いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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11:どうするか

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「・・・おい、おい!」

黙り込んだわたしにマティスが声をかける。

「ん?なに?あ、トイレ?」
「といれ?なに?」
「あー、便所?おしっこ?」
「・・・ちがうっ!こともないが、だいたいここはどこなんだ?
安全な場所というのは?」

再び廻りをキョロキョロしだすが、どう説明したものか?ま、うそを言う必要もない。

「あんたの家の地下だよ。安全な場所~っていう願いでね。
 明かりがないのに見えるのも願い。家具もどきは不思議石じゃなくて砂漠石と土から作った。
 ほとぼりが覚めるまでここにいてもいいかな?と思ってたんだけど、
 雨が降ったら、たぶん浸水する。防ぐと空気もなくなる。
 トイレとかお風呂とかも考えてなかった。わたしはいいけど、あんた出すものね?
 それに、お風呂に入りたい。」
「雨はこの時期降らない。1年に一度だ。」
「1年っていう長さが分からんのよ。1年に何回月は昇るの?」
「それも違うのか?月は40回に一度合わさりそれが18回。それから雨が降ってやめば1年だ。」
「?雨はどれくらい降るの?」
「決まっていない。長い時もあれば短い時もある。月が昇らないので何日とは言えないが、10回は寝る。」
「うわー、時間って大事だねって改めて思うよ。年齢もわたしの感覚とはちがうんだろうね・・・」
「ほんとうに別の世界の人間なんだな。
 風呂は同じなのか?といれ?便所のことか?それはおなじ?
 ここは家の地下なのか?すごいな。石使い以上だな。
 ・・・しかし、外の様子はわかるか?だれかまだいるか?」
「さすがに、気配とかはわかんないよ。音はするからまだ誰かいるんじゃないの?
 あのままほっといたら確実に死んでるよ?で、この世界でも死んだら体は消えるの?
そのまま残るよね?んで、上でガサゴソ音がしてるのは遺体を確認してたんじゃないかな?
ここへの入り口は消してるから見つからないけど。遺体もどきを作る?死んだことにしたいの?」
「いや、遺体がないとなったら、あいつはどこかで俺が生きていることに不安を覚えるだろう?
 それでいい。でも、ずっとここにいるわけもいかないだろう?
 誰もいなくなったら外に出たい。」
「わるい兄ちゃんですな。それぐらいのことをしたって罰はあたらんよね。
じゃ、扉君にお願いしておこう。んで、トイレ、あ、お便所ね。それは隅っこに作っとくよ。
物はどこかに消えるように。あー、外人さんが驚く温水洗浄装置もつくってみようか?
自動で便座が上がるような機能も。」
「扉君ってだれ?温水洗浄装置?意味は分かるがそれが便所にいるのか?わからん。」
「くふふふ、いいよ、出来上がってからのおたのしみ♪扉君は扉君ですよ。」

『扉君、君の事だよ、わかるよね?誰もいなくなったら教えて。』

入ってきた扉に向かって力を込めて少し大きめの声でお願いした。
なんとなくだが了承されたのがわかる。
わぉ、擬人化?すごいね、この世界。

マティスはキョトンとしていたが、画期的なトイレを作らなくては、と、早速取り掛かった。
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