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第8話

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お父様に報告したら呆れられてしまったけど、納得もしてくれた。
そしてデーゲル伯爵に責任を取らせることに賛成してくれた。

「まったく、よくそんなことを思いついたものだな…」
「自分でも信じられません」

本当、自分でも信じられないけど名案だと思う。

「それで次はバドンの解放か?」
「そうなります」

バドンを勝手に処刑する訳にはいかなかったからデーゲル伯爵に事実確認する必要があった。
でもこれならバドンを解放すれば勝手にデーゲル伯爵のもとへ向かってくれるだろう。
その結果がどうなろうとも当家の責任ではない。

「……こうなったら仕方ないな。後はデーゲル伯爵家の問題にしてもらおう」

こうしてお父様も認めてくれたので、バドンを解放することにした。
もちろん解放したバドンが本当にデーゲル伯爵家へ向かうのか怪しかったので監視付きだけど。
後は結果を待つばかり。

* * * * * * * * * *

社交界での噂の一つに、デーゲル伯爵家の出来事があった。
突如として発表されたバドンの病死。
でも発表通りに受け取めるようでは貴族として失格。

親子で家督をめぐり争うことは珍しくない。
デーゲル伯爵家の問題もそういったものの一環で、表向きの理由として病死にしたのだと噂された。

「悲しい出来事だったわ…」

詳しい事情を知らない人は間違った予測をするのも仕方ないけど、デーゲル伯爵がバドンを毒殺したのだと思う。
問題を起こすような人が家族にいれば、他家に迷惑をかける前に毒を盛って病死扱いすることも珍しくない。
理由はどうあれ問題のある人物を排除し病死扱いすることは同じだけど。

これで私や当家、シェリアやレンヴィル公爵家へ危害を加えられることもなくなった。
私は手を汚していないし、手を汚したデーゲル伯爵は親として責任を取る形になったのだから同情はしない。
バドンにシェリアの幸せな家庭を壊させる訳にはいかなったし、私が手を汚さなかったのでシェリアも私に負い目を感じることはないだろう。

「もう全部終わったのね……」

やっと、やっと片付いた。
私にとっては何の利益にもならないことだったけど、元婚約者として後始末はした。

「シェリアの幸せは私が守ったから」

シェリアはオースティー様に見染められて本当に良かったと思う。
このような事件があっても揺るがない信頼関係は二人の間の愛が本物だと証明している。
二人の幸せを邪魔するバドンは排除されて当然だ。

「私も自分の幸せを見つけないとね」

バドンのせいで時間も無駄にしたし、もう良い婚約者を得るには難しい年齢になってしまった。
でもここで諦めたら本当に幸せを逃してしまいそう。
不利な現実を受け入れ、私はそれでも諦めたりはしない。
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