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Extra3:幸せのいろどり ―透side―
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「え? 今からって……もしかしてプロポーズするとか?」
道が言った途端、女の子二人がきゃーきゃーと騒ぎ出す。
「いや……そうじゃなくて……」
俺が言いかけると、また3人はぴたりと静かになるから、余計に恥ずかしくなってしまう。
「……いや、まだ気持ちすらちゃんと伝えてなくて」
「えーーー?!」
俺の言葉に、3人はいっせいに個室の外まで聞こえそうな驚愕の声をあげた。
「そんなに驚かなくても……」
「だって、おまえ、気持ちも伝えてないのに会社を辞めて、社長令嬢との縁談も断るって決めてるってこと?」
「……うん、そうだよ」
「あ、それとも、告白がうまくいかなかったら、やっぱり社長令嬢と結婚するとか?」
俺の隣に座っている女の子の、思いもよらない言葉に驚いてしまった。
「まさか……そんな事、考えたこともなかった」
俺がそう言うと、みんな一瞬、ぽかんとした顔をしていたけれど、「でも、それって勇気がいることだよね」と、道の隣に座る女の子の言葉に、他の二人も頷いていた。
俺は、勇気とか、そういうことはあまり頭になくて、
「これからどうなるか分からないけど、ただ今は、早く自分の想いを正直に伝えたいと思ってるんだけなんだ」
そこから先がどうなるかは、俺にも分からない。
それでも、もし直くんに、俺とはもう逢いたくないと言われたとしても、もう俺は家の事情に流されるような生き方だけはしたくないと心に決めていた。
愛しているふりをして、愛しているつもりになって結婚しても、それはきっと、いつか相手の心も必ず傷つける。
「だから、今日中に逢いに行きたいんだ」
黙って俺の話を訊いてくれていた道が、「そうか」と言って白い歯を見せて笑う。
「じゃあ、早く行ってこいよ。それで駄目だったら、また残念会してやる」
そう言って、立ち上がって俺の肩をポンポンと叩いた。
「ああ、頼むよ」
なんだか嬉しくて、自然に俺の頬も緩んでいた。
「篠崎さん、頑張って!」
二人の女の子にも応援されて、なんだか照れくさい。
「じゃあ、俺……先に失礼してもいいかな……」
せっかく俺の為に用意してくれた席だったのに、先に帰ってしまうのは本当に申し訳ないのだけれど。
「ああ、いいから、さっさと行けよ」
そう言って笑い飛ばしてくれる三人の好意に甘えることにした。
「じゃあ、ごめんね、行くね。あ、俺の分……」
そう言って、財布から金を出そうとすると、道の手が俺の手を押さえて止める。
「ばか、おまえの送別会だろが。いいから早く行けよ」
「そうそう、早く行ってください、篠崎さん」
口々にそう言われて、俺は苦笑しながら3人にありがとうと言って、個室を後にした。
店の外に出ると、強い風にコートの裾が翻る。だけど冷たくて強い風も、なんだか火照った肌に心地よく感じる。
時間を確認すると、9時を少し回ったところ。直くんのシフトは、大抵は8時までが多かったことを思い出しながら、ここからそんなに離れていない直くんのバイト先のカフェレストランの方へ、自然に足が向いていた。
――もしかしたら、まだ居るかもしれない。
道が言った途端、女の子二人がきゃーきゃーと騒ぎ出す。
「いや……そうじゃなくて……」
俺が言いかけると、また3人はぴたりと静かになるから、余計に恥ずかしくなってしまう。
「……いや、まだ気持ちすらちゃんと伝えてなくて」
「えーーー?!」
俺の言葉に、3人はいっせいに個室の外まで聞こえそうな驚愕の声をあげた。
「そんなに驚かなくても……」
「だって、おまえ、気持ちも伝えてないのに会社を辞めて、社長令嬢との縁談も断るって決めてるってこと?」
「……うん、そうだよ」
「あ、それとも、告白がうまくいかなかったら、やっぱり社長令嬢と結婚するとか?」
俺の隣に座っている女の子の、思いもよらない言葉に驚いてしまった。
「まさか……そんな事、考えたこともなかった」
俺がそう言うと、みんな一瞬、ぽかんとした顔をしていたけれど、「でも、それって勇気がいることだよね」と、道の隣に座る女の子の言葉に、他の二人も頷いていた。
俺は、勇気とか、そういうことはあまり頭になくて、
「これからどうなるか分からないけど、ただ今は、早く自分の想いを正直に伝えたいと思ってるんだけなんだ」
そこから先がどうなるかは、俺にも分からない。
それでも、もし直くんに、俺とはもう逢いたくないと言われたとしても、もう俺は家の事情に流されるような生き方だけはしたくないと心に決めていた。
愛しているふりをして、愛しているつもりになって結婚しても、それはきっと、いつか相手の心も必ず傷つける。
「だから、今日中に逢いに行きたいんだ」
黙って俺の話を訊いてくれていた道が、「そうか」と言って白い歯を見せて笑う。
「じゃあ、早く行ってこいよ。それで駄目だったら、また残念会してやる」
そう言って、立ち上がって俺の肩をポンポンと叩いた。
「ああ、頼むよ」
なんだか嬉しくて、自然に俺の頬も緩んでいた。
「篠崎さん、頑張って!」
二人の女の子にも応援されて、なんだか照れくさい。
「じゃあ、俺……先に失礼してもいいかな……」
せっかく俺の為に用意してくれた席だったのに、先に帰ってしまうのは本当に申し訳ないのだけれど。
「ああ、いいから、さっさと行けよ」
そう言って笑い飛ばしてくれる三人の好意に甘えることにした。
「じゃあ、ごめんね、行くね。あ、俺の分……」
そう言って、財布から金を出そうとすると、道の手が俺の手を押さえて止める。
「ばか、おまえの送別会だろが。いいから早く行けよ」
「そうそう、早く行ってください、篠崎さん」
口々にそう言われて、俺は苦笑しながら3人にありがとうと言って、個室を後にした。
店の外に出ると、強い風にコートの裾が翻る。だけど冷たくて強い風も、なんだか火照った肌に心地よく感じる。
時間を確認すると、9時を少し回ったところ。直くんのシフトは、大抵は8時までが多かったことを思い出しながら、ここからそんなに離れていない直くんのバイト先のカフェレストランの方へ、自然に足が向いていた。
――もしかしたら、まだ居るかもしれない。
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