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第4話 暖かすぎる暖房
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話し合いの末俺がベッド、甘倉がソファから持ってきたクッションを敷き詰めてベッドの横で寝るということになった。
「ほんとに床でいいのか?」
「床と言っても柔らかいクッションがありますし、私が勝手に押し入ったので」
「まぁ、人のベッドで寝るのも嫌だよな」
「い、いえ…そこまでではないですよ…」
別にラブコメのように一緒で寝るということを期待していた訳でもない。
これなら何とかなりそうだな、と。
………
……
…
「あ、藍原くん…起きていますか?」
ベッドについて1時間ほどたった時、甘倉の声が聞こえた。
「起きているが。どうした?急に苗字で呼び始めて」
実は俺も全く寝られていなかったのだ。
まぁ、こんな美少女がすぐそばにいて眠れるわけないのたが。
「副会長、だとどうも私が距離を取っているように聞こえて不自然でしたので。それに藍原くんが甘倉、と苗字で読んでくれているので」
「そうか。まぁ学校では言えないがな」
「そうですね。藍原くんが殺されそうですね」
本気でありそうな冗談はやめてほしい……
「それで何か要件でも?」
「はい…ただ、暖かいな、と」
「そこまで暖房温度上げたつもりはなかったんだけど」
俺はエアコンのリモコンを取りに立ち上がった。
「いえ、温度の問題ではなく、この空間の雰囲気が柔らかくて…今日。楽しかったです」
リモコンを取ろうとした俺の手は、甘倉の柔らかい手に止められた。
「す、すみません…触ってしまって」
「い、いや…大丈夫…」
大丈夫な訳がない。
女性経験の無い藍原にとって手が触れるだけでも捕まらないか不安になるほどだ。
(心臓の音…聞こえてないかな…)
「確かに…暖かいな…」
その夜は俺はあまり眠れなかった。
~~奏side~~
(どうしよう……ドキドキして眠れない…)
………
……
…
~~藍原side~~
「おはようございます」
目を開けると甘倉の綺麗で整った顔が目に写った。
「お…おはよう?」
脳が状況を理解するのに数秒掛かった。
しかしこの感じ……
「ご飯は作ってあります。朝ごはん、久しぶりなんじゃないですか?」
「あ、あぁ…ありがとう」
「受け答えがぎこちないですよ?」
「悪い。まだ眠いのかもしれない」
眠いのは言い訳だ。
朝起きて可愛い同級生に世話してもらうこのシチュエーションに理解が追いつかず、心臓がうるさいだけだ。
「はい、鮭のみりん醤油焼きとお味噌汁です。お魚、嫌いじゃないですか?まぁ嫌いでも無理やり食べさせるのですが」
魚は嫌いではない。
むしろ好きだ。
しかしここまで美味しそうな朝ごはんは始めて見た。
「美味しい。最高の朝ごはんだよ」
「そのように美味しそうに食べてくれると作り甲斐があるものです。因みに隠し味はごま油ですよ」
隠し味かぁ。いかにも料理上手な感じでかっこいい。
…なんか語彙力下がってないか?
