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471:香水
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「じゃ、厩に行ってきますよ。お話はこのことで?」
「いや、今日は森を案内する予定だろ?軍部と。
その前に石を渡しておこうとな。エデトはあのまま眠っているのか?
あの部屋の前に立ったが、2人の気配だけ。
シリーヌの気配もわかる。いままでは分からなかったのに。
もちろん、部屋は入っていないぞ?
セサミナ殿のお相手はトマイザーとマレイン、わたしで。」
「あの、じーじは。テルマおじいさまの御父上は?」
「ああ、いまは、元老院に戻っている。自分が話したことは覚えていないが、
父が話したことははっきりと。モウ、モウ殿。
わたしはどうすればいいんだろうか? 」
「あー、父ちゃんの恥ずかしい歴史を聞かされたんだね?
それは向こうもそう思ってるよ。
ああ、話したことは忘れちゃってるのか?
ま、知識として使えるものは使って、笑えるものはこっそり笑って。
それでいいのでは?」
「モウ殿、違うんだ!」
「うん、まずはわたしのことはモウ、とだけ。
そして、あなたはわたしの友人だ。エデトがわたしの友人なように、
おじい様と呼んでいるが、友人だ。
困った時ははなしは聞く。聞くだけかもしれないけどね?
それではダメ?」
「・・・いや、それで、十分、ありがとう、モウ。」
「うん。」
「・・・父の、あれの頼みが聞けないと言ったのは?」
「ん?だって、名前も知らない、自己紹介もできない、
そんな人の話はきけんよ?あと好みじゃない。これ、必須条件なんだ。
あ、内緒だよ?」
「・・・・・・あはははははは!そうか!
それが!赤い塊の仕事を受ける条件!皆が知りたがっている条件はそれか!」
「そりゃ、そうでしょ?好みがあるよ。」
「ああ、そうだな、それはそうだ。
では、今一番赤い塊の仕事を多く依頼できているセサミナ殿は
好みなのだな?それと、ガイライ殿は?」
「あ、数まで把握されてるんだ。こわいな。
んー、2人はあれだ、身内だからね。
それに金払いがいい。ほんと内緒ですよ?」
「もちろん。ああ、では、厩に案内しよう。」
「寝なくて大丈夫ですか?」
「ああ、モウが入れてくれたコーヒーを飲んだからな。
それに、この小麦もうまい。大丈夫だ。」
結局ここで、コーヒーと、クレープを食べた。
おかずクレープ。
おいしかったです。
マティスとセサミンは黙って聞いていた。
わたしが何かをするというのは、基本的にマティスとっていいかどうかだ。
その条件は言う必要はない。
じーじを無視したのだ、マティスにとってはいらないということだ。
ただそれだけ。
厩に行くと、4頭が広い場所で走っている。
競馬場?
4頭以外にも駱駝馬、赤馬、ああ、西の馬かな?少し小さい馬もいる。
わたしの姿を見ると、
4頭とあの駱駝馬、アズレもやって来た。
ワッシャ、ワッシャと撫でまくり。
テルマさんが何か言ったのだろう、ここで働いている人たちはなにも言わないし、
遠巻きに見ている。
ん?コクをここで呼ぶの?
厩の陰から出てきてもらおうか?
(コク?おはよう。徹夜でじじたちの身の上話を聞いたらしいね。
お疲れ様。眠くない?)
眠くはならない
(そうなの?で、今アサギリたちと一緒なの、来れるんなら、
建物の陰から登場できる?さすがに人の目があるから)
そうだな。そうしよう
「あ!来た来た!ベタだけど!
コク!こっち!」
アサギリの興奮度がすごい。
アズレは素早く逃げていった。
怖いのか?でも、会合にも出てたし、
食の祭りにも来てたよ?
「黒馬と香馬のちがいだろう。」
名探偵マティスがわたしの思案顔を読み取り教えてくれた。
うん、なんかが違うのね。
「コク!紹介するね。
こっちが勝手につけた名前だけど。4頭でアサギリ。
月が沈んで、明るくなる手前、霧が出ることがあるでしょ?
その時の柔らかい色の毛色だから。
で、アコ、サコ、ギコ、リコ。コはコクのコをもらったよ。
いいでしょ?
