112 / 123
最終章 手を取り合って
決着
しおりを挟む
「イルウ! てめえ何やってんだ!!」
「はい? スモウとってただけですけど」
取り組みの終わった四天王、イルウにカルアミルクの怒号が飛んだ。
まあ……ホント何やってんだとは思うよ。いろんな意味で。
「わざと負ければ楽々一勝拾えるところで何本気で戦ってんだ! 魔王様への裏切り行為だぞ」
いうほど本気で戦ってましたかね。私には性欲のままに行動して好き勝手やったようにしか見えませんでしたけど。
「はぁ? 私に八百長しろっての? 神聖なドヒョウの上でそんなことをするなんて私にはできないわ」
神聖な土俵の上で〇精するのはいいんスかね。というか冷静になってみれば俺は勃気を操る能力を使えるんだから取り組み中にイルウを萎えさせればよかったのか。後悔先に勃たず。
「勇者よ、よくやった」
「ああん?」
なんだこのじじい、イヤミか。
「これで儂ら勇者側の一勝じゃ」
あ、そうか。俺は負けたけど一応これで勇者側の一勝なんだよな。相撲で負けて勝負で勝った、ってところか。いやあれ相撲か?
何とも複雑な気持ちだ。いや、相撲で負けたこともそうなんだけど、それだけじゃなくて、犯されたというか……まあほぼほぼ犯されたようなもんだよな。穴が無事なだけで。
それにしてもどっと疲れた。方向性はともかく、全力でぶつかり合って、挙句の果てに負けて、変な汁ぶっかけられて。肉体的にも精神的にも疲れ果てた。一瞬にすべてをかける相撲はこれほどまでに消耗するのか。
「チッ、仕方ねえ。次、出ろ!!」
怒りの収まらないカルアミルクだったようだが、気持ちを切り替えて次の取り組みに進むようだ。イルウはすっきりした顔しやがってちくしょう。
「さっ、勇者よ。出番じゃぞ」
「え?」
次って……俺? 俺か。そうだよ。他に人いねえもん。今更アンススに「疲れてるからやっぱり出てください」とは言えねえし。アスタロウは問題外だし。俺か。俺か!!
やっべえどうしよう。
疲れ果ててとてもじゃないがもう一回取り組みなんかできる状態じゃないんだが。いややろうと思えばできるだろうけど勝つのは無理だ。
しかも今の取り組みで分かったけど、聖剣を手放してしまった俺は魔族の持つ変な能力を使われたら全くの無力だ。言ってみれば普通の高校生の力で化け物相手に相撲で勝たなきゃいけないって状況だ。
「フン、俺がなぜ一試合目にこんな変則的な勝負を受けてやったか教えてやる。二試合目と三試合目で確実に勝てるからだ。中堅、ジョーウィス、出ろ!!」
俺が普通の高校生と違うところと言えば勃気術を使えるということくらいだ。琴エルフ関に勝利した時みたいに相手を勃〇させて不浄負けにさせることができれば勝利できるかもしれない。
「我に……まかせよ……」
しかし、カルアミルクの呼び声に呼応して出てきたのは青白い、霊体の、レイスだった。ぼろ布をまとった骸骨の外見で、ふわふわと宙に浮いている。
はい終わりー。負けましたー。あんなもんどうやって倒せっちゅうねん。っていうか実態がないレイスじゃあこっちが勝つことができなくても向こうも俺を倒すことができないんじゃないのか? この試合、引き分け狙いか?
「ジョーウィスは触れた相手をカース状態にして自由自在に操ることができる。勝負は一瞬でつくぜ」
はい負けー。ざぁこ。ざこ勇者。聖剣がなきゃ何にもできない。勃気を操るくらいしか能のないざぁこ。意味不明な能力。
などとメスガキ風に自虐してみても問題は何も解決しない。
「時間いっぱいです」
エイメに促されて土俵に上る。こいつ、俺が追い詰められてるってのに何の遠慮もねえな。まあ、勝負だから仕方ないが。
しかし、実際どうしたものか。塩を掴みながら考えるも、答えは出ない。当然だ。実体のない霊を相手に、いったいどうやって相撲を取れというのか。
考えても仕方ない。やれることをやるだけだ。俺はやけくそ気味に塩を振りまく。
「ギャアァァァァァ……」
清めの塩を振りかけられて、ジョーウィスは春の淡雪のごとく溶けて無くなった。
勝利!!
「なにぃ!?」
さすがに二連敗には焦ったのだろう。カルアミルクの表情が青ざめた。
「おおおい! ふざけんな!! 今取り組みが始まる前に殺られただろうが! あんなもん反則だ反則!!」
「んなこと言われてもケンジ師匠は何もルールに反することはしてないッス。塩が苦手なら土俵に上る前に言ってほしかったッス」
そりゃ当然だ。俺は何も悪いことしてないからな。相手が勝手に成仏しただけだ。へんなものいいつけられていい迷惑だよこっちゃ。
「フ……フフフフ」
なんだ? カルアミルク追い詰められすぎてとうとう壊れちゃったか?
「くくくく……ハァーッハッハッハ!! いいだろう。そういうことなら東の横綱、このカルナ=カルアが相手をしてやろう!!」
柄に合わない三段笑いを決めてからカルアミルクが羽織っていたマントを脱ぎ捨てると、その下はまわし一丁の姿だった。体形は細マッチョという感じで、とても相撲取りの体格には見えないが、こいつが魔族側の横綱だっていうのか。
ちらりと視線を送ると、西の横綱、琴エルフ関はまだ解説の長机に着席したまま動こうとしない。ただカルアミルクをにらみつけ、座っている。まさに横綱相撲。
「それでは、ただいまの勝負を持ちまして……」
「土俵に上れ、琴エルフ。西の横綱と東の横綱、どちらが強いのかはっきりとさせてやる」
「勇者側が二勝したため……」
「スモウのルールでは魔法の使用は禁止されていない。俺に逆らうものはみな、ドヒョウのなかで消し炭にしてやってきた。お前もよく燃えそうな体形してやがるな。魔界相撲の恐怖をたっぷり味わわせてやるぜ」
「勇者軍の勝利を宣言するッス!!」
「ちょおおおおぉぉい!!」
両手に炎を出して威嚇していたカルアミルクが一転してエイメに詰め寄る。
「なんっでだよ!! これから大将戦だろうが!! こっからが盛り上がるんだろうが!!」
「なんでって……三番勝負で先に勇者側が二勝したんだから勇者側の勝利に決まってるじゃないッスか。当たり前ッスよ」
「か……勝ち抜き戦じゃ……あいつだって二回……」
そう言いながらカルアミルクは俺の方を指さすが、俺は一回戦は魔王軍の先鋒として戦って、二回戦は勇者軍の中堅として戦っただけだからな。勇者軍の一回戦勝者はイルウだから、当然勝ち抜き戦システムじゃない。こいつバカなのか。
「消化試合になるスけどやるんスか? 別にいいッスけど、負けは動かないッスよ?」
「う、うううう……そんなぁ……」
あ~あ、泣いちゃった。
「はい? スモウとってただけですけど」
取り組みの終わった四天王、イルウにカルアミルクの怒号が飛んだ。
まあ……ホント何やってんだとは思うよ。いろんな意味で。
「わざと負ければ楽々一勝拾えるところで何本気で戦ってんだ! 魔王様への裏切り行為だぞ」
いうほど本気で戦ってましたかね。私には性欲のままに行動して好き勝手やったようにしか見えませんでしたけど。
「はぁ? 私に八百長しろっての? 神聖なドヒョウの上でそんなことをするなんて私にはできないわ」
神聖な土俵の上で〇精するのはいいんスかね。というか冷静になってみれば俺は勃気を操る能力を使えるんだから取り組み中にイルウを萎えさせればよかったのか。後悔先に勃たず。
「勇者よ、よくやった」
「ああん?」
なんだこのじじい、イヤミか。
「これで儂ら勇者側の一勝じゃ」
あ、そうか。俺は負けたけど一応これで勇者側の一勝なんだよな。相撲で負けて勝負で勝った、ってところか。いやあれ相撲か?
何とも複雑な気持ちだ。いや、相撲で負けたこともそうなんだけど、それだけじゃなくて、犯されたというか……まあほぼほぼ犯されたようなもんだよな。穴が無事なだけで。
それにしてもどっと疲れた。方向性はともかく、全力でぶつかり合って、挙句の果てに負けて、変な汁ぶっかけられて。肉体的にも精神的にも疲れ果てた。一瞬にすべてをかける相撲はこれほどまでに消耗するのか。
「チッ、仕方ねえ。次、出ろ!!」
怒りの収まらないカルアミルクだったようだが、気持ちを切り替えて次の取り組みに進むようだ。イルウはすっきりした顔しやがってちくしょう。
「さっ、勇者よ。出番じゃぞ」
「え?」
次って……俺? 俺か。そうだよ。他に人いねえもん。今更アンススに「疲れてるからやっぱり出てください」とは言えねえし。アスタロウは問題外だし。俺か。俺か!!
