マグナムブレイカー

サカキマンZET

文字の大きさ
上 下
142 / 169
第4章 覇気使い四天王。

第142話 眼鏡社長登場。

しおりを挟む
「うん、その件はまた別の機会で提案してくれないかな? 今は焦らず、じっくりと終わらせられる仕事をやろう」

 ヘリコプターの機内で優しい口調で通話をする男がいた。

「社長! 竹島様が負けました。これで副社長も含めて全滅です」

 そこへパイロットから通達があり、男は口をつぐむ。
 少し考えた後、優しく微笑む。

「……そうか負けてしまったか。仕方ないね……分かった。降りるから準備してくれるかな?」

「はい! おい、社長が降りるから梯子を用意しろ!」

「ラジャ!」

「これも社長の役目だからね」

 目を保護する為、ゴーグルを着用し、ドアはスライドさせて……

「いってきます!」と言いながらパラシュートも梯子を使わずに飛び降りたのだ。

「社長、パラシュートも梯子も使わずに飛び降りたよ」

「またか! あの人は何時になったら危機感を覚えるんだ! 飛行している間は危険だから飛び降りるなって!」

 パイロット同士が社長の行動に対し、呆れては怒っていた。
 だが、それは悪意なんてなく、ただ純粋に楽しんで言っていた。


「品川、気をつけろ。またヘリコプターから何か投下されたぞ」

 忍の忠告に品川は上空へ目を向ける。
 上空には人影があり、大の字で此方へ落ちてきていた。

「あ、あの人またか」

 人質にされている奴が、緊張感もないすっとんきょうな声で反応する虹矢。

「知り合いか? まあ、お前の反応を見てれば四天王の一人かもしれんな」

「いや、あの人は四天王の一人ではないな。まあ、すぐに分かる」

 喋っている内に、人影はパラシュートも開かずに静かにと着地していた。
 その静かな着地だけで忍と品川は一緒に動き、人影から大きく離れる。

「うん、相手の間合いに入れらないのは鉄則。二人共、ちゃんとしてる。けど、そこのサングラス野郎だけは始末しておきたかったな……次は外さないよ」

 人影が太陽で照らされ正体が露になる。
 銀色のスパイキーショートヘアー、瞳は外国人特有の輝くサファイア、アンダーブローフレームの眼鏡、二枚目な顔の男。
 そして品川と同様な皮手袋、薄い紺のスーツ上下、中には水色のワイシャツ、ジレベストを装着。
 以下にも出来るビジネスマンスタイルだった。

「……コイツ」

「無闇に近づくな」

「あはは、遠慮しないで来なよ。君を見くびるつもりはないから……殺し合わない・・・・・・ように戦おうよ」

 その男は笑顔で平然と品川とっては舐めた事を発言された。
 でも、男が言っている事は正論である。殺し合わないのは人間の法律であり常識だからだ。
 けれど、その感覚が麻痺し始めている品川には通用してないのだ。

「社長。そんな軽い調子で来ないでください」

 忍が離れた事により自由となった虹矢は立ち上がり、社長の所まで接近する。

「あはは、でもさ今さっき面白い話してたよね? 誰かを人質にしてるとか?」

 その言葉に虹矢の表情は発汗させ強張り、沈黙してしまう。

「困るんだよね。君の私情で一般人を監禁してるなんて、こっちとしても見過ごす訳にもいかないじゃん。それに竹島くんが倒れているのは何で?」

 社長は笑顔のまま虹矢へ追及する。

「竹島は、そこにいる品川修二に負けました。私が今拘束している人質に合わせる事を約束として、正々堂々と戦い……負けました」

「だよね~? じゃあ何で何時までもここにいるの? 朝食はテーブル蹴られて終わったよね? そして品川修二くんにも負け、更には人質にしていた木戸さんも神崎忍から奪われた。そして勝手な約束もした……それじゃあ、その勝手な約束を果たさないといけないよね?」

「し、しかし……」

「虹矢くん、仕事を失敗する事はあくではないよ。その仕事が完璧じゃなくてもいいんだよ。完了・・させてないのが問題なんだよ。これ以上、何か醜態を晒したい所があるなら社長室で聞くよ?」

