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初期ステータスとソードマスター
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伯爵家へと戻り、今日あったことを父親へ報告してから無駄に広い自室へと戻った。
普段は苦虫をかみ潰したような父の表情は明るく機嫌がよかった。
もしかしたら親はすでにモラハ・ラスゴイの側近が誰になるのか知っているのかもしれない。
ということは、殴られても俺はストーリー通り、モラハ・ラスゴイの取り巻きになるってことだ。
破滅へのカウントダウンが始まったっていうのにのんきなもんだよな。公爵家がおとりつぶしになるなら、それに連なる人間だって粛清されちゃうのにさ。
前世の記憶というものを思い出してから、数時間だがこの世界のことはこの体が一番よくわかっているし、前世を思い出したからと言って今まで生きてきたことを忘れたわけでもない。
俺のやるべきことはモラハ・ラスゴイがストーリー通りに死なないことだ。
ひいては、自分の身を守ることにもつながるわけだし。
小説のストーリーについては、あとで考えるとして、とりあえず女神様がくれたという『ジョブ変更チート無限』という恩恵を使ってみたい。
だが、どうしたらよいだろうか。使い方とか呼び出し方がわからない。
「ジョブ変更チート無限」
部屋に虚しく響く俺の声。
何も起こらない。
ステータスとでもいえば表示されるのか?
スッと目の前に表示されたステータス画面を見て、俺はがっくりと膝をついた。
なんで、「ジョブ変更チート無限」と言ってもなにも起こらず、ステータス画面って、心の中で思っただけで出てくるんだよ。
女神様のルール的なものでもあるのか?
部屋の中央に設置されたソファに座り、ステータス画面を確認する。
<ステータス>
名前:ドコニ・デモイル
年齢:10歳
HP:7/8
MP:10/10
攻撃力:2
防御力:2
速度:2
抵抗力:2
スキル:なし
称号:「モラハ・ラスゴイと命を繋ぐ者(呪い)」
恩恵:創世の女神の贈り物「ジョブ変更チート無限」「女難」
どうしよう。ステータスの低さに突っ込めばいいのか、恩恵の場所に「女難」があることに突っ込めばいいのかわからねぇや。
「HPが1減ってんのはモラハ様に殴られたからかな……」
女神様が祝福と言っていたが「モラハ・ラスゴイと命を繋ぐ者(呪い)」に(呪い)と記載がある。呪いなら解呪できるってことかな。うん、希望はもとう。
さぁ、気持ちを切り替えて、次だ!
使用する前に『ジョブ変更チート無限』について確認することにした。
説明:使用可能な各ジョブはスキルを極めている。使用しているジョブ以外のスキルは同時に使うことができない。使用の際は、「ジョブ変更:(対象のジョブ名)!」と叫ぶこと。戻るときは「ジョブ変更:(自分の名前)」を心の中で言う。
「ジョブ変更:ソードマスター!」とか、叫ぶ必要があるのか。
なるほど、『ジョブ変更チート無限』と言ってもダメなわけがわかった。だけど、叫ぶ理由はなんだろう。戻る時は心の中でいいみたいだし。女神様は変身ものでも見て影響されたとか。
「使用できるジョブか。どれどれ」
ソードマスター、アサシン、賢者、ネクロマンサー、商人……などなど、ずらりと並んだジョブリストをざっとみる。
なんかたくさんあるな。最初だしと、ソードマスターのジョブを選択することにした。
「ジョブ変更:ソードマスター!」
わくわくしながら俺は叫んだ。
『私は至高の存在ソードマスター! 正義の名のもとに、俺が君を守る!』
………………は?
口が勝手にしゃべったんだけど? なんか変なポーズまでつけてるんだけど?
いやいや、気のせいかな。俺はモラハ・ラスゴイに殴られて、疲れているのかもしれない。
うん、きっとそうだ。
普段は苦虫をかみ潰したような父の表情は明るく機嫌がよかった。
もしかしたら親はすでにモラハ・ラスゴイの側近が誰になるのか知っているのかもしれない。
ということは、殴られても俺はストーリー通り、モラハ・ラスゴイの取り巻きになるってことだ。
破滅へのカウントダウンが始まったっていうのにのんきなもんだよな。公爵家がおとりつぶしになるなら、それに連なる人間だって粛清されちゃうのにさ。
前世の記憶というものを思い出してから、数時間だがこの世界のことはこの体が一番よくわかっているし、前世を思い出したからと言って今まで生きてきたことを忘れたわけでもない。
俺のやるべきことはモラハ・ラスゴイがストーリー通りに死なないことだ。
ひいては、自分の身を守ることにもつながるわけだし。
小説のストーリーについては、あとで考えるとして、とりあえず女神様がくれたという『ジョブ変更チート無限』という恩恵を使ってみたい。
だが、どうしたらよいだろうか。使い方とか呼び出し方がわからない。
「ジョブ変更チート無限」
部屋に虚しく響く俺の声。
何も起こらない。
ステータスとでもいえば表示されるのか?
スッと目の前に表示されたステータス画面を見て、俺はがっくりと膝をついた。
なんで、「ジョブ変更チート無限」と言ってもなにも起こらず、ステータス画面って、心の中で思っただけで出てくるんだよ。
女神様のルール的なものでもあるのか?
部屋の中央に設置されたソファに座り、ステータス画面を確認する。
<ステータス>
名前:ドコニ・デモイル
年齢:10歳
HP:7/8
MP:10/10
攻撃力:2
防御力:2
速度:2
抵抗力:2
スキル:なし
称号:「モラハ・ラスゴイと命を繋ぐ者(呪い)」
恩恵:創世の女神の贈り物「ジョブ変更チート無限」「女難」
どうしよう。ステータスの低さに突っ込めばいいのか、恩恵の場所に「女難」があることに突っ込めばいいのかわからねぇや。
「HPが1減ってんのはモラハ様に殴られたからかな……」
女神様が祝福と言っていたが「モラハ・ラスゴイと命を繋ぐ者(呪い)」に(呪い)と記載がある。呪いなら解呪できるってことかな。うん、希望はもとう。
さぁ、気持ちを切り替えて、次だ!
使用する前に『ジョブ変更チート無限』について確認することにした。
説明:使用可能な各ジョブはスキルを極めている。使用しているジョブ以外のスキルは同時に使うことができない。使用の際は、「ジョブ変更:(対象のジョブ名)!」と叫ぶこと。戻るときは「ジョブ変更:(自分の名前)」を心の中で言う。
「ジョブ変更:ソードマスター!」とか、叫ぶ必要があるのか。
なるほど、『ジョブ変更チート無限』と言ってもダメなわけがわかった。だけど、叫ぶ理由はなんだろう。戻る時は心の中でいいみたいだし。女神様は変身ものでも見て影響されたとか。
「使用できるジョブか。どれどれ」
ソードマスター、アサシン、賢者、ネクロマンサー、商人……などなど、ずらりと並んだジョブリストをざっとみる。
なんかたくさんあるな。最初だしと、ソードマスターのジョブを選択することにした。
「ジョブ変更:ソードマスター!」
わくわくしながら俺は叫んだ。
『私は至高の存在ソードマスター! 正義の名のもとに、俺が君を守る!』
………………は?
口が勝手にしゃべったんだけど? なんか変なポーズまでつけてるんだけど?
いやいや、気のせいかな。俺はモラハ・ラスゴイに殴られて、疲れているのかもしれない。
うん、きっとそうだ。
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