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恋愛編
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「リスト公爵令嬢、お待ちしておりました
皇太子殿下から案内を仰せつかっております、こちらへどうぞ」
皇宮の廊下を出迎えてくれた使用人の先導で進む
普段皇宮に招かれたときに案内される来客スペースや執務室のある場所を抜け、通されたのは殿下のプライベートスペースの中にある応接室だった
入ってもいいのかと首をかしげるが、使用人は当然のように部屋の中へ私を促すと、恭しく頭を下げた
「間もなく殿下がいらっしゃいます
こちらで暫しお待ちくださいませ」
「…わかったわ、ありがとう」
使用人が退室したのを見届けてそっとソファーに腰かける
殿下の居住空間に入ったのなんてはじめて…
というか、よく考えれば殿下に呼ばれて皇宮を訪ねるの自体何年ぶりかしら……
部屋の中央に位置するソファーに腰かけつつ室内を見回す
アンバー王国の装飾とは違う、寒色を貴重としてガラスや水、クリスタルがあしらわれた少し寒々しい空間
ラピス皇国で生まれ育ち、この配色に慣れ親しんだ私にとってはこの冷たく見える空間の方がほっとする
それに第一、あのキラキラふりふりの空間に私の容姿は似合わないのだ
考えて思わず苦笑が漏れる
この年代の女性としては可愛げがないし、似合わないとか致命的なような気もするけれど…
そう思うとアンバー王国の王女、ローズマリー姫を思い出してしまう
彼女ならあのキラキラとした空間の方を好むだろうし、何よりよく似合うのだろう
彼女だけではない
あのゲームのヒロインも、クラスの令嬢たちも、同じ研究室の仲間であるフレイヤ様だってこのひんやりとした空間よりはあのキラキラした空間の方が似合う
そして殿方に好まれ、選ばれるのはだいたいあちらの女性達だ
「……」
そんなことをぼんやりと考えていると扉がノックされた
「、はい」
反射的に返事を返して立ち上がる
「待たせたな」
「いえ………あら?」
入室してきた人物を見て首をかしげた
そこにいたのは私を招いた殿下本人ともう一人
「……レオナルド様?」
輝く金髪を靡かせてキラキラとしたオーラを振り撒く王子様だった
皇太子殿下から案内を仰せつかっております、こちらへどうぞ」
皇宮の廊下を出迎えてくれた使用人の先導で進む
普段皇宮に招かれたときに案内される来客スペースや執務室のある場所を抜け、通されたのは殿下のプライベートスペースの中にある応接室だった
入ってもいいのかと首をかしげるが、使用人は当然のように部屋の中へ私を促すと、恭しく頭を下げた
「間もなく殿下がいらっしゃいます
こちらで暫しお待ちくださいませ」
「…わかったわ、ありがとう」
使用人が退室したのを見届けてそっとソファーに腰かける
殿下の居住空間に入ったのなんてはじめて…
というか、よく考えれば殿下に呼ばれて皇宮を訪ねるの自体何年ぶりかしら……
部屋の中央に位置するソファーに腰かけつつ室内を見回す
アンバー王国の装飾とは違う、寒色を貴重としてガラスや水、クリスタルがあしらわれた少し寒々しい空間
ラピス皇国で生まれ育ち、この配色に慣れ親しんだ私にとってはこの冷たく見える空間の方がほっとする
それに第一、あのキラキラふりふりの空間に私の容姿は似合わないのだ
考えて思わず苦笑が漏れる
この年代の女性としては可愛げがないし、似合わないとか致命的なような気もするけれど…
そう思うとアンバー王国の王女、ローズマリー姫を思い出してしまう
彼女ならあのキラキラとした空間の方を好むだろうし、何よりよく似合うのだろう
彼女だけではない
あのゲームのヒロインも、クラスの令嬢たちも、同じ研究室の仲間であるフレイヤ様だってこのひんやりとした空間よりはあのキラキラした空間の方が似合う
そして殿方に好まれ、選ばれるのはだいたいあちらの女性達だ
「……」
そんなことをぼんやりと考えていると扉がノックされた
「、はい」
反射的に返事を返して立ち上がる
「待たせたな」
「いえ………あら?」
入室してきた人物を見て首をかしげた
そこにいたのは私を招いた殿下本人ともう一人
「……レオナルド様?」
輝く金髪を靡かせてキラキラとしたオーラを振り撒く王子様だった
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