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第11話
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ミハイ殿下とウルーナの婚約が正式に発表された。
そうなることは事前に把握していたけど、ウルーナにとっては正式な発表の前日に知らされたばかりだ。
すぐには信じられなかったようだったけど、正式に発表され実感が湧いたのだろう。
「やはりこうなる運命だったのよ。私はミハイ殿下の婚約者になれて幸せだわ」
「そうね。私もウルーナこそがミハイ殿下の婚約者に相応しいと思っていたのよ」
「ふふ、返せと言っても返さないからね」
「そんなことは言わないから安心して」
ウルーナが得意気になっているけど、ミハイ殿下の廃嫡を知らないのだろう。
もし王妃になれると思って喜んでいるのなら、しばらくはそのまま夢を見させてあげたほうがいい。
現実は厳しいのだから、せめて少しの間だけでも幸せな夢を見てほしい。
それにしても学園を卒業したら辺境送りとはね。
国王陛下もミハイ殿下とウルーナに対し十分な処分を下してくれた。
さすがにもうミハイ殿下を見限ったのだと思う。
「学園のみんなも祝福してくれたわ」
「良かったわね、みんなから祝福されて」
廃嫡がまだ公になっていないのだから、みんなにとっては王太子殿下との婚約だと思われているのだろう。
祝福しないで不興を買うなんて愚かな行為でしかない。
貴族がみんな本心で行動している訳ではないことくらいウルーナも理解していると思うけど、そんなことすら気付けなくなるくらいミハイ殿下との婚約が嬉しいのだろう。
何も知らずに喜んだり私に勝ち誇るウルーナは本当に可愛らしい。
問題だったミハイ殿下の名誉を貶めるような噂を流したウルーナの処分だったけど、全ては嫉妬心からのものであり、ミハイ殿下の婚約者となったこともあり、可愛い嫉妬心も愛故のものとして美談…のような扱いになっている。
美談にするしかないじゃない。
だってまだ表向きは王太子であるミハイ殿下との婚約なのだから。
とにかく悪くない着地点になって良かったと思う。
「どうしよう、幸せ過ぎて怖い」
現実を見ないウルーナが怖いわ。
「これからも私は幸せだと思うの。だからお姉様も幸せになってね」
見下すように言えるのも今だけなのに。
ウルーナから言われなくても私は私の幸せを求めるから。
「私はミハイ殿下からも運命の女神からも愛されていると思うの。ね、お姉様もそう思わない?」
「そうね。これがウルーナの運命なのよね」
「ふふふ………」
将来性のないミハイ殿下との辺境暮らしも運命なのだろう。
いつ現実に気付き後悔するのかは知らないけど、後悔してもどうにもならないだろう。
それこそがウルーナの運命なのかもしれないし、わがままと都合の良い解釈の結果が作り上げた奇跡のような自滅なのかもしれない。
そうなることは事前に把握していたけど、ウルーナにとっては正式な発表の前日に知らされたばかりだ。
すぐには信じられなかったようだったけど、正式に発表され実感が湧いたのだろう。
「やはりこうなる運命だったのよ。私はミハイ殿下の婚約者になれて幸せだわ」
「そうね。私もウルーナこそがミハイ殿下の婚約者に相応しいと思っていたのよ」
「ふふ、返せと言っても返さないからね」
「そんなことは言わないから安心して」
ウルーナが得意気になっているけど、ミハイ殿下の廃嫡を知らないのだろう。
もし王妃になれると思って喜んでいるのなら、しばらくはそのまま夢を見させてあげたほうがいい。
現実は厳しいのだから、せめて少しの間だけでも幸せな夢を見てほしい。
それにしても学園を卒業したら辺境送りとはね。
国王陛下もミハイ殿下とウルーナに対し十分な処分を下してくれた。
さすがにもうミハイ殿下を見限ったのだと思う。
「学園のみんなも祝福してくれたわ」
「良かったわね、みんなから祝福されて」
廃嫡がまだ公になっていないのだから、みんなにとっては王太子殿下との婚約だと思われているのだろう。
祝福しないで不興を買うなんて愚かな行為でしかない。
貴族がみんな本心で行動している訳ではないことくらいウルーナも理解していると思うけど、そんなことすら気付けなくなるくらいミハイ殿下との婚約が嬉しいのだろう。
何も知らずに喜んだり私に勝ち誇るウルーナは本当に可愛らしい。
問題だったミハイ殿下の名誉を貶めるような噂を流したウルーナの処分だったけど、全ては嫉妬心からのものであり、ミハイ殿下の婚約者となったこともあり、可愛い嫉妬心も愛故のものとして美談…のような扱いになっている。
美談にするしかないじゃない。
だってまだ表向きは王太子であるミハイ殿下との婚約なのだから。
とにかく悪くない着地点になって良かったと思う。
「どうしよう、幸せ過ぎて怖い」
現実を見ないウルーナが怖いわ。
「これからも私は幸せだと思うの。だからお姉様も幸せになってね」
見下すように言えるのも今だけなのに。
ウルーナから言われなくても私は私の幸せを求めるから。
「私はミハイ殿下からも運命の女神からも愛されていると思うの。ね、お姉様もそう思わない?」
「そうね。これがウルーナの運命なのよね」
「ふふふ………」
将来性のないミハイ殿下との辺境暮らしも運命なのだろう。
いつ現実に気付き後悔するのかは知らないけど、後悔してもどうにもならないだろう。
それこそがウルーナの運命なのかもしれないし、わがままと都合の良い解釈の結果が作り上げた奇跡のような自滅なのかもしれない。
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