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蕾
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「今日は何して遊ぼうか?」
「囲碁がいいわ!!」
殿と一緒にいたいと改めて思った日から数日
私は決めたことがある
“今を全力で楽しむ”
悩んでいたって仕方ない
殿と私の道が離れるのは私が妻になってから
つまり当分先だ
なら今はこの暖かい環境に浸っていよう
おにいさまに可愛がられて、紅葉のおにいさまと遊んで、女房達に囲まれて…
幸せなときを…
「姫?どうしました?」
「え…?あ、なんでもないです
私の番?」
パチリと碁石を置く
今日は久しぶりにおにいさまとゆっくり過ごせる日
折角だから楽しもう
私は思考を中断し、決断どおり囲碁を打ちながら他愛も無い会話を楽しんだ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「旦那様、今日はどちらに?」
そろそろ日も暮れるという頃、殿の元に一人の使用人がやってきてそう尋ねた
「ん?あぁ、そうだな…」
…おにいさまは行ってしまわれるのね
無意識に表情が暗くなっていたのだろう
おにいさまが私の顔を覗き込んできた
「姫?そんな悲しい顔をしないで?
今私がしていることはすべて将来、貴女と二人で暮らす為なのですから」
「…」
何も答えることが出来ずにうつむく
頭では分ってはいる
今の私は殿の妻ではない
おにいさまに面倒を見ていただいているただの居候に過ぎないのだ
おにいさまが奥様方の下へ行く事を止める権利なんて無い
でも…
「寂しい…な」
無意識の内にこぼれた言葉
自分でも聞こえるか聞こえないかだったのに、おにいさまには聞こえてしまったらしい
一瞬、驚いたように目を見開いてその後すぐに綺麗な笑みを浮かべられた
「久しぶりですね
貴女がそんな事を言ってくれるのは
最近はあまり甘えてくれなかったから…」
嬉しそうに目を細めて私を抱き寄せるおにいさま
自分の言動を少し恥ずかしく思いながらも私はその腕に身を任せていた
「囲碁がいいわ!!」
殿と一緒にいたいと改めて思った日から数日
私は決めたことがある
“今を全力で楽しむ”
悩んでいたって仕方ない
殿と私の道が離れるのは私が妻になってから
つまり当分先だ
なら今はこの暖かい環境に浸っていよう
おにいさまに可愛がられて、紅葉のおにいさまと遊んで、女房達に囲まれて…
幸せなときを…
「姫?どうしました?」
「え…?あ、なんでもないです
私の番?」
パチリと碁石を置く
今日は久しぶりにおにいさまとゆっくり過ごせる日
折角だから楽しもう
私は思考を中断し、決断どおり囲碁を打ちながら他愛も無い会話を楽しんだ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「旦那様、今日はどちらに?」
そろそろ日も暮れるという頃、殿の元に一人の使用人がやってきてそう尋ねた
「ん?あぁ、そうだな…」
…おにいさまは行ってしまわれるのね
無意識に表情が暗くなっていたのだろう
おにいさまが私の顔を覗き込んできた
「姫?そんな悲しい顔をしないで?
今私がしていることはすべて将来、貴女と二人で暮らす為なのですから」
「…」
何も答えることが出来ずにうつむく
頭では分ってはいる
今の私は殿の妻ではない
おにいさまに面倒を見ていただいているただの居候に過ぎないのだ
おにいさまが奥様方の下へ行く事を止める権利なんて無い
でも…
「寂しい…な」
無意識の内にこぼれた言葉
自分でも聞こえるか聞こえないかだったのに、おにいさまには聞こえてしまったらしい
一瞬、驚いたように目を見開いてその後すぐに綺麗な笑みを浮かべられた
「久しぶりですね
貴女がそんな事を言ってくれるのは
最近はあまり甘えてくれなかったから…」
嬉しそうに目を細めて私を抱き寄せるおにいさま
自分の言動を少し恥ずかしく思いながらも私はその腕に身を任せていた
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