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「ろ、ロバートくん。今日はどうだった…?」
今、私【アルロ・オーバトリー】は、6歳下の夫である【ロバート】と夕飯をとっている。
サラサラした銀色の髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ美形、騎士らしく鍛えられた身体つきをしていた。
その反面、私は茶色の天パに灰色の目で実に冴えない。
「いつもと変わらず普通でした。」
ロバートは無愛想で淡々とそう返してきた。
「そ、そうか!ロバートくん達が守ってくれてくれているから平和ってことか!」
「そうですね。」
それから沈黙が続く。ただ互いの食事の音だけが部屋に響かせていた。
「はぁぁ…」
夕飯を済ませた私は寝室のベッドで横たわっていた。ロバートとは寝室が別だ。
「今日も空気悪かったなぁ…」
私とロバートくんは同性夫婦としては仲が良くない。それどころがロバートくんは私の事を嫌っている。それは別に何がかきっかけで仲が悪くなったとかではない。
そもそも私とロバートくんが同性夫婦になったのは、よくある政略結婚ってやつだ。
今から6年前、ロバートくんの実家であるブレア男爵家は没落寸前だった。そこでブレア男爵家の当主と友人関係にあったオーバトリー伯爵家の当主である父は彼に支援を申し出たのだ。そしてブレア男爵家と婚姻を結ぶ事で両家の絆をより強固なものにしようとした。
そこで当時20歳であったオーバトリー家の三男であった私と、14歳であったブレア家の次男ロバートくんを結婚させた。互いに未婚の娘が居なかったのもあるが、その年はようやく国が同性婚を認めたのもあったので結婚することが可能となったのだ。
元々病弱で家族に迷惑かけてていたこともあり、私は素直に従った。
けれどもまだまだ遊び盛りであろう少年ロバートくんにとっては家の都合で振り回されて歳上の男と結婚させられてたのだからよっぽど嫌だったに違いない。
初めて会った時から彼は私に笑顔を見せたことはない。というか無愛想な顔以外見たことがない。ちょっと目を合わせるとふいと顔を逸らされてしまうのだ。
嫌われているのはわかっていた。しかし政略結婚とはいえ私達は夫婦になったのだ。彼とは仲良くしたいのだ。
彼が欲しい物があれば贈ったり、要望があればなんでも聞いた。
しかしロバートくんは遠慮してるのか、それとも嫌いな奴からの贈り物を受け取りたくないのか、何がを強請ったりすることはなかった。
ただ一つだけ要望を言ってきたことがあった。それは騎士になりたいから騎士学校に通いたいということだった。
私は快く承諾した。騎士になりたいというその思いを無駄にしたくなかったのだ。
まぁ、騎士学校は寮生活を強いられていたからただ単純に私から逃れたかっただけなんじゃないかと今は思っている。だって手紙を送ってもほとんど返ってこなかったし…本人は手紙を書く暇が無かったと言っているがただ単純に私に手紙を送るのが嫌だったんじゃないかと。
騎士学校を卒業し、立派な騎士になったロバートと再びこの屋敷と暮らすようになったが、相変わらず距離感がある。せめて夕飯だけは一緒に食べてはいるがそれもいつまで続くか…
「…いや、このままじゃダメだ。お爺さんになるまでこんな関係が続くのは良くない!」
しかしどうすれば良いのだろうか…?そしてある事に気づいた。
ロバートくんのこと何も知らない。
なら相手の事を知ることが絆を深める近道な筈だ!
けど現時点でロバートくんと会話するのは不可能だ。話しかけてもすぐに話を切られてしまう。
「あっそうだ…!」
私はあることを思いついた。
そして次の日、私はさっそく行動に移した。
今私は騎士団が所属している部署の近くに来ていた。そう、屋敷以外のロバートくんを観察するのだ。
ロバートくんが所属する騎士団は王都の警備を担当している。つまり外にいることが多い。なので観察するにはもってこいなのだ。
ちなみに自分のは仕事どうしたんだと思われただろうが、私は画家なので時間は問題ないのだ。締切もまだまだ先だ。
とはいえ流石に嫌っている夫がこうして観察していると知ったら幻滅されるだろうから、出来るだけバレない様に女装することにした。
良い歳の男が女装して歳下の男を付け回す光景が地獄とか考えていけないのだ。うん。
するとロバートくんが部署から出てきた。その後を付ける。
「きゃーロバート様よー!」
「今日も素敵!」
女性達の黄色い声が聞こえてくる。気づけばロバートくんは女性達に囲まれていた。まるで舞台俳優の様に人気があるようだった。
まぁロバートくんは美形だし騎士だし女性にモテるのは当たり前であろう。
そうだ、彼女達に紛れ込んで色々聞けば何かわかるかも知れない。そう思いその集団に入ろうとした時だった。
「なぁ、お姉さん1人?良かったら俺たちと一緒に遊ばね?」
「へっ?け、結構です!!」
後ろからチャラついた男二人組に話しかけられた。私はまさかナンパされたことに動揺したが断り、咄嗟に逃げようとしたが腕を掴まれてしまう。
「は、離してください!」
「いいじゃん!ってん?あれ、あんたまさかお」
その時だった、何者かにグイッと腰を引き寄せられた。
誰だと思い上を見上げると、ロバートだった。
「君達、無理強いは良くないぞ。」
ナンパしてきた男二人組は騎士がきたことで諦めたのかさっさとその場から去っていった。
「失礼、レディが困っていたようでつい…!」
ロバートくんは腰から手を離して顔を合わせてきた。そして次の瞬間、目を丸くした。
や、やばいっ!バレた!!いくら女装しているとはいえ、毎日顔を合わせているのだから気付かない筈がない!
「あ、これはその違う!」
私は慌てて言い訳しようとした時、ロバートくんは私の手を取った。そして手の甲に唇を落としたのだ。
「?!!!!」
一瞬何が起きたのか理解出来なかった。呆然としていると次にロバートくんはとんでもないことを言い出した。
「麗しき人よ、どうか俺とお茶していただけますか?」
ロバートくんはけして私に見せたことがない、優しく微笑みを浮かべながらそう言ってきた。
「…は?お茶…?」
「えぇ、是非。」
どうやら私がアルロとは気づいていないようだった。
いや、それよりも私は今、ロバートくんにナンパされてる?!
「その…あの…」
まさかの事態にどう反応すれば良いのかわからなかった。
「すいません、いきなりこんなことを言ってしまって。困らせるつもりはなかったのです。」
ロバートくんは眉を下げて申し訳なさそうな顔をした。立て続けに見たことない顔を見せられている。
まて、これはチャンスなのでは?これをきっかけにロバートくんとの距離を縮めることが可能ではないか?
私は意を決した。
「わ、わかりました…喜んで…」
「!ありがとうございます…!」
とびっきりの笑顔を見せてきた。その笑顔に思わずドキッとしてしまった。
今、私【アルロ・オーバトリー】は、6歳下の夫である【ロバート】と夕飯をとっている。
サラサラした銀色の髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ美形、騎士らしく鍛えられた身体つきをしていた。
その反面、私は茶色の天パに灰色の目で実に冴えない。
「いつもと変わらず普通でした。」
ロバートは無愛想で淡々とそう返してきた。
「そ、そうか!ロバートくん達が守ってくれてくれているから平和ってことか!」
「そうですね。」
それから沈黙が続く。ただ互いの食事の音だけが部屋に響かせていた。
「はぁぁ…」
夕飯を済ませた私は寝室のベッドで横たわっていた。ロバートとは寝室が別だ。
「今日も空気悪かったなぁ…」
私とロバートくんは同性夫婦としては仲が良くない。それどころがロバートくんは私の事を嫌っている。それは別に何がかきっかけで仲が悪くなったとかではない。
そもそも私とロバートくんが同性夫婦になったのは、よくある政略結婚ってやつだ。
今から6年前、ロバートくんの実家であるブレア男爵家は没落寸前だった。そこでブレア男爵家の当主と友人関係にあったオーバトリー伯爵家の当主である父は彼に支援を申し出たのだ。そしてブレア男爵家と婚姻を結ぶ事で両家の絆をより強固なものにしようとした。
そこで当時20歳であったオーバトリー家の三男であった私と、14歳であったブレア家の次男ロバートくんを結婚させた。互いに未婚の娘が居なかったのもあるが、その年はようやく国が同性婚を認めたのもあったので結婚することが可能となったのだ。
元々病弱で家族に迷惑かけてていたこともあり、私は素直に従った。
けれどもまだまだ遊び盛りであろう少年ロバートくんにとっては家の都合で振り回されて歳上の男と結婚させられてたのだからよっぽど嫌だったに違いない。
初めて会った時から彼は私に笑顔を見せたことはない。というか無愛想な顔以外見たことがない。ちょっと目を合わせるとふいと顔を逸らされてしまうのだ。
嫌われているのはわかっていた。しかし政略結婚とはいえ私達は夫婦になったのだ。彼とは仲良くしたいのだ。
彼が欲しい物があれば贈ったり、要望があればなんでも聞いた。
しかしロバートくんは遠慮してるのか、それとも嫌いな奴からの贈り物を受け取りたくないのか、何がを強請ったりすることはなかった。
ただ一つだけ要望を言ってきたことがあった。それは騎士になりたいから騎士学校に通いたいということだった。
私は快く承諾した。騎士になりたいというその思いを無駄にしたくなかったのだ。
まぁ、騎士学校は寮生活を強いられていたからただ単純に私から逃れたかっただけなんじゃないかと今は思っている。だって手紙を送ってもほとんど返ってこなかったし…本人は手紙を書く暇が無かったと言っているがただ単純に私に手紙を送るのが嫌だったんじゃないかと。
騎士学校を卒業し、立派な騎士になったロバートと再びこの屋敷と暮らすようになったが、相変わらず距離感がある。せめて夕飯だけは一緒に食べてはいるがそれもいつまで続くか…
「…いや、このままじゃダメだ。お爺さんになるまでこんな関係が続くのは良くない!」
しかしどうすれば良いのだろうか…?そしてある事に気づいた。
ロバートくんのこと何も知らない。
なら相手の事を知ることが絆を深める近道な筈だ!
けど現時点でロバートくんと会話するのは不可能だ。話しかけてもすぐに話を切られてしまう。
「あっそうだ…!」
私はあることを思いついた。
そして次の日、私はさっそく行動に移した。
今私は騎士団が所属している部署の近くに来ていた。そう、屋敷以外のロバートくんを観察するのだ。
ロバートくんが所属する騎士団は王都の警備を担当している。つまり外にいることが多い。なので観察するにはもってこいなのだ。
ちなみに自分のは仕事どうしたんだと思われただろうが、私は画家なので時間は問題ないのだ。締切もまだまだ先だ。
とはいえ流石に嫌っている夫がこうして観察していると知ったら幻滅されるだろうから、出来るだけバレない様に女装することにした。
良い歳の男が女装して歳下の男を付け回す光景が地獄とか考えていけないのだ。うん。
するとロバートくんが部署から出てきた。その後を付ける。
「きゃーロバート様よー!」
「今日も素敵!」
女性達の黄色い声が聞こえてくる。気づけばロバートくんは女性達に囲まれていた。まるで舞台俳優の様に人気があるようだった。
まぁロバートくんは美形だし騎士だし女性にモテるのは当たり前であろう。
そうだ、彼女達に紛れ込んで色々聞けば何かわかるかも知れない。そう思いその集団に入ろうとした時だった。
「なぁ、お姉さん1人?良かったら俺たちと一緒に遊ばね?」
「へっ?け、結構です!!」
後ろからチャラついた男二人組に話しかけられた。私はまさかナンパされたことに動揺したが断り、咄嗟に逃げようとしたが腕を掴まれてしまう。
「は、離してください!」
「いいじゃん!ってん?あれ、あんたまさかお」
その時だった、何者かにグイッと腰を引き寄せられた。
誰だと思い上を見上げると、ロバートだった。
「君達、無理強いは良くないぞ。」
ナンパしてきた男二人組は騎士がきたことで諦めたのかさっさとその場から去っていった。
「失礼、レディが困っていたようでつい…!」
ロバートくんは腰から手を離して顔を合わせてきた。そして次の瞬間、目を丸くした。
や、やばいっ!バレた!!いくら女装しているとはいえ、毎日顔を合わせているのだから気付かない筈がない!
「あ、これはその違う!」
私は慌てて言い訳しようとした時、ロバートくんは私の手を取った。そして手の甲に唇を落としたのだ。
「?!!!!」
一瞬何が起きたのか理解出来なかった。呆然としていると次にロバートくんはとんでもないことを言い出した。
「麗しき人よ、どうか俺とお茶していただけますか?」
ロバートくんはけして私に見せたことがない、優しく微笑みを浮かべながらそう言ってきた。
「…は?お茶…?」
「えぇ、是非。」
どうやら私がアルロとは気づいていないようだった。
いや、それよりも私は今、ロバートくんにナンパされてる?!
「その…あの…」
まさかの事態にどう反応すれば良いのかわからなかった。
「すいません、いきなりこんなことを言ってしまって。困らせるつもりはなかったのです。」
ロバートくんは眉を下げて申し訳なさそうな顔をした。立て続けに見たことない顔を見せられている。
まて、これはチャンスなのでは?これをきっかけにロバートくんとの距離を縮めることが可能ではないか?
私は意を決した。
「わ、わかりました…喜んで…」
「!ありがとうございます…!」
とびっきりの笑顔を見せてきた。その笑顔に思わずドキッとしてしまった。
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