で、アサギリ!こちらが、皆さんお待ちかねのコクだ。
うん、君たちも大きいと思ったけど、コクと比べるとあれだね、きゃしゃだね。
たくさん食べて大きくなりなさい。
あ、コク?お水と茶葉食べる?」
水と、お茶葉を出す。
今日は忘れずに月の下で茶葉を刈ろう。
なにか4頭と話しているのだろうか?
皆で、水と茶葉を食べて、その後はじゃれまくりだ。
マティスたちはテルマさんとじっと見ている。
ここで走ろう
「あ!ここで?いいよ。
マティス!ここで、走るから見てて!
セサミンも!
テルマおじい様!ちょっと走ってきますよ!」
トンとジャンプして背に。
きゅっとお尻がフィットする。
高原、緑の大地、草原でもいいがな
まずはここで
手は首元に添えるだけでいい
では行くぞ
速い
これ以上の速さで移動したこともあるけど、風の影響がでないように飛んでいた。
風圧がすごいのだ。
1周どれくらいなんだろ?1km?
それを5周ほど。ああ、気持ちいい。
後ろにアサギリたちも走っている。
終わろう
「はーすごいね。おお、なんかふよふよするよ、
トランポリンから降りたみたい。」
「愛しい人、美しかった。」
「姉さん、ほんとうにきれいでしたよ。黒髪がなびいて、女神でした。」
「くふふふ。そう?それはうれしいお言葉だ。」
また呼んでくれ、もっと走りたい
次はお前も乗ればいい
マティスも乗りたいんだ。
気持ちいいものね。
また、建物の陰に行って帰っていった。
「モウは乗れるのだな。マティスもか?」
「乗れるよ?乗せてもらってる。
今だって、何もしてないもの。あれだね、乗馬って運動量すごいね。
なんか、痩せた気がするよ。あ!ライガーだ。」
ルポイド軍が整列している。トマイザーとマレインもだ。
ニバーセル軍とは違うとわかる。少数精鋭だ。
筆頭と思しき2人もだ。軍所属なんだね。
で、テルマさんは別格なんだ。
森に行く前に、軍の鍛練を見せてもらう。
マティスとセサミンは興味がありそうだ。
わたしもある。女性も何人かいた。へー。
ニバーセルにもマティスの仮入隊時代はいたそうだけど、
今はいない。
腕に覚えがあれば、各院の専属になるそうだ。
ガイライの軍は立場が弱いんだね。もう分隊だけど。
ん!商売の匂いがする!
ブラだ!スポーツブラ!素材はクジラの皮だ。
で、内側にはガーゼ地、汗を吸う。
変装用のようにぴっちりではなく、胸のラインで。
フロントフックがいいだろう。
たぶん、彼女たちはさらしを巻いている。
うん。いいんじゃないかな?
「おじい様?あのクジラ、頂いたクジラって、いつ仕留めて、
どれくらい土に埋めてたんでしょうか?」
「ん?前回討伐のもだ。30日ほどでないか?
ああ、肉はダメだったであろう?」
「肉は研究中です。それより、皮、というか、食べれる肉があって、
皮があって、その下がまた固い肉だったんですが、
その皮もなにも使っていない?膠にとか?」
「使っていないな。膠は鹿から取るな。
ルポイドは香木の国と言われるが、鹿からとる香料も生産品なんだ。
香木チャンナダ、これは有名だ。
アジャコウカの名は聞いたことはないか?」
「ん?」
「アジャコウカ!」
セサミンだけが反応している。そういえば、セサミンもいってたね。
「セサミナ殿はさすがだな。香水の原料だ。それは鹿から取れる。」
あ、ジャコウか!なるほど。ムスクね。
「いえいえ、わたしも不勉強です。
香水の原料、それがアジャコウカなんだ。」
「香水はあるんだね。そうか、ニバーセルの人って匂いに敏感だからね。」
匂いが気になるから香水が発達したおフランスのようだな。
けど、そんな香りを嗅いだことはない。
香水ってにおいがきついイメージがあるけど、ここでは違うのかな。
「香水はなかなか手に入らないものですよ。
王族の一部、中央の上位ぐらいでしょうね、持っているのは。」
「そうだな、価値があるものだ。それが取れる、鹿はこの国だけで生息している。
なので、この国は香木の国、いや、香の国だな。」
「鹿は?飼育?狩り?」
「飼育だ。森の一角で。これは他国のものは案内できない。
例え、モウでもだ。」
「いえいえ、それよりも、その肉は?鹿肉?食べるんですか?」
「あはははははは!なるほど!香水より肉か!
今夜の食事にでるだろう。しかし、期待はしないでほしい。
クジラと比べると固いのだ。うまいことはうまいぞ?」
「おお!鹿肉!楽しみです!」
鹿肉はレトルトのカレーで食べたことがある。
ふーんという感想しかなかった。
・・・・鹿。
食べたことある鹿。
蛇は食べたことがなかったから、そのまま蛇だ、大きさは別にして。
「鹿ってどんな姿でしょうか?」
「ああ、それも秘密なんだ。」
「いえ、でしたら、秘密のままで。」
うん。知らないほうがいいだろう。
「ちなみにその香水ってどんな香り?
お高いんですか?」
「香りを表現するのは難しいな。あとで、持ってこよう。
値段か?そうだな、みながそれ欲しさに金を出す。
1滴を薄めて使う。
100倍で薄めたものを10万ほどで売っているのではないか?」
「・・・それはどれほどの量を?」
「薄めたものの1滴だ。」
「・・・・ルポイドはお金持ち?」
「そういわれるな。」
「ちょっと失礼。」
セサミンを呼び小声で聞く。
「商談は?宝石類は?」
「問題なく。こちらに持ってきたものは全てお買い上げいただいております。
こちらの言い値で。」
「良し!!」
そりゃ、1万で眼鏡も買うわな。
コクと走ったので、森の案内は次回となり、
手合わせをすることになった。
マティスとわたし、相手は筆頭の2人、グリク、フェニラだ。
マティスと連携は取れる。
得物は拳でも棒でも、槍でも。剣でもだ。
相手が槍なので、やはり槍で。
槍先は丸めている。
対戦にあたって、砂漠の民の服は着替えさせてもらった。
赤い塊の服でもない。高原の民風だ。
もちろんマティスとお揃いの。
「はじめ!」
「ハ!!」
礼なく始まる。
カカカカカカと打合い、4人が入り乱れる。
お互いが何を考えているのかが分かるわたし達の方が当然有利。
マティスの肩を踏み台に飛び上がることが出来る。
上空不利ではない。
位置を変えることが出来るから。浮くこと飛ぶことはこの場合禁じ手だ。
が、からだの力の入れ加減次第で、そこから動ける。
「やめい!!」
ガツンと槍尻を打込み、終了の合図。
ここでどちらかが勝つのは対外的にまずいのだ。
「「ありがとうございました。」」
向こうも慌てて礼を。
「ライガー!やろうか!あのときできなかったからな。
槍でも、拳でも。」
「ほんとか!!!」
第2戦
拳がいいというので、槍対拳。
ライガーは防戦一方。
右に左にとわたしは動く。突きが入るが、
その脇を抜け、飛び上がる。
トン
一度はやってみたいシリーズ。
槍先に立つ。
これは浮いてる。悪いけど。
だって、乗った瞬間、重って言われたらいやだもの。
え?っとなったらこっちのもの。
蹴りで撃沈。
「ありがとうございました。」
ライガーの半分は眠りで登場だな。
「見事!」
「姉さん!お見事です!」
「さすが、モウだな。わたしに参ったと言わせた武人だ。」
それ言っちゃっていいの?
