31 / 169
第1章 覇気使い戦争。
第31話 男の勝負。
しおりを挟む
お互いの『覇気』を纏った拳が頬に当たると修二は外に向けて血を吹き出し、忍も同じく血を吹き出した。が、忍は意識を保ち右脚を使いミドルキックで修二の腹を蹴る。
修二は蹴りを左腕で防御し、やり返しと言わんばかりに右ミドルキックで反撃する。
忍は左足に膂力を込め跳び、キックを回避した。
「…神崎、さっき何故戦うって聞いてたな?」
「……。」
突然と口を開いた修二に対して忍は黙って聞いていた。
「確かに俺はアンタが気に入らねぇし、友達を刺した事もだ。けどよ、最初から求めてた物は『覇気使い最強の座』だけなんだよ。アンタが座ってる頂上の椅子だ。それが欲しいから俺は戦うんだ。」
「…俺も戦う理由を探してた。認めたくないが、お前と俺が少し似ている所だ。これが戦う理由だ。」
「それで十分だ。お互いに気に入らねぇなら、どっちが潰れるまでだ!」
修二は『炎の覇気』を黄金に輝かせた。『覇気の限界突破』を使用した状態になったのだ。
「…そうか。俺も本気になろう――『闇帝の翼』。」
忍の背中から『闇の覇気』を翼の形にした物を作り羽ばたかせる。
「カッケェな、俺もちゃんと操作できたら炎の翼みたいにしてぇな。」
「これは神に対する侮辱の意味を込めて作ったんだがな…まあいい。」
修二の素直な歓喜した感想に忍は自分はそのつもりで作った訳ではないと否定した。
忍は翼で上空に舞い上がり、両手で闇の球体を造りだす。
「…じゃあ俺も。」
修二は体を低姿勢で両拳に力を込め、足には飛翔する為に炎を溜めていた。
「『ダークマター』!」
忍が闇の球体を放った。と、同時に修二は両拳を突き上げ、ロケットジャンプで忍に接近する。
そして球体と修二が衝突する。衝突した際に衝撃波と風圧が発生し、周囲を覆っていた炎が鎮火し、倉庫にあった荷物が全て吹き飛ばされた。
修二は汗を流し苦痛に顔を歪め、なんとか力づくで『ダークマター』を押しきろうとしていた。
「その程度の炎で俺の闇を焼き払うのは無理だな!」
忍は『ダークマター』に苦戦している修二を見て余裕があったのか優越感に浸り叫ぶ。
「そうかもな…けどよ…。」
「?」
「お前の闇は焼き払えなくても心を救う事はできる! こっちに来い、神崎忍! お前は復讐心で戦う器じゃねぇ! そんな『最強』を俺は欲しくねぇ!」
そう言って修二は『覇気』を高め、『ダークマター』を更に押しきる。
修二の言葉に油断していた忍は気づき、『ダークマター』に力を加える。
力を加えられ事により修二は危機に陥り、力が抜け後退していた。
その時、これまでかと修二が心の中で諦めかけていた時に、足から突如と冷たい物を感じた。修二が確認する為に目を向ける。
すると瀕死の吹雪が地面に手をつき氷の柱を形成して修二を押し上げていた。
「…勝って…最強に…なれよ…。」
思い思いに吹雪はそう言い残すと眠るように意識を失う。
そんな吹雪を見て驚愕していた修二はチャンスを無駄にせず、忍に向き直る。
「分かったぜ、吹雪。お前がそう言うなら…俺は絶対に諦めねぇ!」
修二は雄叫びを上げ、更に『覇気』の力を限界以上に注ぎ込む。黄金に輝いていた炎は虹色に変化し、『ダークマター』を徐々に押していく。
「な、なんだと!」
忍は限界まで力を込めた『ダークマター』が押しきられている事に驚愕し、諦めず闇の力を込める。
だが、段々と力が押され間近までに来てしまっていた。
「忍!」
修二が最後の踏ん張りで叫び、『ダークマター』を押しきり忍に激突した。
すると『ダークマター』が二人を飲み込み発光し、倉庫から爆炎が起きた。その爆炎はやがて渦を巻く火柱となり倉庫は爆発し粉々の瓦礫となった。
暫く静寂が続くと瓦礫の中から動きがあった。必死に瓦礫を退かす力む声が響き、頭から大量にボタボタと血を流しながら瓦礫の山から脱出した修二だった。
修二に続き、忍も高級なワイシャツは半焼で破け、更に体中は炭の汚れが目立ち、ボロボロの状態で瓦礫から這い上がった。
