マグナムブレイカー

サカキマンZET

文字の大きさ
上 下
65 / 169
第2章 魔導使い襲来。

第65話 第二戦、因縁の対決。中分けと破壊者。

しおりを挟む
 次の部屋へ六人は辿り着き、今度は吹雪が扉を開けた。その部屋の中心にも一つだけ玉座があり誰かが座っていた。

「今度は誰だ?」

「…久し振りだな、品川修二。」

 吹雪の問いに対し、答えたのは嬉しそうに修二を見ていた幻魔だった。

「幻魔、いきなりお前か。」

「あぁ、順番で決まった。首を長くして待ってたぜ、もう戦いたくてウズウズしてたんだよ! さあ、早く殺り合おうぜ。『地獄』で、どれだけ強くなったのか!」

「…皆、行ってくれ。幻魔の相手は俺がする。コイツとは少し因縁があるからな。」

「ちゃんと来いよ。」

 吹雪は無事に追って来いよと約束させ、先へと走って進んだ。

「…頼んだよ品川。」

 アルカディアを除いた三人は後を頼み、先へと進んだ。

「品川修二、ここは私も残ろう。神崎忍なら確かに実力はあるが、君は普通の人間だ。二人で協力して…」

 アルカディアは修二が心配なり、一緒に残って幻魔と戦おうとしていた。が、修二はアルカディアを静止していた。

「…悪い。アルカディアさん、自分のケツは自分で拭かねぇと気がすまねぇからよ。ここは俺にやらせてくれ、俺の勝手な願いだけどよ。」

「……分かった。すまない、若い者に頼ることしかできないとは…。」

 アルカディアは自分の力不足を悔い落ち込んでていた。守るべき人間を凶悪な悪魔と戦いに任せるしかなかったからだ。

「気にすんな。アルカディアさんが落ち込む事ねぇよ、これは俺と幻魔の喧嘩だ。殺し合い程度ですませる気はねぇからよ。」

「そう言う事だ。天使はさっさと次の部屋へ行け、そこにいると確実に殺すぞ?」

 珍しく幻魔は修二とのタイマン勝負に同意し、アルカディアを邪魔者扱いしていた。

「…また会おう。」

 アルカディアは修二との再会を約束し、輝の後を追って先へと走り進んだ。

「うるさい奴は消えた。さっさと殺り合おうぜ、品川修二。どれだけ待ち焦がれたか! 閻魔光の力を受け、神崎忍と共に強くなったテメェをーー殺せると考えるとな!」

 幻魔は立ち上がりながら、嬉しそうな表情で玉座を即座に破壊し、強くなった修二へ語っていた。

「やられた分はキッチリ返させてもらうぜ。お前にボコボコにされた分と、俺が煽られた分だけな。」

「結局は自分の事かい。まあいい、俺も今は自分の事しか考えてねぇよ!」

 幻魔は笑いながら構えもせず走り出し、いきなり修二へ右飛び蹴りを繰り出した。
 突然の出来事ではあったが、修二は冷静に両腕で防御し、そのまま動きは止まり拮抗状態となった。

「『地獄』から生還したテメェを殺せると考えてたらよ。もう体に受けた傷が騒ぎ出してな、我慢ならなかったんだよ? 分かるか? 血が蒸発する一歩手前なんだよ。」

 幻魔は目を血走らせながら、修二が来る間まで猛烈に殺気立たせていたを告白していた。

「気色悪いわり事いうじゃねぇよ。俺はテメェと決着つける為に来たんだよ! それ以上、それ以下でもねぇよ!」

「つれないな。俺は認めてるんだぜ? 神崎忍とは戦えはしなかったが、お陰で更に強くなったテメェと思う存分に暴れられるからよ!」

 幻魔は左足だけで修二の両腕を思い切り、蹴り飛翔した。そして天井を両足に着けて、力と遠心力のみでグルグルと駆け回っていた。

「結構、見た目と違って機動力はあるんだな。」

 修二は幻魔の動きを感心していた。右手に『太陽』の炎を纏わせ、幻魔へ向けて数発発射した。
 幻魔は持ち前の機動力で華麗に、修二が放った炎弾を避けていた。炎弾は天井に衝突すると炎が広がり、逃げ道を無くしていた。

「考えたな。以前なら馬鹿みたいに、炎を纏って攻撃してきたのが改善され、ちゃんと遠距離に対応できるようになったじゃねぇか! 良くなったぜ、閻魔光から教えてもらったのか?」

