いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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135:国境

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その日は国境と思しき赤いタイルが埋まっている木のよこで
仕留めたサイ合計15頭の毛の処理をし、また収納した。
扉君を出し、風呂に入り、飯を食い、ラーゼムでの出来事には触れずに過ごした。
ただただ、彼女を求め、彼女も忘れるかのように受け入れてくれた。
完全に寝入ってから、月無し石にあとは頼みセサミナの執務室に移動した。


「え?兄さん!!どうしました?姉さんは?兄さん!!」
セサミナは彼女が大好きなのだ。
私が抱く感情とは違う尊敬の念を持ってくれている。
「家で寝ている心配するな。」
「そうですか。よかった。」
ルグとドーガーも同じように安どの息を出す。
が、いないとわかると露骨にがっかりされた。
「お前もうまくやってるようだな?彼女も喜んでいたぞ?」
「そうですか!今度はぜひ姉さんも来てください。
このように行き来できるのならいつでも歓迎です。」
ルグとドーガーにも移動のことは話してあるのか驚かずに頷いていた。
「ワイプが来ただろう?」
「ええ、資産院の方で資産譲渡には準備に数日いるから
前もって連絡しろという通達と、兄たちの資産譲渡完了通知を渡してくれと頼まれました。
はんばあぐがもうここで食べられないとしってからかなりショックを受けてましたよ?
あとザバスの事を聞いていました。
ザバスのガムをあげたのは兄さんたちですね、
親切な人にもらったと、うまかったので買いに行くと言ってました。
ものすごい宣伝ですね。さすが姉さんだと。?それが?」
「譲渡の時は必ずあいつを立ち会わせろ。
もし、あいつがいなければなんとか理由をつけて日を伸ばせ、それで、
ワイプを立ち会いの条件にするんだ。」
「?早馬で追加の通達が来ました。譲渡の時はその方、副院長ワイプ殿が必ず同席すると。
それ以外は認めないとありました。その意味が解らなかったが、彼は味方なのですね?」
「味方ではない。ただ、立ち会うだけだ。
こちらに不正がない限り、譲渡を認めさせると約束しているだけだ。
普通に資産院の仕事をするだけだ。頼りにするな?」
「・・・はい、わかりました。それを知らせに?」
「ちがう!そんなことはお前なら何とでもするだろ?
ああ、ルグ、ドーガー?ワイプが言っていたぞ?
わたしに似た気を発してる2人がいたと、鍛錬は進んでいるようだな?
だが、所詮似たようなだ、真似はするな。最初はいいが自分の気を練るんだ。そして消せ。」
「「はい!!」」
「あいつは元暗部で、騎士団時代に俺を最後に殺しに来た人間だ。
今の資産院、院長ダード、リップルの伯父だなそれの指示があったと。
おまえが言ってたのはこいつのことだったんだな。
そして今回ダードの命令で片腕片目の兄を始末して来いと言われたそうだ。
そんな気なぞ感じなかっただろ?」
「!!!」

経緯を軽く説明していく。

「ああ!その話もいい!怒りでうまく話せん!
草原に行ったそこでの話だ!彼女が泣いた!!
どうしてくれる!!」

八つ当たりなのが分かるが、仕方あるまい。

「ああ、姉さんなんてことだ。どうしてくれようか・・・
草原の民は元来他人の努力を認めないというか、
他人が10稼げば何もしなくても10もらわないと気がすまないたちなのです。
街に出てきている人間はラーゼムを見捨てたんではなくて見限ったんですよ。
それでも、ゼムはうまく取引はしているようで。そこは商売人の腕でしょう。
サイの価格もわたしが2倍出したんではなくて向こうが先に要求したんですよ?
それでも、メーウーは草原ラーゼムが産地です。
今回の事業の目玉はタオルとゴムもそうですが、温度調整板です。
それにはアイスとプリンが欠かせない。それには乳、メーウー、草原の民です。
メーウーが好む草があの一帯しかないのですよ。草原サイの食べる草もそうです。」
「緑の石を使って、砂漠に草原を作れ!治水はできるだろう?
綿花とメーウーと草原サイの産地を砂漠にしてしまえ!」
「兄さん!よっぽどだったんですね?」
「そうだ、あげく、自分が悪かったと俺にあやまったんだ!セサミナもがんばっているのにとな!!」
「ああ、姉さん。」
「それだけ知っておけ。ああ、サイも仕留めたのを2頭渡す。あいつらからなにももらうな!
価値以上に金を払うな!それだけだ!」

それだけ言い、サイを2頭置いて、寝床に潜る。セサミナにぶちまけたので
幾分すっきりした。明日の朝は久しぶりにホットケーキを焼いてやろう。





「「「はぁぁぁぁぁ」」」
「死ぬかと、なにか言えばとんでもないことになるとそれだけはわかりました。」
「どうしたものか、月が沈んだらすぐにゼムを呼んでおくれ?
ああ、小袋使っていいから、サイを食料庫に。
あいつらも兄上と姉上を怒らせてどうするんだ。いや、怒らすのはまだいい。
悲しませたのが一番の問題だ。姉上を泣かすなど!!乳のことがなければ、切って捨てるのに!!」
「あの、うちの母のはなしですが、小さいころメーウーを飼っていたそうですよ。
メーウーの好物は綿の葉で、あの綿を仲間と思うから、さみしがらないとか。
それが枯れたからなくなく手放したと。
ときどき思い出したように言うんです。今回中庭の向こうに綿畑が広がって、
皆で綿を収穫したあとを見て
メーウーがいればいいのにと、また話をしてたんです。
その時ははいはい、とだけ。
母も時々話が混ざる年になってきましたので信ぴょう性はすくないのですが、
何かと勘違いしてる可能性もありますし。」
「いつでもいいから、母君をここへ、怯えさせるな。すこし話がしたいとだけ。」
「はい」
「ルグ、メーウーを数頭、草原から買ってこい。早馬を使え。
領主の娘が見たいと言ってるとな。
ああ、袋は使えないからな、オスとメスとを買ってこい!2匹ずつだ。
4頭だと乳も出ないから、出し惜しみはしないだろう。」
「わかりました。」
「草原の民の絨毯か、これもいけるかもしれないな。
ルグ、メーウーを買ったあとに偶然そうに何でもいいから大きな絨毯を買ってこい。
できるだけいろいろな色を使ってるものだ。柄はどうでもいい。
金額を聞くんだ、いくらだ?とな。100と言われれば、それはいいな、と。
100のまま金額を変えなければそれでいいが、
金額を間違えたと言って200といってくれば、そうなのか?と言って200渡して買ってこい。
それ以上の金額でもだ。それで姉さんの話をわかってるかどうかわかるだろう。
わかっていなければなにも遠慮すことはない。
同時進行で絨毯の研究も進めよう。
ああ、さすがに500までだぞ?リングは姉上が受け取ってくれなかった
2000リングしかまだないからな。早めに取りに行くか。
欠席の返事を出した会合に出席すると通知を。資産院にもその日に受け取りに行くと出しておけ。」
「はい、お任せを。」
「さ、どうなるか。
しかし・・・サイの焼肉、食べたいな。お前たちも食べたいだろ?サイで焼肉。ビールも出そう。
ドーガー?お前が中心となって、屋敷の者総出であのたれを再現するんだ。
ルグ?道中でサイも正拳付きで狩ってこい!」


「そ、それは無理ですよ!!」






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