出逢えた幸せ

ずーちゃ

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第一章:聖夜と生クリーム味の……

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 あの瞳に見つめられたら……、どんな女の子も虜になるんだろうな。あの髪、きっとサラサラで指通りが良くて気持ち良いんだろうな。そして、あの指に触れられたりしたら……、想像しただけでドキドキする。

 ――え……?

 いや……、ちょっと待て。俺、何で顔熱いの。と言うか……今、何想像したの、俺。

 あの瞳に見つめられたら、どんな女の子も……ってのはそうだよね? あの髪は、指通りが良くて気持ち良いだろうな……ってのも、べ、別におかしくないよ。

 だけどっ!

 あの指が……何に触れるのを想像した? 俺! それで、このドキドキは、何だ? そして顔が熱いんだけど、なんで?

 「……」

 混乱したまま柱の影から一歩出で、二人のテーブルの方に視線を向けると……。

 「うわっ……」

 思わず小さく声を漏らしてしまった。何故か、彼がこちらを見ていて……、

 ――目が合った!

 俺は焦って、すぐに柱の影に隠れたけど、さっきよりもどんどん顔が熱くなってしまう。

 ――なんだこれ? なんだこれ?

 心臓が壊れそうなくらい、ドキドキしてる。

 別に男が好きというわけじゃなくて、もちろん恋愛は女の子としか興味はない筈……だけど……。

 ――だけど……じゃなくって!

 そうだ違う、断じて違う。そんなわけないだろう? あの人は男なんだから。

 そう、あれだ……、これはきっと憧れってやつ。自分よりはるかに大人の男の魅力っての? 自分には全くないもの……。そういうのに、憧れる年頃なんじゃね? 俺って。

 俺もさ、社会人とかになる頃には、あの人みたいにカッコいい大人になりたいんだ。うん、そうだそうに違いない。

 今は、『可愛い』とか言われて、それなりにモテたりもしてるけど、きっとあの人と同じくらいの歳になったら、こう、男の色気とかも出たりしてさ……。

 だから……、だからさ、さっきの変な想像は、なし! なし! ちょっとした間違い。落ち着け、落ち着け、俺。

 何度も何度も、そう自分に言い聞かせても、暫くは胸の鼓動が治まらなくて……。

「何してるんだ、サボってないで仕事しろ」

 と、またフロアマネージャーに突っつかれてしまったのは、言うまでもない。

 
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