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狭間世界編
第二十五話:携帯拠点と決戦前夜
しおりを挟むサンクアディエットの下街観光巡り。以前は深夜に特殊な場所を中心に周り、他は下見だけで済ませていた幾つかの観光名所。
展望塔や牧場、地下空間など、昼間の観光を楽しんだコウは、甲虫ゴーレムで貴族街の入り口になる区画門の上空までやって来ると、適当な路地に下りて少年型に乗り換えた。
区画門前には貴族街まで走る乗り合い動力車の停留所がある。ガゼッタで貰った活動資金がまだ十分残っているので、帰りはこれに乗って行く事にした。
下街を走る一般民向けの乗り合い動力車に比べると、若干外装と内装が豪華に造られた貴族客向けの動力車に揺られて、コウは悠介邸のある上流貴族街まで上がって来た。
上流貴族街の停留所に下りると、探知系の術っぽい魔力の風を感じて、密偵チームらしき監視の思念を拾ったが、気にせず悠介邸まで歩いて帰る。
「ただいま~」
「おかえりなさいませ、コウ様」
悠介邸の玄関で執事長のザッフィスが出迎えてくれる。そのまま広間へと案内された。広間では悠介達が談笑しながら待っていた。
古代ポルヴァーティアの勇者で不老不死のパルサ。
元ノスセンテスの籠絡工作員で悠介の奴隷ラーザッシア。
同じく元ノスセンテス諜報員で唱姫だった悠介の愛人ラサナーシャ。
闇神隊の技術担当者で趣味の考古学者ソルザックの姿もある。彼に関する人物情報は悠介達の記憶情報から把握済みである。
「戻ったよー」
「おかえり、じゃあ早速宮殿に行こうか」
「おっけー」
挨拶もそこそこに、立ち上がった悠介がシフトムーブを発動させる場所に移動したので、コウも後に続く。ここから宮殿に向かうのは、悠介とソルザックとコウの三人で、他は留守番のようだ。
スンや闇神隊の皆は、向こうで場所取り待機しているらしい。
「いってらっしゃい」
「行って来る。――実行」
ラーザッシアとラサナーシャとパルサに見送られ、悠介のシフトムーブで宮殿の訓練場へと転移した。
(うん、やっぱり朔耶の世界渡りと似てる)
コウは先日、シフトムーブの仕組みを解析しようした結果、自身の付与魔術が強化されるに至った。
人が世界を渡ろうとする時、魂と精神と肉体が一旦分離する。転移先でバラバラになってしまわないよう、力のある精霊などを使って保護する事で、再構成時の安全を確保している。
この時、保護に使った精霊の一部が混ざり、精霊の持つ特色が人に付与される場合がある。
事故で世界を渡った京矢や沙耶華が、朔耶に連れられて地球世界に帰還する際に、保護膜として使った『人工精霊ボー』の治癒効果が二人に備わった例がそれだ。
そこからヒントを得て、世界を渡るほどでなくとも物体が転移する際は別次元を通っており、その一瞬は分解されているという仮設を立てたコウは、異次元倉庫を使って実験を行った。
そうして転移の仕組みを応用する事で、付与魔術を一段高いレベルに昇華させたのだ。
(まだまだ『カスタマイズ・クリエート』ほど自由には出来ないけど、いい修行になるなぁ)
この狭間世界での冒険は得るモノ、得たモノが多いとホクホク気分なコウは、悠介の後について訓練場を歩く。広々とした屋外訓練場の真ん中辺りに闇神隊の皆とスン、それにヴォレット姫も居た。
人払いがされているらしく、他に衛士達の姿は無い。貸し切り状態のようだ。コウはそれとなく、悠介にヴォレット姫の存在を指して訊ねる。
「いいの?」
「まあしゃーないさ」
悠介としては、双方に自重を期待するしかないと、やや諦めモードのようだ。コウも王族の機密を知ったとて、無闇に吹聴する気も無い。当人が気にしないのならいいかと納得する。
それはそれとして、ヴォレット姫はコウの姿を見るなり、またぞろ内心で『ユースケスキスキ恋慕思念ブースト』を掛けているので、コウはゼスチャーで『オーケー、一旦落ち着こう』と宥めた。
