75 / 125
恋愛編
74
しおりを挟む
あの昼食会の翌日
今日は午後からは王妃様に茶会に招待されているが、午前中はやることがない
昨日と同じく本でも読んで時間を潰そうかと書庫へ向かっていると後ろから声をかけられた
「セシリア嬢」
「…王太子様」
呼び掛けに反応して振り向くと、そこには笑顔を浮かべた王太子殿下
「どこかへお出掛けですか?」
「…えぇ、書庫へ行こうかと
昨日途中までしか読めなかった本があるので…」
「そうでしたか
よろしければごいっ「セシリア嬢!よかった。聞きたいことがあるんだ」……レオナルド」
お約束のように言葉をさえ切られた王太子殿下が表情を凍りつかせて彼の名を呼ぶ
名前を呼ばれたレオナルド様は白々しい笑顔で頭を下げた
「あぁ、兄上。ご機嫌麗しく
昨日からよく会いますねぇ」
「…そうだね」
「レオナルド様、おはようございます」
「おはよう、それでね、セシリア嬢
申し訳ないんだけど今から少し時間をもらえるかな?」
その質問に私ではなく王太子殿下が口を開く
「彼女は今から書庫へ行くそうだよ」
「おや、そうだったのか
申し訳ないけどそれは後でもいいかい?
少し急いでるんだ」
そう問われ、私はちらりと王太子殿下を伺ってから頷いた
「はい、私なら大丈夫です」
「それはよかった!では早速行こうか
兄上、失礼しますね」
口を挟ませる隙もなく歩き出した彼に王太子殿下の表情が歪む
私はそれに気がつかないふりをし、礼をして彼の後をおった
________________________________________________
その翌日も、そのまた翌日も、この国の第一王子と第二王子は何かと私に声をかけてきた
その度に何処からともなくレオナルド様が現れて、間に入って喋り続けたり理由をつけて私を連れ出したりしてくださる
今も第二王子に捕まっていたところから連れ出された私は彼に連れられ廊下を歩いていた
「…レオナルド様」
「ん?何かな?」
にこりと笑顔で首をかしげる彼
「何、はこちらの台詞です」
「えー?なんで?」
白々しくとぼける姿に頬がひくつく
言動からして、第一王子と第二王子が何かを企んで私に接触してきているのは間違いない
そして彼の行動はそれを知ってあえて邪魔しているとしか思えない
婚約者でもない殿方に守られてばかりというのも気が引けるのよね
目的を知っていらっしゃるなら私にも教えてくださればいいのに…
そうすれば一々レオナルド様の手を煩わせず、自衛することもできるもの
そう考えて問い詰めようと口を開く
しかし私の言葉は声にする前に元気のいい声に遮られてしまった
今日は午後からは王妃様に茶会に招待されているが、午前中はやることがない
昨日と同じく本でも読んで時間を潰そうかと書庫へ向かっていると後ろから声をかけられた
「セシリア嬢」
「…王太子様」
呼び掛けに反応して振り向くと、そこには笑顔を浮かべた王太子殿下
「どこかへお出掛けですか?」
「…えぇ、書庫へ行こうかと
昨日途中までしか読めなかった本があるので…」
「そうでしたか
よろしければごいっ「セシリア嬢!よかった。聞きたいことがあるんだ」……レオナルド」
お約束のように言葉をさえ切られた王太子殿下が表情を凍りつかせて彼の名を呼ぶ
名前を呼ばれたレオナルド様は白々しい笑顔で頭を下げた
「あぁ、兄上。ご機嫌麗しく
昨日からよく会いますねぇ」
「…そうだね」
「レオナルド様、おはようございます」
「おはよう、それでね、セシリア嬢
申し訳ないんだけど今から少し時間をもらえるかな?」
その質問に私ではなく王太子殿下が口を開く
「彼女は今から書庫へ行くそうだよ」
「おや、そうだったのか
申し訳ないけどそれは後でもいいかい?
