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恋愛編
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言われた通り、仲間達のいる方向に足を向ける
私が近づいてきたことに最初に気がついたらしいフレイヤ様が笑顔で迎えてくれた
「セシリア様、ご機嫌よう」
「えぇ、ご機嫌よう」
「ダンス、拝見いたしました
とてもお綺麗でしたわ~
特にアルベルト様とは息もぴったりで、本当にお似合いで…まるで絵画のようでした
ドレスの色もアルベルト様のマントに合わせられたのですよね?…あら!よく見るとアクセサリーもマントの装飾と同じでは…?細かいところまで揃えていらっしゃるなんて…素敵ですわ~」
にこにこと夢見るような表情で流れるように語る彼女に目を瞬く
自分がローズマリー姫に対して思っていたことは、第三者から見ると自分にも当てはまるらしい
そう思うと、もやもやしていたものがふっと軽くなる気がした
「…ありがとう」
微笑みを浮かべてお礼を言えば、彼女は満面の笑みで本当のことですもの!と答えてくれた
__________________________________________________________________
フレイヤ様達と合流してからしばらくした頃、会場の空気がざわつくのを感じた
「…?」
他の仲間達も気がついたようで、全員が辺りを見回す
私も周囲に視線を巡らせるか異変の現況は見当たらない
「…何かあったのでしょうか?」
「さぁ…何かしら…?」
答えた瞬間、空気が揺れる
続いて雑音と共に微かな人の声が聞こえてきた
「これは…拡声魔法ですわね」
大人数に声を届けるために使われる魔法だ
分野としては風魔法に分類され、魔法自体はジェイド皇国の者しか使うことはできない
だが魔法をかけた道具が販売されているため、他国でも一般的に知られ、使われている生活魔法のひとつである
「何か発表でもあるのかしら?
セシリア様は何かご存じですか?」
フレイヤ様の問いかけに首を降る
「いえ、知らないわ…」
答えつつも様子を伺っていると、魔法がひろう声が次第に大きくなってきた
『…オ…ルド、……どう………もり…?』
『こ……は兄上…お揃い………………なん…こと……?』
『…………さくせ…の……っている……う』
『……で…か?』
これは……レオナルド様と、王子様方…?
何かの手違いか、この国の王子達の会話が会場に流れてしまっているようだ
しかも、穏やかに歓談しているような感じではない
どちらかと言うと揉めているように聞こえる
…これ、不味くないのかしら?
声の持ち主を特定したのは私だけではなかったのだろう
この国の従者達が慌てたように会場を飛び出していく
しかしその間も会話は止まらず、鮮明さを増していく
『レオ……ド、いい加減…しろ』
『僕と兄上の邪魔…するな』
『そう言われ……ても…』
気がつけば会場にいる大多数の人物が、息を飲んで流れてくる声に耳を傾けていた
私が近づいてきたことに最初に気がついたらしいフレイヤ様が笑顔で迎えてくれた
「セシリア様、ご機嫌よう」
「えぇ、ご機嫌よう」
「ダンス、拝見いたしました
とてもお綺麗でしたわ~
特にアルベルト様とは息もぴったりで、本当にお似合いで…まるで絵画のようでした
ドレスの色もアルベルト様のマントに合わせられたのですよね?…あら!よく見るとアクセサリーもマントの装飾と同じでは…?細かいところまで揃えていらっしゃるなんて…素敵ですわ~」
にこにこと夢見るような表情で流れるように語る彼女に目を瞬く
自分がローズマリー姫に対して思っていたことは、第三者から見ると自分にも当てはまるらしい
そう思うと、もやもやしていたものがふっと軽くなる気がした
「…ありがとう」
微笑みを浮かべてお礼を言えば、彼女は満面の笑みで本当のことですもの!と答えてくれた
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フレイヤ様達と合流してからしばらくした頃、会場の空気がざわつくのを感じた
「…?」
他の仲間達も気がついたようで、全員が辺りを見回す
私も周囲に視線を巡らせるか異変の現況は見当たらない
「…何かあったのでしょうか?」
「さぁ…何かしら…?」
答えた瞬間、空気が揺れる
続いて雑音と共に微かな人の声が聞こえてきた
「これは…拡声魔法ですわね」
大人数に声を届けるために使われる魔法だ
分野としては風魔法に分類され、魔法自体はジェイド皇国の者しか使うことはできない
だが魔法をかけた道具が販売されているため、他国でも一般的に知られ、使われている生活魔法のひとつである
「何か発表でもあるのかしら?
セシリア様は何かご存じですか?」
フレイヤ様の問いかけに首を降る
「いえ、知らないわ…」
答えつつも様子を伺っていると、魔法がひろう声が次第に大きくなってきた
『…オ…ルド、……どう………もり…?』
『こ……は兄上…お揃い………………なん…こと……?』
『…………さくせ…の……っている……う』
『……で…か?』
これは……レオナルド様と、王子様方…?
何かの手違いか、この国の王子達の会話が会場に流れてしまっているようだ
しかも、穏やかに歓談しているような感じではない
どちらかと言うと揉めているように聞こえる
…これ、不味くないのかしら?
声の持ち主を特定したのは私だけではなかったのだろう
この国の従者達が慌てたように会場を飛び出していく
しかしその間も会話は止まらず、鮮明さを増していく
『レオ……ド、いい加減…しろ』
『僕と兄上の邪魔…するな』
『そう言われ……ても…』
気がつけば会場にいる大多数の人物が、息を飲んで流れてくる声に耳を傾けていた
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