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540:過剰供給
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「で、次が、塩袋。
知ってます?塩の劣化の話。
岩塩はいいんですけど、海から取った塩は水分の含有量が味を左右するのか、
時間が立てば味が変わる。まずいほうにね。
ダカルナの1番塩を買っても、あれ?こんなんだった?
現地で味見したときはもっと甘味があっておいしかったのにって。」
「それはあるがそういうものだろう。」
「これ、ダカルナの1番から3番塩。3番からどうぞ。かなり前に仕入れたものです。」
「3番、ん?2番、!1番?おお!現地で食べた塩だ。」
「ね?ここでは1番を仕入れても、最終的には3番の味になる。
今3番を食べて、1番だと思ったでしょ?
この袋で運び保存したんですよ。塩袋。
1枚2リングでダカルナの塩屋さんが買ってくれます。
ちょっと手間がかかるんですけど、まだ作り方は誰も知らないかな?
その方法を隠匿したい。
だからと言ってわたしが作るわけでもない。
方法は公開してもいい。だけど、劣化版は困る。
それと高値で売られるのも。
いいものを作って、それなりの値段で、皆が自分で作るよりも
買ったほうがいいよねっていうお値段。
作る方もそれで生活するわけじゃないけど、空いた時間にできて
小銭が稼げる、いいよねっていう感じ。」
「どこで作るんだ?コットワッツ?」
「いえ、これ、魚の皮なんですよ。
毛を焼いて、洗って干して。縫い合わせてって。
ちょっとコツはいるけど、ひと月10枚は余裕で作れる。
そうすると20リング。じゃ、みんながみんな作れば過剰供給になる。
塩屋さんは持っていけば必ず買ってくれるけど、
1000枚持っていっても買ってくれるかな?
でも、毎月は買ってくれないだろうね。
長持ちするし。その加減が分からない。」
「そうだろうな。」
「で、最後。」
「まだあるのか。」
「この塩袋の小さいの。これは先に1000枚はいる。
作ってもらうあてもあるんだけど、安く仕入れたい。
教えた人たちが大量に作って高く売りさばくのは別にいいけど、
わたしが教えてた人以外が真似て作って売られるのは嫌だ。
別にわたしが頑張れば作れる。けど、できる人がそれを仕事にすればいいでしょ?
何もかも抱え込むことはない。
誰彼無しに教えるほどやはりわたしは親切じゃない。
教える、ああ、上からな考えかもしれないけど、
役に立ってくれればいいなと、気に入った人だけに教えたい。」
「結局は自分の為か?その気に入った人たちだけに
喜んでもらいたい、感謝されたい、己がだ。」
「当然。」
「言い切るのか。素晴らしい。隠匿は己の欲との調整だ。
満足が行くように隠匿は掛けましょう。
もちろん、その調整をする生産院に手数料を納めてもらう。」
「そこで問題です。」
「え?」
「それって、売り上げの何パーセントとか?
それってどうやって報告するの?
年末に報告?
毎日売り上げ帳簿を書くの?
それをするぐらいなら、もうみんな公開でいい。
勝手に劣化版を作ろうが、高く売ろうがどうでもいい。
気に入った人が困っても仕方がないと、思うくらい嫌です。」
「・・・・。」
「が、先に収めるのは問題なし。毎年とかは嫌だけど、
隠匿をかけてもらう手数料的なもの?
多少高くてもいい。帳簿を付けるわずらわしさがないのなら。」
「それがどんなに高くても?」
「常識の範囲で。」
「1件500リングだ。
発案者が教えた人、及びその仲間内だけ作れる。
購入者も発案者及び、発案者が解放したときのみ。
この大きいものと小さいものは別件扱い。
2件で1000リング。隠匿契約時の砂漠石は別だ。
石は1件1000リングの石。」
「おお!それは一生じゃないよね?何年もの?」
「・・・3年だ。」
「それ以降は?」
「誰にでも教えれるし、誰でも作れる。誰にでも売れる。」
「それを豆ソースに適応しなかったのは?」
「売り上げの2%の方がこちらの収入が多いからだ。
この3年縛りの隠匿は生産院が指定したものしかできない。
尚且つ、生産院ではわたしだけしかできない。」
「おお!それは素晴らしい。じゃ、それで。」
「・・・・3年でそれほどの売り上げが上がるとは思わない。
まじめに年末申告するほうがよほど儲かる。」
「それができるのなら、ここには相談に来ない。
コットワッツですべてを済ませている。
年末のあのせわしなさを、毎日つけておけばよかったと思う後悔を
1000リングで買えるならそちらの方が安い。
時は金也だ。そもそもわたしが毎日帳簿を付けれる性格だと思うのか?