ざわついてるよ。
わたしももっと上のGを作らないといけないと思ってるのに。
上のG。名付けてジョージだ。
合わさりの月が出ている間は、
コットワッツは部屋に閉じこもる習慣があるといって、
夕食は早めに。
テルマさんとトマイザーとマレイン、ライガー。
そしてわたしたち3人で、終始和やかに。
エデトの話はでない。
母親が目覚めるということも知らない2人。
鹿肉はあっさりとしておいしい味だった。
ヘルシーなんだよね。おいしいよ。
これは3頭分分けてもらうことに。
「そうだな、モウはたくさん食べると聞いているからな。」
否定はしません。
話はカレーや、ラーメン、アイスやプリン、ハンバーグ。
息子2人はアイスをなんとか分けてもらったそうだ。
仲いいね、ほんとに。
ぜひ、コットワッツに習得に来てくださいという話になった。
月が昇る前、部屋の前におなかに優しい食事を置く。
テルマさんが声を掛けた。
「エデト?起きたか?」
「父上?え?」
「体に異常は?シモーネは?」
「シモーネ?シモーネ!」
「・・・エ、デ、ト様?」
女の人の声が聞こえる。
『エデト!聞こえるな?何もかもすべて話せ!
お前の伴侶に!お前がおもっていたことを!
緑目のシモーネ!お前もだ!お前が選んだ男は、お前を受け入れぬ男なのか?
お前も何もかも話せ!
扉の外に水と食量を置くから、我らがいなくなれば取りに来ればいい。
我は赤い塊。月が沈むまで、2人で過ごせ。』
赤い塊の声で、少し言霊を使って話しかける。
「さ、おじい様。あとはお若いお二人だけでってことですよ。」
「・・・若い。そうだな。これからモウたちは?」
「部屋にこもります。誰も入らなくしますが、心配しないで。
おじい様もゆっくり今日は寝てください。
各国の石、ありがとうございます。鹿肉は明日の出発の時に。
あ、これ、寝酒にどうぞ。秘蔵酒ですよ。
わたしには大人の味すぎて。ちびりと飲んでください。」
ものすごく高いブランデー。レミーマルタンだ。
なんでも飲んでおくものだな。
ガラス瓶ではなく白磁の瓶だ。
確かこんな丸い形だったと思う。
「それはうれしいな。ああ、香水は明日渡そう。
重なり月の日は香りが強すぎるから。」
「そうなんですか?ふふ、月は不思議ですね。
では、おやすみなさい。」
扉を閉めるときにテルマが、
「不思議?・・・そうだな。」
不思議なのに、不思議と思わない。
その方が不思議だ。
「いや、今日は森を案内する予定だろ?軍部と。
その前に石を渡しておこうとな。エデトはあのまま眠っているのか?
あの部屋の前に立ったが、2人の気配だけ。
シリーヌの気配もわかる。いままでは分からなかったのに。
もちろん、部屋は入っていないぞ?
セサミナ殿のお相手はトマイザーとマレイン、わたしで。」
「あの、じーじは。テルマおじいさまの御父上は?」
「ああ、いまは、元老院に戻っている。自分が話したことは覚えていないが、
父が話したことははっきりと。モウ、モウ殿。
わたしはどうすればいいんだろうか? 」
「あー、父ちゃんの恥ずかしい歴史を聞かされたんだね?
それは向こうもそう思ってるよ。
ああ、話したことは忘れちゃってるのか?
ま、知識として使えるものは使って、笑えるものはこっそり笑って。
それでいいのでは?」
「モウ殿、違うんだ!」
「うん、まずはわたしのことはモウ、とだけ。
そして、あなたはわたしの友人だ。エデトがわたしの友人なように、
おじい様と呼んでいるが、友人だ。
困った時ははなしは聞く。聞くだけかもしれないけどね?
それではダメ?」
「・・・いや、それで、十分、ありがとう、モウ。」
「うん。」
「・・・父の、あれの頼みが聞けないと言ったのは?」
「ん?だって、名前も知らない、自己紹介もできない、
そんな人の話はきけんよ?あと好みじゃない。これ、必須条件なんだ。
あ、内緒だよ?」
「・・・・・・あはははははは!そうか!
