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4.真実

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 『ダレ…ダ…』

 「俺は、ここに転生したダイドウリョウガだ!!」

 『テンセイ…カミノコ……カミ……』
 言葉に反応した…

 『オマエタチ…カミジャナイ…アクマ…』

 やはりこの感じ…

 最初に会った時の反応もそうだった。
 カイムは異常なほど、怒っていた。

 カイムはきっと気づいていたんだろう。
 この国の情勢に。

 『リザヲカエセェェッ!!』
 叫びと共に、化物の足が薄らと光を帯び始める。
 『シンソク』
 一瞬にして、目の前にいた筈の化物の姿が消えた。

 「消えた!?」
 辺りに視線を移すが、居ない。

 『スーッ…』

 背後から聞こえる、鼻息の様な音に背筋がゾッとする…

 嘘だろ…

 化物が背後に居る。
 一瞬にして、瞬き程の時で背後まで移動していたのだ。

 背後から鉤爪が空を切る音が聞こえる。

 「テレポート!!」
 リョウガは咄嗟に隣部屋の壁際に移動する。

 捉え損ねた鉤爪はリョウガが移動する前の地面を抉っていた。

 間一髪だった。

 化物は匂いを嗅ぎ…此方に気づく。

 「まてっ!!リザは生きてる!!」

 『グルルゥッ』

 ダメだ…理性が飛んでいる…
 先程より眼が紅くなり、瞳孔が開いている。
 その眼は殺意に満ち溢れていた。

 『シンソク』
 また化物の姿が一瞬にして消える。
 何かしらのスキルを使用しているんだ。

 即座に左側の壁の位置を想像。
 「テレポート!!」

 リョウガが壁に移動した瞬間に移動前の居た場所の壁を鉤爪が抉る。

 化物はリョウガが居ない事に不思議がっている。
 鍵爪を確認すると此方を見ようともせず、動きを止めると、次第に後ろ足に帯びている光が明るさを増していく。

 まずい… もっと速く移動できるのか?
 もし、これ以上速く動けるのだとしたら… 消えたのを確認してからテレポートしても間に合わない。

 それにどうにか倒さず元に戻す方法は無いのか…
 『奴隷王』このスキルならモンスターだろうと魔族だろうと奴隷にできる筈。ステータスさえ高ければ…

 『シンソク』
 化物は再びスキルを使い、姿を消す。
 途端、床、壁、天井の至る所で石材が弾け飛び、足の付いた痕跡を残し、踏み荒らす。
 速すぎて姿を捉えることは出来ないが、宙を移動し、乱雑に鉤爪を振るっている。

 気づいたのかテレポートに…

 リョウガは一か八かの駆けに出る。

 部屋の隅をテレポートで移動し続け、同時に接粘膜を生成。部屋の中心に飛ばし続ける。

 接粘膜の粘着性で奴の動きを止めようと考えていた。

 止まる事の無い飛び交う鉤爪の嵐の中、接粘膜を飛ばし続け、中心にはかなりの量の接粘膜を溜める。

 今だっ!!

 リョウガは接粘膜を溜めた中心にテレポートをする。

 化物も中心にリョウガが移動した事に気づき、中心目掛けて飛んで来る。

 リョウガは化物の迫る瞬間、天井にテレポート、同時に天井に接粘膜を付着。
 足を接粘膜に付け天井にくっ付いた。

 化物は中心の接粘膜に見事絡まり、身動きが取れなっていた。

 『グァッ…ガッ…』

 リョウガは壁の破片で手首を斬り込み、手首から血を真下の化物に浴びせた。

 これ以上の出血はまずい…
 自分の手首だけ炎血で燃やし、止血をする。
 
 「くっ…」

 少量だがこのまま燃せば、身体に燃え移り倒す事はできなくても、かなりの致命傷になるはず。
 しかしリョウガは躊躇っていた。
 もし元の姿に戻れたとしたら重度の火傷を負ってしまうのでは無いかと。

 しかし、時は待ってくれない。
 今にも化物は脱出しそうになっている。
 
 「亜人如きが…」

 その時、自分と化物しか居ないこの部屋に今にも途切れそうな人の声がした。

 声のする方を確認すると、床に倒れている騎士が辛うじて生きていた。

 「あいつ…生きてたのか…」

 『ズズッ…』
 床を這い、化物の近づいていく。

 「タダで済むと思うなよ…」

 何をするつもりだ。
 そんな身体でもう助からないだろう。

 「へへっ…道ずれだ…」

 「--下級命魔法 自爆--」

 その途端… 騎士の左胸辺りが膨れ、光を放ち始めた… 
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