それに、ものすごく儲かるかもしれん。
メディング殿が失敗したとのたうち回るぐらいに。」
「あはははは!それは楽しみだ。
では、2件で1000リングだ。石は1000リング級2つ。」
「全部石で支払ってもいいの?」
「知らないのか?払うならリング、受け取るなら石だ。
砂漠石はいま値上がり真っ最中だ。
毎日値が上がっている。特に大きな塊ならな。
合わさりに出る石も値が上がっている。」
「ご親切にどうも。でも、石でいいのなら石の方が手持ちはあるんですよ。」
「・・・・赤い塊の曾孫だからか?
故郷に石が湧く泉があるというのは本当か?」
「そんなのがあれば、赤い塊の一族はみなこっちに来ている。
それを持ち出してね。」
「それは石の価値を知らないからだ。
石の価値を知り、それを持ち出してこちらにいるのが赤い塊だ。」
「だとしてもあれは気まぐれだ。
そして石が湧く泉?その話は今初めて聞いた。
だが、それはこちらも同じ。合わさりの月の日に石があふれる。
故郷のものが聞けば皆驚くだろう。」
「どこなのだ?」
「わからない。海に囲まれたところとだけ。
確かに武の道で生きるために外には出た。
だけど、地図を見せてもらったけど分からなかった。帰れないんですよ。
砂嵐の運ばれてしまったから。曾祖父も同じかもしれない。
そこまで話したことはない。今を生きているから。
故郷の話はするけど、帰りたい、戻りたいとは思わない。
ああ、楽器の習得はしとくべきだったとは先日の夜会で思いましたよ。
それだけだ。それも今からでも遅くはない。ここでできる、何もかも。」
「歌、あの歌は素晴らしかった。
あなたにはマティス殿がいる、いや、必要なのだとわかった。
マティス殿が羨ましいと。」
「そう思ってもらえればうれしいです。さ、話がそれましたね。
こちらは石のほうがいい。大きさを言ってください。」
「常に相場は確認しておくものだ。
今は手のひら大で1000だ。」
「うそ!その3倍ほどで1000じゃなかった?」
「それだけ値上がりしている。
貴重なんだ。そのおかげで資産は戻ったがな。」
「いや、それもおかしい。この石バブルはすぐにはじける!」
「泡?ははは!うまいことを言うな。それは今ではない。」
「いいや、年内だ。この異常さを中央が何もしないのはおかしい。
雨の日が終わり、各王が中央に集まるんだっけ?
その後だ。年末じゃないね。すぐになにか動きがある。新年では遅い。
でないと管理者とは言えない。
リングの価値を爆上げするか、砂漠石の取引を制限するかだ。
今のうちに砂漠石を売るほうがいいのかな?
自由に売買できなくなる前に。
確保しておくにしても、秘密裏だ。
安い単価で没収されるか、売買を制限されるか、中央管理の元になるか。
名目は何でも。異常なのはみなが認識している。
それを正すためだと言われれば仕方がないだろうな。
リングと石をバランスよく保有することをお勧めするね。
もしくは金に変えておく。金の価値の変動は少ない?
だけどこれも値上がり傾向のはずだ。リングの材料だしね。
そうなると金だね。リング3.砂漠石3.金が4だ。」
「・・・・。」
背負子から手のひら大の石を2つ出して、
隠匿をかけてもらった。
手数料は同じ大きさの石。気持ち大きめにね。
「持ち歩いているのか。」
「リングをジャラジャラしとくのって嫌じゃないですか?」
「資産院に預ければいい。」
「預けるけど、引き出すのが嫌だ。」
「・・・・。」
「んじゃ。マティス行こうか?」
マティスはずっとわたしの横に座って目をつぶっていた。
横顔素敵!
師匠と話をしているのか、ガイライとしているのか。
生産院の外の気配を探っているのか。
扉の外に2人程いるのは分かっている。
「メディング殿。改めて私からも礼を。
コットワッツのこと、弟のこと、愛しい人の相談に乗ってもらったことを。
あの時なぜ、コットワッツを潰しにかかったか?
それは誰の指示だったのか?
その時と今の立場は違うのか?
ご自身の身を守ること考えるべきだな。
我らは護衛を生業にしているが、
あなたを守れない。
それは相手方からすれば、敵に回ったとみなされるからだ。
塩袋の話が出た当たりから、外に会話は漏れていない。
当然、この話もだ。
身の危険を感じたら、資産院ワイプに相談を。
これが礼だ。」
「マティス?」
「生産院も派閥があるということだ。」
「重々承知だ。心配無用。そちらこそ、気を付けられよ。」
「では、一緒に外に出てくれ。外の2人は私たちを拘束するつもりだ。」
「理由は?」
「メディングを脅したと。」
「はー。わかった。」
「出よう。愛しい人。」
「あ、これが昆布で、これが海苔。
豆ソースの小さいタイプ、1本7銀貨ですが、どうです?
10本?ありがとうございます。
昆布はお湯につけたり、時間があれば、お水で戻します。
そのお水においしい成分が出ていると。
スープにしたり、それで野菜を煮たり。
で、豆のソースで味付けを。
昆布は千切りにして、豆ソースでさっと煮てください。
ごま混ぜたりね。さらご飯の上に乗せるだけで満足のごはんの友です。
ごはんはおにぎりにするのもいいですね。で、海苔。
これはご飯の炊き方と、おにぎりに作り方。
それと、豆ソースで作った飴。甘じょっぱい。
えっと、この籠に入れますね。これ、ブラスの籠。
なにか、もらって、ん?ってなったら、
その場で食べずに、この箱に入れてから食べてください。
毒消しの効果があるから。」
「毒を仕込まれると?」
「いや、食いしん坊の死因って8割そうじゃない?」
「・・・食いしん坊。」
「いや、念の為ね。
これが信用できるかどうかご自分で判断してください。
あ、メディング様だけ開けられるから。」
「石使いか?」
「そうそう。内緒ね。これくらいはできる。」
「大切にしよう。」
「ああ、過信は厳禁ですよ。食い合わせというものもあるし。」
「なに?」
「え?ありませんか?
単独で食べてもなんともないのに、一緒に食べるとおなかが痛くなるものとか?」
「いや?」
「水と油とか、体を冷やすもの同士とかなんですけどね。
消化が悪いものとか。それは、感知できないんで。」
「なるほど!あるなそれは!」
「やっぱり!例えば?」
「肉の脂身と柿だ。そのとき気付かないが、
後にして思えば、その2つを食したときになるな。」
そんな話をしながら一緒に外に出た。
送っていくというのもおかしいからだ。メディングも一緒に外に出るという形。
外に出て、ではよろしくお願いしますと頭を下げて、
ああ、あの件は後でいいかと、独り言を言って戻っていった。
(ついてくるね)
(角を曲がって、気配を消すぞ)
(はーい)
「気付かれたか?」
「最後の方の話は聞こえなかったからな。そうかもしれん。
あの女は赤い塊の血縁者だそうだ。
多少の石使いの心得はあるそうだぞ?」
「移動?」
「だとしてもすぐ近くだろう。
あの背負子の中に入っているんだ、砂漠石が。」
「次は荷を改めないとな。また来るか?」
「メディングに何か依頼をしたはずだ。コンブ?ノリ?
その結果が出たときだ。メディングが出向くのなら
ついていけばいい。」
「メディングはダメだな。いまは誰にも属していないと聞くぞ。」
「ああ、財産を取られたことを恨んでいるからな。
逆にコットワッツ寄りになっている。
サブコ様に報告しておこう。」
「私たちに用があるのか?」
「え?」
マティスが前に出た。
だっておかしいもの。
移動はそんなにできないって思ってるのに、
なんで、そんな話大きな声で話すの?聞こえるように。
「生産院だな。
動くなよ、そしてしゃべるな。
今の話は丸聞こえだったんだが。
ああ、私たちは、そこにな。
荷が重いから詰め替えていたんだ。
サブコ?中央院の副院長か?
この話、メディングに話していいか?なんというだろうな。
コットワッツ寄り?あれがか?あれで?
どう思う?」
「んー、食い気に走ってる気がすけど、後は何とも。
コットワッツの振る舞いは評判いいから。」
「そこだな。で?お前たちは?
扉の外で聞き耳を立てて、その話をサブコに報告か?
だったら一緒に行こうか?
サブコの元に。
お前たちはどうなるだろうな。
間違いなく歓迎はされるな。
配下ならこの失態を。
反する相手に所属しているのなら、なおのこと。
どちらも命はないように思うが?」
2人は動けない、しゃべれない。
3つか4つか。
コットワッツを排除しようとしているのか?
違うな。それは過程だ。
そうすれば、目的に早く近づく事ができると。
次期王の座?砂漠石目当て?
勝手にやりなさいってことだよね。
「どうする?」
「いいよ。ほっとこう。
こんなこと誰にも報告できないよ。
サブコって人に言っても、わたしたちにばれてるってことは言えないし、
他の人にでもだ。
もしかして、こうなることが目的だったかもしれない。
だって、護衛職の2人の後を素人が付けてきて気付かないわけないじゃん。
また試されてるのかな?
斬り捨てる?王都で?それは後で面倒だな。
だから、ほっとく。
あれだ、2人は怯えて眠れってやつだ。
行こう。マティス。」
「それもそうだな。」
姿が見えなくなったら動けるようにして、
ほんとうにほったらかした。
師匠に報告するだけだ。
知ってます?塩の劣化の話。
岩塩はいいんですけど、海から取った塩は水分の含有量が味を左右するのか、
時間が立てば味が変わる。まずいほうにね。
ダカルナの1番塩を買っても、あれ?こんなんだった?
現地で味見したときはもっと甘味があっておいしかったのにって。」
「それはあるがそういうものだろう。」
「これ、ダカルナの1番から3番塩。3番からどうぞ。かなり前に仕入れたものです。」
「3番、ん?2番、!1番?おお!現地で食べた塩だ。」
「ね?ここでは1番を仕入れても、最終的には3番の味になる。
今3番を食べて、1番だと思ったでしょ?
この袋で運び保存したんですよ。塩袋。
1枚2リングでダカルナの塩屋さんが買ってくれます。
ちょっと手間がかかるんですけど、まだ作り方は誰も知らないかな?
その方法を隠匿したい。
だからと言ってわたしが作るわけでもない。
方法は公開してもいい。だけど、劣化版は困る。
それと高値で売られるのも。
いいものを作って、それなりの値段で、皆が自分で作るよりも
買ったほうがいいよねっていうお値段。
作る方もそれで生活するわけじゃないけど、空いた時間にできて
小銭が稼げる、いいよねっていう感じ。」
「どこで作るんだ?コットワッツ?」
「いえ、これ、魚の皮なんですよ。
毛を焼いて、洗って干して。縫い合わせてって。
ちょっとコツはいるけど、ひと月10枚は余裕で作れる。
そうすると20リング。じゃ、みんながみんな作れば過剰供給になる。
塩屋さんは持っていけば必ず買ってくれるけど、
1000枚持っていっても買ってくれるかな?
でも、毎月は買ってくれないだろうね。
長持ちするし。その加減が分からない。」
「そうだろうな。」
「で、最後。」
「まだあるのか。」
「この塩袋の小さいの。これは先に1000枚はいる。
作ってもらうあてもあるんだけど、安く仕入れたい。
教えた人たちが大量に作って高く売りさばくのは別にいいけど、
わたしが教えてた人以外が真似て作って売られるのは嫌だ。
別にわたしが頑張れば作れる。けど、できる人がそれを仕事にすればいいでしょ?
何もかも抱え込むことはない。
誰彼無しに教えるほどやはりわたしは親切じゃない。
教える、ああ、上からな考えかもしれないけど、
役に立ってくれればいいなと、気に入った人だけに教えたい。」
「結局は自分の為か?その気に入った人たちだけに
喜んでもらいたい、感謝されたい、己がだ。」
「当然。」
「言い切るのか。素晴らしい。隠匿は己の欲との調整だ。
満足が行くように隠匿は掛けましょう。
もちろん、その調整をする生産院に手数料を納めてもらう。」
「そこで問題です。」
「え?」
「それって、売り上げの何パーセントとか?
それってどうやって報告するの?
年末に報告?
毎日売り上げ帳簿を書くの?
それをするぐらいなら、もうみんな公開でいい。
勝手に劣化版を作ろうが、高く売ろうがどうでもいい。
気に入った人が困っても仕方がないと、思うくらい嫌です。」
「・・・・。」
「が、先に収めるのは問題なし。毎年とかは嫌だけど、
隠匿をかけてもらう手数料的なもの?
多少高くてもいい。帳簿を付けるわずらわしさがないのなら。」
「それがどんなに高くても?」
「常識の範囲で。」
「1件500リングだ。
発案者が教えた人、及びその仲間内だけ作れる。
購入者も発案者及び、発案者が解放したときのみ。
この大きいものと小さいものは別件扱い。
2件で1000リング。隠匿契約時の砂漠石は別だ。
石は1件1000リングの石。」
「おお!それは一生じゃないよね?何年もの?」
「・・・3年だ。」
「それ以降は?」
「誰にでも教えれるし、誰でも作れる。誰にでも売れる。」
「それを豆ソースに適応しなかったのは?」
「売り上げの2%の方がこちらの収入が多いからだ。
この3年縛りの隠匿は生産院が指定したものしかできない。
尚且つ、生産院ではわたしだけしかできない。」
「おお!それは素晴らしい。じゃ、それで。」
「・・・・3年でそれほどの売り上げが上がるとは思わない。
まじめに年末申告するほうがよほど儲かる。」
「それができるのなら、ここには相談に来ない。
コットワッツですべてを済ませている。
年末のあのせわしなさを、毎日つけておけばよかったと思う後悔を
1000リングで買えるならそちらの方が安い。
時は金也だ。そもそもわたしが毎日帳簿を付けれる性格だと思うのか?
それに、ものすごく儲かるかもしれん。
メディング殿が失敗したとのたうち回るぐらいに。」
「あはははは!それは楽しみだ。
では、2件で1000リングだ。石は1000リング級2つ。」
「全部石で支払ってもいいの?」
「知らないのか?払うならリング、受け取るなら石だ。
砂漠石はいま値上がり真っ最中だ。
毎日値が上がっている。特に大きな塊ならな。
合わさりに出る石も値が上がっている。」
「ご親切にどうも。でも、石でいいのなら石の方が手持ちはあるんですよ。」
「・・・・赤い塊の曾孫だからか?
故郷に石が湧く泉があるというのは本当か?」
「そんなのがあれば、赤い塊の一族はみなこっちに来ている。
それを持ち出してね。」
「それは石の価値を知らないからだ。
石の価値を知り、それを持ち出してこちらにいるのが赤い塊だ。」
「だとしてもあれは気まぐれだ。
そして石が湧く泉?その話は今初めて聞いた。
だが、それはこちらも同じ。合わさりの月の日に石があふれる。
故郷のものが聞けば皆驚くだろう。」
「どこなのだ?」
「わからない。海に囲まれたところとだけ。
確かに武の道で生きるために外には出た。
だけど、地図を見せてもらったけど分からなかった。帰れないんですよ。
砂嵐の運ばれてしまったから。曾祖父も同じかもしれない。
そこまで話したことはない。今を生きているから。
故郷の話はするけど、帰りたい、戻りたいとは思わない。
ああ、楽器の習得はしとくべきだったとは先日の夜会で思いましたよ。
それだけだ。それも今からでも遅くはない。ここでできる、何もかも。」
「歌、あの歌は素晴らしかった。
あなたにはマティス殿がいる、いや、必要なのだとわかった。
マティス殿が羨ましいと。」
「そう思ってもらえればうれしいです。さ、話がそれましたね。
こちらは石のほうがいい。大きさを言ってください。」
「常に相場は確認しておくものだ。
今は手のひら大で1000だ。」
「うそ!その3倍ほどで1000じゃなかった?」
「それだけ値上がりしている。
貴重なんだ。そのおかげで資産は戻ったがな。」
「いや、それもおかしい。この石バブルはすぐにはじける!」
「泡?ははは!うまいことを言うな。それは今ではない。」
「いいや、年内だ。この異常さを中央が何もしないのはおかしい。
雨の日が終わり、各王が中央に集まるんだっけ?
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リングの価値を爆上げするか、砂漠石の取引を制限するかだ。
今のうちに砂漠石を売るほうがいいのかな?
自由に売買できなくなる前に。
確保しておくにしても、秘密裏だ。
安い単価で没収されるか、売買を制限されるか、中央管理の元になるか。
名目は何でも。異常なのはみなが認識している。
それを正すためだと言われれば仕方がないだろうな。
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もしくは金に変えておく。金の価値の変動は少ない?
だけどこれも値上がり傾向のはずだ。リングの材料だしね。
そうなると金だね。リング3.砂漠石3.金が4だ。」
「・・・・。」
背負子から手のひら大の石を2つ出して、
隠匿をかけてもらった。
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「持ち歩いているのか。」
「リングをジャラジャラしとくのって嫌じゃないですか?」
「資産院に預ければいい。」
「預けるけど、引き出すのが嫌だ。」
「・・・・。」
「んじゃ。マティス行こうか?」
マティスはずっとわたしの横に座って目をつぶっていた。
横顔素敵!
師匠と話をしているのか、ガイライとしているのか。
生産院の外の気配を探っているのか。
扉の外に2人程いるのは分かっている。
「メディング殿。改めて私からも礼を。
コットワッツのこと、弟のこと、愛しい人の相談に乗ってもらったことを。
あの時なぜ、コットワッツを潰しにかかったか?
それは誰の指示だったのか?
その時と今の立場は違うのか?
ご自身の身を守ること考えるべきだな。
我らは護衛を生業にしているが、
あなたを守れない。
それは相手方からすれば、敵に回ったとみなされるからだ。
塩袋の話が出た当たりから、外に会話は漏れていない。
当然、この話もだ。
身の危険を感じたら、資産院ワイプに相談を。
これが礼だ。」
「マティス?」
「生産院も派閥があるということだ。」
「重々承知だ。心配無用。そちらこそ、気を付けられよ。」
「では、一緒に外に出てくれ。外の2人は私たちを拘束するつもりだ。」
「理由は?」
「メディングを脅したと。」
「はー。わかった。」
「出よう。愛しい人。」
「あ、これが昆布で、これが海苔。
豆ソースの小さいタイプ、1本7銀貨ですが、どうです?
10本?ありがとうございます。
昆布はお湯につけたり、時間があれば、お水で戻します。
そのお水においしい成分が出ていると。
スープにしたり、それで野菜を煮たり。
で、豆のソースで味付けを。
昆布は千切りにして、豆ソースでさっと煮てください。
ごま混ぜたりね。さらご飯の上に乗せるだけで満足のごはんの友です。
ごはんはおにぎりにするのもいいですね。で、海苔。
これはご飯の炊き方と、おにぎりに作り方。
それと、豆ソースで作った飴。甘じょっぱい。
えっと、この籠に入れますね。これ、ブラスの籠。
なにか、もらって、ん?ってなったら、
その場で食べずに、この箱に入れてから食べてください。
毒消しの効果があるから。」
「毒を仕込まれると?」
「いや、食いしん坊の死因って8割そうじゃない?」
「・・・食いしん坊。」
「いや、念の為ね。
これが信用できるかどうかご自分で判断してください。
あ、メディング様だけ開けられるから。」
「石使いか?」
「そうそう。内緒ね。これくらいはできる。」
「大切にしよう。」
「ああ、過信は厳禁ですよ。食い合わせというものもあるし。」
「なに?」
「え?ありませんか?
単独で食べてもなんともないのに、一緒に食べるとおなかが痛くなるものとか?」
「いや?」
「水と油とか、体を冷やすもの同士とかなんですけどね。
消化が悪いものとか。それは、感知できないんで。」
「なるほど!あるなそれは!」
「やっぱり!例えば?」
「肉の脂身と柿だ。そのとき気付かないが、
後にして思えば、その2つを食したときになるな。」
そんな話をしながら一緒に外に出た。
送っていくというのもおかしいからだ。メディングも一緒に外に出るという形。
外に出て、ではよろしくお願いしますと頭を下げて、
ああ、あの件は後でいいかと、独り言を言って戻っていった。
(ついてくるね)
(角を曲がって、気配を消すぞ)
(はーい)
「気付かれたか?」
「最後の方の話は聞こえなかったからな。そうかもしれん。
あの女は赤い塊の血縁者だそうだ。
多少の石使いの心得はあるそうだぞ?」
「移動?」
「だとしてもすぐ近くだろう。
あの背負子の中に入っているんだ、砂漠石が。」
「次は荷を改めないとな。また来るか?」
「メディングに何か依頼をしたはずだ。コンブ?ノリ?
その結果が出たときだ。メディングが出向くのなら
ついていけばいい。」
「メディングはダメだな。いまは誰にも属していないと聞くぞ。」
「ああ、財産を取られたことを恨んでいるからな。
逆にコットワッツ寄りになっている。
サブコ様に報告しておこう。」
「私たちに用があるのか?」
「え?」
マティスが前に出た。
だっておかしいもの。
移動はそんなにできないって思ってるのに、
なんで、そんな話大きな声で話すの?聞こえるように。
「生産院だな。
動くなよ、そしてしゃべるな。
今の話は丸聞こえだったんだが。
ああ、私たちは、そこにな。
荷が重いから詰め替えていたんだ。
サブコ?中央院の副院長か?
この話、メディングに話していいか?なんというだろうな。
コットワッツ寄り?あれがか?あれで?
どう思う?」
「んー、食い気に走ってる気がすけど、後は何とも。
コットワッツの振る舞いは評判いいから。」
「そこだな。で?お前たちは?
扉の外で聞き耳を立てて、その話をサブコに報告か?
だったら一緒に行こうか?
サブコの元に。
お前たちはどうなるだろうな。
間違いなく歓迎はされるな。
配下ならこの失態を。
反する相手に所属しているのなら、なおのこと。
どちらも命はないように思うが?」
2人は動けない、しゃべれない。
3つか4つか。
コットワッツを排除しようとしているのか?
違うな。それは過程だ。
そうすれば、目的に早く近づく事ができると。
次期王の座?砂漠石目当て?
勝手にやりなさいってことだよね。
「どうする?」
「いいよ。ほっとこう。
こんなこと誰にも報告できないよ。
サブコって人に言っても、わたしたちにばれてるってことは言えないし、
他の人にでもだ。
もしかして、こうなることが目的だったかもしれない。
だって、護衛職の2人の後を素人が付けてきて気付かないわけないじゃん。
また試されてるのかな?
斬り捨てる?王都で?それは後で面倒だな。
だから、ほっとく。
あれだ、2人は怯えて眠れってやつだ。
行こう。マティス。」
「それもそうだな。」
姿が見えなくなったら動けるようにして、
ほんとうにほったらかした。
師匠に報告するだけだ。
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気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
レベルカンストとユニークスキルで異世界満喫致します
風白春音
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俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》は新卒で入社した会社がブラック過ぎてある日自宅で意識を失い倒れてしまう。誰も見舞いなど来てくれずそのまま孤独死という悲惨な死を遂げる。
そんな悲惨な死に方に女神は同情したのか、頼んでもいないのに俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》を勝手に転生させる。転生後の世界はレベルという概念がある世界だった。
しかし女神の手違いか俺のレベルはカンスト状態であった。さらに唯一無二のユニークスキル視認強奪《ストック》というチートスキルを持って転生する。
これはレベルの概念を超越しさらにはユニークスキルを持って転生した少年の物語である。
※俺TUEEEEEEEE要素、ハーレム要素、チート要素、ロリ要素などテンプレ満載です。
※小説家になろうでも投稿しています。
エラーから始まる異世界生活
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45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
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その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
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実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
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能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
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主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです
(カクヨム、小説家になろうでも公開中です)
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
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平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
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