それが!赤い塊の仕事を受ける条件!皆が知りたがっている条件はそれか!」
「そりゃ、そうでしょ?好みがあるよ。」
「ああ、そうだな、それはそうだ。
では、今一番赤い塊の仕事を多く依頼できているセサミナ殿は
好みなのだな?それと、ガイライ殿は?」
「あ、数まで把握されてるんだ。こわいな。
んー、2人はあれだ、身内だからね。
それに金払いがいい。ほんと内緒ですよ?」
「もちろん。ああ、では、厩に案内しよう。」
「寝なくて大丈夫ですか?」
「ああ、モウが入れてくれたコーヒーを飲んだからな。
それに、この小麦もうまい。大丈夫だ。」
結局ここで、コーヒーと、クレープを食べた。
おかずクレープ。
おいしかったです。
マティスとセサミンは黙って聞いていた。
わたしが何かをするというのは、基本的にマティスとっていいかどうかだ。
その条件は言う必要はない。
じーじを無視したのだ、マティスにとってはいらないということだ。
ただそれだけ。
厩に行くと、4頭が広い場所で走っている。
競馬場?
4頭以外にも駱駝馬、赤馬、ああ、西の馬かな?少し小さい馬もいる。
わたしの姿を見ると、
4頭とあの駱駝馬、アズレもやって来た。
ワッシャ、ワッシャと撫でまくり。
テルマさんが何か言ったのだろう、ここで働いている人たちはなにも言わないし、
遠巻きに見ている。
ん?コクをここで呼ぶの?
厩の陰から出てきてもらおうか?
(コク?おはよう。徹夜でじじたちの身の上話を聞いたらしいね。
お疲れ様。眠くない?)
眠くはならない
(そうなの?で、今アサギリたちと一緒なの、来れるんなら、
建物の陰から登場できる?さすがに人の目があるから)
そうだな。そうしよう
「あ!来た来た!ベタだけど!
コク!こっち!」
アサギリの興奮度がすごい。
アズレは素早く逃げていった。
怖いのか?でも、会合にも出てたし、
食の祭りにも来てたよ?
「黒馬と香馬のちがいだろう。」
名探偵マティスがわたしの思案顔を読み取り教えてくれた。
うん、なんかが違うのね。
「コク!紹介するね。
こっちが勝手につけた名前だけど。4頭でアサギリ。
月が沈んで、明るくなる手前、霧が出ることがあるでしょ?
その時の柔らかい色の毛色だから。
で、アコ、サコ、ギコ、リコ。コはコクのコをもらったよ。
いいでしょ?
で、アサギリ!こちらが、皆さんお待ちかねのコクだ。
うん、君たちも大きいと思ったけど、コクと比べるとあれだね、きゃしゃだね。
たくさん食べて大きくなりなさい。
あ、コク?お水と茶葉食べる?」
水と、お茶葉を出す。
今日は忘れずに月の下で茶葉を刈ろう。
なにか4頭と話しているのだろうか?
皆で、水と茶葉を食べて、その後はじゃれまくりだ。
マティスたちはテルマさんとじっと見ている。
ここで走ろう
「あ!ここで?いいよ。
マティス!ここで、走るから見てて!
セサミンも!
テルマおじい様!ちょっと走ってきますよ!」
トンとジャンプして背に。
きゅっとお尻がフィットする。
高原、緑の大地、草原でもいいがな
まずはここで
手は首元に添えるだけでいい
では行くぞ
速い
これ以上の速さで移動したこともあるけど、風の影響がでないように飛んでいた。
風圧がすごいのだ。
1周どれくらいなんだろ?1km?
それを5周ほど。ああ、気持ちいい。
後ろにアサギリたちも走っている。
終わろう
「はーすごいね。おお、なんかふよふよするよ、
トランポリンから降りたみたい。」
「愛しい人、美しかった。」
「姉さん、ほんとうにきれいでしたよ。黒髪がなびいて、女神でした。」
「くふふふ。そう?それはうれしいお言葉だ。」
また呼んでくれ、もっと走りたい
次はお前も乗ればいい
マティスも乗りたいんだ。
気持ちいいものね。
また、建物の陰に行って帰っていった。
「モウは乗れるのだな。マティスもか?」
「乗れるよ?乗せてもらってる。
今だって、何もしてないもの。あれだね、乗馬って運動量すごいね。
なんか、痩せた気がするよ。あ!ライガーだ。」
ルポイド軍が整列している。トマイザーとマレインもだ。
ニバーセル軍とは違うとわかる。少数精鋭だ。
筆頭と思しき2人もだ。軍所属なんだね。
で、テルマさんは別格なんだ。
森に行く前に、軍の鍛練を見せてもらう。
マティスとセサミンは興味がありそうだ。
わたしもある。女性も何人かいた。へー。
ニバーセルにもマティスの仮入隊時代はいたそうだけど、
今はいない。
腕に覚えがあれば、各院の専属になるそうだ。
ガイライの軍は立場が弱いんだね。もう分隊だけど。
ん!商売の匂いがする!
ブラだ!スポーツブラ!素材はクジラの皮だ。
で、内側にはガーゼ地、汗を吸う。
変装用のようにぴっちりではなく、胸のラインで。
フロントフックがいいだろう。
たぶん、彼女たちはさらしを巻いている。
うん。いいんじゃないかな?
「おじい様?あのクジラ、頂いたクジラって、いつ仕留めて、
どれくらい土に埋めてたんでしょうか?」
「ん?前回討伐のもだ。30日ほどでないか?
ああ、肉はダメだったであろう?」
「肉は研究中です。それより、皮、というか、食べれる肉があって、
皮があって、その下がまた固い肉だったんですが、
その皮もなにも使っていない?膠にとか?」
「使っていないな。膠は鹿から取るな。
ルポイドは香木の国と言われるが、鹿からとる香料も生産品なんだ。
香木チャンナダ、これは有名だ。
アジャコウカの名は聞いたことはないか?」
「ん?」
「アジャコウカ!」
セサミンだけが反応している。そういえば、セサミンもいってたね。
「セサミナ殿はさすがだな。香水の原料だ。それは鹿から取れる。」
あ、ジャコウか!なるほど。ムスクね。
「いえいえ、わたしも不勉強です。
香水の原料、それがアジャコウカなんだ。」
「香水はあるんだね。そうか、ニバーセルの人って匂いに敏感だからね。」
匂いが気になるから香水が発達したおフランスのようだな。
けど、そんな香りを嗅いだことはない。
香水ってにおいがきついイメージがあるけど、ここでは違うのかな。
「香水はなかなか手に入らないものですよ。
王族の一部、中央の上位ぐらいでしょうね、持っているのは。」
「そうだな、価値があるものだ。それが取れる、鹿はこの国だけで生息している。
なので、この国は香木の国、いや、香の国だな。」
「鹿は?飼育?狩り?」
「飼育だ。森の一角で。これは他国のものは案内できない。
例え、モウでもだ。」
「いえいえ、それよりも、その肉は?鹿肉?食べるんですか?」
「あはははははは!なるほど!香水より肉か!
今夜の食事にでるだろう。しかし、期待はしないでほしい。
クジラと比べると固いのだ。うまいことはうまいぞ?」
「おお!鹿肉!楽しみです!」
鹿肉はレトルトのカレーで食べたことがある。
ふーんという感想しかなかった。
・・・・鹿。
食べたことある鹿。
蛇は食べたことがなかったから、そのまま蛇だ、大きさは別にして。
「鹿ってどんな姿でしょうか?」
「ああ、それも秘密なんだ。」
「いえ、でしたら、秘密のままで。」
うん。知らないほうがいいだろう。
「ちなみにその香水ってどんな香り?
お高いんですか?」
「香りを表現するのは難しいな。あとで、持ってこよう。
値段か?そうだな、みながそれ欲しさに金を出す。
1滴を薄めて使う。
100倍で薄めたものを10万ほどで売っているのではないか?」
「・・・それはどれほどの量を?」
「薄めたものの1滴だ。」
「・・・・ルポイドはお金持ち?」
「そういわれるな。」
「ちょっと失礼。」
セサミンを呼び小声で聞く。
「商談は?宝石類は?」
「問題なく。こちらに持ってきたものは全てお買い上げいただいております。
こちらの言い値で。」
「良し!!」
そりゃ、1万で眼鏡も買うわな。
コクと走ったので、森の案内は次回となり、
手合わせをすることになった。
マティスとわたし、相手は筆頭の2人、グリク、フェニラだ。
マティスと連携は取れる。
得物は拳でも棒でも、槍でも。剣でもだ。
相手が槍なので、やはり槍で。
槍先は丸めている。
対戦にあたって、砂漠の民の服は着替えさせてもらった。
赤い塊の服でもない。高原の民風だ。
もちろんマティスとお揃いの。
「はじめ!」
「ハ!!」
礼なく始まる。
カカカカカカと打合い、4人が入り乱れる。
お互いが何を考えているのかが分かるわたし達の方が当然有利。
マティスの肩を踏み台に飛び上がることが出来る。
上空不利ではない。
位置を変えることが出来るから。浮くこと飛ぶことはこの場合禁じ手だ。
が、からだの力の入れ加減次第で、そこから動ける。
「やめい!!」
ガツンと槍尻を打込み、終了の合図。
ここでどちらかが勝つのは対外的にまずいのだ。
「「ありがとうございました。」」
向こうも慌てて礼を。
「ライガー!やろうか!あのときできなかったからな。
槍でも、拳でも。」
「ほんとか!!!」
第2戦
拳がいいというので、槍対拳。
ライガーは防戦一方。
右に左にとわたしは動く。突きが入るが、
その脇を抜け、飛び上がる。
トン
一度はやってみたいシリーズ。
槍先に立つ。
これは浮いてる。悪いけど。
だって、乗った瞬間、重って言われたらいやだもの。
え?っとなったらこっちのもの。
蹴りで撃沈。
「ありがとうございました。」
ライガーの半分は眠りで登場だな。
「見事!」
「姉さん!お見事です!」
「さすが、モウだな。わたしに参ったと言わせた武人だ。」
それ言っちゃっていいの?
ざわついてるよ。
わたしももっと上のGを作らないといけないと思ってるのに。
上のG。名付けてジョージだ。
合わさりの月が出ている間は、
コットワッツは部屋に閉じこもる習慣があるといって、
夕食は早めに。
テルマさんとトマイザーとマレイン、ライガー。
そしてわたしたち3人で、終始和やかに。
エデトの話はでない。
母親が目覚めるということも知らない2人。
鹿肉はあっさりとしておいしい味だった。
ヘルシーなんだよね。おいしいよ。
これは3頭分分けてもらうことに。
「そうだな、モウはたくさん食べると聞いているからな。」
否定はしません。
話はカレーや、ラーメン、アイスやプリン、ハンバーグ。
息子2人はアイスをなんとか分けてもらったそうだ。
仲いいね、ほんとに。
ぜひ、コットワッツに習得に来てくださいという話になった。
月が昇る前、部屋の前におなかに優しい食事を置く。
テルマさんが声を掛けた。
「エデト?起きたか?」
「父上?え?」
「体に異常は?シモーネは?」
「シモーネ?シモーネ!」
「・・・エ、デ、ト様?」
女の人の声が聞こえる。
『エデト!聞こえるな?何もかもすべて話せ!
お前の伴侶に!お前がおもっていたことを!
緑目のシモーネ!お前もだ!お前が選んだ男は、お前を受け入れぬ男なのか?
お前も何もかも話せ!
扉の外に水と食量を置くから、我らがいなくなれば取りに来ればいい。
我は赤い塊。月が沈むまで、2人で過ごせ。』
赤い塊の声で、少し言霊を使って話しかける。
「さ、おじい様。あとはお若いお二人だけでってことですよ。」
「・・・若い。そうだな。これからモウたちは?」
「部屋にこもります。誰も入らなくしますが、心配しないで。
おじい様もゆっくり今日は寝てください。
各国の石、ありがとうございます。鹿肉は明日の出発の時に。
あ、これ、寝酒にどうぞ。秘蔵酒ですよ。
わたしには大人の味すぎて。ちびりと飲んでください。」
ものすごく高いブランデー。レミーマルタンだ。
なんでも飲んでおくものだな。
ガラス瓶ではなく白磁の瓶だ。
確かこんな丸い形だったと思う。
「それはうれしいな。ああ、香水は明日渡そう。
重なり月の日は香りが強すぎるから。」
「そうなんですか?ふふ、月は不思議ですね。
では、おやすみなさい。」
扉を閉めるときにテルマが、
「不思議?・・・そうだな。」
不思議なのに、不思議と思わない。
その方が不思議だ。
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現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。
改稿を始めました。
以前より読みやすくなっているはずです。
第一部完結しました。第二部完結しました。
勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!
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