6 / 863
06:外れトカゲ
しおりを挟む合わさりの月というのは今日の月の事だろうな。
2つが完全に重なり、いつもの数倍明るい。
そのまま、砂漠に向かって飛んでいくと、
一カ所だけキラキラ光る場所があった。
いつもと違う爆裂音とともにスイカの種をとばすがごとく、
砂から砂漠石が飛び出してきていた。
え?取り放題じゃないの?
と疑問に思ったが、音がやむと同時にどこからともなく人が現れ、
無心に拾い集めていた。
砂トカゲは夜にはでないのか、姿は見えない。
拾っている人たちは、マティスと同じような風体だ。
街の人達かな?
これだけ簡単に集められるんなら、
マティスの商売あがったりなんじゃないの?
形もマティスの集める雲母のかけらではなく、
少し細長い、丸みを帯びたものだ。ヒマワリの種より少し大きいぐらいかな?
それ一つで数日の生活と毎日のお風呂も賄えそうだ。
球体であの大きさは珍しかったんだ、
あの商人の興奮ぶりに納得がいく。
20人ぐらいの人間が一通り集め終わると、
それを先ほどから仁王立ちしている男へ渡していた。
一人ずつ、数を確かめるように受け取っていく。
歩合制なのかな?
それを一纏めにして今度は後ろの天幕の中の人に恭しく差し出した。
砂漠石の管理はお貴族様の仕事と言っていたので、そういうことなのだろう。
だから、合わさりの月の夜は砂漠に入ってはだめなんだ。
独占なんだな。
お貴族様らしい人が、集めた砂漠石を確認していた。
「これだけか?」
「はい、間違いありません。」
「混合いの数日まえに大きな振動があったが、その影響か?」
「わかりません。そもそもあの振動が何だったかもわかっておりません。
その日すぐに砂漠に調査隊を向けましたがなにも発見できておりません。」
「ふん、すぐにと言っても、ここまでは時間がかかろうて。
そのあいだに砂丘も姿を変える・・・外れトカゲは相変わらずか?」
「出入りしている商人ゼムも混合いの日に訪れ、
いつもより少し多めの食料を置いて帰っています。
引き取った砂漠石のかけらはいつもと同量です」
「あの振動で多く手に入るとおもって準備したが、引き取ったものは同量か?」
「知古の間柄なので、石の量にかかわらず置いていったものかと。」
「商売人がそれではなりたたないであろうが!いますぐトカゲのもとに行くぞ」
「承知いたしました。」
うーん、大きな振動ってのは最初にやらかしたあれだよね?
それで大きな砂漠石を取ったから、
合わさりの日に砂漠が吐き出す量が減ったってこと?
不思議現象だねって流せばいいのに。
外れとかげってのはマティスのことで、商人はゼムさんか。
仕入れ量とか把握してるんだね、こわっ。
どうする、先に知らせてやるか?あの人数で移動するなら、
家に着くのは月が沈み切る前か?
ここの世界もだいぶわかってきたから別の場所に移ってもいいけど、
ちょっと気になるし、
様子だけみてそれが終わったら、街に行こうかな。
うん、そうしよう。
家に戻ると、マティスは起きていたようだ。
暴れまくったのか、部屋がめちゃくちゃだ。
わたしを探しまくったのかな?
いやだな、声かけるの。
22
お気に入りに追加
368
あなたにおすすめの小説
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
異世界隠密冒険記
リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。
人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。
ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。
黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。
その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。
冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。
現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。
改稿を始めました。
以前より読みやすくなっているはずです。
第一部完結しました。第二部完結しました。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
レベルカンストとユニークスキルで異世界満喫致します
風白春音
ファンタジー
俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》は新卒で入社した会社がブラック過ぎてある日自宅で意識を失い倒れてしまう。誰も見舞いなど来てくれずそのまま孤独死という悲惨な死を遂げる。
そんな悲惨な死に方に女神は同情したのか、頼んでもいないのに俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》を勝手に転生させる。転生後の世界はレベルという概念がある世界だった。
しかし女神の手違いか俺のレベルはカンスト状態であった。さらに唯一無二のユニークスキル視認強奪《ストック》というチートスキルを持って転生する。
これはレベルの概念を超越しさらにはユニークスキルを持って転生した少年の物語である。
※俺TUEEEEEEEE要素、ハーレム要素、チート要素、ロリ要素などテンプレ満載です。
※小説家になろうでも投稿しています。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
姫騎士様と二人旅、何も起きないはずもなく……
踊りまんぼう
ファンタジー
主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです
(カクヨム、小説家になろうでも公開中です)
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる