38 / 351
第二章:迷う心とタバコ味の……
(14)
しおりを挟む
「直くん、朝ご飯食べれる?」
透さんはベッドから降りると、Tシャツの上に黒いニットを頭から被って、袖に腕を通しながらそう訊いてきた。
「あ、はい、俺も朝ごはん作るの手伝います」
と、俺もベッドから降りたんだけど……。
「あれ?」
足腰に力が入らずに、床にへたり込んでしまった。
「ああ、無理しなくていいよ。多分身体は疲れてるだろうから、直くんは、ゆっくりしてて」
クスクス笑いながら、俺の身体を支えてくれて、またベッドに座らせてくれる。
「すみません……」
この前みたいに、後ろはそれ程、痛みは無いけど、腰が怠い感じがする……つか身体のあちこちが怠いかも……。
「ご飯できたら呼ぶから、それまで寝てていいよ」
そう言いながら俺の頬にキスを落とし、頭に手を置いてクシャクシャに撫でる。
透さんは元気そうだなぁ……俺の方が若いのにな。
でも、身体が言う事をきかないから、大人しく休んでおく事にした。
*
一日中パジャマのままで、二人でDVDを見たり、透さんの作ってくれたご飯を食べたりして、ダラダラとのんびり過ごした。
時々、透さんのスイッチが何かの拍子に入っちゃって、リビングのソファーに押し倒されたりして……。
「直くん……、今夜も泊まる?」
そう訊かれた時は、少し驚いたけど。
でも、俺とこうして一緒にいてもいいと、少しでも透さんも思ってくれてるってことが嬉しかったから、そのままその日も泊まることにした。
そして翌日30日の夕方、車で俺のマンションまで送ってくれた。
次に逢う時もまた、透さんの家に泊まる約束もしたりして、そして今度はちゃんと携帯の番号とアドレスを交換した。
透さんは、明日から実家で何か用事があるらしくて、俺も明日から啓太と地元に帰るから、次はいつって、細かい約束はしてないけど、今度は携帯で連絡がとれるんだ。
「じゃ、よいお年を」
バイバイと手を振って、透さんは俺がマンションのエントランスに入るまで、車から見送ってくれていた。
まるで恋人同士みたいで、ちょっと気恥ずかしいけど、なんとなく嬉しかったりする。
この“嬉しい”って思う気持ちを、どう受け止めればいいのか、まだ迷っているけれど。
――はぁ~、しかし2泊した間に、何回ヤッたか覚えてないとか……自分でも呆れるんだけど……。
**
翌日、重い身体に鞭打って、啓太と電車とバスを乗り継いで地元に帰った。
啓太と別れて、家に帰ると、もう姉ちゃん夫婦も来ていて、すでに賑やかだ。
除夜の鐘を聴きながら、近所の神社に家族で初詣に向う。
毎年恒例の、普通の新年を迎えて。
「明けましておめでとう」
と、家族で挨拶をして、お屠蘇を呑んで、テルさん(親父の奥さん)の作ってくれた御節を食べて、夜中の3時頃には布団に入った。
親父は「初日の出を見てから寝る」とか言ってたけど、日の出を待てずに炬燵で寝てしまうのは、毎年同じ事。
俺は、たっぷり昼過ぎまで寝て、
「元旦から寝坊してたら、今年1年寝坊ばっかりするよ!」と、姉ちゃんに叩き起こされるのも毎年同じ。
クリスマスイブの、あの夜から自分の身に起きた、非日常的な変化が嘘だったように思えるけど、憧れだった透さんとの事は夢じゃなくて……。
透さんはベッドから降りると、Tシャツの上に黒いニットを頭から被って、袖に腕を通しながらそう訊いてきた。
「あ、はい、俺も朝ごはん作るの手伝います」
と、俺もベッドから降りたんだけど……。
「あれ?」
足腰に力が入らずに、床にへたり込んでしまった。
「ああ、無理しなくていいよ。多分身体は疲れてるだろうから、直くんは、ゆっくりしてて」
クスクス笑いながら、俺の身体を支えてくれて、またベッドに座らせてくれる。
「すみません……」
この前みたいに、後ろはそれ程、痛みは無いけど、腰が怠い感じがする……つか身体のあちこちが怠いかも……。
「ご飯できたら呼ぶから、それまで寝てていいよ」
そう言いながら俺の頬にキスを落とし、頭に手を置いてクシャクシャに撫でる。
透さんは元気そうだなぁ……俺の方が若いのにな。
でも、身体が言う事をきかないから、大人しく休んでおく事にした。
*
一日中パジャマのままで、二人でDVDを見たり、透さんの作ってくれたご飯を食べたりして、ダラダラとのんびり過ごした。
時々、透さんのスイッチが何かの拍子に入っちゃって、リビングのソファーに押し倒されたりして……。
「直くん……、今夜も泊まる?」
そう訊かれた時は、少し驚いたけど。
でも、俺とこうして一緒にいてもいいと、少しでも透さんも思ってくれてるってことが嬉しかったから、そのままその日も泊まることにした。
そして翌日30日の夕方、車で俺のマンションまで送ってくれた。
次に逢う時もまた、透さんの家に泊まる約束もしたりして、そして今度はちゃんと携帯の番号とアドレスを交換した。
透さんは、明日から実家で何か用事があるらしくて、俺も明日から啓太と地元に帰るから、次はいつって、細かい約束はしてないけど、今度は携帯で連絡がとれるんだ。
「じゃ、よいお年を」
バイバイと手を振って、透さんは俺がマンションのエントランスに入るまで、車から見送ってくれていた。
まるで恋人同士みたいで、ちょっと気恥ずかしいけど、なんとなく嬉しかったりする。
この“嬉しい”って思う気持ちを、どう受け止めればいいのか、まだ迷っているけれど。
――はぁ~、しかし2泊した間に、何回ヤッたか覚えてないとか……自分でも呆れるんだけど……。
**
翌日、重い身体に鞭打って、啓太と電車とバスを乗り継いで地元に帰った。
啓太と別れて、家に帰ると、もう姉ちゃん夫婦も来ていて、すでに賑やかだ。
除夜の鐘を聴きながら、近所の神社に家族で初詣に向う。
毎年恒例の、普通の新年を迎えて。
「明けましておめでとう」
と、家族で挨拶をして、お屠蘇を呑んで、テルさん(親父の奥さん)の作ってくれた御節を食べて、夜中の3時頃には布団に入った。
親父は「初日の出を見てから寝る」とか言ってたけど、日の出を待てずに炬燵で寝てしまうのは、毎年同じ事。
俺は、たっぷり昼過ぎまで寝て、
「元旦から寝坊してたら、今年1年寝坊ばっかりするよ!」と、姉ちゃんに叩き起こされるのも毎年同じ。
クリスマスイブの、あの夜から自分の身に起きた、非日常的な変化が嘘だったように思えるけど、憧れだった透さんとの事は夢じゃなくて……。
0
お気に入りに追加
460
あなたにおすすめの小説
氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います
黄金
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻!
だったら離婚したい!
ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。
お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。
本編61話まで
番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。
※細目キャラが好きなので書いてます。
多くの方に読んでいただき嬉しいです。
コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。
上司と部下の恋愛事情
朔弥
BL
幼馴染みの祐也(ゆうや)に淡い恋心を抱いていた早坂真尋(はやさかまひろ)は、彼から結婚する事を告げられ失恋。ヤケ酒を飲んでいる時に、隣で飲んでいた奴に絡み、忘れる為に抱いて欲しいと誘う。その誘った相手は、上司の元宮海里(もとみやかいり)だった···。
海里(上司)✕真尋(部下)の躰の関係から始まった恋愛模様をお楽しみ頂けたらと思います。
焦らしプレイが多めです。
R18要素を含みますので、※印を読まれる際には背後にお気をつけ下さい。
どこまでのエロ表現の時に※をつけるのか迷っておりまして···微エロには※印はつけておりません(>_<)
※印を付けておいてよ!と思われたページがあったら、教えて頂ければと思います。
完結しましたが、話しを思いついたら番外編でSSを書きます。
早く惚れてよ、怖がりナツ
ぱんなこった。
BL
幼少期のトラウマのせいで男性が怖くて苦手な男子高校生1年の那月(なつ)16歳。女友達はいるものの、男子と上手く話す事すらできず、ずっと周りに煙たがられていた。
このままではダメだと、高校でこそ克服しようと思いつつも何度も玉砕してしまう。
そしてある日、そんな那月をからかってきた同級生達に襲われそうになった時、偶然3年生の彩世(いろせ)がやってくる。
一見、真面目で大人しそうな彩世は、那月を助けてくれて…
那月は初めて、男子…それも先輩とまともに言葉を交わす。
ツンデレ溺愛先輩×男が怖い年下後輩
《表紙はフリーイラスト@oekakimikasuke様のものをお借りしました》
隠密同心艶遊記
Peace
歴史・時代
花のお江戸で巻き起こる、美女を狙った怪事件。
隠密同心・和田総二郎が、女の敵を討ち果たす!
女岡っ引に男装の女剣士、甲賀くノ一を引き連れて、舞うは刀と恋模様!
往年の時代劇テイストたっぷりの、血湧き肉躍る痛快エンタメ時代小説を、ぜひお楽しみください!
デボルト辺境伯邸の奴隷。
ぽんぽこ狸
BL
シリアルキラーとして捕えられた青年は,処刑当日、物好きな辺境伯に救われ奴隷として仕える事となる。
主人と奴隷、秘密と嘘にまみれた二人の関係、その果てには何があるのか──────。
亜人との戦争を終え勝利をおさめたある巨大な国。その国境に、黒い噂の絶えない変わり者の辺境伯が住んでいた。
亜人の残党を魔術によって処分するために、あちこちに出張へと赴く彼は、久々に戻った自分の領地の広場で、大罪人の処刑を目にする。
少女とも、少年ともつかない、端麗な顔つきに、真っ赤な血染めのドレス。
今から処刑されると言うのに、そんな事はどうでもいいようで、何気ない仕草で、眩しい陽の光を手で遮る。
真っ黒な髪の隙間から、強い日差しでも照らし出せない闇夜のような瞳が覗く。
その瞳に感情が写ったら、どれほど美しいだろうか、そう考えてしまった時、自分は既に逃れられないほど、君を愛していた。
R18になる話には※マークをつけます。
BLコンテスト、応募用作品として作成致しました。応援して頂けますと幸いです。
神獣ってモテますか?(モテないゲイは、魔法使いを目指す!@異世界版)
ビーバー父さん
BL
モテないゲイは、魔法使いを目指す!のシリーズ?
少しだけリンクしてます。
タイトル変えました。
片思いの相手が、実は自分をイラつくほど嫌っていたことを、大学の不合格の日に知った。
現実から逃げるように走ったら、何かにぶつかって、ごろんと転がったら知らない世界でした。
あれ?
これ、ラノベとか漫画にある感じ?
神獣として生まれ直して新しい生を送る
アホな子を生ぬるく見守ってください。
R18もしくは※は、そう言う表現有りです。
お前らなんか好きになるわけないだろう
藍生らぱん
BL
幼稚舎時代、執着の激しい幼なじみ達に酷い目に合わされた主人公が10年ぶりに幼なじみ達が通う学園に戻る事になった。
身バレしてまた付きまとわれるのは絶対に阻止したい主人公とヤンデレに片足突っ込みかけている執着系イケメン達のスクールライフ。
この物語は異世界のオメガバースです。(独自設定有り。追々作中か後書きで補足します。)
現代日本に似た極東の島国・大東倭帝國にある学園が舞台になります。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる