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EP01「出会いと再会」
SCENE-012(Side S) >> ろくでもない猫
しおりを挟む街道まであと少しという、森の中。
緩やかに速度を落とし、やがて立ち止まった大猫が、ぐっと姿勢を低くして私に背中から降りるよう促してくる。
同時に、私の体を獣化したレナードの背中へ押しつけるよう纏わりついていた魔力も緩んだ。
すとん、と地面に足をつけた私の背後で、大猫がぶるりと体を震わせる。
「んーっ、楽しかったぁ」
獣姿から獣人姿に変わったレナードはどこか恍惚とした声で呟くと、余計なものを視界に入れたくなくて、じっと振り返らずにいた私のことを背後からぎゅうぎゅう抱きしめた。
「裸族やめて」
きっちり服を着込んで、文明人に戻ってからであれば抱きしめられるのもやぶさかではない私の譲歩と呼ぶのも憚られる常識的な指摘に、レナードが吐息で笑う。
「ごめんねぇ。思ってたより無理だった。一回抜かせて?」
やけに甘ったるい声で吹き込まれた言葉は、割と最低の部類だった。
「嘘でしょ? ここで!?」
背中にそれなりの大荷物を乗せて森の中を走っている間は少しの乱れもなかった呼吸を今更のよう荒くしたレナードが、片手で簡単に押さえ込んだ私の体を手近な木の幹に押しつけて、首元に顔を埋めてくる。
「御主人だって、俺に跨がって気持ち良くなってたでしょ?」
「そんなことっ」
「あるよねぇ」
もう片方の手は、遠慮も容赦もなく私の服の中に潜り込んで恥丘を割った。
「やっ……んんっ」
思わず悲鳴を零しそうになった上の口には舌を、探り当てられた下の口には節くれ立った指を捻じ込まれ、抵抗するどころか呆気なく骨抜きにされてしまった私を見下ろして、性悪猫がにんまりとする。
「ほら、わかる? 御主人のここ、他はなーんにも触ってないのにすっかりぬれぬれだよ? 俺の指を二本も咥えてるのに物足りなさそうにきゅうきゅうしてる。御主人のことが大好きで、ちょーっと撫でられたくらいですぐに勃っちゃう俺の背中にべったり体をくっつけながらここをこんなにしてたら、犯してくれってお強請りしてるようなものだと思わない?」
「だからって、なにもこんなところで……っ」
「街に入って宿を見つけて、部屋までなんて待てないよ。諦めて俺に犯されて?」
悪びれもせずそう言い放ったレナードの指が引き抜かれると、ズボンごと下着まで引きずり下ろされた足の間に剥き出しの屹立が押し込まれ、指とは比べものにならない熱と質量が私の膣口をこじ開けた。
「あああああぁっ……」
街道の通行人に気付かれてしまうかもしれないという恐怖と、怯える私のことなんてお構いなしに突き上げてくる気持ちの良さで、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
「あー……一回で鎮まるかな、これ」
私の体を好き勝手に揺さぶる馬鹿猫が小さく呟いたことなんて、気が付きもしなかった。
◇ ◇ ◇
そんなこんなでいよいよ足が立たなくなり、馬鹿猫に抱き上げられたままクローディアの街の大門をくぐるという、ここ数年で一番の辱めを受ける破目になったのだから、宿で部屋を分けて泊まるくらいの自衛は許されると思う。
――と、いうようなことを、道すがら、何重にもオブラートに包んでやんわりと伝えてみたところ。
「んー? ごめんねぇ。よく聞こえなかった。もしかしてだけど、俺がギルドに所在報告しに行くのに付き合ってくれるって言った?」
もっと酷いことになりそうだったので、羞恥心や諸々を天秤にかけた結果、色々と諦めた私は、せめて顔が隠れるようにと深く被ったフードの下で大人しく口を噤んでおくことにした。
(私の言うこと聞くなんて嘘じゃない……)
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