やっべえどうしよう。
疲れ果ててとてもじゃないがもう一回取り組みなんかできる状態じゃないんだが。いややろうと思えばできるだろうけど勝つのは無理だ。
しかも今の取り組みで分かったけど、聖剣を手放してしまった俺は魔族の持つ変な能力を使われたら全くの無力だ。言ってみれば普通の高校生の力で化け物相手に相撲で勝たなきゃいけないって状況だ。
「フン、俺がなぜ一試合目にこんな変則的な勝負を受けてやったか教えてやる。二試合目と三試合目で確実に勝てるからだ。中堅、ジョーウィス、出ろ!!」
俺が普通の高校生と違うところと言えば勃気術を使えるということくらいだ。琴エルフ関に勝利した時みたいに相手を勃〇させて不浄負けにさせることができれば勝利できるかもしれない。
「我に……まかせよ……」
しかし、カルアミルクの呼び声に呼応して出てきたのは青白い、霊体の、レイスだった。ぼろ布をまとった骸骨の外見で、ふわふわと宙に浮いている。
はい終わりー。負けましたー。あんなもんどうやって倒せっちゅうねん。っていうか実態がないレイスじゃあこっちが勝つことができなくても向こうも俺を倒すことができないんじゃないのか? この試合、引き分け狙いか?
「ジョーウィスは触れた相手をカース状態にして自由自在に操ることができる。勝負は一瞬でつくぜ」
はい負けー。ざぁこ。ざこ勇者。聖剣がなきゃ何にもできない。勃気を操るくらいしか能のないざぁこ。意味不明な能力。
などとメスガキ風に自虐してみても問題は何も解決しない。
「時間いっぱいです」
エイメに促されて土俵に上る。こいつ、俺が追い詰められてるってのに何の遠慮もねえな。まあ、勝負だから仕方ないが。
しかし、実際どうしたものか。塩を掴みながら考えるも、答えは出ない。当然だ。実体のない霊を相手に、いったいどうやって相撲を取れというのか。
考えても仕方ない。やれることをやるだけだ。俺はやけくそ気味に塩を振りまく。
「ギャアァァァァァ……」
清めの塩を振りかけられて、ジョーウィスは春の淡雪のごとく溶けて無くなった。
勝利!!
「なにぃ!?」
さすがに二連敗には焦ったのだろう。カルアミルクの表情が青ざめた。
「おおおい! ふざけんな!! 今取り組みが始まる前に殺られただろうが! あんなもん反則だ反則!!」
「んなこと言われてもケンジ師匠は何もルールに反することはしてないッス。塩が苦手なら土俵に上る前に言ってほしかったッス」
そりゃ当然だ。俺は何も悪いことしてないからな。相手が勝手に成仏しただけだ。へんなものいいつけられていい迷惑だよこっちゃ。
「フ……フフフフ」
なんだ? カルアミルク追い詰められすぎてとうとう壊れちゃったか?
「くくくく……ハァーッハッハッハ!! いいだろう。そういうことなら東の横綱、このカルナ=カルアが相手をしてやろう!!」
柄に合わない三段笑いを決めてからカルアミルクが羽織っていたマントを脱ぎ捨てると、その下はまわし一丁の姿だった。体形は細マッチョという感じで、とても相撲取りの体格には見えないが、こいつが魔族側の横綱だっていうのか。
ちらりと視線を送ると、西の横綱、琴エルフ関はまだ解説の長机に着席したまま動こうとしない。ただカルアミルクをにらみつけ、座っている。まさに横綱相撲。
「それでは、ただいまの勝負を持ちまして……」
「土俵に上れ、琴エルフ。西の横綱と東の横綱、どちらが強いのかはっきりとさせてやる」
「勇者側が二勝したため……」
「スモウのルールでは魔法の使用は禁止されていない。俺に逆らうものはみな、ドヒョウのなかで消し炭にしてやってきた。お前もよく燃えそうな体形してやがるな。魔界相撲の恐怖をたっぷり味わわせてやるぜ」
「勇者軍の勝利を宣言するッス!!」
「ちょおおおおぉぉい!!」
両手に炎を出して威嚇していたカルアミルクが一転してエイメに詰め寄る。
「なんっでだよ!! これから大将戦だろうが!! こっからが盛り上がるんだろうが!!」
「なんでって……三番勝負で先に勇者側が二勝したんだから勇者側の勝利に決まってるじゃないッスか。当たり前ッスよ」
「か……勝ち抜き戦じゃ……あいつだって二回……」
そう言いながらカルアミルクは俺の方を指さすが、俺は一回戦は魔王軍の先鋒として戦って、二回戦は勇者軍の中堅として戦っただけだからな。勇者軍の一回戦勝者はイルウだから、当然勝ち抜き戦システムじゃない。こいつバカなのか。
「消化試合になるスけどやるんスか? 別にいいッスけど、負けは動かないッスよ?」
「う、うううう……そんなぁ……」
あ~あ、泣いちゃった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
「おっさんはいらない」とパーティーを追放された魔導師は若返り、最強の大賢者となる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~
平山和人
ファンタジー
かつては伝説の魔法使いと謳われたアークは中年となり、衰えた存在になった。
ある日、所属していたパーティーのリーダーから「老いさらばえたおっさんは必要ない」とパーティーを追い出される。
身も心も疲弊したアークは、辺境の地と拠点を移し、自給自足のスローライフを送っていた。
そんなある日、森の中で呪いをかけられた瀕死のフェニックスを発見し、これを助ける。
フェニックスはお礼に、アークを若返らせてくれるのだった。若返ったおかげで、全盛期以上の力を手に入れたアークは、史上最強の大賢者となる。
一方アークを追放したパーティーはアークを失ったことで、没落の道を辿ることになる。
異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜
KeyBow
ファンタジー
主人公の井野口 孝志は交通事故により死亡し、異世界へ転生した。
そこは剣と魔法の王道的なファンタジー世界。
転生した先は侯爵家の子息。
妾の子として家督相続とは無縁のはずだったが、兄の全てが事故により死亡し嫡男に。
女神により魔王討伐を受ける者は記憶を持ったまま転生させる事が出来ると言われ、主人公はゲームで遊んだ世界に転生した。
ゲームと言ってもその世界を模したゲームで、手を打たなければこうなる【if】の世界だった。
理不尽な死を迎えるモブ以下のヒロインを救いたく、転生した先で14歳の時にギフトを得られる信託の儀の後に追放されるが、その時に備えストーリーを変えてしまう。
メイヤと言うゲームでは犯され、絶望から自殺した少女をそのルートから外す事を幼少期より決めていた。
しかしそう簡単な話ではない。
女神の意図とは違う生き様と、ゲームで救えなかった少女を救う。
2人で逃げて何処かで畑でも耕しながら生きようとしていたが、計画が狂い何故か闘技場でハッスルする未来が待ち受けているとは物語がスタートした時はまだ知らない・・・
多くの者と出会い、誤解されたり頼られたり、理不尽な目に遭ったりと、平穏な生活を求める主人公の思いとは裏腹に波乱万丈な未来が待ち受けている。
しかし、主人公補正からかメインストリートから逃げられない予感。
信託の儀の後に侯爵家から追放されるところから物語はスタートする。
いつしか追放した侯爵家にザマアをし、経済的にも見返し謝罪させる事を当面の目標とする事へと、物語の早々に変化していく。
孤児達と出会い自活と脱却を手伝ったりお人好しだ。
また、貴族ではあるが、多くの貴族が好んでするが自分は奴隷を性的に抱かないとのポリシーが行動に規制を掛ける。
果たして幸せを掴む事が出来るのか?魔王討伐から逃げられるのか?・・・
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
伯爵令嬢に婚約破棄されたので、人間やめました
えながゆうき
ファンタジー
うー、ダイエット、ダイエットー!
子爵家の庭を必死に走っている俺は、丸々太った、豚のような子爵令息のテオドール十五歳。つい先日、婚約者の伯爵令嬢にフラれたばっかりの、胸に大きな傷を負った漆黒の堕天使さ。髪はブロンド、瞳はブルーだけど。
貴族としてあるまじき醜態はすぐに社交界に広がり、お茶会に参加しても、いつも俺についてのヒソヒソ話をされて後ろからバッサリだ。どっちも、どっちも!
そんなわけで、俺は少しでも痩せるために庭を毎日走っている。でも、全然痩せないんだよね、何でだろう?
そんなことを考えながら走っていると、庭の片隅に見慣れない黒い猫が。
うは、可愛らしい黒猫。
俺がそう思って見つめていると、黒い猫は俺の方へと近づいてきた!
「人間をやめないかい?」
「いいですとも! 俺は人間をやめるぞー!!」
と、その場の空気に飲まれて返事をしたのは良いけれど、もしかして、本気なの!? あ、まずい。あの目は本気でヤる目をしている。
俺は一体どうなってしまうんだー!! それ以前に、この黒い猫は一体何者なんだー!!
え? 守護精霊? あのおとぎ話の? ハハハ、こやつめ。
……え、マジなの!? もしかして俺、本当に人間やめちゃいました!?
え? 魔境の森にドラゴンが現れた? やってみるさ!
え? 娘を嫁にもらってくれ? ずいぶんと地味な子だけど、大丈夫?
え? 元婚約者が別のイケメン男爵令息と婚約した? そう、関係ないね。
え? マンドラゴラが仲間になりたそうな目でこちらを見てる? ノーサンキュー!
え? 魔石が堅くて壊せない? 指先一つで壊してやるよ!
え? イケメン男爵令息が魔族だった? 殺せ!
何でわざわざ俺に相談しに来るんですかねー。俺は嫁とイチャイチャしたいだけなのに。あ、ミケ、もちろんミケともイチャイチャしたいよー?
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる