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第1章

82話 希望の光

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82話

 モンスターの裏から人が出てきた。
 間違いない一夜くんだ。
 
 どうしてモンスターと一緒に?
 回りにいる子達は誰?

 そんなことはどうでもいい。生きて一夜くんに会えた。それだけで満足だ。

「一夜くん!!!」

 俺は、自分の名前を呼ばれた気がした。この悪魔の住処でだ。確かに俺はこの声の主を探しにきた。けど、期待はあまりしていなかった。でも、聞き慣れたこの声は!

「沙知!!」

 俺は悪魔など気にせず沙知の元へ駆けた。悪魔から攻撃されたがタリアが防いでくれた。

「生きてた!本当に生きてた一夜くん!」

「あぁ、心配かけたな」

 沙知は半分泣きながら俺の懐に飛び込んできた。

「やっと会えた。本当によかった」

「けど、会えたはいいがずいぶんと厄介ごとに巻き込まれているっぽいな」

 少し離れたところでタリアは敵の攻撃に警戒している。

「よかった鏡さん、遂に会えたんですね。感動の再会は私が邪魔をさせません!」

 タリアはルシファーを見て浮遊する剣を構えた。そしてもう1人、浮遊する剣を構える者がいた。

「良かったな宮田ちゃん、探し人が見つかったのか。ここは大人である俺がみんなを守らないとな。しかし今のタリアもあの子らと同い年くらいなのか」

「え」

「え?」

 横に並んだ2人は目を合わせた。

「.......お父さん?」

「...タリア...なんで?」

 その時、戸村健二は強くビンタされた。

「馬鹿!今までどこに行ってたんですか!?お母さんがどれだけ心配したか、私がどれだけ帰りを待っていたか」

「すまん、この戦いが終わったら何でも話す。それにお前にだって聞きたいことが山ほどある。その神器とか」

「そうですね。まずは敵を倒さないと」

「俺に合わせられるか?タリア?」

「もちろんです!お父さんよりこの神器は上手く使える自信はありますよ」

「ふっ、言ったな」

 俺と沙知だけでなくタリアとタリアの父親も合流出来たようだ。

「沙知、あいつらの能力は分かるか?」

「うん」

 俺は沙知から悪魔の名前と能力を聞いた。同様にタリアも父親から聞いたようだ。

「タリア!悪魔の一体はベリアルと同等の強さだと思う。気を抜くなよ!」

「はい!分かっています」

 隣では沙知がみんなに魔法をかけていた。そして、タリア達は仕掛けた。
 タリアはバエルをその父親はルシファーに向かっていった。タリアの神器がコピーされないようにこの形態を取ったのだろう。

「調子に乗るな!人間共!ルシファー様がいれば我々悪魔が負けるわけがない!」

「いいえ、もう終わりです。ベリアルも倒しました、あなた方にはもう勝利はありません」

「貴様らか!ベリアル様をたおしたのは!」

 タリアは1人でバエルと渡り合っていた。ベリアルの戦いからタリアはますます力をつけた。
 しかし、父親の方はやや不利だ。それもそうだ、ベリアルと同等の強さがある悪魔だ。戦闘が続いているだけでもすごいことだ。
 
「お父さん!俺が魔法陣でサポートします」

「お、お父さん!?お前!タリアの男か!?」

 お父さんと呼ぶのはまずかったか。しかし、名前なんて....

「一夜くん、あの人は戸村さんだよ」

「戸村さん!危なくなったら俺の魔法陣に入ってください」

「分かった」

 隣にいた沙知は嬉しそうな顔でこちらを見た。

「一夜くん、魔法が使えるようになったの!?」

「まぁ、話すと長くなるから今は戦いに集中しよう」

 その後も戦い続けたがいくら俺がサポートをしても戸村さんの不利は変わらない。

「ナノ!この空間ならテス君を出せるはずだ。少し時間を稼いでくれ!」

「了解なの」

 俺は魔法陣を自分の下に出した。

「どうするの一夜くん?」

「頼れる奴らを呼んでくる」

続く
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