思い浮かぶ理由は1つしかないのだが。
「そう言えば食材はどうしたんだ?」
「工事終わってる旨の手紙が私の部屋のポストに入っていたので。原因はそもそも私の部屋のエアコン全部の供給元が壊れていたみたいで。話がそれましたが私の部屋から持ってきました」
少し申し訳ないが、言っても私が勝手にしたことなので、とか言って会話終了しそうなので、ここは素直に感謝を述べることにした。
「わざわざありがとう。美味しかった」
食べ終わった後に食器を台所まで持っていったが、洗い方が分からず結局甘倉に洗い方を教えてもらった。
一緒に台所に立っているのが新婚夫婦みたいでドキドキしたのはお互いの秘密だ。
「そう言えば治ってるならご飯作らずに部屋帰れば良かったのでは?」
ずっと思っていた疑問だ。
「朝ごはん迷惑でしたか?」
「いえ、大変ありがたいです…」
「素直に受け取ってくれればいいのですよ」
甘倉も気を利かせてくれたのだろう。
本当にありがたい。
「ほんとに床でいいのか?」
「床と言っても柔らかいクッションがありますし、私が勝手に押し入ったので」
「まぁ、人のベッドで寝るのも嫌だよな」
「い、いえ…そこまでではないですよ…」
別にラブコメのように一緒で寝るということを期待していた訳でもない。
これなら何とかなりそうだな、と。
………
……
…
「あ、藍原くん…起きていますか?」
ベッドについて1時間ほどたった時、甘倉の声が聞こえた。
「起きているが。どうした?急に苗字で呼び始めて」
実は俺も全く寝られていなかったのだ。
まぁ、こんな美少女がすぐそばにいて眠れるわけないのたが。
「副会長、だとどうも私が距離を取っているように聞こえて不自然でしたので。それに藍原くんが甘倉、と苗字で読んでくれているので」
「そうか。まぁ学校では言えないがな」
「そうですね。藍原くんが殺されそうですね」
本気でありそうな冗談はやめてほしい……
「それで何か要件でも?」
「はい…ただ、暖かいな、と」
「そこまで暖房温度上げたつもりはなかったんだけど」
俺はエアコンのリモコンを取りに立ち上がった。
「いえ、温度の問題ではなく、この空間の雰囲気が柔らかくて…今日。楽しかったです」
リモコンを取ろうとした俺の手は、甘倉の柔らかい手に止められた。
「す、すみません…触ってしまって」
「い、いや…大丈夫…」
大丈夫な訳がない。
女性経験の無い藍原にとって手が触れるだけでも捕まらないか不安になるほどだ。
(心臓の音…聞こえてないかな…)
「確かに…暖かいな…」
その夜は俺はあまり眠れなかった。
~~奏side~~
(どうしよう……ドキドキして眠れない…)
………
……
…
~~藍原side~~
「おはようございます」
目を開けると甘倉の綺麗で整った顔が目に写った。
「お…おはよう?」
脳が状況を理解するのに数秒掛かった。
しかしこの感じ……
「ご飯は作ってあります。朝ごはん、久しぶりなんじゃないですか?」
「あ、あぁ…ありがとう」
「受け答えがぎこちないですよ?」
「悪い。まだ眠いのかもしれない」
眠いのは言い訳だ。
朝起きて可愛い同級生に世話してもらうこのシチュエーションに理解が追いつかず、心臓がうるさいだけだ。
「はい、鮭のみりん醤油焼きとお味噌汁です。お魚、嫌いじゃないですか?まぁ嫌いでも無理やり食べさせるのですが」
魚は嫌いではない。
むしろ好きだ。
しかしここまで美味しそうな朝ごはんは始めて見た。
「美味しい。最高の朝ごはんだよ」
「そのように美味しそうに食べてくれると作り甲斐があるものです。因みに隠し味はごま油ですよ」
隠し味かぁ。いかにも料理上手な感じでかっこいい。
…なんか語彙力下がってないか?
思い浮かぶ理由は1つしかないのだが。
「そう言えば食材はどうしたんだ?」
「工事終わってる旨の手紙が私の部屋のポストに入っていたので。原因はそもそも私の部屋のエアコン全部の供給元が壊れていたみたいで。話がそれましたが私の部屋から持ってきました」
少し申し訳ないが、言っても私が勝手にしたことなので、とか言って会話終了しそうなので、ここは素直に感謝を述べることにした。
「わざわざありがとう。美味しかった」
食べ終わった後に食器を台所まで持っていったが、洗い方が分からず結局甘倉に洗い方を教えてもらった。
一緒に台所に立っているのが新婚夫婦みたいでドキドキしたのはお互いの秘密だ。
「そう言えば治ってるならご飯作らずに部屋帰れば良かったのでは?」
ずっと思っていた疑問だ。
「朝ごはん迷惑でしたか?」
「いえ、大変ありがたいです…」
「素直に受け取ってくれればいいのですよ」
甘倉も気を利かせてくれたのだろう。
本当にありがたい。
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