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第8話

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専門家に指輪の鑑定を依頼し、結果が知らされた。

「呪われた指輪ですか!?」
「ああ。専門家の鑑定だから間違いないだろう。困ったことにな」

お父様は深く息を吐いた。
気持ちは理解できる。
ランファス殿下から私に贈られた指輪が呪われていたなんて大問題。
ティスアート公爵家への攻撃と判断しても誰も責められないほどの出来事。

アレーラの原因不明の体調不良は呪いの指輪のせいだとして、私が身につけていたら私が寝込んでいたはず。
もし原因が特定できなければ最悪私が命を落としていたかもしれない。

「ランファス殿下は呪いの指輪だと知っていて贈ったのでしょうか?」
「それは不明だが、少なくとも普通の手段では手に入れることは難しいだろう。裏社会との繋がりでもあれば別だが」
「まさかランファス殿下が直接そういった者たちと繋がっているとは思えません」
「同感だ。だが何らかの方法で手に入れ、効果を知った上でヴィオーラに贈ったに違いない。意図は不明でも害意は明らかだ」

ランファス殿下が私との婚約に不服だということはよく理解していた。
でもまさか私を殺したいほど嫌っていたなんて知らなかった。
もう私はランファス殿下の本当の気持ちを知ってしまったのだから容赦する必要はない。

「このことを国王陛下はご存じなのでしょうか?」
「知っていたらこのような事にはならなかっただろう。国王陛下の与り知らぬところでランファス殿下が企んだのだろうな」
「それなら国王陛下にこの件を報告するのはどうでしょうか?いずれにせよ当家だけで済む問題ではありません」
「そうだな。国王陛下に報告するとして、問題はヴィオーラの気持ちだ。ランファス殿下をどうしたい?」

その答えは決まっている。

「婚約者を暗殺しようとする相手にかける慈悲はありません。これはティスアート公爵家への宣戦布告のようなもの。容赦なく徹底的に責任を取らせてください」
「わかった!よく言った!それでこそティスアート公爵家の娘だ!」

このまま有耶無耶に終わらせたり中途半端な責任追及で終わってしまえばティスアート公爵家が舐められることになる。
私は誇りあるティスアート公爵家の娘だもの。
相手がランファス殿下であっても負ける訳にはいかない。

そういえばティスアート公爵家の娘として相応しくない娘もいたわね。
お父様が義憤にかられているところに申し訳ないけど、アレーラのことをどうするかも訊いておかないと。

「もうしわけありません、お父様。アレーラはどうしましょう?」
「…指輪がなければ体調も回復するだろう。当面は放っておけばいい。その後はそうだな……」

お父様は考え込み、答えを告げる。

「せいぜい当家の役に立ってもらおうではないか」

冷たい声色に悪そうな表情。
こんなお父様の姿は見たことがなかった。
そこには実の娘にかける愛情は感じられなかったけど、散々期待を裏切ってきたのだから当然の結果だろう。
私の役に立ってくれたとはいえ盗みを働くような人はティスアート公爵家の恥でしかない。

ランファス殿下もアレーラも悲惨な結末が待っているのかもしれない。
同情の余地はないけど。
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