「お互いに、まだ生きてるな。」
忍を見て修二は戦闘で疲れていたのか気だるげに言う。
「…そうだな。だが、『覇気』での決着はつかなかったな。」
忍は言葉と共に立ち上がり、ワイシャツに手をかけ掴み、ビリビリと惜しみ無く破り捨てる。忍の屈強な上半身が露になる。
忍の奇怪な行動を見て、修二は笑っていた。
そして修二も真似して学ランとシャツを脱ぎ捨て半裸になる。
「品川!」
「神崎!」
お互いが瓦礫の上で名前を叫び合い走る。
二人の距離が縮まると互いの右ストレートが頬に当たる。二人は口から勢いよく血を吹き出した。
けれども怯む事なく体力がある限り二人は肉体を殴り合う。
忍は右フックや左ストレートて修二の腹や顔を殴る。修二は左ミドルキックや右ハイキックで忍の腹や顔を蹴る。
数分に渡る殴り合いで忍の顔は美男子とは程遠く、頬が大きく腫れ不細工になっていた。修二も足が震えて目の前が霞み、今にでも倒れそうだ。
完全に脱力し、腕が垂れ下がっている二人だが、最後の力を振り絞り…お互いが渾身の一撃ストレートで終わりを迎えた。
その時、朝日が昇り太陽が二人を照らした。
「…品川修二、お前の――――勝ちだ。」
忍は修二に勝利宣言をして、憑き物が取れた様子で前から無気力に倒れた。修二は膝から体制を崩し、忍との勝負が終わった事に歓喜の雄叫びを上げていた。
そして叫び疲れたのか修二は大の字で背中から倒れ意識を失った。
修二は蹴りを左腕で防御し、やり返しと言わんばかりに右ミドルキックで反撃する。
忍は左足に膂力を込め跳び、キックを回避した。
「…神崎、さっき何故戦うって聞いてたな?」
「……。」
突然と口を開いた修二に対して忍は黙って聞いていた。
「確かに俺はアンタが気に入らねぇし、友達を刺した事もだ。けどよ、最初から求めてた物は『覇気使い最強の座』だけなんだよ。アンタが座ってる頂上の椅子だ。それが欲しいから俺は戦うんだ。」
「…俺も戦う理由を探してた。認めたくないが、お前と俺が少し似ている所だ。これが戦う理由だ。」
「それで十分だ。お互いに気に入らねぇなら、どっちが潰れるまでだ!」
修二は『炎の覇気』を黄金に輝かせた。『覇気の限界突破』を使用した状態になったのだ。
「…そうか。俺も本気になろう――『闇帝の翼』。」
忍の背中から『闇の覇気』を翼の形にした物を作り羽ばたかせる。
「カッケェな、俺もちゃんと操作できたら炎の翼みたいにしてぇな。」
「これは神に対する侮辱の意味を込めて作ったんだがな…まあいい。」
修二の素直な歓喜した感想に忍は自分はそのつもりで作った訳ではないと否定した。
忍は翼で上空に舞い上がり、両手で闇の球体を造りだす。
「…じゃあ俺も。」
修二は体を低姿勢で両拳に力を込め、足には飛翔する為に炎を溜めていた。
「『ダークマター』!」
忍が闇の球体を放った。と、同時に修二は両拳を突き上げ、ロケットジャンプで忍に接近する。
そして球体と修二が衝突する。衝突した際に衝撃波と風圧が発生し、周囲を覆っていた炎が鎮火し、倉庫にあった荷物が全て吹き飛ばされた。
修二は汗を流し苦痛に顔を歪め、なんとか力づくで『ダークマター』を押しきろうとしていた。
「その程度の炎で俺の闇を焼き払うのは無理だな!」
忍は『ダークマター』に苦戦している修二を見て余裕があったのか優越感に浸り叫ぶ。
「そうかもな…けどよ…。」
「?」
「お前の闇は焼き払えなくても心を救う事はできる! こっちに来い、神崎忍! お前は復讐心で戦う器じゃねぇ! そんな『最強』を俺は欲しくねぇ!」
そう言って修二は『覇気』を高め、『ダークマター』を更に押しきる。
修二の言葉に油断していた忍は気づき、『ダークマター』に力を加える。
力を加えられ事により修二は危機に陥り、力が抜け後退していた。
その時、これまでかと修二が心の中で諦めかけていた時に、足から突如と冷たい物を感じた。修二が確認する為に目を向ける。
すると瀕死の吹雪が地面に手をつき氷の柱を形成して修二を押し上げていた。
「…勝って…最強に…なれよ…。」
思い思いに吹雪はそう言い残すと眠るように意識を失う。
そんな吹雪を見て驚愕していた修二はチャンスを無駄にせず、忍に向き直る。
「分かったぜ、吹雪。お前がそう言うなら…俺は絶対に諦めねぇ!」
修二は雄叫びを上げ、更に『覇気』の力を限界以上に注ぎ込む。黄金に輝いていた炎は虹色に変化し、『ダークマター』を徐々に押していく。
「な、なんだと!」
忍は限界まで力を込めた『ダークマター』が押しきられている事に驚愕し、諦めず闇の力を込める。
だが、段々と力が押され間近までに来てしまっていた。
「忍!」
修二が最後の踏ん張りで叫び、『ダークマター』を押しきり忍に激突した。
すると『ダークマター』が二人を飲み込み発光し、倉庫から爆炎が起きた。その爆炎はやがて渦を巻く火柱となり倉庫は爆発し粉々の瓦礫となった。
暫く静寂が続くと瓦礫の中から動きがあった。必死に瓦礫を退かす力む声が響き、頭から大量にボタボタと血を流しながら瓦礫の山から脱出した修二だった。
修二に続き、忍も高級なワイシャツは半焼で破け、更に体中は炭の汚れが目立ち、ボロボロの状態で瓦礫から這い上がった。
「お互いに、まだ生きてるな。」
忍を見て修二は戦闘で疲れていたのか気だるげに言う。
「…そうだな。だが、『覇気』での決着はつかなかったな。」
忍は言葉と共に立ち上がり、ワイシャツに手をかけ掴み、ビリビリと惜しみ無く破り捨てる。忍の屈強な上半身が露になる。
忍の奇怪な行動を見て、修二は笑っていた。
そして修二も真似して学ランとシャツを脱ぎ捨て半裸になる。
「品川!」
「神崎!」
お互いが瓦礫の上で名前を叫び合い走る。
二人の距離が縮まると互いの右ストレートが頬に当たる。二人は口から勢いよく血を吹き出した。
けれども怯む事なく体力がある限り二人は肉体を殴り合う。
忍は右フックや左ストレートて修二の腹や顔を殴る。修二は左ミドルキックや右ハイキックで忍の腹や顔を蹴る。
数分に渡る殴り合いで忍の顔は美男子とは程遠く、頬が大きく腫れ不細工になっていた。修二も足が震えて目の前が霞み、今にでも倒れそうだ。
完全に脱力し、腕が垂れ下がっている二人だが、最後の力を振り絞り…お互いが渾身の一撃ストレートで終わりを迎えた。
その時、朝日が昇り太陽が二人を照らした。
「…品川修二、お前の――――勝ちだ。」
忍は修二に勝利宣言をして、憑き物が取れた様子で前から無気力に倒れた。修二は膝から体制を崩し、忍との勝負が終わった事に歓喜の雄叫びを上げていた。
そして叫び疲れたのか修二は大の字で背中から倒れ意識を失った。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
思い出を売った女
志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。
それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。
浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。
浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。
全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。
ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。
あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。
R15は保険です
他サイトでも公開しています
表紙は写真ACより引用しました
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる