紫の桜

れぐまき

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三分咲き

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「・・・紫の上」

「はい?」




「君に話しておかなければならないことがあるんだ」




切り出されてすぐにピンと来た
でも、それを隠し、首をかしげて言葉を紡ぐ


「はい、何でしょう?」

「もう耳に入っているかもしれないけれど…」

「はい」

「実は、須磨に退去することにしました」

「はい」


そう言って目を伏せる殿
しばらく間をおいてまた話し出す


「須磨はなにもないわびしい所です
…貴女をそんな所に連れて行くわけにも行かない
寂しい思いをさせますが…」

「殿」


悲しそうに言葉を紡ぐ殿を遮って呼びかけ、手を握って目と目を合わせる
そっと微笑んで言葉を続けた


「殿、私はどんな時でも貴方のお側に居りますわ」

「上・・・?」

「たとえ身体が遠く離れていても、私はいつも、殿のお側に」

「紫の上…」

「ですから殿、大丈夫ですよ」


笑顔を向けると殿も小さく微笑んでくれた


「許してくださいますか…?」

「許すも何も、私は怒ってなどおりません」



ぎゅっと抱き寄せられて口付けが落ちてくる
それを目を閉じて受け入れた


大丈夫
私は、ちゃんと笑えてる・・・
泣いたりなんてしていない・・・
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