうですね。
それで?お話って何です?
あ、でもまって、マトグラーサの方共約束してるんですよ!!
一緒にしたら時間もかからないでしょ?
こういうのによく気がつくって褒められているんですよ!」
「・・・・マトグラーサね。来ないんじゃないのか?」
「え?そうなんですか?なんだ。
約束を破られてたら2度とお話は聞けないですね。」

「・・・・カップ殿。」

今度は右から。
どうしても話は聞いてほしいようだ。

「うわ!」
「「静かに!!」」
「!ごめんなさい!」
「マトグラーサ、執行部のラートだ。
遅れたようだ。申し訳ない。」
「いえいえ。ぼくも今着たところですよ?
あ、こちらは天文院の、えっと、お名前なんでしたっけ?
オート院長のお傍にいたときお会いしましたよね?」
「・・・フーサカだ。」
「そうでした、そうでした。フーサカ殿、で、ラート殿。
お二方はぼくにお話があるというので、
そういうのは一緒にしたほうがいいと思って!
で、同じ時間にしたんですよ!!
フーサカ殿にも褒められましたよ!」

褒めていない。


モウ様がおしゃっていた。
自分に非がない、さもいいことをしていると自慢気にいうと、
向こうはそいつを下に見る。
だってお間抜け丸出しだからね、
お間抜けマンボだよ?と。

まんぼ?
わからないけど、いるいる、そういう奴。

「・・・・カップ殿?声を押さえてほしい。」
「あ!ごめんなさい。」

話し方も、私、俺ではなく、ぼくで、
すいません、申し訳ない、ではなく、ごめんなさいだ。
そして、誰も褒めていないのに、自分は良く褒められると言うこと。


「ラート殿?マトグラーサの方が何用で?」
「フーサカ殿は?」
「お二方!わかってますよ!ぼくの引き抜きでしょ?」
「!そうだ。優秀なのは見ただけでわかるからな。」
「ええ。こちらもそうですよ。」
「やっぱり!コットワッツよりいい条件を出してくれたら考えますよ?」
「ほう!では先にコットワッツではどんな様子なのか
教えてもらえるかな?」
「賢領主として名高いセサミナ殿のこと、
今後の参考にもしたいしな。」
「ええ!えっと、じゃ、こちらで。
正門前だと誰が来るかわからないから。
向こうに行きましょうか?」

隠密は?わからないな。
ドーガーさんは動いたか?

俺の役割を果たすだけだ。

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