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エッセイ2020年6月1日。焦りと茫漠とした不安。

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 どうにも煮え切らない気分だ。

 いや、僕が煮え切らずに何か悶々として悩みこんでいるのはいつものことではあるのだが。

 ステイホームが呼びかけられてからダウンした日以外は毎日、リングフィット1時間とウォーキング2時間でしっかりと運動し身体を鍛える。何事も体力が無ければ成せないと思うし、疫病にも基礎体力があれば少しは抗える。創作活動なども体力勝負な所があるから、持久力を養っている。ついでに引き締まった美容体型も得たい。

 その甲斐あって、去年の11月中旬頃から鍛え始めてはや半年余りが過ぎ、当初は71kgあった体重が58.5kg、実に12.5kg落ちて、腹筋と脚を中心に全身を鍛え上げ、憧れのシックスパックの腹直筋を手に入れた。左脚と左の尻が腰痛の連鎖で痛むとはいえ、日常活動していて疲れにくくなったと実感するほどスタミナが付き、身軽になった。



 だが、それだけで本当にいいのか。



 確かに身体を引き締めて鍛えていくのは大事だし、ひとつ、またひとつと成果を上げてはいる。


 だが、その行動の仕方、努力の仕方は余計なこだわりや見栄のようなモノが多分に混じっている。



 178cmの背丈でこれだけ減量したなら、もうこれ以上脂肪を落とす必要は無いし、体脂肪率も15.5%前後と、これ以上痩せたらむしろ痩せ過ぎで健康を損ないそうである。そこまでして無理をしてしまうのは、僕の不必要なこだわりや見栄に他ならない。

 リングフィットで筋トレをする時は、プランクとバンザイスクワット(トレーニング法に興味がある人は調べてください)を100回はしたい、100kcal以上消費したい、ウォーキングする時は2時間以上きっかりこっきり歩き回りたい、10000歩以上は歩かないと気が済まない、歩きでの消費カロリーも480kcal(+リングフィットの100kcal)は運動したい。



 そんな『数字』にあいも変わらずこだわり続けている自分に我ながら辟易する。今まで何度となく『無理はよそう』『これはやり過ぎだ』『ほどほどにしよう』と自分自身に言い聞かせて来たにも関わらず、まるで学習し切れてないのだ。だから頻繁に疲労を捌き切れなくてダウンしてしまう。継続的な努力を蔑ろにしてしまっているのだ。


 何より、ここまで運動で無理をしてしまうと、自分の核である筈の創作活動がまるで捗らなくなる。今書いているようなエッセイが精一杯だ。


 活力に満ちている時はエッセイだけでなく絵描き、ゲーム制作、外郎売り、滑舌練習など頑張れることもあるが、繰り返し言っているように創作媒体を複数に散らしているせいで一向に進んだ気がしない。小説などはほとんど凍結状態まで止まってしまった。


 焦る。とても焦って不安になる。


 その焦りや茫漠とした不安はなおの事自分に無理をさせ、ダウンし……と悪循環に嵌ってしまう。これは何と度し難いことか。


 とにかく、もうダイエットは『現状維持』で十分なのだ。強いて言えば『体力強化』の為に更に筋肉を付けるぐらい。少しは余力を残して創作に充てるべきなのではないか。それも焦らず、不安がらず、心にゆとりを持った状態で。

 創作活動もそうだ。楽しんでやればいいものを、すぐに自分の限界を超えねばとか、もっと成長せねばとか、もっと出来ることを増やさなければとか、そういう思い詰めた心が無意識の内に支配的になり、楽しい筈の創作を苦行か何かに変えてしまう。自分で自分の首を絞めてしまうのだ。

 そういう『ねばならない思考』と言うモノに、僕は長年苦しんで来ている。


 専門学校を中退して自宅療養を始めた12年前? 高校、中学、小学時代? いや、恐らくもっと幼い頃から……。


 世の鬱病や発達障害などのメンタル持ちの人の中には驚くべき成功をおさめている人も多いが、それは彼らが非凡な才能に恵まれただけではなく、『ほどほど』を知らない、知っていても実行出来ない、自分の限界ギリギリまで無理をして頑張ったからなのだ。それは必ずしも幸福ではない。


 僕も焦っている。思うことを全て成さねばと自分を追い込み、思い詰めてしまっている。そんな精神状態で真に情況が好転したことはまず無い…………。



 と。




 まずはそういう自分の精神状態や情況を俯瞰で見て自覚することから何事も始まるのだろう。


 今の自分はこんなものではない、という上昇志向自体は人間の成長に必要なものだ。そういう向上心は持った上で、ただ自分の現状や過去を悲観したり卑屈に意識せぬこと。


 そして何より、今何かを成していないからと言って焦ったり不安がったりせぬこと。少しずつ頑張っている自分を素直に褒めて、自信を積み重ねていくこと。


 そもそも、人生とは何の為にあるのだろう?



 100点や金メダルを目指すことだろうか? 創作で完璧な作品を創ることだろうか?



 今、考え付くのは。



 作品を創ったり身体をぶらぶらと動かして歩き回っている最中の、心の穏やかさ、静けさ。



 その瞬間を大切な財産であり幸福であると認識し、ただ他人は勿論、自分にも優しく生きる。そのように過ごせたら、「ああ、ラッキーでハッピーな時間だった」と自分や他人に感謝する。


 人生はそれで十分なのではないか、とも思う。



 穏やかで、静かで、楽しい創作や肉体の動かし方。



 そうだといいな。
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