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35:返品不可
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コーヒーカップ以外は洗って、棚に片づけ、
2杯目のコーヒーを入れてもらう。
豆を砕きそこに湯を入れる。ドリップではない。フランス式?
沈み切ったら上澄みをのむ。知らずに勢いよく飲むとじゃりっと口に入った。にがい。
静かにね、ずずずーっと飲む。
うん、おいしい。ブラックで十分。でも、練乳入れたい。そんな味。
「あ、扉君が大丈夫そうって。」
思い出し、食事中とは違いなぜか横に座るマティスに報告した。
テーブルにきれいに開いた穴をぐりぐりしている。
何かに使えるかと思ったが、後で考えよう。
「わかるのか?」
「うん。前はびくとも動かなかったけど、さっきは動きそうだったのよ。
でも、重たかったから開けなかった。マティスなら開くと思う。
上に燃えた家の残材が乗ってるんじゃないかしら?
扉君ぶち壊せば外に出れるけど、もうそんなことできないしね。
マティスの力で無理なら、横に穴開けるけど?」
「いや、開けてみよう。いまから出るか?」
「うーん?いまって何時?8時か?月が昇るまでどれくらい?」
「そうだな。」
マティスは暦を見てカレンダーを見てから
「一緒に風呂に入って、今ぐらいの時で月が昇る。」
「んー?分からんな?月はそんなに不規則に昇ったり沈んだりするの?」
「合わさりの月から離れはじめの月までは短い。そこから長くなる。」
「余計にわからん。とにかく、あと5時間ぐらいねってことね。
月が昇ったら外に出よう。もし見張りがいても夜の砂漠にはいないでしょう。」
「そうだな。それまではまた風呂に入ろうか?」
「いや、そこに行っちゃうといつまでたっても外には出れんよ?それに、
ちょっと、塩とか作りたい。作業部屋を作ろうかなと。」
「塩を作るのか?それだけでも食べていけるな。しかし、ここにずっと暮らすのか?」
「いや?どこか違う砂漠に行くってゆってなかった?わたしもついていくつもりなんだけど?
今更返品不可だよ?」
「もちろん連れていく。ならばこの空間はどうするんだ?風呂も便所もその作業部屋も。」
「あ、持っていくよ。がばちょと」
「・・・そうか。ガバチョね。・・・次の飯はいつ食べるんだ?」
「えーっと、今8時で、外に出るのが13時。外に出るちょっと前くらいに
お願いしたいです。量は朝ご飯ぐらいで。マティスがいらないならいいよ?
朝か、昼抜くことは多かったし。あ、朝ごはん、おしかったね。量もちょうどだったよ。ありがとう。」
「いや、あのくらいの量なら、俺にもちょうどいい。うまかたんならよかった。
次はもう少し手の込んだものを作ろう。外に出るなら、少しは食材を確保できるからな。
いま、多少使っても問題ない」
「・・・俺の嫁は世界一。」
「ん?なんて?」
「いや、何でもない。んじゃ、ちょっと作ってくるね。」
これ以上ここにいると襲いそうになる。
世の新婚家庭の旦那さんはよく嫁を家に置いて仕事に出かけれるものだ。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
軽くでいいとのことなので、干し肉でスープを作り、
小麦を水で溶いたものを薄く丸く焼き、ゼムの持ってきたハムを巻いた。
これはあまり日持ちはしないのだが、保管庫にいれておけば良いらしい。
野菜がないが、酢漬けでいいだろう。サボテンが欲しいな。
コーヒーは飲めるのだろうか?一応用意する。
これも石鹸と同じで金をつぎ込んでいるものだ。
カップはいずれ新調しよう。砂漠石で作ってもいいが、少し味気ない。
タロスのものを私が使い、私が使っていたものを彼女に使ってもらうことにする。
狭量のような気がするが、そんなものだと思う。
扉君?のほうから戻ってくると、いきなり頭をこすりつけてきた。
「マティス、2人で幸せになろう。」
その言葉を理解するのに時間がかかった。
不思議な音階で力を使い、トレーを出し
料理を持っていく。慌てて、コーヒーを淹れ、テーブルに着くと、
何とも言えない顔をカップを受け取った。
「いやらしい顔になってるぞ。」
「失礼な。さっきのマティスはかわいかったよ?」
男前な笑みを寄こしそういった。
体が熱くなるのが分かる。
先ほどの言葉を確かめたくて、すこし噛みながら聞くと、
ひとりで生きていくと表情なく話していた彼女が
笑顔で、私といれば幸せになれると言ってくれた。
私もだ。
ああ、タロスに報告したい。
ゼムに自慢したい。
2人で幸せになるのだ。
うん、と頷いた彼女がかわいらしい。コーヒーにむせる姿も。
何もかもがかわいらしかった。
味は気に入ったようなので、もう一杯いれる。
豆を砕いているあいだに、他の食器を片付けてくれた。
言霊を使うのかと思ったが、これくらいはできるよと手早く片していく。
テーブルに戻り、離れて座るのが嫌で、横に座った。
目の前に飴玉より少し小さいくらいの穴が開いていた。この大きさのものが
貫通したのか?当たり所が悪ければ、言葉も出せずに死んでしまう。
どうすればいい?穴をいじりながら考えていると、
うまく飲めるようになった、コーヒーを満足げに味わいながら、外に出れるといった。
扉君?が動くらしい。確実に見張りなどいない月が昇ってから出ることになった。
それまでの間、また2人で風呂に入りたかったが、すべなく断られた。
ほかの砂漠に行く話も、了承してくれていた。この快適な空間ももっていくらしい。
タロスの木もいいだろうか?もうしかして燃えてしまっているかもしれん。
残っていれば、頼んでみよう。
まずは次の飯だ。
よく食べるものだとおもったが、
あのくらいの量ならそんなものだろう。
もう少し手の込んだものを食べさせたやりたい。
小さな声で何か言ったが聞き取れなかった。
なんだと聞いたが何でもないと、扉君?のほうに向かっていった。
なんだろう?悪い感じはしなかったので、良しとした。
2杯目のコーヒーを入れてもらう。
豆を砕きそこに湯を入れる。ドリップではない。フランス式?
沈み切ったら上澄みをのむ。知らずに勢いよく飲むとじゃりっと口に入った。にがい。
静かにね、ずずずーっと飲む。
うん、おいしい。ブラックで十分。でも、練乳入れたい。そんな味。
「あ、扉君が大丈夫そうって。」
思い出し、食事中とは違いなぜか横に座るマティスに報告した。
テーブルにきれいに開いた穴をぐりぐりしている。
何かに使えるかと思ったが、後で考えよう。
「わかるのか?」
「うん。前はびくとも動かなかったけど、さっきは動きそうだったのよ。
でも、重たかったから開けなかった。マティスなら開くと思う。
上に燃えた家の残材が乗ってるんじゃないかしら?
扉君ぶち壊せば外に出れるけど、もうそんなことできないしね。
マティスの力で無理なら、横に穴開けるけど?」
「いや、開けてみよう。いまから出るか?」
「うーん?いまって何時?8時か?月が昇るまでどれくらい?」
「そうだな。」
マティスは暦を見てカレンダーを見てから
「一緒に風呂に入って、今ぐらいの時で月が昇る。」
「んー?分からんな?月はそんなに不規則に昇ったり沈んだりするの?」
「合わさりの月から離れはじめの月までは短い。そこから長くなる。」
「余計にわからん。とにかく、あと5時間ぐらいねってことね。
月が昇ったら外に出よう。もし見張りがいても夜の砂漠にはいないでしょう。」
「そうだな。それまではまた風呂に入ろうか?」
「いや、そこに行っちゃうといつまでたっても外には出れんよ?それに、
ちょっと、塩とか作りたい。作業部屋を作ろうかなと。」
「塩を作るのか?それだけでも食べていけるな。しかし、ここにずっと暮らすのか?」
「いや?どこか違う砂漠に行くってゆってなかった?わたしもついていくつもりなんだけど?
今更返品不可だよ?」
「もちろん連れていく。ならばこの空間はどうするんだ?風呂も便所もその作業部屋も。」
「あ、持っていくよ。がばちょと」
「・・・そうか。ガバチョね。・・・次の飯はいつ食べるんだ?」
「えーっと、今8時で、外に出るのが13時。外に出るちょっと前くらいに
お願いしたいです。量は朝ご飯ぐらいで。マティスがいらないならいいよ?
朝か、昼抜くことは多かったし。あ、朝ごはん、おしかったね。量もちょうどだったよ。ありがとう。」
「いや、あのくらいの量なら、俺にもちょうどいい。うまかたんならよかった。
次はもう少し手の込んだものを作ろう。外に出るなら、少しは食材を確保できるからな。
いま、多少使っても問題ない」
「・・・俺の嫁は世界一。」
「ん?なんて?」
「いや、何でもない。んじゃ、ちょっと作ってくるね。」
これ以上ここにいると襲いそうになる。
世の新婚家庭の旦那さんはよく嫁を家に置いて仕事に出かけれるものだ。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
軽くでいいとのことなので、干し肉でスープを作り、
小麦を水で溶いたものを薄く丸く焼き、ゼムの持ってきたハムを巻いた。
これはあまり日持ちはしないのだが、保管庫にいれておけば良いらしい。
野菜がないが、酢漬けでいいだろう。サボテンが欲しいな。
コーヒーは飲めるのだろうか?一応用意する。
これも石鹸と同じで金をつぎ込んでいるものだ。
カップはいずれ新調しよう。砂漠石で作ってもいいが、少し味気ない。
タロスのものを私が使い、私が使っていたものを彼女に使ってもらうことにする。
狭量のような気がするが、そんなものだと思う。
扉君?のほうから戻ってくると、いきなり頭をこすりつけてきた。
「マティス、2人で幸せになろう。」
その言葉を理解するのに時間がかかった。
不思議な音階で力を使い、トレーを出し
料理を持っていく。慌てて、コーヒーを淹れ、テーブルに着くと、
何とも言えない顔をカップを受け取った。
「いやらしい顔になってるぞ。」
「失礼な。さっきのマティスはかわいかったよ?」
男前な笑みを寄こしそういった。
体が熱くなるのが分かる。
先ほどの言葉を確かめたくて、すこし噛みながら聞くと、
ひとりで生きていくと表情なく話していた彼女が
笑顔で、私といれば幸せになれると言ってくれた。
私もだ。
ああ、タロスに報告したい。
ゼムに自慢したい。
2人で幸せになるのだ。
うん、と頷いた彼女がかわいらしい。コーヒーにむせる姿も。
何もかもがかわいらしかった。
味は気に入ったようなので、もう一杯いれる。
豆を砕いているあいだに、他の食器を片付けてくれた。
言霊を使うのかと思ったが、これくらいはできるよと手早く片していく。
テーブルに戻り、離れて座るのが嫌で、横に座った。
目の前に飴玉より少し小さいくらいの穴が開いていた。この大きさのものが
貫通したのか?当たり所が悪ければ、言葉も出せずに死んでしまう。
どうすればいい?穴をいじりながら考えていると、
うまく飲めるようになった、コーヒーを満足げに味わいながら、外に出れるといった。
扉君?が動くらしい。確実に見張りなどいない月が昇ってから出ることになった。
それまでの間、また2人で風呂に入りたかったが、すべなく断られた。
ほかの砂漠に行く話も、了承してくれていた。この快適な空間ももっていくらしい。
タロスの木もいいだろうか?もうしかして燃えてしまっているかもしれん。
残っていれば、頼んでみよう。
まずは次の飯だ。
よく食べるものだとおもったが、
あのくらいの量ならそんなものだろう。
もう少し手の込んだものを食べさせたやりたい。
小さな声で何か言ったが聞き取れなかった。
なんだと聞いたが何でもないと、扉君?のほうに向かっていった。
なんだろう?悪い感じはしなかったので、良しとした。
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