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第三章 幻獣だってモフっちゃう

第69話「いざ樹海へ……」

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 我が家のリビングで、ギルドマスターのレイモンドから話を聞いているところだ。

「そういうわけで、樹海の調査をお願いできないだろうか?」

 ギルドマスターのおっちゃんが、頭を下げてくる。
 森の様子が最近どうもおかしいようで、その調査を依頼してきたのだ。

 森の浅めのエリアに、今まではいなかった上位の魔物が出現しているとの報告が、結構な数、寄せられているらしい。
 その他にも、異常の兆候が見られるとのことだ。

 懸念されるのは、魔王種のような特殊な個体の発生や、魔物の異常繁殖とのことだ。
 なんとなく頭に浮かんだのは、イナゴの大量発生だ。

 調べて、特に問題が無ければ、それはそれで良いらしい。
 樹海の調査は、場合によっては未踏エリアにも踏み込む必要があるため、高ランク冒険者のリルに依頼することになったようだ。

「レイモンドさん、頭を上げてください。リルだけじゃ決められませんし……」

 そう言って、リルが俺にどうするか振ってくる。

 樹海は奥に行くにつれて、凶悪な魔物が増えてくるし危険もあるだろう。
 あまりリルを危険なところに連れて行きたくはないのだけど……。

 この前の一件から考えていることがある。
 今の強さでは、足りないと……。

 次にケルベロスと同等かそれ以上の強さの敵と相対した場合、皆が無事でいられる保証が全くないというのが今の状況だ。
 日々の安全を求めすぎても、いざという時に対処できないということになるだろう。

 それなら、樹海で強い魔物と戦っておく方が、いざという時のためになるかもしれない。
 本当はリルを置いて一人で行きたいけど、前回俺がいない間にアンデッドの軍団と戦っていたという前例もある。
 そばで俺が守っていた方が、安全かもしれない。

「クルニャー!(その依頼、受けよう!)」

 俺はリルに向かって、肯定の意味を込めてうなずく。
 リル自身は、樹海の調査という依頼を受けたそうにしていたのもある。
 うちのメンバーは、森とか山とかが結構得意なのだ。
 俺とリルも山からこの街に下りて来たわけだし、グリフォン達も山出身だ。
 
 そんなわけで、一緒に行くメンバーをどうするか考えることになった。





 ギルマスのおっちゃんが訪ねて来た翌朝、まだかなり早い時間。
 俺たちは樹海の調査に出発するところだ。

「さあ、行くよー!」

「クルニャー!(おー!)」
「ニャー(行くっす)」
「ガルルッ!(はい、リル様!)」
「……ぽよ」

 調査メンバーは、俺、リル、ライミー、グーリと他グリフォン2体、ミケと他猫4匹だ。
 機動力と対応力を考えての布陣だ。
 猫たちにも経験を積んでもらいたかったのと、いざという時の伝令役になると思い連れて行くことした。 

 リルが俺を抱えてグーリにまたがっている。
 ライミーも人型で、グリフォンにまたがっている。
 猫5匹は、残りの1体のグリフォンに乗って……載っている。
 あそこのモフ密度は、良いな……。

「なんだか、楽しいことになりそうだね!」

 リルが笑顔で告げる。
 皆とお出かけが楽しくてしょうがないといった様子だ。
 どうも皆で出かける時、リルはピクニック気分になってしまうようだ。

「クルニャン!(グーリ、俺たちがリルの笑顔を守るぞ!)」

 まあ、俺たちが邪魔なものを全て払い除ければ、何も問題ないだろう。

「ガルルゥ!(任せてください、シュン様! このグーリ、一命をかけて……)」

 そうだった、リルの軽さに比べて、こっちは重いんだった。
 その真剣さはグーリの良いところだけど、グーリはもう少し自身をいたわってほしい。

「ガルゥゥ……(姫様。シュン様が、姫様の想いの重さに引いてますよ……)」

「ガルッ!?(え、シュン様? 私って重いですか!?)」

 ライミーを乗せてるグリフォンが、グーリにちゃちゃを入れる。
 グーリも、そんな絶望的な顔しないでよ……。

「クルルゥ(引いたりしてないよ。俺はグーリの何にでも真剣なところ、好きだしさ)」

「ガルガルッ!?(す、す、す、しゅきですと!? イタッ!)」

 グーリが、暴れ馬のようにワタワタし出す。
 リルじゃなかったら、振り落とされてるな……。
 慌てて舌をんだらしく、(>_<)みたいな顔になっている。

 そんな感じで、なんとも締まらない感じでの出発になったけど、それはそれで俺たちらしいかもなと思ったのだった――。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

いつもお読みいただきありがとうございます!
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「最強猫科のベヒーモス」の更新速度を、どこかのタイミングで上げていけるようにしたいと思っております。


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