「ちゃんと伝わってるから、だいじょうぶだよ」
「う、うむ。ならば良い」
「うん? 何の話だ?」
コウとヴォレット姫の唐突なやり取りに、悠介は首を傾げている。「後で話すよー」と流したコウは、早速基地施設の整備補強をお願いする事にした。
屋外訓練場をぐるりと見渡したコウは、射的用の的や打ち込み用の案山子が並んでいる場所を指すと、一先ず全員にそのラインまで退避するよう頼んだ。
「けっこう大きいから、なるべく離れてたほうがいいよ?」
「どんな規模の施設が出て来るのか不安になって来たんだが」
悠介はそんな事を言いながら、コウの指示に従って全員を案山子ラインまで下がらせる。
「じゃあ出すよー」
異次元倉庫内に浮かぶ件の拠点施設の、向きや角度を整えたコウは、自身も悠介達の傍まで移動すると、そう宣言して取り出した。
魔導兵器の生産工場や格納庫。食料保管庫。資料室に遊戯室。食堂。居住区。作戦会議室。魔導動力室。その他倉庫部屋等々、様々な設備が整った栄耀同盟のカルツィオ最大の支部施設。
地下階部分を含めて、約五階建てのビルに相当するような巨大建造物が訓練場に現れた。
「うおおおーなんじゃこれはー!?」
「こりゃ凄い。予想以上にデカかったな。――先にガワの補強からいっとくか」
ヴォレット姫が驚きの叫びをあげている隣で、悠介は冷静に呟いてカスタマイズを施すプランを練っている。他の皆は只々唖然としながら、巨大な直方体型の施設を見上げていた。
「あそこが入り口だよ」
「おお、なんであそこだけ森の中みたいになってるのかと思ったら、作り物の偽装かあれ」
地下の部分が地上に出ている為、入り口は二階か三階ほどの高さにあった。
木や草を組み合わせた粗末なカムフラージュ扉に見えるが、それは表面だけで、扉自体は分厚い鋼鉄製の防護扉である。
「偽装部分は撤去して、出入り口は全部あの仕様に合わせて?」
「了解」
入り口まで足場を作ってもらい、まずはコウと悠介が下調べをして全容を把握。安全が確保されてから皆で中を探索する予定だ。
双方向通信が可能な監視カメラのような仕掛けがある事も教えつつ、カムフラージュの解かれた扉を開いて中に踏み入る。
「しっかり明かりもついてるな」
「魔力の通り道が壁の中とか床とか天井に通ってるから、ユニット分けして魔導動力装置を付ける時は全部繋いでおいて欲しいんだけど、分かる?」
「ああ、ポルヴァーティアでやった事あるから大丈夫だ。しかし動作チェック必須だな」
悠介が施設に触れて全体をカスタマイズ・クリエートの影響対象に取り込んでいる様子を横目に、コウはどのように補強して整備して欲しいのか、予め要望を伝えておく。
「魔導動力装置は小型のをコピーして、全部のユニットに内蔵する感じで」
「ふむふむ、各ユニット毎に独立した動力を持たせるのか。一ユニットの広さと間取りは?」
「よんじゅーじょーのにーえるでぃーけーくらい? バストイレつき」
「結構でかいぞ、それは」
コウと悠介のやり取りは、地球世界の知識をベースにしているので、カルツィオの人々には意味が分からない部分が多い。悠介の作るギミック機能製品に造詣が深いソルザックが、辛うじて内容を理解できていた。
外からカスタマイズ・クリエートで各箇所のチェックをした後、悠介と連れ立って施設の中をざっと歩く。海に沈んだ艦船を資材にして造られた拠点施設。
金属製の合板で整えられた通路を見た悠介は「いかにも船っぽい」と言っていた。
「よし、全体的に補強したから地下部分の強度も問題無し。皆で探索に移ろうか」
「おー」
何度か「実行」の呟きと共に施設全体が光に包まれ、強度を増す施行を経て安全が確保されたので、施設内の本格的な探索を始める。
兵器類や爆弾になりそうな自爆装置部分などの危険物は、既にコウが異次元倉庫内で軽く探索した時にあらかた片付けてある。