 もう完全に威圧され虹矢は縮こまり何も反論できなかった。

「……それでは準備してきます」

「それと竹島くんもヘリコプターに乗せて、病院に連れて行ってあげてね……業務終了後、虹矢副社長は残業として社長室に来るように」

「……分かりました」

 虹矢は直ぐ様、社長の言葉通りに行動し始めた。ヘリコプターから垂れてきたタンカーに竹島を入れ、暫くしてから虹矢も梯子でヘリコプターに乗り込む。
 残されたのはペストマスクと社長、品川と忍だけだった。

「うん、これで二人ずつになった……というよりペストマスクさんは何処の方かな?」

 どうやら社長はペストマスクとは面識がなく、どっちの味方かと尋ねた。

「虹矢清張を助ける為に上司から命令された。貴殿が先に来てくれたら、私はボロボロにならずに済んだのですが……」

「あぁ、すまない。うん、じゃあこうしよう。クリーニング代は支払います。そして虹矢に代わって私が報酬+チップも弾みます。それでこの場を収めませんか?」

「……よいだろう。上司もそれで了解した……だが、あの悪魔二人は始末しないといけない。貴殿は、協力してくれるか?」

「駄目ですよ。この場を収めるという事はコレ以上は手出し無用でお願いしますの意味です」

「……分かった。けど、見ていく。貴殿の実力ならアイツ等に勝てるだろう」

「あの赤髪の子は始末しませんよ。私が始末したいのは……失礼」

 社長はペストマスクのマントからナイフ数本を拝借し、忍へ向けて投げたのだ。
 投擲されたナイフを忍は平然と指で挟み止めた。

「あのイケ好かないサングラス野郎だけですから」

「おい、忍。アイツに何した?」

「知らん、パーティー会場でも見たことのない顔だ。恨み買うなんてことは……」

 思い当たる節があり過ぎて、どれがどれなのか分かってない忍だった。

「まあ、分かってるのはアイツが『アトラス財団』の社長、高島陸って事ぐらいだな」

 ただ一つ判明しているのは相手が油断ならない『アトラス財団』の社長、高島陸たかしまりくである事に二人は内心確信していた。

「グラサン野郎以外に覚えてもらえるのは光栄だよ。どうかな? 私は神崎忍が標的なんだ。ここは一時的な契約社員として私と一緒に……」

「断る!」

「早いね! でも良いよ。君のこと嫌いじゃないから諦めないよ!」

 なんという諦めないスカウト根性。
 普通なら無言か怒るかのどちらかなのに対し、高島だけ楽しみながら笑顔で対応する。

「あのスカウト根性だけは俺も見習わないとな……」

 蚊帳の外扱いな忍は、ソレしか感想が言えなかった。

「まあ、君はスカウトしたから許してくれるっていう人間でもないし、身体も熱くなって冷めない状態だし、交渉は決裂した……じゃあ面倒だけど、男なら分かりやすい喧嘩・・でもしようか?」

 軽はずみな態度で高島は発言した同時に、目前へと炎を纏った右拳が飛翔してきた。が、拳は目前で停止していた。

「!?」

 仕掛けた品川には訳が分からず困惑する。

「いい殺気だよ。うん、コレが明確な殺意……閻魔光さんに教えてもらったのかな? でもね、私は魔導使いじゃないし、悪魔じゃないから……文明人らしくいこうよ。殺し合いなんて、そこのグラサン野郎だけで十分だよ」

「テメェさっきから、うるせぇんだよ! グダグダ説明口調で話やがって! 戦う気あんのか?」

 高島の態度に嫌気が差し、力で黙らす為に攻撃行為だが、それすら静止されて屈辱を味わう。

「馬鹿にしてないよ。説明口調は昔からだよ……いきなり治せなんて……そんな態度じゃ女の子にモテないよ?」

 高島が気安く品川の右肩に左手で置いた瞬間、長かった髪の毛が一瞬にして短髪となり、整えられていた。

「美男子の秘訣は清潔感があることだよ。そんな汚い長い髪の毛じゃ……前を向いて歩けない・・・・・・・・・じゃないか」

 その言葉を聞いて品川の目は驚愕へと染まり、高島をジッと見る。

「な、なんでその言葉を……」

「あはは、知ってるんだ。じゃ尚更、君を守らないと……我がよ」

 今、明かされる衝撃の真実だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

思い出を売った女

志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。 それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。 浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。 浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。 全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。 ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。 あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。 R15は保険です 他サイトでも公開しています 表紙は写真ACより引用しました

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

処理中です...