 幻魔は天井に直立で腕組みし、歓喜な表情で成長した修二を褒めていた。

「…両方だ。格闘は忍、射撃は閻魔さん。それぞれで三ヶ月間、俺を鍛えた。」

 修二はジッポライターと煙草を取り出し、余裕があるのか一服しだした。煙草を咥えたまま、一時休戦の状態な幻魔と話す。

「閻魔さんは自分を鍛える時間を削りながら俺を見て、神崎忍は閻魔さんの相手しながら俺を鍛えていた。アイツ、スゲェよ。」

 修二は煙草を一本だけ箱から突き出させ、幻魔へ「吸うか?」と言わんばかりに、目立つよう見せていた。

「…確かに俺達悪魔でも震えて逃げ出す化物相手にハンデ背負いながら、相手してんのはスゲェな。」

 幻魔は天井から降り、修二から差し出された煙草を一本取り、初めて見る煙草に躊躇していた。
 そして修二は幻魔へ「俺の真似をしろ」と指差し、煙草を咥えた。咥えた事を確認すると着火したジッポライターに、葉と紙巻きへ近づけて燃やした。

「ゆっくりと吸って、肺まで到達したら吐け。深呼吸と一緒だ。」

 幻魔は修二の指示通りに紫煙を肺まで吸い込み、空気を吐いた。

「…脱法ハーブではないな? 初めて味わう物だ。」

「煙草だ。俺が悪友と一緒につるんで吸ってた物だ。ハーブみたいにハイになる事はねぇが、気分はスッキリする。」

「ハーブはいいぞ? 覚醒剤より手早く摂取できる。吸う量によって調整できる上、バイヤーから大量に盗んでも文句も言わねぇ。まあ、文句を言っても言わなくても殺すけどな。」

 幻魔はニヒヒと笑いながら、脱法ハーブの重要性を披露していた。

「…脱法ハーブは知ってんのに煙草を知らねぇのはおかしくねぇか?」

「パイプを使ってる。だから、そんな紙巻きなんて物は知らなかった。それだけだ、それ以上それ以下でもない…だろ?」

 先程まで修二が言っていた事を見事に返した幻魔だった。

「あぁ、そうだな。そんなの俺が気にしたって、どうこうできる話じゃねぇ…けど、互いに気に入らねぇのは確かだろ?」

「だったら、気に入らねぇ物は“壊す”か“殺す”しかねぇよな? あの時みたいに中途半端な殺意で掛かって来るなよ? それは閻魔光にも教えられた事だろ?」

「あぁ…だが、今吸ってる煙草が終わるまで待て。」

「別に構わねぇぜ。」

 互いは黙々と喫煙し、精神を落ち着かせていた。そしてフィルターまで火が近づくと、二人は煙草を吐き捨て、頬へ目掛けて、音速の如く右ストレートを放った。
 二人の拳は頬で止まり、互いは相手の骨が折れる程まで膂力を込めていた。けれど流石に力比べでは、埒が明かないと気がついた二人は離れた。

「閻魔さん技借りるぜ。『灼熱太陽砲しゃくねつたいようほう』!」

 メラメラと燃え滾る太陽の塊が、修二の右掌から発射された。太陽は足場であるタイルを抉り直線へと幻魔に近づいていた。
 これは修二は閻魔が『無間地獄』から脱げ出す時に、使った技を内密で模倣し、作った物である。

「そんな小さい太陽ごとき破壊してやるよ!」

 幻魔は『破壊の魔導』を纏った右手刀で太陽へ縦方向に切り掛かった。が、太陽は『魔導』では破壊されず、逆に幻魔の手を焼き尽くしていた。
 幻魔はすかさず太陽を地面へと叩きつけ沈下させた。

「…忍から聞いた。」

 幻魔は破壊できなかった事に呆然と驚愕しながらも、修二の言葉には耳を傾けていた。

「『魔導』でも対応できる物とできない物があるってな。それは“絶対に破壊が不可能な物質”だ。太陽は冷えたりするが、壊れた事はないからな? ちゃんと勉強してんだぜ。」

 修二は忍と閻魔から教えて貰った『覇気』の使い方、特性、物質、そして歴史。
 五年前の修二ならば情報量が多すぎて、頭は必ずパンクしていた。が、今の修二ならば油断せず、偶然にも輝から鍛えられた事で、理解できる思考力を手に入れていたのだ。