今回の探索で目標にするのは、栄耀同盟に係わる重要書類や備品など、小物類の発見だ。
「よーし、謎の施設で宝探しじゃー!」
「栄耀同盟の拠点施設な。コウ君が調べた後だし、目ぼしい物は無いと思うが」
「私室の机の中とか、細かいところはまだ見てないから、何かあるかもしれないよ?」
楽しそうに先頭を行くヴォレット姫と、冷静なツッコミ役をやっている悠介に、コウは会議室や資料室など、分かり易い場所以外は手付かずなので、何かしら見つかる可能性を示唆する。
「武器もだいたい回収したと思うけど、魔導拳銃とか引き出しに入ってたら見落としてるかも」
「そっか。危険な薬品類とかも無いとは限らんよな……ヴォレット、何か見つけても触れるなよ?」
「分かっておるわ。ユースケは本当に心配性じゃなぁ」
唇を尖らせて見せるヴォレットの膨らんだ頬をつついて「ふしゅっ」と空気を抜けさせた悠介は、カスタマイズ画面を開きっ放しにして探索をするようだ。
何か見つかった時はまずカスタマイズ対象物として取り込む事で、危険の有無を調べられる。
(そういえば、カスタマイズ画面に表示させると、名前とか機能とかも分かるようになるんだよね)
悠介自身が知らないモノでも、その物体の詳細が表示される。彼のアイテム・カスタマイズ・クリエート能力には、鑑定機能も付いているのだ。
細かい部分は全て精霊が調整して『ゲームのシステム』という形で表現されているカスタマイズ能力。鑑定機能で示される情報の出所はどこだろう? と、コウは疑問を浮かべる。
(魂の還るところ――アカシックレコードとか、そういう場所から来てるのかも)
そんな風にカスタマイズ・クリエートの考察をしながら、闇神隊の皆と施設内を探索するコウ。
自爆装置を起動して栄耀同盟の構成員を脱出させた際、資料室や保管庫などに通じる道や扉を封鎖しておいたので、中は殆どそのままになっている。
封鎖していなかった区画の備品はあらかた持ち出されていたが、それでも幾つかの魔導製品が残っていた。構成員達は主に武器や通信具を中心に持って行ったからだ。
居住区の各部屋を手分けして調べていると、ヴォレット姫が壁際の事務机っぽい家具を観察して、その構造に興味を示す。
「質素だが出来の良い机じゃな。この棒とでっぱりの組み合わせはなんじゃ?」
「それはたぶんライトだと思う」
机の角から伸びるアームライトを覗き込むヴォレット姫に、コウは使い方を教えてやる。アームの先に付いている長方形パネルの下面部分に白い光が灯り、机の上を明るく照らし出した。
現在この施設は地下で魔導動力装置が稼働しているので、明かりを始め施設内の魔導技術が使われた日用品は全て使用可能状態にある。
「おおっ、これは良いな。ユースケ、これと同じモノは作れんのか? わらわの机に欲しい」
「そのくらいなら直ぐコピー出来ると思うけど、魔導製品として使うのはもう少しまってくれ」
宮殿にはまだ魔導製品に魔力を供給する仕組みが整えられていないので、ヴォレット姫の執務机に付ける場合は、ライト部分は既存のランプを使うよう促している。
「隊長、こっちの部屋で妙な道具が見つかったんですが」
「ああ、今行くよ」
闇神隊のメンバーが他の部屋で見つけた備品の報告にやって来ると、悠介はその正体を確かめに移動する。ヴォレット姫はまだしばらくこの明るい机の周りを調べるようだ。
「むむ、分厚い本があったぞ。『ポルヴァ神信仰の全て』とな? ふぅむ、これはポルヴァーティアの前体制――執聖機関に係わる信仰の書物じゃな」
「信仰の書、ですか」
姫君の傍には、闇神隊専属従者で悠介の伴侶が確定している少女スンが付いている。ここには特に危険物もない。姫君の護衛と付き人は彼女で十分だろう。
そう判断したコウは、カスタマイズ・クリエートの鑑定機能をもっと観察したいので、悠介達に付いて回る事にした。
「ボクはユースケおにーさん達の方を見て来るから、姫さんの事よろしくね」
「あ、はい」
「何かあれば呼ぶ故、気にせず行って来るが良いぞ」
ヴォレット姫はそう言って机周りを探索しながら、コウの一時離脱に理解を示す。その内心では、スンに悠介の事で少々人前では話せない内容を相談しようと目論んでいた。
そうしてコウ達は小一時間ほど施設内を隈なく探索して回った。何か備品が見つかる度に、悠介のカスタマイズレシピに新たな魔導製品の小物が増えていく。
コウの『カスタマイズ・クリエート観察による解析』は、残念ながらあまり成果は上がらなかった。
「よーし、大体これで調べ終えたかな」
「いろいろ見つかったねー」
魔導製品の携帯型ライトや、小型扇風機。保温・保冷機能付きポットなど、主に卓上の小物類を中心にした日用品が多く残されていた。
武器の類は見つからなかったが、機動甲冑のパーツ生産ラインらしき工場区画の機械の中に、魔導拳銃の金型と思われるモノが確認された。その機械も悠介のカスタマイズレシピに追加されているので、作ろうと思えば作れるらしい。
この探索で大いに増えたであろう沢山の魔導製品レシピを報酬代わりに、コウは拠点施設を好みの形にカスタマイズして貰うのだ。
集められた魔導製品は、全てコウが異次元倉庫に仕舞ってある。施設全体のカスタマイズ作業に入るので、一旦全員が外に出る事になった。
「ところで、わらわはあの机の引き出しにこんな物を見つけたぞ」
施設の外に出たところで、ヴォレット姫が複数枚の紙束を掲げながら自らの成果をアピールした。何の書類だろうかと覗き込んでみれば、何かの図形のようなモノが描かれている。
「これって……?」
「どこかでこれと似たモノを見たような覚えが……」
「何かの設計図、ってわけじゃねーですね」
「どれどれ。ふむ、これは見取り図のようですね」
皆で首を捻っていると、建築にも詳しいソルザックが「結構大きな建物の略図です」と解説する。複数枚に描き分けられた見取り図は、凡そ三階建てくらいでドーム状の形をした建物らしい。
「見取り図か……この拠点施設の――ってわけでも無さそうだな」
「形があわないね」
見取り図と拠点施設を見比べて呟く悠介に、コウは同意しながら提案する。
「カスタマイズ・クリエートに取り込めば、何の見取り図かわからない?」
「え? そこまで分かるかな?」
取り込めても「紙」などの材質が分かるだけでは? と戸惑いつつ、悠介はカスタマイズ対象物に取り込んだ見取り図をカスタマイズ画面に表示した。
「……栄耀同盟の本拠地施設の見取り図とか出てる件について」
「おおー、いいモノみつかったね」
悠介は「コウ君よく分かったなぁ」と、カスタマイズ能力の鑑定機能を見抜いた事に感心している。コウの見立てでは、恐らくカスタマイズ・クリエートの鑑定機能はシフトムーブの瞬間移動と同じく、『仕様上の反則技』に該当する副次的な効果だと思われた。
カスタマイズ・クリエートは、その力を悠介に与えた精霊によって『ゲームのシステム』という形で表現されている。
故に、カスタマイズの対象物として能力の影響範囲に取り込んだ物体は、その詳細が表示されるというゲームの仕様もそのまま表現されているのだ。
ゲームでは、プログラムの中にカスタマイズ可能なアイテムと詳細がデータとして用意されているが、現実世界では存在する全ての生命や物体の記憶が集積される場所がある。
カスタマイズ能力の仕様であり、裏技的でもある。まさに『仕様上の反則技』。得られる情報量や内容の方向性は、悠介が能力を行使した際のイメージに左右されるとコウは考察していた。
ともあれ、栄耀同盟の本拠地施設の見取り図をしっかり確保したコウは、悠介と拠点施設の再構築と整備強化の作業に取り掛かるのだった。
「まずは居住施設の部分からかな」
「うん、テントがわりのはこべる家みたいな感じに」
生産工場部分を含めて、拠点施設はそのままでも使える状態だが、ビルサイズの施設を丸ごと使うのは流石に大き過ぎる。
異次元倉庫で持ち運べる手頃なサイズの居住施設に、カスタマイズで分割して再構築してもらうのだ。利用頻度が最も高くなると思われる基礎棟部分は、念入りに強化をお願いしておいた。
「コンテナハウスというか、プレハブの一戸建てみたいになったな」
「いい感じ」
もっとも、強度はプレハブの家とは比べ物にならない。見た目は大型コンテナを四つ組み合わせたような直方体の居住施設。その外壁は機動甲冑の装甲にも使われている合金製。
もとが軍艦の船体を資材にした施設だけに、丈夫さは折り紙付きだ。
コウの要望に沿って造られた居住施設は、出入り口のある一階の部分に水道、バス、キッチン、空調、トイレなど色々な設備が整えられた。これを居住施設の基礎棟として使う。
二階以降には幾つか設備を省いた客室棟。拡張スペースとして、トレーニングルーム等の他、薬品精製や鍛冶生産棟。食糧備蓄用の倉庫なども用意して貰った。
一つの棟が軽いものでも6トン近くあるので、二階建てにしたり拡張スペース付きにする場合は、異次元倉庫内で組み立ててから取り出す事になる。
「そうそう、朔耶にたのまれてた魔導動力装置のコピーもおねがい」
「ああ、そういや相談されてたな」
そろそろ冒険飛行中のレイオス王子達がグランダール王国に帰還するので、古代遺跡で発掘した沢山の古代魔導製品が持ち込まれる事になる。
それらを安定して動作させる為には、高出力な魔力の供給源が必要だ。しかし、開発が上手くいっていないらしい。
なので、博士にポルヴァーティア製の魔導動力装置を贈りたいと朔耶から依頼されていたのだ。
アンダギー博士に譲渡するべく、コウが見繕った魔導動力装置は二つ。拠点施設の倉庫に保管されていた船舶用魔導動力装置と、機動甲冑から抜き取った小型魔導動力装置だ。
船舶用の動力装置は台車に乗せて運べるくらいの大きさで、カルツィオ大陸に渡って来た栄耀同盟の構成員達が拠点を建造する際、持ち込んだ魔導工作機械の動力源として利用されていた。
古代魔導文明の遺産を動かすのに十分な力を発揮してくれるだろう。機動甲冑の小型魔導動力装置は、博士の魔導器改良の参考にでも使って貰う。
複製が無理ならオリジナルを渡すつもりだったが、悠介は敵国の首都を丸ごと複数の囲郭都市に変える『カーストパレス改変』という大技をかました時、色々な魔導設備を複製している。
船舶用魔導動力装置も小型魔導動力装置共々問題無く複製された。コウは礼を言って受け取ったそれらを、異次元倉庫に仕舞い込む。
「あと、これオマケな」
博士へのお土産も確保出来たところで、悠介から見覚えのある箱型の機械をプレゼントされた。
役立つ魔導製品のレシピが大量に手に入ったので、個人的なお礼として、余った資材を使って組み上げたというそれは、小型化した汎用戦闘機だった。
正規品の半分以下の大きさで武装も無いが、大人三人くらいは余裕で乗せて飛べる飛行機械。
「ミニミニ魔導船だー」
グランダールの魔導船より小さいボート型の魔導艇よりも更に小さいが、恐らく魔導機関の出力や機体性能はこちらの方が上だ。
悠介の思考情報によると、身内で使うモノならもっと性能を抑えたマイルドな仕様にしたところだが、不死のコウが使うなら多少安全性を下げても、高性能なモノが良いだろうと考えたらしい。
ヴォレット姫が「空飛ぶ乗り物……」と羨ましそうに見ているので、じっくり観察するのは後にして早々に異次元倉庫へ仕舞った。
「ありがとね」
「どういたしまして」
そこでふと思い出すコウ。
「あ、空飛ぶ乗り物で思い出したんだけど、複合体に浮遊装置って付けられる?」
「あー、多分出来るんじゃないかな。付けてみようか?」
「おねがい」
ガゼッタ防衛戦で覇権主義派と栄耀同盟の機動甲冑が、低空を跳躍しながら高速で滑空移動して来るのを見て、魔導輪の上位互換的な装備として使えるのではと考えた。
