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狭間世界編
第十九話:動き出す栄耀同盟
しおりを挟む昼過ぎ頃。中枢塔に帰って来たコウは、さっそく最上階の空中庭園に上がってアユウカスに事後処理の完了を告げた。
「おわったよー」
「うむ、報告は来ておる。手間を掛けさせたの」
出迎えたアユウカスはそう言ってコウを労った。空中庭園にある神議堂には、今も頻繁に伝令が出入りしていて、厳戒態勢の物々しさを感じられる。
「あ、それとさっき朔耶が来てたよ」
「ほう? サクヤ嬢が?」
コウから諜報活動で得た情報とガゼッタの現状を聞いて、そのままポルヴァーティアのアルシアのところへ向かった事や、その後フォンクランクの悠介を訊ねる予定らしいと伝える。
「ふむ、そうじゃったか。サクヤ嬢にもちと手伝どうて欲しかったのじゃが、仕方あるまい」
改めてアユウカスから現状を聞く。
覇権主義派の指導者達と、栄耀同盟の工作員約半数はまだ見つかっていない。恐らく、既にパトルティアノーストを脱出していると思われる。
「そういえば、昨夜の拠点を追い出された人達は、パトルティアノーストを目指してたような」
「ほほう、とすれば……外で合流して別の場所に向かっている可能性も出て来るのぅ」
追い出した本人であるコウの推察では、栄耀同盟の拠点は昨夜強奪したもの以外にも、兵器の保管庫のような拠点未満な規模の施設が複数あるのではないかと見ている。
その辺りの情報は件の施設にいた構成員達からも読み取れていないが、コウが接触したのは施設勤務の構成員の中でも、ほんの一部の者達に過ぎない。
同規模の拠点施設がまだ他にも無いとも限らないのだ。
「覇権主義派の手足はもいだが、さて……栄耀同盟の連中はどう動くか」
「こんらんが収まりきらないうちに捕虜の収容先を急襲してくーでたー促すとか」
「それも有り得るんじゃよなぁ」
「機動甲冑があるもんね」
空中庭園を一緒に散歩しながら、栄耀同盟と覇権主義派の残党について話し合う。アユウカスは、直接的ではないものの、実際にポルヴァーティアの機動甲冑との交戦経験がある。
故に、あれで攻め込まれると現在のガゼッタの戦士達では防ぎきれないと判断しているようだ。
「逃げた連中の居場所をどうにか突き止められんか?」
「それじゃあ、手掛かり探ってみる?」
アユウカスから頼みの綱にされたコウは、捕虜達の記憶情報を調べる提案をするのだった。
夕刻前。
コウの提案を受け入れたアユウカスがシンハ王に進言し、急遽兵が集められた屋内訓練場にて。今回の作戦で捕らえられた覇権主義派のメンバーと、栄耀同盟の工作員が集められていた。
手枷で拘束されている彼等の周りを、武装した白族の戦士達がぐるりと囲んでいる。
「何が始まるんだ……? 処刑か?」
「まだ一度しか取り調べを受けてないのに?」
「いや、処刑にしては様子が変だ」
ざわつく捕虜達を一瞥したアユウカスは号令台に上ると、ガゼッタ軍の神技人部隊を使い、声を大きく遠くまで響かせる風技の『広伝』で呼び掛けた。
「――さて、お主らの反逆の罪はさておき、まずは取り調べじゃ。栄耀同盟の外の拠点について、知っている者は名乗り出よ――」
アユウカスの呼び掛けを聞いた捕虜達は困惑の表情で顔を見合わす。仲間意識の強い覇権主義派の若者達は、当然ながら呼び掛けに応じる者は居ない。栄耀同盟の工作員も同じく沈黙している。どんな意図をもってこの場が設けられたのか分からず、ひそひそと話し合っていた。
「これは、何が狙いだ……?」
「我々の中にサクラを交ぜて誘導するつもりとか」
「しかし、誰も名乗り出ないぞ?」
「当然だ。栄耀同盟の同志ならまだしも、俺達みたいな覇権主義派の中でも下位の戦士に……」
「ああ、そんなの知ってる奴がいるわけがない」
仲間への疑心暗鬼から抜け駆けを誘うなら個別に尋問される筈だと、捕虜達は里巫女アユウカスの狙いが読めず、首を傾げながら号令台の幼女姿を覗き見る。
そんな捕虜達の視線と意識をアユウカスに集めさせたコウは、彼等の心の内側を読視通す。一人ずつではなく、全員集めて一纏めにしたのもコウの提案である。
緩い拘束で仲間と密談出来る環境におきながらの浅い尋問。捕虜達は仲間と現状確認や里巫女の目論見を推察しようとするうち、次第にリラックスして色々な事を考えるようになる。
雑多な会話と定まらない思考の中に、本人さえ覚えていなかったような、何かの折にちらっと耳にした誰かの話が、ふと頭を過る。
――逃げ出せない――後悔してる?――腹減ったな――不意を突かれなければ――守りの薄い場所は――シンハ王はどこまで――アユウカス様かわいいなぁ――裏切り者が居たに違いない――あいつは向こう側か――ブーツの中に砂が入った――くしゃみ出そう――栄耀同盟の同志は――西の山中が――そういえばこの前食堂で――
次の瞬間には忘れてしまう、意識すらされない些細な記憶が呼び起こされては辺りを飛び交う。その中に、重要なキーワードがあったりするのだ。コウはそれを拾い上げる。
――外の拠点に行って来たとか――戦闘訓練で動かした――扱えるのは一部の者だけって――白刃騎兵団が束になっても敵わなかった大型甲冑だ――
幾つかピックアップして、重要なキーワードを持っていた人を選別していく。
「この人とこの人、あとあの人も」
とつぜん現れた黒髪の少年が、白族の戦士達に指示を出し始めた事で、捕虜達は困惑を深めた。なぜ自分が選ばれたのか分からない覇権主義派の一般構成員は、狼狽したり萎縮したりしている。栄耀同盟の工作員からも何人か選ばれて別室に連れて行かれた。
「――ではお前達、話す気になったなら看守に言うのじゃぞ。今日はこれまでじゃ――」
コウの合図を受けたアユウカスは頷くと、居並ぶ捕虜達にもう一声掛けて号令台を下りた。
捕虜達が収容施設に戻され、選別された数人は尋問室へ。コウはアユウカスと並んでその尋問室へ向かう。前後を警護している白族戦士の中には、まだコウの事をよく知らない者もいて、彼等は今回の捕虜の移動や選別の目的が分からず、捕虜達と同じように困惑し、訝しんでいた。
「こちらです」
「うむ。コウよ、頼んだぞ」
「は~い」
尋問室で拘束されている捕虜達の記憶を深く探って、件の重要なキーワードをいつどこで聞いたのか調べる。
その重要な記憶周辺の記憶情報、無意識に知覚した情報を読み取り、探っていくと、当時の状況が見えて来た。
パトルティアノースト内のアジトにある食堂で、夕食中に後ろの席で誰かが話していたのを偶々耳にした。選別された内の数人は、同じ時間、同じ食堂内の別々の場所で、その会話を聞いていた事が分かった。
それらを纏めると、話していたのは覇権主義派の幹部と栄耀同盟の工作員。内容は、覇権主義派の中から一部の適性者を選んで、機動甲冑を動かす訓練を受けさせるというものだった。訓練の場所は西の山中。
(異次元倉庫内の拠点の中を調べれば、何か資料が見つかるかも)
それ以上は目ぼしい情報も無かったので、取り調べを終える。尋問室に集められた数人の捕虜達は、黒髪の少年に数秒ほど見つめられて終わった取り調べに、ますます困惑を深めていたのだった。
「おわったよー」
「もう済んだのか。何か分かったかえ?」
「うん、これからちょっと資料を調べるね」
取調室を後にしてアユウカスにとりあえずの成果を報告したコウは、今から異次元倉庫に潜って、今朝方取り込んだ拠点施設内を調べる事を告げた。
「重ね重ね世話を掛けるの」
「いいよー」
コウの力に頼りっ放しで申し訳無いと謝意を表するアユウカスに、コウは自分も楽しんでいるので構わないと答えた。
「じゃあ行って来るね」
少年型を解除して精神体になると、異次元倉庫を開いて中に潜る。京矢が地球世界に居て、自身がフラキウル世界に居る時などに現れる『魂の繋がりの線』も薄ら見えるので、波長が合えば交信も可能かもしれない。が、同じ世界に居る時ほど容易にはいかなそうだ。
(キョウヤが寝てる時は、夢のなかでこっちのようすが見えてるかも)
朔耶のように、精霊の視点で自由に動き回れる『夢内異世界旅行』と違い、コウが見ている光景しか見られないようだが。
そんな事を思いつつ、コウは異次元倉庫内に浮かぶ巨大な拠点施設を見上げる。この施設の出入り口で、スピーカー越しに対応した監視役の構成員達は、ここを『支部』と呼んでいた。
カルツィオ内にある栄耀同盟の拠点の中でも、かなり中心的な役割を果たしていたのではないかと推察される。
ふと見やれば、拠点施設の傍に栄耀同盟のおじさん(マーガス氏)が佇むように浮かんでいた。
(そう言えばそうだった)
エイネリアに変装させたままだったので、彼女に被せてあった究極の魔材マスクとローブを外して、レクティマの隣に移動させる。
(さて、中を調べてみよう)
異次元倉庫の中で精神体状態にあるコウには、壁も扉も関係ない。外壁から施設内部に入ると、資料室に向かって漂い始めた。
この異次元倉庫の中では、コウが動いているのか、周りのものを動かしているのかは曖昧だが。
拠点施設の地下階に当たる下層部分から一通り見て回り、必要な資料は概ね見つけた。
作戦指令室のような部屋にカルツィオの全域が描かれた正確な地図があったのだが、それには他の拠点や倉庫の位置などが記してあった。
(いいものみっけ。こっちを先に調べればよかったかも)
しかし、先程捕虜達から吸い上げたような情報が記された資料は見つからなかった。
覇権主義派の中から適性者を選んで機動甲冑の訓練をさせるという会話は、現場で聞ける生の声だったと言える。
施設全体の魔力供給を担う魔導動力装置らしき大型の機械も、地下に確認済みだ。
この大型魔導動力装置を造る為に、船で魔導工作機械を持ち込み、魔導工作機械を動かす為に船を解体してその動力を利用していたようだ。
船から降ろされた小型の船舶用魔導動力装置は、緊急用の予備動力として近くの倉庫部屋に仕舞われていた。
(博士のところにはこれをもって行くといいかも)
この大きさなら、台車にでも乗せれば朔耶が一人で運べそうだ。そう考えたコウは、小型魔導動力装置を倉庫部屋から取り出し、施設の外に移動させた。
これで次に朔耶に会った時は直ぐ取り出せる。
(こっちはユースケおにーさんにコピーしてもらうのが先かな)
施設内の細かい探索はまた今度、外に出している間に進める事にして、コウは必要な情報が記された資料をもって異次元倉庫を閉じた。
少年型を召喚して憑依する。
「ただいまー」
「おお、戻ったかコウよ」
取調室のある施設と、収容施設本棟を繋ぐ廊下の途中に現れるコウを、アユウカスが出迎える。ずっとここで待っていたらしい。
「あ、もっとちゃんとした場所にすればよかったね」
「ふふ、気にせずともよい」
効率を優先するあまり周囲に対する配慮が欠けていた事を気にするコウに、アユウカスはコウのやり易いようにやってくれればよいと言って笑った。
コウがカルツィオ大陸における栄耀同盟の拠点や武器庫の位置をあらかた暴いていた頃。
パトルティアノーストの西に聳える山岳地帯、旧ガゼッタ領時代に破棄された古い訓練場跡にて、十数名の若い覇権主義派同志と指導者、それに栄耀同盟の構成員に魔導兵器技術者が集まっていた。
岩壁を掘削して造られた栄耀同盟の魔導兵器実験場。大きめの拠点施設で製造された各パーツはここで組み立てて最終調整され、パトルティアノーストやカルツィオ各地の拠点などに運ばれる。
今回、カルツィオ最大の拠点であった支部施設を破壊され、パトルティアノーストでも奇襲による一斉取り締まりを受けて壊滅的な打撃を被った覇権主義派と、栄耀同盟のガゼッタ攻略班本隊。それぞれ脱出した先で合流を果たした彼等は、この魔導兵器実験場にて反攻の準備を進めていた。
パトルティアノーストに潜伏していた栄耀同盟の現場組と覇権主義派の指導者達は、街内に持ち込んでいた機動甲冑を使ったので、比較的楽に脱出して来ている。
「持ち出せた分と、ここで調整していた機体で数は十分か」
「ああ。機動甲冑部隊の訓練も済んでいるし、パイロットが外に居たのは幸いだったな」
「パトルティアノーストの様子はどうだ?」
「まだ厳戒態勢を敷いているようだが、大きな動きは無いな」
屋内訓練場の管制室にて、現状と今後の作戦を確認し合う栄耀同盟の幹部達。
整備を受けている機動甲冑と、その周りに集まっている覇権主義派の脱出組や、ここで操縦訓練を受けていたパイロット達を大きな窓越しに見下ろしながら、仕掛ける時期を話し合う。
「どうやらブルガーデンの攻略班は完全に制圧されたらしいな」
「となると、昨夜の奇襲は三ヵ所の同時攻撃だった訳か」
「やはり、裏切り者が紛れ込んでいる可能性が高い」
「あまり時間は掛けられんが、攻勢に出るタイミングは慎重に見定めねば」
ブルガーデン攻略班は無力化されており、トレントリエッタ攻略班は遊び呆けているので戦力外。内部にスパイの懸念が残っている状況のまま反撃に出るのは危険だ。
「ふむ……先日ここに配属した技術者は?」
「大使に化けて来た二人か? 可能性は低いな」
「ならば、原住民の協力者か?」
「その可能性が一番高いと言えるだろうな」
栄耀同盟側にカルツィオ勢の味方をする理由が無い以上、覇権主義派の中にガゼッタ政府と通じている密偵が潜り込んでいると考えた方が自然だ。
「奴等は特殊能力による遠距離連絡手段も持っている」
「うむ、こちらの動きを気取られる前に叩く方が賢明か」
パトルティアノーストから脱出して来た覇権主義派の中でも、通信系の特殊能力を使う緑髪の者だけ隔離、もしくは処分してしまえば連絡は断てる筈。
戦力は十分に整っている。そう判断した栄耀同盟のガゼッタ攻略班の幹部達は、早急に反攻作戦を実行して、パトルティアノーストの制圧に乗り出す事を決定した。
「決行は明日の未明。軍事施設を中心に急襲し、覇権主義派の捕虜を解放して戦力を増やしつつ、中枢塔を制圧する」
カルツィオに潜伏している栄耀同盟の、最大の軍事作戦が始まろうとしていた。
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