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296:なにもしなくていい※
しおりを挟む砂漠石で管を作り、その中に湯を循環させ、
海峡石の空気で勢いよく噴出させているとか。
「もちろん、強弱もつくよ。」
腰にあたって気持ちがいい。
ただ、私の背の高さに合わせたのか、彼女では深すぎるようだ。
「こっちにおいで。抱えてやろう。」
「・・・うん。」
「どうした?」
「うん、そこにね、腰かけて?」
「ああ、ちょうどいいな。?」
彼女が私にまたがって、抱き付いてきた。
のぼせたわけではなのに、顔を真っ赤にしている。
「作ってるときさ、ものすごく、わたしって天才じゃなかろうか?って思たんだけど、
いざ、こう、使う段になると、なんともこっぱずかしいというか、何というか・・・。」
「私が抱きかかえるのが前提なのか?」
「いや、その・・・。」
「・・・。ああ。愛しい人?少し、この流れを弱くして?
ゆっくり入ろう。甘味も食べながら。ね?食べさせてあげる。
あなたはじっとしていて。なにもしなくていい。私に全部させて?」
「うん。」
彼女を抱え、そのまま中に入れる。
ん
動かないまま、じっと。
甘味を呼び寄せる。溶けないように、砂漠石の大きな皿に置く。
「あ、リンゴの器?すごいね。食べたい!あ、うごくと、ん。」
「じっとしていて?何もしなくていい。食べさせたあげるから。」
片手で、彼女の腰を支え、ひと匙すくう。
それを自分の口に入れ、そのまま口移しで与える。
あ、あん、甘い。お酒すごい。ん。
彼女が咀嚼し呑込む間、私は彼女の首筋を舐める。
喉にリンゴが下りていくのを舐める。
下は動かず、リンゴをすくい、口移しに食べさせるときに動くだけ。
そのたびに彼女は、ん、と声を殺し、落ちないように力を入れる。
それが私に伝わる。ゆっくり、少しずつ。
ゆっくり、彼女が酒に酔っていく。
私は彼女に。
抱き合ったまま、つながったまま、たわいない話をしていく。
喉が渇けば、冷たい酒か水を。もちろん口移しで。
凍らせた、皮をきれに向いたリンゴは、指で彼女の口に入れてやる。
もった瞬間に溶けだすので、指先は甘い汁がつく。
それも、きれいに舐めてもらう。
ずっとこのままでいたいが、月が沈む前にニックのところへ、
そのままニバーセル王都に行き、ワイプとの手合わせ。
少し寝かしたほうがいいだろう。
これで終わりだ。
「マティス、マティス。」
先程から、私にすべての体重を預け、名を呼んでいる。
水流も強くしたり、弱くしたり。今はせせらぎのなかにいるような強さだ。
「愛しい人?この流れはそのまま湖へ?」
「んー、うん。一応、きれいにした状態で、流れるようにしたよ?」
「そうか。」
ではこのままでいいな。
彼女の腰をしっかりつかむ。
「そのまま、何もしなくてもいい。
目覚めれば、ニックの宿の前だ。このまま寝ていればいい。」
「ん?寝るの?あ、あ、あん、んんっ」
湯の中で軽くなった彼女を上下に動かす。
ああ、あ、あ、あんあっ
尻にも指を入れ、胸先を噛む。
あーーーー
あっあっ
「愛しい人、さ、お眠り。きれいにして、服を着せてあげるから。」
口づけをすると彼女はうれしそうに微笑んだ。
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