機動甲冑の本体も丸ごと異次元倉庫に入っているので、浮遊装置の現物を博士に渡せば喜んで組み込んでくれるだろう。が、悠介にカスタマイズして貰えるならその方が確実だ。
細かい調整は全て、カスタマイズ・クリエートを発現している精霊の力が良い塩梅に纏めてくれるのだから。
複合体を取り出すと、ヴォレット姫が興味津々な表情を向けて来る。ひとまず少年型を解除して複合体に憑依した。
「浮遊装置は機動甲冑から抜いたやつの強化改良版でいいかな」
「ヴァヴォヴァヴァ "それでよろしく"」
複合体に入っているコウは、装飾魔術で空中に日本語を表示して意思の疎通を図る。
冒険者としては一応、こちらを本体として冒険者協会に登録してあるので、そろそろ複合体でも喋られるように何か工夫を考えた方が良いかもしれない。
(それか、登録内容を少年型に更新するとか)
そんな事を思っていると、複合体にカスタマイズ・クリエートの魔力が浸透してくるのを感じた。
もし複合体の内側に埋め込めなくとも、外側の装甲部分に張り付ける方法で装着させられる筈だ。魔導輪のように脱着式にするという手もある。
「おお……複合体の細胞って、人工物とかも取り込めるんだな」
カスタマイズ画面を弄っていた悠介がそんな事を呟く。複合体の内部に浮遊装置を埋め込める場所が無いか調べていたら、インプラント可能の表示が出たという。
そのままカスタマイズ作業は進められ、複合体の中に邪神製『浮遊装置・改』が埋め込まれた。使い方は装置に魔力を流して稼働させるだけ。魔力の扱いに長けているコウには造作も無い。
「ヴァヴゥヴァ "とべそう"」
「ははは、元の浮遊装置より強力だからなぁ」
悠介曰く、滞空時間も長く取れる筈なので、風系の魔術と組み合わせれば普通に飛べるのでは無いかとの事。
試しに浮遊装置を稼働させてジャンプしてみると、空中にふわりと浮き上がり、そのままぐるりと回転した。
「ありゃ、バランスが取れない?」
「ヴァヴァウ "だいじょうぶ"」
しばらくクルクル回りながらじりじり降下していたが、風の魔術を纏う事で姿勢を立て直し、浮遊装置の出力も制御して、浮く為の魔力を均等に放射するよう調整する。
やがて、浮遊装置を稼働状態にしたまま、姿勢を完全に安定させる事が出来た。地上でも空中でも、自在に動かせる。
「ヴォヴァヴァー "とべたー"」
「おー、すげぇな」
地上三メートルほどの高さを飛ぶ複合体で、出しっ放しにしてある居住施設の周りをぐるりと一周して見せる。
魔導輪での滑走も超低空飛行ではあったが、まさか複合体で空を飛べるようになる日が来るとは思わなかったと、コウは今回の狭間世界での冒険で得られたモノの多さに感嘆していた。
空飛ぶゴーレムには、悠介の魔導重力装置による半身甲冑巨人を見慣れていた闇神隊の皆も、流石に度肝を抜かれたようだった。
コウと悠介の魔導技術実験? は良い息抜きにもなった。複合体を異次元倉庫に戻して少年型に乗り換えたコウは、居住施設整備の最終調整に入る。
必要な居住施設はあらかた整備して貰ったので、後は実際に色々なパターンで設置してみたり、使い心地を試す実験を行うのだ。
縦に重ねて置いた時の階段の位置や、横に並べて置いた場合の扉の位置など、連結した各棟を行き来する為の通路や扉を微修正していく。
「これでどこでも快適にすごせるね」
「コウ君は冒険者として地下迷宮に潜ったりするんだってな。そういう場所でも使えそうだ」
すっかり夜になり、篝火が照らす宮殿の屋外訓練場に、四段重ねの居住施設が聳え立つ。
強度にはまだ十分余裕があるが、安全を考慮してこれ以上は重ねない方が良いというアドバイスに従い、居住施設は最大で四階建ての仕様に決まった。
悠介が『カーストパレス改変』で囲郭都市群を作った時に、大量に複製した食糧生産プラントや浄水施設の小型改良版が基礎棟部分の棟に埋め込んである。
なので一番重い基礎棟は基本的に一階部分として使われる予定だ。
「上の階にはなるべく軽い棟を置くように気を付けてな」
「うん。四階建てにすることは滅多にないとおもうけど」
ガウィーク隊のメンバーと使う事を考えても、基礎棟と客間棟の二つで予備メンバーまで含めた全員を寝泊まりさせられる。
通常は基礎棟だけの平屋で運用。人が多い時は客間棟を並べるか、重ねて二階建てで使う事になるだろう。
最高の秘密基地的な携帯拠点が手に入って満足気分なコウは、四階建ての居住施設を見上げてほっこりしながら、先程からヴォレット姫の思念より流れて来る『要望』を悠介に耳打ちで伝えた。
「あのねー、ひそひそ……」
「……ああ、それな」
悠介もその『要望』に関しては実行のタイミングを計っていたらしく、今ここでやれるならやってしまおうと考えたようだ。
「よし、じゃあせっかくの機会だから、ジェットコースターでも作るか」
「っ!」
その呟きに反応したヴォレット姫が期待の眼を向けている。随分以前からの約束だったらしく、遂にその時が来たか! という雰囲気でキラキラした表情を浮かべていた。
内心から読み取れた喜びの感情は、悠介に恋慕を抱く早熟な姫君とは違った、歳相応の純粋な少女らしい無垢さを感じた。
(やっぱり背伸びしてたのかなぁ)
コウはこれまで、王女様や皇女様など、お姫様は色々観て来たが、皆総じて大人であろうとする傾向を感じていた。
平民。貴族。王族。身分制のある世界の人間社会に生きる者達にとって、配慮して当然の壁を、いとも容易く擦り抜けて、本当の自分を見てくれる。
彼女達がそんな相手に強い親しみの念を抱くのも、無理はないのかもしれない。
ナッハトーム帝国の皇女スィルアッカや、マーハティーニ国の王女メルエシードが京矢に惹かれたのも、ここフォンクランク国の王女ヴォレットが、悠介に強い親愛寄りな恋慕の気持ちを持つに至ったのも、そういう部分があったのだろうなぁと察するコウ。
実際、二人の記憶情報からは『共に世界を知り、見識を深めていこう』という印象的な『約束』を交わした記憶が読み取れた。ヴォレット姫にとってそれは、とても大切な『約束』のようなので、コウも無闇に触れないよう気を付ける。
コウがそんな考察をしている間にも、悠介の宮廷ジェットコースター計画は進められており、現在は居住施設ビルの周りを囲むように簡易コースが作られていた。
起伏はあまり激しくない子供向けのようだが、初めて乗る人には結構刺激があるだろう。コースの脇には流線形のそれっぽい車両が置かれており、ヴォレット姫が乗り込んで遊んでいる。
闇神隊の皆は居住施設の中で実際に過ごしてみて、何処かに不備は無いか調べてくれていた。その実、夕方からずっとこの作業に付き合わされた彼等に、休息をとって貰っていたのだが。
そんな彼等も十分に休めたのか、今は居住施設から出て来て悠介のジェットコースター作りを眺め始めた。
――その時、訓練場の少し離れた場所に大きな魔力が発生するのを感じた。こんな膨大な魔力が突然発生する現象は、コウが知る限りほぼ一つしかない。
「やほー、みんな揃ってるみたいね」
「あ、こんちゃー」
「やほー朔耶」
予想通り、朔耶が世界の壁を越えてやって来た。悠介と共に挨拶を返すと、闇神隊のメンバーも目礼している。
「おおう、サクヤではないか。よく来たなっ」
ヴォレット姫も朔耶に気付いて声を掛ける。
「ヴォレットちゃんもやほー」
「もう少し早く来れば良かったのにのう」
ついさっきまで後ろの建物の元を探索していたのだと、ヴォレット姫は名残惜しそうに話す。朔耶は居住施設ビルを見上げて「ほえー」と唸っていた。
「いろいろ良いものがあったよ」
「栄耀同盟の本拠地施設の見取り図とか出て来たんだけど、使います?」
コウは悠介と頷き合うと、確保しておいた栄耀同盟の本拠地の見取り図を取り出して見せた。
「わおっ、ナイスタイミング」
朔耶は今まさに話題にしようとしていたらしく、栄耀同盟の本拠地に関する内部資料が出て来た事に驚いている。
なんと、ポルヴァーティアの有力組織連合が栄耀同盟の本拠地を特定したそうだ。その事を伝えに来たのだという。
「よく一晩で見つかったなぁ」
「まあ、探して見つけたというより、確認した感じ?」
感心する悠介に、朔耶はそう言って肩を竦める。そもそも本拠地施設の大まかな位置情報は、朔耶がフォンクランクに亡命を勧めた「栄耀同盟の魔導技術研究者」から聞き出していた。怪しい場所は有力組織連合によって既に調べ尽くされていたので、絞り込みや特定が早かったのだと。
「そこが制圧されて栄耀同盟が解体されれば、この問題は完全に決着かな」
「そうね。大神官はアユウカスさんが抑えてくれるし、他の組織同士でイザコザが起きても、こっちにはあんまり影響ないと思うわ」
大きな問題に、一つの区切りが付こうとしている。朔耶は「じゃあこの資料はあたしが届けるね」と言って、見取り図を懐に仕舞った。
「それで、悠介君に何か便利な道具でも借りられればってね」
「なるほど……武器の類は無いけど、身体強化とか回復系を付与した指輪辺りでどうかな」
朔耶に支援物資を求められた悠介は、現在の手持ちに特殊効果付きアクセサリーがあるので、それを貸し出す事にしたようだ。
「向こうの戦闘なら多分、白兵戦より撃ち合いがメインになるだろうから、命中補正とか射撃向けの能力向上に書き換えとくよ」
「良いわね。助かるわ」
「ボクもてつだうよ」
栄耀同盟の本拠地攻撃には、朔耶も加勢に行くという。それならばと、コウは同行を申し出た。件の組織との戦いには、コウも深く係わったという自負がある。壊滅までしっかり見届けたい。
「そっか。コウ君が来てくれるなら心強いわね」
朔耶はそう言って、コウの参加を歓迎した。善は急げとばかりに、居住施設ビルを異次元倉庫に仕舞ったコウは、悠介達にお別れの挨拶をする。
「というわけで、ボクは朔耶といっしょに栄耀同盟を叩きにいくよ」
「コウ君も大概フットワーク軽いよなぁ」
悠介は「流石は本物の冒険者だな」と感心している。
「お屋敷のみんなにもよろしく。それと、ユースケおにーさんには――」
伝言ごにょごにょと、ヴォレット姫の胸内依頼に応えて、その秘めたる気持ちを悠介に伝えておく。悠介も彼女の気持ちは分かってたようで、困った顔で苦笑しつつ頷いていた。
(任務完了ー)
後は二人の問題だ。悠介から離れたコウは、朔耶の隣に移動する。
「行こう」
「オッケー。じゃあまた今度報告に来るわね」
「よろしくお願いします」
「気を付けるのじゃぞー」
悠介達とヴォレット姫が見送る中、ひらひらっと手を振った朔耶に連れられ、コウは狭間世界から地球世界へと転移した。
宮殿の訓練場から都築家の庭先へ。世界を渡って自宅庭に帰還した朔耶は、一息吐きがてら、コウに先程の事を訊ねる。
「悠介君に何話してたの?」
「キンソクジコーだよー」
朔耶は知っているかもしれないが、口にしてはいけない事なので、立てた人差し指を自分の唇に当てながらそう答える。
ちなみに、この仕草は京矢や朔耶の兄である重雄から得たアニメの知識を参考にしている。
「そうなの?」
小首を傾げながら肩を竦めて見せた朔耶は、特に深く追求するでもなく、再び世界を渡る態勢に入る。転移先は狭間世界のポルヴァーティア大陸。
カルツィオに友好的な有力組織の中でも、朔耶や悠介とも面識がある『勇者アルシア』の所属する組織『暁の風』。その本部に居るアルシア当人を目標に転移するようだ。
景色が一瞬で切り換わり、都築家の庭先から、大きな建物が立ち並ぶ街の一角に現れる。
朔耶と共に降り立った場所は、ポルヴァーティア大陸はポルヴァーティア人自治区の居住区画にある『暁の風』本部施設前であった。
(ここがポルヴァーティアか~)
見上げた正面の建物は、地球世界の町に見る、普通のマンションっぽい佇まいをしていた。
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