少し急いでるんだ」
そう問われ、私はちらりと王太子殿下を伺ってから頷いた
「はい、私なら大丈夫です」
「それはよかった!では早速行こうか
兄上、失礼しますね」
口を挟ませる隙もなく歩き出した彼に王太子殿下の表情が歪む
私はそれに気がつかないふりをし、礼をして彼の後をおった
________________________________________________
その翌日も、そのまた翌日も、この国の第一王子と第二王子は何かと私に声をかけてきた
その度に何処からともなくレオナルド様が現れて、間に入って喋り続けたり理由をつけて私を連れ出したりしてくださる
今も第二王子に捕まっていたところから連れ出された私は彼に連れられ廊下を歩いていた
「…レオナルド様」
「ん?何かな?」
にこりと笑顔で首をかしげる彼
「何、はこちらの台詞です」
「えー?なんで?」
白々しくとぼける姿に頬がひくつく
言動からして、第一王子と第二王子が何かを企んで私に接触してきているのは間違いない
そして彼の行動はそれを知ってあえて邪魔しているとしか思えない
婚約者でもない殿方に守られてばかりというのも気が引けるのよね
目的を知っていらっしゃるなら私にも教えてくださればいいのに…
そうすれば一々レオナルド様の手を煩わせず、自衛することもできるもの
そう考えて問い詰めようと口を開く
しかし私の言葉は声にする前に元気のいい声に遮られてしまった
0
お気に入りに追加
558
あなたにおすすめの小説
殿下は地味令嬢に弱いようなので、婚約者の私は退散することにします
カレイ
恋愛
王太子を婚約者に持つ公爵令嬢レベッカ・ドルセーヌは学園の裏庭に呼び出されていた。呼び出したのは地味令嬢と言われている侯爵令嬢クロエ。ビクビクと体を震わせながらクロエは大声で言った。
「こ、婚約者様なら、ア、アラン様にもっと親切にしてあげてください!アラン様は繊細なお方なんですぅ。それが出来ないのなら、アラン様とは別れてくださいっ」
「分かりました、別れます」
だって王太子も「この子は義母義姉に虐められているから優しくしてあげて」の一点張りだ。だったらいっそのこと、王太子が彼女を幸せにしてあげれば良いのだ。
王太子はその後レベッカを失いながらもクロエを守ろうと尽力する。しかし私なんかと言って努力しないクロエに、次第に違和感を覚え始めて……
※の時は視点が変わります。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる
レラン
恋愛
前世でプレーした。乙女ゲーム内に召喚転生させられた主人公。
すでに危機的状況の悪役令嬢に転生してしまい、ゲームに関わらないようにしていると、まさかのチート発覚!?
私は平穏な暮らしを求めただけだっだのに‥‥ふふふ‥‥‥チートがあるなら最大限活用してやる!!
そう意気込みのやりたい放題の、元悪役令嬢の日常。
⚠︎語彙力崩壊してます⚠︎
⚠︎誤字多発です⚠︎
⚠︎話の内容が薄っぺらです⚠︎
⚠︎ざまぁは、結構後になってしまいます⚠︎
もしもし、王子様が困ってますけど?〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ピンク頭で男爵令嬢だからと言って勝手にお花畑ヒロインだと決めつけないで下さい
まゆら
恋愛
私は、王立学園に通い出したところの男爵令嬢アイラ。
同学年に王太子とその婚約者がいるらしいが、私は全く興味がない。
しかし、王太子の婚約者の取り巻きである高位貴族令嬢たちや学園は自由恋愛だと勘違いしている下位貴族令嬢から王太子には近づくなと釘を刺されたり、行動を監視される毎日である…というような王道展開は多分ないので安心して下さい。
私がピンク頭の男爵令嬢だからって、勝手に脳内お花畑の恋愛至上主義だと決めつけないで頂けますか?
私はおバカヒロインではないですし、転生してきた聖女でもないですから!!
どちらかと言えば、真実の愛に目覚めたのですとかいうバカ女は苦手なので、近づいてきたら排除します!
私は、父から任せられた商会を大きくする為に王都に来たのですから…
皆様は、もれなくうちの商会の顧客になって頂きますからね?
私…色恋よりもお金が大好きなんです!
恋愛には全く興味が無いアイラだが、いとこから溺愛されていたり、隣国の王子から求愛されたり…色々と周囲は騒がしいのだ。
アイラの魔力と魔法については、とりあえずチートなのであまり気にしないで下さい。
ご都合主義に物事が流れていきます。
【完結】その令嬢は号泣しただけ~泣き虫令嬢に悪役は無理でした~
春風由実
恋愛
お城の庭園で大泣きしてしまった十二歳の私。
かつての記憶を取り戻し、自分が物語の序盤で早々に退場する悪しき公爵令嬢であることを思い出します。
私は目立たず密やかに穏やかに、そして出来るだけ長く生きたいのです。
それにこんなに泣き虫だから、王太子殿下の婚約者だなんて重たい役目は無理、無理、無理。
だから早々に逃げ出そうと決めていたのに。
どうして目の前にこの方が座っているのでしょうか?
※本編十七話、番外編四話の短いお話です。
※こちらはさっと完結します。(2022.11.8完結)
※カクヨムにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる