いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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513:販売促進

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各自がそれぞれの仕事に。
ソヤはお醤油の樽ごとコットワッツに送ることになった。
ここにいると、ソヤまで危険にさらすかもしれないからだ。
送る前に生産院にお醤油の隠匿をかけてもらう。
生産院に公開型の隠匿だが、
そもそもどうやってこうなったかが、本人もわかっていない。
ただ、豆と塩とで、黒い水になっておいしいよ?ということが隠匿される。
今後同じようにお醤油ができないということだ。
偶然もできなくなる。
生産院に公開型だから、内容は把握できる。
が、肝心要の酵母や発酵等が本人もわかっていないから、まねできない。
研究もできない。


「だったら、ゴムもこれでよかったんじゃないの?」
「邪魔されます。」
「あー。」

材料のゴムの樹を買い占めるとかそういうのか。
豆ならどこでも作っている。なるほど。



「豆ソースのお披露目をしようか?
生産院の人たち呼んで。
で、隠匿済ませて帰ってもらおう。そこからボルタオネの人とお話すればいい。
食事が先になるということで。ファンファンが悔しがるかな?
会談の面子だけ来てもらう?」
「かまいませんか?」
「いいよー。ファンファンとテール君たちとはご近所だからね。
豆をコットワッツの領土から全部を賄うことは将来的には無理だ。
米が優先だからね。仕入れ先は分けたほうが、
片方が不作でももう片方から買うことが出来る。
場合によるけどね。」
「メーウーとはまた違った解釈ですね。」
「同じだよ。共同で育てるわけではない。それぞれが独立しているからね。
責任は各自が持てる。共同で作るわけじゃないから。」
「わかりました。」



お醤油をしてもらうのはなにがいいか?
なんだろ?
お刺身?焼き魚?
いや、バター醤油だ。
バター醤油のなにがいいだろうか?
トウモロコシにポテチ?
大根おろしとお醤油もいいな。
あ!貝柱!
あとはやっぱり醤油ラーメンかな?
すき焼きは日本酒がないから駄目だな。
でも、焼肉はいいよね。





ドーガーを使いにやって、料理の準備だ。
ソヤが目を覚ましたので手伝ってもらう。
ポテチがお気に召したようだ。
もちろんお味はバター醤油味だ。

「チョコとどっちがいい?」
「え?どっちか?え?」
「いいこと教えてやろうか?そういうときはどっちもだ。ほれ。」

ポテチにチョコをかけたものを出した。
北海道のお土産で始めた食べたのだが、ほんと恐ろしい子!


「んんんんん!!!!!!」
「どう?」

うん、うん、と首を縦に振るだけだ。

「チョコのお披露目は新年ね。
それまで内緒だよ?」
「?どうして?」
「まだきちんとできてないんだ。ちゃんとできてからね。」
「ふーん。」
「一番おいしいものでみんなに食べてもらいたいからね。」
「そうか!豆ソースも頑張るよ!」
「そう?それはうれしいね。」


お醤油の瓶と、醤油さしも作る。
これはガラスがいいな。


「え?ガラスで?んー、この形状?
できるとは思います。これは姉さんのお願いで?」
「うん。」
「見本があるから大丈夫でしょう。
が、これは出せません。まだ早い。」
「え?そうなの?じゃ、こっちは?これは陶器。
普及型ね。軍曹に言えばすぐ作ってくれると思うよ?」
「これだと、そうですね。いいでしょう。
が、進呈はしませんよ?1リングで売るのですから。」
「うん、販促品だね。販売促進のためのおまけね。」
「わかりました。では、15個ほど。
ソヤ?これの販売収入の5%がお前の物だからな。」
「いいの?」
「もちろん。お前の豆ソースの売り上げだからな。」
「使ってもいいの?」
「もちろんだ。」
「ねーちゃん!あの背負子売って?
あれ20リングって聞いた。
そのお金をいれたら持ってる金と合わせて30リングになる。
全部使うのはダメだからな。
10残しておけばなんとでもなるから。」
「いやいや。ソヤ?豆ソースの開発頑張ろうよ?」
「それはそれだよ。いざとなったらどこでも行けるだろ?」
「わからんでもないけど、その時は先に相談して?ね?約束。」
「ん?わかった。」
「後ろに印をいれてあげるよ?なにがいい?
ソヤの名前でも、なんでも。
豆ソースの印も考えてみ?印があると、
あ!ソヤの豆ソースだってわかるから。
そういうの大事なんだよ?」
「えー。じゃ、考えてくる!」



「20で売るのですか?
姉さんのことだからあげるのかと。」
「それはないな。彼はちゃんと考えてるからね。
甘やかすことはしないよ?が、背負子に守りはつけるけど。
盗まれないように、荷物が軽くなるように。」
「そのほうがいいですね。」
「じゃ、お醤油瓶に詰めてくるね。
あくまでもこれは試作品だ。
販売するとき同じ味になるかは分からないけどね。
この味以上を目指してもらおう。」
「わかりました。」
「わたしが分かるのは、仕込みの時期や、湿度、温度で味は変わる。
温度管理をきっちりして、10年ものとか、20年ものとか?ああ、これはお酒か。
3年ぐらい、だから2年かな?それぐらい置いとくといいらしい。
けど、早出しとかあるからね。
名前を変えればいいかな?好みもあるだろうから。
それと元になる豆や、塩で味も変わるだろうね。
同じにできなくて当たり前。それを同じに近づけるのが技術だ。
樽の木質、炒った小麦、その小麦の種類。
これを記録していくと。それが本来隠匿すべき内容だね。」

後は火入れとか、絞りとか。
知っていることは全てセサミンに。
ソヤと共同で開発して欲しい。


「ええ。わかりました。そこは問題ないです。」
「うん。」
「・・・・姉さん?」
「ん?」
「その、わたしも抱きしめていいですか?」
「いいよー?心配した?」
「はい。」
「ん。」


両手を広げてると、セサミンはぎゅっと力強く抱きしめてくれた。


「よかった、姉さん。よくぞご無事で。」
「ありがとうね。もうこんなことはないから。」
「はい。」
「セサミナ、離れろ。」
「兄さん。お願いします。もうこんな思いはしたくない。」
「わかっている。離れろ。」
「もうちょっと。」
「はーなーれーろー!!」
「え?マティスも入ってくるの?」





「セサミナ様!え?何してるんですか? 」

ドーガーが驚いている。


3人でスクラム組むような感じでぐるぐる回っていたからだ。





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