いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
上 下
170 / 863

170:骨格

しおりを挟む


もめた。
案内人が現れ、会場に案内するといわれ、大きな競技場みたいなところにつれていかれた。
わたしの姿を見ても何も言わないのはさすがである。
そこでは、試合をする人と、観戦する人とで別れる。
なのにマティスが嫌がったのだ。
離れたくないと。
で、あげく試合に出ないとごねた。
そこはかっこいいマティスが見たいと言えばすんなり了承したのだが、
今度は席までエスコートするのがワイプというのが許せんと。

「いや、わたし師匠の弟子だけど、おかしくないよね?」
「そうですね、女性を守るというのは男性の役目という考え方はおなじですよね?」
「うん、レディファースト、意味あってる?」
「ええ、同じです。それを思えば、ワイプ様がエスコートするのはおかしくはない。
弟子とはいえ、女性ですから。兄さん、小心すぎますよ?
わたしがすると今度は姉さんの立場が微妙になってくる。
もちろん姉をエスコートするのは問題ない。
しかし、高級官僚とはいえ、一役人の弟子をエスコートするとなるとややこしくなる。
ワイプ様がいるにも関わらずです。」
「もう、マティス!ダーリン!早くいっておいで!
見てる席から投げキッス送るから!こんなの!v!ね?」
「わかった!行ってくる!・・・セサミナ、ワイプ頼むぞ」

「「・・・・・」」

「さ、ワイプ師匠お願いします。」
「はい、わかりました。モウ殿はマティス君の上を行くのですね」
「ふふふ、心配してるんですよ。ほら、向こうにこのドレスの元持ち主と
持ってきた子がいる。ここの娘さんだったんですね。
きちんと女性の恰好をしている。ほら、覚えがありませんか?」
「そういわれてから頑張って思い出そうとしてるんですがね。
・・・ああ、あの骨格、覚えがあります。
確か、何年か前に弟子入りを志願してきました。
なんでも、わたしの鍛錬を見たとかで。
弟子入りというか教えろと命令されましたね。
でも、あの骨格、あの筋肉でしょ?あなたのその体では無理だと断りました。
別に女性だからとかは関係ないんですがね。
それで、今見る限り筋肉がつけてるわけでもない。
なんでしょうか?」
「そうだね、なんだろ?」
「姉さん、ワイプ様、それは、女性だから断られたと思ったのでは?
で、男ならいいと。
どこでどう勘違いしたのかわかりませんが。
なのに、同じような背丈のものが弟子になっている。
しかも、女性で。許せないんでしょうね。」
「えー、迷惑な。」
「そうですね。ならば、筋肉を付ければいいものを。」
「ああ、いい言葉がありますよ。マティスも喜んでました。
”筋肉は裏切らない”どうです?」
「素晴らしい!まさにその通りです。よい言葉ですね!」
「そ、そうなのですか?」


3人で話していると、ファンロがやってきた。
奥方と2人の娘、数人の取り巻きがいる。
気配を消しているものはいない。みな試合にでるのか、
タンタンもいない。試合に出るようだ。

「ファンロ様、なにやら大事になりましたね。御前試合になるとは。」
「ええ、えっと、ところで、そのご令嬢は?」

ご令嬢というキーワード!ちょっとわくわくすっぞ!
が、女どもの視線がいたい。

ワイプ師匠が前にでる。
「はははは、ファンロ殿はご冗談がうまい。
我が弟子、モウですよ。御前試合となりましたので、不敬になってはと
そちらのご息女がドレスを下げ渡してくださったのですよ。
お気遣いはさすが、領国のご令嬢だ。ほら、モウ、礼を述べなさい。」
「はい、お嬢様が下げ渡してくださったおかげで、
こうしてティス、我が夫の雄姿を見ることが出来ます。ありがとうございます。」
「夫?」
そこで奥方は声をあげる?え?狙ってたの?
「ええ、夫婦での同行はなにかと不便で
兄と呼んでおりました。ティスは我が夫でございます。」

にこりとファンロに微笑みを返す。
あ、マティスが笑うなと気を飛ばす。はーい。

わなわなと娘1が声を荒げる。
娘2はこちらを睨みつけるだけだ。

「わたくしはそのようなドレスを下げ渡してはいません!それはわたくしのものです!
盗まれたのです!返しなさい!」
そうくるか。
「見間違えてはいませんか?そのお嬢様の胸の大きさにこのドレスは合いませんよ?
ずり落ちてしまいます。こう、ベロっと。ね?見間違いですよね?」
セサミンと師匠が笑いをこらえる。ひどいな。
お嬢様は顔が真っ赤だ。
「!そ、そうですね。たしかに下げ渡したものですね。見間違えました。
ええ、元はわたしのものです。お返しなさい!」
えー、そういうのありなの?セサミンの顔を見る。
「ははは、何をおっしゃいます。ご令嬢が貴族が下のものに下げ渡したものを返せとは。
ファンロ様と言い、冗談がうまい。
しかし、もし、冗談ではないとすれば、ラルトルガも先が見えますね。」
「もちろん、冗談ですよ。」
「そんな!お父様!!」
「黙りなさい!さ、折角の試合前です。我が剣士もなかなかのものと自負しております。
農耕畜産のラルトルガではない。これからは武と芸術のラルトルガなのですよ。
この競技場も最近作りました。みな、腕をあげているのです。
今日は隣国筆頭のルグ殿、次席と言われるドーガー殿、王都鍛錬のワイプ様の弟子、
これほどの兵がそろうのです。手合わせなどもったいない。
なので、正式な試合とさせてもらいました。それはかまいませんでしょう?」
「ええ、もちろん。我が国の2人がどこまで力を伸ばしたか見るのにいい機会です。」
「そうですね、我が弟子ティスはわたしと手合わせしても終わりがないのでね。
今の力を見るのにいい機会ですね。」
「はははは、なんと余裕のある発言ですな。手合わせを望むものが山と出ましてな、
申しわけないが団体戦で、そちらは好きな時に交代してください。
続行不能となった時点で試合は終わりです。こちらは結局何人望んだんだ?
ああ、ん?剣士全員か?仕方がないな、みな憧れなのでしょうな、がはははは」
?どいうこと?師匠の顔を見る。
「モウ、ここの剣士全員を3人で相手をするということですよ?」
「そんな!何人いるのですか?」
「ああ、200人ですかな?かまいませんでしょう?」





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

異世界隠密冒険記

リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。 人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。 ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。 黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。 その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。 冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。 現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。 改稿を始めました。 以前より読みやすくなっているはずです。 第一部完結しました。第二部完結しました。

勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!

石のやっさん
ファンタジー
今度の主人公はマジで腐っている。基本悪党、だけど自分のルールあり! パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のリヒトは、とうとう勇者でありパーティリーダーのドルマンにクビを宣告されてしまう。幼馴染も全員ドルマンの物で、全員から下に見られているのが解った。 だが、意外にも主人公は馬鹿にされながらも残る道を選んだ。 『もう友達じゃ無いんだな』そう心に誓った彼は…勇者達を骨の髄までしゃぶり尽くす事を決意した。 此処迄するのか…そう思う『ざまぁ』を貴方に 前世のDQNに戻る事を決意した、暗黒面に落ちた外道魔法戦士…このざまぁは知らないうちに世界を壊す。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~

ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ 以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ 唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活 かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし

レベルカンストとユニークスキルで異世界満喫致します

風白春音
ファンタジー
俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》は新卒で入社した会社がブラック過ぎてある日自宅で意識を失い倒れてしまう。誰も見舞いなど来てくれずそのまま孤独死という悲惨な死を遂げる。 そんな悲惨な死に方に女神は同情したのか、頼んでもいないのに俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》を勝手に転生させる。転生後の世界はレベルという概念がある世界だった。 しかし女神の手違いか俺のレベルはカンスト状態であった。さらに唯一無二のユニークスキル視認強奪《ストック》というチートスキルを持って転生する。 これはレベルの概念を超越しさらにはユニークスキルを持って転生した少年の物語である。 ※俺TUEEEEEEEE要素、ハーレム要素、チート要素、ロリ要素などテンプレ満載です。 ※小説家になろうでも投稿しています。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

処理中です...