上 下
89 / 125
恋愛編

88

しおりを挟む
その作戦を聞いた三番目の王子様はとてもビックリしました
そんなことを企んでいることがバレれば国際問題です
何よりその皇太子は自分の友人だったので、自分は早々にその作戦からは降り、関わらないようにしようと決めました

しかし、王子様はふと思い付きます

この作戦を逆手にとれば、この国の腐った王族達を排除できるかもしれない
自分がやっている仕事の功績をとられず、正当に評価される立場になれるかもしれないと

王子様はとある作戦を練り、友人である隣国の皇太子に協力を仰ぎました

その作戦は簡単です
王子様が王様達の作戦をことごとく邪魔し、王様達の誰かをキレさせて自分に詰め寄らせ、彼らの作戦をできる限り大勢の前でばらし、皇太子にわざと国際問題にしてもらうというものです

それさえ成功させれば、きっと後は宰相やまともな貴族達が動いてくれるはずだと踏んで…

_________________

「結果から言うとその作戦は見事に成功しました
しかも王子様の誕生パーティー、国内外から大勢の人が集う場所という最高の舞台で、ね」

そう言ってウインクを一つ
私は信じられない気持ちで、はぁ…と呟いた

「よくそんなに都合よく…
大勢の人の前でなんて早々機会がないでしょうし、その時に詰めよってくれる保証もないでしょうに…」

私がそう言うと、レオナルド様はにこりと笑う

「そこはまぁ、今まで見てきた王様達の性格を考えて、絶妙な加減で煽り続けた王子様の腕前だよね」
「そう、ですか」

王様達はバカ過ぎるし、作戦は運任せだし、あまりにも現実味のないその話
しかしアンバー王国で起こったことを照らし合わせると、納得せざる終えない

そして、それをあたかも第三者の話のよう に話すのは、万が一この会話がこの間のように外に漏れても、自分はただ物語の話をしていただけだと逃れるため
それをさせないために、王太子殿下達との会話ではわざわざ彼らの名前を呼び、自分の立場も強調していた

本当に、ズル賢い方
ゲームの腹黒設定は伊達じゃないわね…

感心したような呆れたような複雑な感情で手つかずだった紅茶を口に運ぶ
黙り続けている殿下をちらりと伺うと、彼もまたなんとも言えない表情を浮かべていた
レオナルド様はそんな私たちをみて笑顔を消して眉を下げる

「…この話は三番目の王子様とその国にとってはハッピーエンドなんだけど……
皇太子とその令嬢は完全に巻き込まれただけなんだよね
僕が王子様なら、申し訳ないと思うよ」

その発言を受けて殿下がため息をつきつつ口を開く

「確かに巻き込まれた形にはなるが・・・
俺が皇太子だとすれば、隣国にそんなとんでもない王族がいるのも困るからな
お互い様だ」
「そうですね」

私もそれに同意を示すとレオナルド様は表情を和らげてふわりと笑った
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~

黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※ すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

婚約破棄をいたしましょう。

見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。 しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜

矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】 公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。 この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。 小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。 だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。 どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。 それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――? *異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。 *「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

この異世界転生の結末は

冬野月子
恋愛
五歳の時に乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したと気付いたアンジェリーヌ。 一体、自分に待ち受けているのはどんな結末なのだろう? ※「小説家になろう」にも投稿しています。

悪役令嬢の居場所。

葉叶
恋愛
私だけの居場所。 他の誰かの代わりとかじゃなく 私だけの場所 私はそんな居場所が欲しい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。 ※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。 ※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。 ※完結しました!番外編執筆中です。

転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた

よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。 国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。 自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。 はい、詰んだ。 将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。 よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。 国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!

処理中です...