紫の桜

れぐまき

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三分咲き

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「そろそろ二条の邸に戻ってきませんか?」


そう言われたのはお兄様…殿との露顕の儀を済ませ、妻になってしばらく経った頃だった


殿は他の奥様方もそこそこに、ほぼ毎日私の元に通ってきてくださる
普通ならこれで満足するのかもしれないけど、私は五年間ずっとお兄様と共に過ごしていた身
正直、夜中の少しの時間だけでは満足できない

それにこの邸はお父様の北の方様や、北の方様のお子様(私にとっては母親の違う兄弟)も住んでいらっしゃって正直居心地が悪い

出来ることなら早く出たいのだけど…


「こんなに早く夫の邸に移るというのも外聞がよくないわよね…」

ため息をつくようにつぶやくと少納言が反応した

「奥様はどうなされたいのです?」

「私?それは戻りたいけど…」

言葉を濁すと少納言は優しく笑う

「奥様、たまにはやりたいことをするのもよろしいですよ?
それにこれは旦那様がおっしゃりはじめたこと甘えてもよろしいのでは?」

「・・・そう?」

はい、と笑顔と共にうなずいてくれた乳母に少し気がかるくなる

どうも最近色々と悩みすぎているのかもしれない


この際、嫌なことは嫌、やりたいことはやりたいで、ある程度は思うままに生きてしまうのもいいかもしれない
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