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375:習得
しおりを挟む楽しい食事会、打ち上げだね。
祭りで聞いた面白い話の報告。
馬さんたちに聞いた、ダカルナとピクトのおいしいもののうわさ。
ご当地の馬は来ていなかったから。
ただ、その2つによく行くという人の馬の話。
本当の行商さんだ。竹籠と孫の手をブラスの加工品?と聞いてきた。
見よう見まねですよ~とごまかす。
イリアスからはやはりメイガの粉、そのスープが売りに来ていたようで、
芋に掛けるとうまいんだと、
ビヤンさんがいい、じゃがいもを売っているところで
掛けて食べる。ここの守衛さんは、だったら、甘芋に乳酪だと
両方を買って付けて食べる。リンゴもだと言えば皆が真似する。
じゃ、あれとこれは?と混ぜて食べるのがここの祭りの基本だと、
誰かが言ったようで、そのような食べ方を皆する。
基本も何も今回が初めての祭りだ。
おにぎりも追加で米を炊く状態。
もちろん、ハンバーガーとラーメンは大反響。
王都のハンバーグ屋さんも来ていたようだ、客として。
セサミンに食って掛かったそうだが、
隠匿を掛けたものと違うと言えば違う。
あれを公開すれば、店でこのタイプも出せるだろう。
最初のタイプを隠匿したまま、今回の物を売るのは聞こえが悪い。
お店屋さんで玉葱入りのものを食べたいし、
ハンバーガーは無しの方がいい。
公開するという話になったようだ。
ラーメンもクッキーも公開した。
ただ、お醤油味はダメだ。なので今回は豚骨ラーメンのみ。
冷蔵庫、冷凍庫のお披露目後、それはいつ売り出すのだと、
皆が興奮したそうだ。
雨の日以降だと言うと、もっと早くしろと怒号が飛び交う。
茸祭りにぜひいらしてくださいとにこやかに返事をしたそうだ。
順調、順調。
樹石の反響も大きかった。
いい意味ではない。やはり樹石を使うことになにかしらの抵抗がある。
しかし、端の村長さんが、五平餅を焼くのに使っているし、
あのラーメンを作るのに使ったのだ、そういうと、それも飛ぶように売れる。
暖炉での使い方も説明。
イリアスの領主とは事前に手紙のやり取りを行ったようだ。
近いうちにこちらに来るという話だ。
羽毛の話も。
端の村、ジュゲム村の村長さんにもすぐに通達が来たそうだ。
できるだけ確保するようにと。領主が直に買い上げるという。
普段より、高めだ。これはコットワッツと談合だ。独禁法で捕まるぞ?
もちろん村長さんたちは確保済み。別の村からも取りに来たそうだが、
余程奥に入らなければ取れない。
コットワッツの樹石もだ。筏があるから取れる。
水を撒いて浮かすから取れる。
今日祭りで樹石の話を聞いたものが湿地に入ってもダメだろう。
あの筏は2人専用にしているから。
しかし、ゆくゆくは領国で管理しないとね。
師匠はこの祭りのこと、内容は全て生産院に報告が行っていると、
焼き鳥をハフハフ食べながら言っていた。
「それ、なにが困りますか?」
「さぁ?地団太踏むくらいじゃないですか?
嫌がらせは来るでしょうね。」
「セサミン?」
「姉さん、心配しないでください。隠匿は掛けれないんですよ。
ゴムもタオルも隠匿は済んでいます。鉛筆もボルタオネの方で掛けています。
樹石は新たな使い方が分かっただけ。
銃のこと、糸のこと。ええ、気をつけます。
過信はしません。姉さんの最初の教えです。」
「うん、わたしの可愛い弟。あなたを守ることは簡単だけど、
それはしないよ?大丈夫だね?」
「ええ、もちろん。」
「うん。ああ、アバサネ君とルコール君は守ってやって。
へんな輩がここをさぐってる。樹石のこともあるしね。
コソ泥っぽいけど。」
「モウ様?近所の人ではないんですか?」
「んー、それもあるけど、あんたたち、最初に樹石を売って、
街で買い込んだでしょ?それで、お金持ってるって思われたんだよ。
駱駝馬買うのに大金見せちゃってるしね。
樹石関係なく、狙われてる。戸締りはきちんとね?
扉を叩き壊してまで襲いに来たんなら、それは、ま、大丈夫だ。
それは容赦はしない。でも、出来心、ってのはなくしたいからね。」
「モウ様、我々も一通りの武芸は習得しています。」
「そうだね、あの棒高跳びはよかったよ?
ニックさん、ちょっと揉んでやってくれます?」
「ん?ぼうたかとびって?棒で?ふーん。それはいいな。
ふふ、知らぬことばかりだな。
良し、えー、アバサ?ルー?まずその高跳びとやらをやってみろ?」
はい、始まりました。棒高跳び大会。
桟橋から毎日、人では飛び越えられないところに筏を置いて
飛んでいるそうですよ?
解説、セサミナ殿?どう思われますか?
ええ、これは安全面においても良い考えですね。
しかし、いくら一通りの武芸を習得といえど、
まさに、表面を撫ぜるだけ。兄上の楽器全般と同じです。
可もなく不可もなく。そこからいかに秀でたものを習得、
いえ、見つけるかですね。
なるほど。マティス殿は剣、セサミナ殿は?
ははは!わたしは齢5つで次期領主を拝命しております。
全てですよ、すべてにおいて習得したと断言できます。
さすがですね。
鍛錬内容にもほぼ、ついてこれていたと記憶しております。
まぁ、剣バカ、鍛錬バカは別次元ということでしょう。
それに知もある。さすがです!さすが我が弟!!
当然です。姉上の弟としてこれからも精進いたします!!
「そこ!なにやってる?セサミナ?お前酔ってるな?」
「あははははは!」
さっきまで、トックスさんと飲み比べをしていたのだ。
そりゃ、酔ってるだろう。
カップ兄弟、湿地組、なんなく飛んでいく。
コットワッツ組、軍部もだ。
マティス、ワイプ、わたしは棒無しで飛べる。
さすが師匠だ。
はいはい、マティスは好き好き大好き。
ツイミ、トックス、オートは見学。
大爆笑で酒盛りをしている。
ここも酔っ払い集団だ。
その棒を持たせて、かかってこいというニックさん。
お!新人くんよりいいんじゃない?よりはね。
「ま、基礎はできてる。ちょっと怪しげだがな。」
毎日の課題を出されている。
ニックさんは教え上手だ。カップ君たちも教わって、
師匠も参加。
「じゃ、ルカリ殿、例の体操をしましょうか?」
バストアップ、ヒップアップ、ウエスト捻り、ワンツー、ワンツー。
酔っ払いたちが湿地でエアロビ。
酔って、軽い運動で汗をかいて、冷たいアイスを食べる。
これは祭りにはまだ出せなかったのだ。
プニカ、リンゴ、モモ、ウリと果物がたくさん乗っている。
飲み物はルポイドのコーヒー。
皆に小さな樽で即売会。
現地で買って、輸送費がかからないから大儲け。
しかし、これは大々的にすると本職さんが困る。
あくまでも、この身内だけだ。
ぼちぼちお開きだ。
子供組はもちろん、
オート君もルカリ殿も夢心地になっている。
資産院組は師匠の家に、軍部は、軍部の鍛練場に送り、
トックスさんは家にダイレクト、セサミンたちは各自で戻れる。
「遅くまでお邪魔してしまったね。明日、いやもうすぐで月が沈むが
ゆっくりできるの?」
「ええ。そのつもりです。」
「鍋に、カンランを使ったスープを作ってあるから
温めて食べろ。」
もちろん、師匠たちにも持たせている。
「マティス様、ありがとうございます。
今度はわたしたちで作る料理を食べに来てください。」
「お!いいね。ぜひお邪魔するよ。
アバサネ君、筏の話もありがとうね。単純なことしかわからなかったから、
ガイライも感心していたよ。」
「いえ、お役に立ててうれしいです。」
「アバサネ、ルコール?ガイライには気を付けろ?
セサミナや、私たちはお前を身内と思っている。
が、ガイライは軍人だ。
その隊長だからな?非情だぞ?それを踏まえて接しろ?
ワイプにも隙を見せるな?」
「うわ、ひどいこと言うね。いや、核心か。
ま、そういうことだわ。ん?」
「あの、驚きました。そうなのですか?
あ、でも、身内と言っていただいてうれしいです。な、ルー。」
「ええ。ガイライ殿、ワイプ殿はその?」
「ああ、本人たちにマティスたちがそう言ってたって言ってみ?
逆に喜ぶよ。あの人たちは仕事に誇りを持ってるからね。
甘えちゃいけないってことだ。だから、無茶なこと言ってきたら、
はっきり断りなよ?」
「そうだぞ。筏の話で、お前たちのことをセサミナに聞いていたからな。
ルコールは手際よく私の手伝いをしてくれてただろ?
軍の厨房に欲しがっていた。
軍に引き抜くかもしれん。
その場合、セサミナはお前たちの気持ちを優先する。
だから、甘い話を持ってきても鵜呑みにするな?」
「なんだ、そんなこと!
まだまだ樹石の売り出しが始まったばかりなのに!」
「あまーい。そのあとのことだよ?ま、選択肢はあったほうがいいけどね。
選ぶのは自分だ。それだけ覚えておいてね?」
「選ぶ。選べるんですね。あははは!ルー、すごいな!」
「そうだな!アバサ!そうだ、なんでもできるんだ。だが、
今やることを一つ一つやっていこうな。投げ出さない。な?」
「そうだ、そうだな。」
「うふふ。おいしものを食べ歩く旅もいいよ?
わたしたちはそれをしてるからね。」
「ああ!それもいい!」
若い子は夢が広がリング。
といってもドーガーより年上だけどね。
ドーガーはボルタオネの彼女たちの家に通いに行くのだろうか?
聞きたいけど、これ以上のおせっかいはダメだな。
さ、当分ゆっくりだ。いつもだけど。
とにかくお風呂入って眠りたいな。
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