「…成る程、俺には『破壊』できない『覇気』か。初めてだぜ、こんなにも悔しいと思って……イラついてんのはよ!」

 怒った幻魔から衝撃波のような物が発生し、瓦礫を吹き飛ばした。その余波は修二にも伝わり、両腕で防御していた。

「もうお前を侮ったりしねぇし、安くも見ねぇ。神崎忍と比べたりもしねぇ、俺が全身全霊で…確実に…殺してやるよ。」

 その言葉と同時に、幻魔は本当の殺意で修二へと一瞬間近で接近していた。そしてガッチリと右腕を掴み、左握力のみで修二の骨を粉砕した。

 修二は一瞬の出来事で、頭が追い付かず対応できなかった。が、残った左で幻魔の脇腹へ猛烈なフックをかました。

 そして幻魔は脇腹のダメージで力弱く腕を離した。が、追撃で修二の腹へと右前蹴りを繰り出し少し離れた。

 それを察知した修二は即座に対応した。身体をくの字に反らし、攻撃を避けたのだ。
 そして幻魔から十分な距離を取れたので、負傷した右腕をチラッと確認する。が、完全に使い物にならなくなっていた。
 右腕は力無くブラブラの状態、筋肉だけで動かそうにも、強烈な痛みが伝わり戦闘に集中できなくなる。ハッキリ言って右腕が邪魔になっていた。

「テメェがどんだけ体力が悪魔に近かろうとも、所詮は人間という脆い仕組み。左だけで俺に勝てたとしても、今後の生活で意味をなさない。さて、どうする? 左のみで遠距離射撃するか? それとも格闘して左も潰されたか? どっちか選べ。」

 幻魔が選択肢を与えて近づく、正しくこの状況は絶対絶命という言葉に相応しかった。
 品川修二は神崎忍のように、器用な“天才”でなければ“最強”でもない。ただの一般的なチンピラ弁護士だ。
 けれども何かを棄てる覚悟は、五年前から何も変わっていない性格ではあった。

「…俺に勝ったつもりだろうが、まだ勝負は終わってねぇよ!」

 修二は強烈な痛みを我慢し、筋肉の力で右腕を動かした。そして炎を纏った右ストレートで幻魔へ殴りかかった。

「下らん、その拳を潰してやる!」

 幻魔は『破壊』を纏った右ストレートで修二と衝突する。修二の右拳は炎を纏っていたので、ガラスが割れるように粉々になった。

 それと同時に衝突した修二の拳とスーツは、肉塊へと姿となり潰れ、右肩まで到達していた。

 だが、こんな激痛に耐え修二は幻魔の腹へ左前蹴りで距離を離した。幻魔は勢いよく壁際まで修二に、蹴り飛ばされたのだ。

「見ろ! 右腕は完全に潰れた! いや、なくなったと言ってもいい! そんな状態で俺と戦えるのか? やってみてもいいぜ、それも楽しみだからな!」

 幻魔は愉快に修二の状態を笑っていた。それもそうだ、肩からポタポタとおびただしい量の血液が流れ、出血多量で瀕死寸前なのだ。

「…こんな状態? 精々、今のうちに笑ってろよ。テメェを殴るのにーー脆い右腕が要らなくなっただけだ!」

 修二の目辺りは確実に隈が出来ていた。顔色も悪く、貧血、更には右腕の激痛で、普通の人間なら即死を耐え抜いていた。

「…お前の名前を覚えておいて良かったぜ。品川修二、神崎忍と戦い勝っただけの事はある。それに免じて、楽に殺してやるよ!」

 再び幻魔は一瞬で、修二の目前へと近づき手刀で頭を狙っていた。そして今度こそ確実に、品川修二を仕留めたと幻魔は思っていた。
 すると何故か、視界はグラつき頭の中が真っ白となり倒れた。幻魔は呆然とし理解できなかった。
 攻撃が来たのは右側からだった。潰して存在しない筈の、右から感触が顎へと伝わったからだ。

「理解…できねぇ…っていう顔だな。教えてやるぜ…俺がわざと右腕を棄てたんだ。必ず潰れない右腕・・・・・・・・を作る為にな!」

 意識が戻った幻魔は驚愕し、修二をイカれてる人間と見ていた。普通ならば何か失えば、何かしらのリアクションを取り油断する。
 けれども、その判断は間違っていた。修二は油断する所か『太陽の覇気』で右腕を創造し、反撃したのだ。
 それはメラメラと激しく燃え上がり、近づく者を焼き尽くす『太陽』だった。

「く、狂ってやがる! 俺以上に…狂ってやがる!」

 初めて幻魔は目前にいる人間が恐ろしく感じたのだ。今まで忍以外の人間には無敗だったため傲慢になっていた。
 だが、絶対絶命的な状況でも満身創痍な身体でも、況してや右腕を潰して創造する人間には出会った事がないからだ。

「殺ろうぜ続き、まだ両方とも終わってねぇだろ?」

(こ、こいつは! 本当に人類が産み出した…人間なのか!)

 そのプライドが人間に『破壊』された事が気に食わないのか、幻魔は獣の如く咆哮し、修二へと襲いかかった。
 幻魔は右ストレートで修二の頬を殴り、次に頭突き、脇腹へ左ミドルキック、右手刀で左肩を脱臼させていた。
 修二は幻魔の攻撃をマトモに受けていた。額からは血、肋骨は折れ、左肩は脱臼、もはや満身創痍を超えていた。

「それで終わりか?」

 全ての攻撃が止むと修二は幻魔へと尋ねた。

「まだだ!」

 幻魔は恐怖をかき消すように一心不乱で修二を殴る。何度も何度も修二を殴り続け、両拳はボロボロになっていた。

「…それが結果だ、幻魔。」

 もう殴られ飽きたのか、修二は幻魔の手を右手でガッチリと掴んだ。

「俺はまだ終わって…!」

「…終わった。お前が俺に恐怖した時点で戦いは終わっていたんだ。」

 修二は幻魔の手を離し、勢いよく幻魔の胸、つまり心臓へと右手で深く突き刺した。そして心臓を片手で潰したのだ。
 幻魔は口から紫色の血を吐き、マジマジと修二に、ニヤついていた。

「…あぁ、終わりだな。ここで俺の願いが達成された。俺が願っていた強者との戦いでの死…お前だったんだな。神崎忍ではなく、品川修二だったんだな。」

 幻魔の心臓は確実に潰され、足から徐々に砂化していた。

「悪魔の死って何も残らねぇのか…。」

 修二は悪魔が死ぬ瞬間に立ち会い、何故か敵なのに悲しい表情を浮かべていた。

「…敵が死ぬだけだ。それ以上でもそれ以下でも無い話だ。お前は『覇気使い』としての仕事を全うしただけだ。」

「…でも、なんだか悲しくなってきたんだよ。憎いわけでも恨んでたわけでもねぇのに…。」

「…それは自分で考えろ、これ以上死人になる者が、とやかく言って解決できる話じゃねぇよ。あ~あ、どうせ死ぬなら最後に神崎忍と戦いたかったぜ…じゃあな品川修二。」

 そして幻魔の身体は限界へと達し、完全に砂と化し、『魔界』から存在が消滅したのだ。
 戦闘で疲れた修二は壁まで近づき、力無く凭れて座り込んだ。右手で煙草を探り、取り出し、一本だけ咥えたまま、眠るように深く意識を失った。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

凪の始まり

Shigeru_Kimoto
ライト文芸
佐藤健太郎28歳。場末の風俗店の店長をしている。そんな俺の前に16年前の小学校6年生の時の担任だった満島先生が訪ねてやってきた。 俺はその前の5年生の暮れから学校に行っていなかった。不登校っていう括りだ。 先生は、今年で定年になる。 教師人生、唯一の心残りだという俺の不登校の1年を今の俺が登校することで、後悔が無くなるらしい。そして、もう一度、やり直そうと誘ってくれた。 当時の俺は、毎日、家に宿題を届けてくれていた先生の気持ちなど、考えてもいなかったのだと思う。 でも、あれから16年、俺は手を差し伸べてくれる人がいることが、どれほど、ありがたいかを知っている。 16年たった大人の俺は、そうしてやり直しの小学校6年生をすることになった。 こうして動き出した俺の人生は、新しい世界に飛び込んだことで、別の分かれ道を自ら作り出し、歩き出したのだと思う。 今にして思えば…… さあ、良かったら、俺の動き出した人生の話に付き合ってもらえないだろうか? 長編、1年間連載。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...